JPH04344804A - マンドレルミルの圧延方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は継目無鋼管をマンネスマ
ン−マンドレルミル方式により製造する方法に関する。

【０００２】

【従来の技術】継目無鋼管は一般に、マンドレルミル方
式、プラグミル方式等の圧延法、或いは、ユージンセジ
ュルネ方式、エアハルトプッシュベンチ方式等の熱間押
し出し法で製造されるが、比較的小径サイズの造管には
、生産性及び寸法精度の点で優れているマンドレルミル
方式の圧延法が広く利用されている。

【０００３】マンドレルミル方式は、例えば図２に示す
ように、素材ビレット１を回転炉床式加熱炉２において
所定の温度（一般的には１１００℃〜１３００℃）まで
加熱した後、マンネスマンピアサ３により穿孔圧延して
中空素管４Ａとする。尚、かような中空素管４Ａは中空
素管製造用連続鋳造機５によって直接製造してもよい。 かかる中空素管４Ａは厚肉短尺であるので、延伸圧延機
であるマンドレルミル６により減肉延伸される。マンド
レルミル６は、中空素管４Ａに、表面に熱間圧延用潤滑
剤を塗布したマンドレルバー７を挿入した状態で延伸圧
延する圧延機であり、通常　６〜　８基のロールスタン
ドから構成されていて、各ロールスタンドには一対の孔
型ロール８を備え、隣接するロールスタンド間ではこの
孔型ロール８の回転軸を圧延軸に垂直な面内で相互に９
０度づつずらして配置している。マンドレルミル６での
素管温度は、圧延機入側では１０５０℃〜１２００℃、
圧延機出側では　８００℃〜１０００℃となるのが一般
的である。中空素管４Ａはマンドレルミル６でもとの長
さの２から　４倍の長さに延伸され、仕上圧延機用素管
４Ｂとなる。

【０００４】この仕上圧延機用素管４Ｂは、必要に応じ
て再加熱炉１１によって所定の温度（一般的には　８５
０℃〜１０００℃）に再加熱された後、仕上圧延機であ
る例えばストレッチレデューサー１２によって仕上げ圧
延される。ストレッチレデューサー１２によって素管の
外径は最大で７５％も絞られ、素管ビレットの長さの４
０倍以上にも延伸され、更にその外表面はストレッチレ
デューサー１０の最終側の数スタンドの真円孔型ロール
によって定径されるため比較的優れた外形寸法精度の仕
上がり管１３が得られる。

【０００５】ところでマンドレルミルを用いた延伸工程
において、マンドレルバー表面に潤滑剤を塗布しないで
、或いは潤滑性能の悪い潤滑剤を塗布して圧延すると、
圧延負荷が大きくなり、ロールやマンドレルバーの損耗
、焼付等が大きくなるばかりでなく、場合によってはロ
ールフランジ部への材料の噛み出し等により圧延不能と
なる。従って、マンドレルバー表面には、熱間での潤滑
性能に優れた熱間圧延用潤滑剤を塗布する必要がある。 このような潤滑剤としては、安価でかつ非常に優れた潤
滑性能を持つこともあって例えば特公昭５９−３７３１
７号公報に示されるような黒鉛を主成分とし、バインダ
ーとして有機物を含有する水溶性潤滑剤が最もよく使用
されている。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】然しながら、ＳＵＳ３
０４やＳＵＳ３１６に代表されるオーステナイト系ステ
ンレス鋼等の比較的低炭素濃度の材料を、このような黒
鉛を含有する潤滑剤を塗布したマンドレルバーを挿入し
てマンドレルミル圧延を実施すると、圧延時に素管内面
に浸炭が起こり、管内表面側に炭素濃度が高い部分が発
生する。

