JPH04342999A - 高周波加速集束装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、４重極の加速集束電場
を用いてビ−ムを直線状に加速集束させるための高周波
加速集束装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、この種の高周波加速集束装置は、
図３に示す如くビ−ム加速軸Ｂに沿った通過孔を有する
導電性外筒部１と、この導電性外筒部１内にビ−ム加速
軸Ｂを囲んで互いに９０度の角度的な間隔を置いて配設
された４つの導電性翼部（ベイン）４０とを備えた空胴
共振器を有し、その４つの導電性翼部４０に高周波電力
を高周波導入装置（図示せず）により供給することによ
り、導電性翼部４０間に４重極の加速集束電場を発生さ
せ、荷電粒子を直線状に加速集束させている。このよう
に、荷電粒子を直線状に加速集束させる高周波加速集束
装置は、通常、ＲＦＱライナック（Ｒａｄｉｏ　Ｆｒｅ
ｑｕｅｎｃｙ　Ｑｕａｄｒｕｐｏｌｅ　Ｌｉｎａｃ）　
と呼ばれている。

【０００３】実際に使用されている高周波加速集束装置
では、図４（Ａ）及び（Ｂ）に示す如く、４つの導電性
翼部４０は、それぞれ導電性外筒部１の側面に設けられ
た高周波接合部９によって電気的に短絡されるように接
続されている。

【０００４】又、図４（Ｂ）に示すように、導電性外筒
部１の側面の所定箇所には、４つの導電性翼部４０を固
定するためのプラグ部５、及び４重極電場の対称性を良
くし、且つ４重極電場をビ−ム加速軸Ｂに沿って高い平
坦度で作り出すための電場調整装置８が導電性翼