【０００７】この高炭素濃度領域はその後の再加熱、仕
上圧延、更に圧延後の熱処理によって炭素が拡散し、炭
素濃度が低くなるとともに広がるものの、いぜんとして
炭素濃度が高い部分が残存し、例えばオーステナイト系
ステンレス鋼の場合ではＪＩＳＧ０５７５に規定される
硫酸−硫酸銅による粒界腐食試験で割れが発生する程度
に内表面の耐粒界腐食性能を劣化させるという問題があ
った。

【０００８】従って、オーステナイト系ステンレス鋼の
場合では耐粒界腐食性能を確保するために、圧延された
製品管の内表面側の浸炭部を研磨等により除去する工程
が必要となり、著しくコストを上昇させ、生産性を低下
させる等の問題が発生していた。更に、細径サイズの製
品では、内径が小さいために研磨用の砥石を挿入するこ
とが不可能な場合があり、事実上製造不可となることも
ある。

【０００９】このような問題点を解決するために、Ｓｂ
，Ｓｎを添加して耐浸炭性能を向上させたオーステナイ
ト系ステンレス鋼を素材として使用することにより、耐
粒界腐食性能を確保することが特開昭６３−２７４７４
１　に開示されている。然しながら、この従来法では、
完全に耐浸炭性能を具備させるためには、Ｓｂ，Ｓｎを
多量に添加することが必要であり、結果として、熱間加
工性を低下させるため、却って圧延欠陥疵を発生させる
、或いは製造可能な肉厚の範囲を狭める等の問題がある
。

【００１０】本発明は、上述の事情に鑑みて開発された
もので、黒鉛を含有する潤滑剤を塗布したマンドレルバ
ーを挿入してマンドレルミル圧延を実施したとしても、
素管内表面側に浸炭による炭素濃度が高い部分を発生さ
せることなく、生産性を低下させることなく安価に製造
することを目的とする。

【００１１】

【課題を解決するための手段】本発明者は、上記の問題
点を解決すべく、継目無鋼管のマンドレルミル圧延にお
ける内面浸炭状況について調査研究を重ねた。その結果
、マンドレルミル圧延時に素管とマンドレルバーとの間
隙では、マンドレルバー表面に塗布された黒鉛系の潤滑
剤の主成分である黒鉛、及びバインダーとして含有して
いる有機物が間隙中に存在する酸素と反応燃焼し、ＣＯ
ガスが多量に生成すること、更にこれら燃焼生成ガスは
浸炭反応を促進するガスであり、これら浸炭性のガスに
より素管内面に浸炭することを見いだした。

【００１２】そこで、更にこの点につき研究を重ねたと
ころ、マンドレルミル圧延直前に予め素管とマンドレル
バーの間隙に、ＣＯ２　ガス又はＯ２　ガス、水蒸気、
或いはこれらの混合ガス等の酸化性ガスを充満させるこ
とにより、黒鉛系潤滑剤を塗布したマンドレルバーを挿
入してマンドレルミル圧延しても浸炭反応を阻止するこ
とが可能となり、浸炭のない仕上圧延用素管が得られる
ことを見いだした。

【００１３】然しながら、素管とマンドレルバーとの間
隙に酸化性ガスを充満させるために、予め素管に酸化性
ガスを充満させた後にマンドレルバーを挿入すると、同
時に管端から外気を吸い込むため、素管とマンドレルバ
ーとの間隙に浸炭反応を阻止するために必要な量の酸化
性ガスを充満させておくことが不可能となる。そのため
、素管挿入後に管端から酸化性ガスを吹き込み、素管と
マンドレルバーとの間隙に酸化性ガスを充満させること
が必要となるが、一般的に素管とマンドレルバーとの間
隙は数ミリ程度しかないためにたとえ高圧で酸化性ガス
を吹き込んだとしても、吹き込みガスの圧力損失が大き
く、ガスを効果的に吹き込むことが困難であり、間隙を
浸炭反応を阻止するために必要な量の酸化性ガスに置換
するためには非常に時間がかかり、生産性を著しく阻害
するという欠点を有していた。

【００１４】そこで、この点について鋭意研究を重ねた
ところ、黒鉛を含む潤滑剤を塗布したマンドレルバーを
素管に挿入してマンドレルミル圧延する際に、マンドレ
ルバー表面に塗布した潤滑剤の外表面上に、酸化性ガス
を気泡として内部に持つ泡を塗布した後に、該マンドレ
ルバーを素管に挿入することによって効果的に、かつ短
時間に素管とマンドレルバーとの間隙に浸炭反応を阻止
するために必要な量の酸化性ガスを満たすことが可能と
なることを見いだし本発明を完成させるに至ったのであ
る。

【００１５】即ち本発明は、黒鉛を含む潤滑剤を塗布し
たマンドレルバーを素管に挿入してマンドレルミル圧延
する際に、該マンドレルバーの表面に塗布した潤滑剤の
外表面上に、酸化性ガスを気泡として内部に持つ泡を塗
布した後に、該マンドレルバーを素管に挿入して圧延を
することを特徴とするマンドレルミル圧延方法である。

【００１６】

【作用】以下、本発明を作用と共に具体的に説明する。

【００１７】本発明においてマンドレルミル圧延直前に
マンドレルバーと素管との間隙に充満させる酸化性ガス
としては、ＣＯ２　ガス、Ｏ２　ガス、水蒸気、又はこ
れらの混合ガス等が適用できる。これら酸化性ガスの作
用は以下に示すとおりである。

【００１８】黒鉛、バインダーとしての有機物を含む潤
滑剤を塗布したマンドレルバーを素管に挿入してマンド
レルミル圧延を実施すると、高温の素管と接触すること
により、潤滑剤中の黒鉛は燃焼し、ＣＯガス、ＣＯ２　
ガスを発生する。この際、マンドレルバーと素管との間
隙は一般的に非常に狭いため、黒鉛が完全燃焼するに足
りる酸素量は存在しないため、通常の状態で圧延中に発
生する燃焼ガスは、大部分がＣＯガスとなる。

【００１９】一方、ＣＯ＋ＣＯ２　混合ガス中における
鋼の浸炭及び脱炭平衡は次式で表される。

【００２０】

【数１】 ここで、（Ｃ）は鋼中に溶解している炭素濃度である。 即ち、雰囲気中のＣＯ分圧が高ければ、反応は（１）　
式の左方向へ進行して鋼中の平衡炭素濃度（Ｃ）が増加
、言い換えれば浸炭することを示している。逆に、雰囲
気中のＣＯ２　分圧が高ければ、反応は（１）　式の右
方向へ進行し、脱炭することを示している。

【００２１】従来の圧延方法では、潤滑剤の燃焼ガスの
大部分が不完全燃焼によるＣＯガスであるので、（１）
　式の反応は左方向へ進行して、素管の内面は浸炭によ
り炭素濃度が高くなる。一方、予めマンドレルミル圧延
中の素管とマンドレルバーとの間隙の雰囲気をＣＯ２　
分圧の高い状態にすることにより（１）　式の反応は右
方向へ進行するため、素管の内面の浸炭を防止すること
ができる。

【００２２】また、マンドレルミル圧延中の素管とマン
ドレルバーとの間隙の雰囲気を予めＯ２　分圧の高い状
態にしておけば、潤滑剤中の黒鉛は完全燃焼し、結果と
してＣＯ２　分圧の高い状態となり、上記の通り浸炭す
ることはない。

【００２３】一方、高温の水蒸気中での反応は不可逆的
に次式で表される。

【００２４】

【数２】 更に反応によって生成したガスの各成分の間には二次的
に次式で示される平衡反応式が成り立つ。

【００２５】

【数３】 ここで、雰囲気中の水蒸気分圧を高めれば、（４）　式
の反応は右方向へ進行し、結果としてＣＯ２　分圧が高
まり、（１）　式の反応は右方向へ進行する。

【００２６】即ち、マンドレルミル圧延中の素管とマン
ドレルバーとの間隙の雰囲気を予めＯ２　分圧の高い状
態にしておけば素管内面の浸炭が防止できる。

【００２７】以上のように、黒鉛を含む潤滑剤を塗布し
たマンドレルバーを素管に挿入してマンドレルミル圧延
する際に、マンドレルバーと素管の間隙を酸化性ガス、
即ちＣＯ２　ガス又はＯ２　ガス、水蒸気、或いはこれ
らの混合ガスにて満たされた状態下で圧延することによ
り、圧延後の素管の内面の浸炭を防止することができる
。

【００２８】一方、上記の酸化性ガスを気泡として持っ
た泡は、例えば、石鹸等の表面活性剤、卵白、サポニン
、ゼラチン等の気泡剤を含む水溶液に、アミド類、ヒド
ロキシアルキルアンモニウム塩、塩化アルキルアンモニ
ウム、アミンオキシド、アルキルアミンのエチレンオキ
シド付加物、スルホキシド、マレイン酸誘導体の縮合物
、脂肪酸の多価アルコールエステル等の泡安定剤を添加
したものに、上記酸化性ガスをバブリングすることによ
って得ることができる。これらの泡は、マンドレルバー
表面に塗布された後、素管に挿入されるまで安定して存
在していれば良い。従って、本発明では、マンドレルバ
ーの表面に塗布した潤滑剤の外表面上に、上述の如くの
酸化性ガスを気泡として内部に持つ泡を塗布した後、該
マンドレルバーを素管に挿入して圧延することにより、
圧延時には、これらの泡より前述した酸化性ガスが発生
し、マンドレルバーと素管の間隙が酸化性ガスによって
満たされ、前述の（１）　式の反応は右方向へ進行し、
浸炭反応を阻止することが可能となり、内面に浸炭のな
い仕上圧延用素管を得ることができる。

【００２９】

【実施例】図１は本発明が実施される継目無鋼管製造ラ
インの一例を示す工程図である。

【００３０】図１において、素材ビレット１は回転炉床
式加熱炉２において所定の温度（一般的には１１００℃
〜１３００℃）まで加熱された後、マンネスマンピアサ
３により穿孔圧延され中空素管４Ａとなる。尚、中空素
管４Ａは中空素管製造用連続鋳造機５によって直接製造
されてもよい。

【００３１】上記中空素管４Ａはマンドレルミル６によ
り減肉延伸される。マンドレルミル６は、潤滑剤塗布装
置２１により表面に黒鉛含有潤滑剤を塗布したマンドレ
ルバー７を中空素管４Ａに挿入した状態で該中空素管４
Ａを延伸圧延する。尚、マンドレルミル６は、　６〜　
８基のロールスタンドから構成されており、各ロールス
タンドには一対の孔型ロール８を備え、隣接するロール
スタンド間ではこの孔型ロール８の回転軸を圧延軸に垂
直な面内で相互に９０度づつずらして配置している。マ
ンドレルミル６での素管温度は、圧延機入側では１０５
０℃〜１２００℃、圧延機出側では　８００℃〜１００
０℃となるのが一般的である。中空素管４Ａはマンドレ
ルミル６でもとの長さの　２から　４倍の長さに延伸さ
れ、仕上圧延機用素管４Ｂとなる。

【００３２】上記仕上圧延機用素管４Ｂは、再加熱炉１
１によって所定の温度（一般的には８５０〜１０００℃
）に再加熱された後、ストレッチレデューサー１２によ
って仕上げ圧延される。ストレッチレデューサー１２に
よって素管の外径は最大で７５％も絞られ、素管ビレッ
トの長さの４０倍以上にも延伸され、更にその外表面は
ストレッチレデューサー１０の最終側の数スタンドの真
円孔型ロールによって定径されるため比較的優れた外形
寸法精度の仕上がり管１３が得られる。

【００３３】然るに、本実施例にあっては、マンドレル
ミル６において、黒鉛含有潤滑剤を塗布したマンドレル
バー７を中空素管４Ａに挿入して延伸圧延する際に、マ
ンドレルバー７の表面に塗布した黒鉛含有潤滑剤の外表
面上に、泡塗布装置２２が供給する泡を塗布した後、該
マンドレルバー７を中空素管４Ａに挿入して、上記マン
ドレル圧延を行なう。

【００３４】ここで、泡塗布装置２２が発生する泡は、
泡発生装置２３にて生成されるものであり、酸化性ガス
を気泡として内部にもつ泡である。泡発生装置２３は、
気泡剤水溶液２４を収容しながら、酸化性ガス供給装置
２５が供給する酸化性ガスを気泡剤水溶液２４に通気し
、上述の如くの酸化性ガスを気泡として内部にもつ泡を
生成する。

【００３５】表１に示すそれぞれの組成のオーステナイ
ト系ステンレス鋼の外径１１０ｍｍ　の丸ビレットを回
転炉床式加熱炉にて１２４０℃に加熱した後、マンネス
マンピアサーにて外径：１１０ｍｍ　、肉厚：１２．２
５ｍｍ　、長さ：３２００ｍｍの中空管に穿孔圧延しマ
ンドレルミル圧延用素管とした。 ついで表面に黒鉛：２８％、有機バインダー（ポリビニ
ルアルコール）：１０．４％、水：６１．６％の組成か
ら成る潤滑剤を塗布し乾燥被膜としたマンドレルバーに
、セッケンの水溶液に表２に示す組成の酸化性ガスを通
気、撹拌して気泡としたものを塗布した後、マンドレル
バーを素管に挿入し直ちにマンドレルミル圧延を行ない
、外径：９０ｍｍ、肉厚：３．７５ｍｍ、長さ１１７０
０ｍｍ　の仕上圧延用素管とした。得られた仕上圧延用
素管をそれぞれ再加熱後、ストレッチレデューサーにて
外径６０．５ｍｍ、肉厚３．５ｍｍ　、長さ１８６００
ｍｍ　の仕上がり管とした。

【００３６】更に１０８０℃に加熱、固溶化処理後、水
冷し、製品とした。

【００３７】製品の長手方向中央部よりサンプルを採取
し、ＪＩＳＧ０５７５に規定される硫酸−硝酸銅による
粒界腐食試験を実施し、割れのあるなしにより耐粒界腐
食性能を評価し、浸炭の有無を確認した。

【００３８】表２から明らかなように、本発明に従いマ
ンドレルミル圧延時にマンドレルバー表面に塗布した潤
滑剤の外表面上に酸化性ガスを気泡として内部に持つ泡
を塗布した後にマンドレルバーを素管に挿入して圧延を
した場合には浸炭のない製品が得られる。

【００３９】

【表１】

【００４０】

【表２】

【００４１】

【発明の効果】本発明によれば、黒鉛系の潤滑剤を塗布
したマンドレルバーを挿入してマンドレルミル圧延を実
施したとしても、生産性を阻害することなく内表面に浸
炭のない継目無鋼管を容易に製造することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】図１は本発明の概念を示す工程図である。

【図２】図２は従来方法を示す工程図である。

【符号の説明】

４Ａ　　中空素管 ４Ｂ　　仕上圧延用素管 ６　　マンドレルミル ７　　マンドレルバー ２１　　潤滑剤塗布装置 ２２　　泡塗布装置

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】　　黒鉛を含む潤滑剤を塗布したマンドレ
   ルバーを素管に挿入してマンドレルミル圧延する際に、
   該マンドレルバーの表面に塗布した潤滑剤の外表面上に
   、酸化性ガスを気泡として内部に持つ泡を塗布した後に
   、該マンドレルバーを素管に挿入して圧延することを特
   徴とするマンドレルミルの圧延方法。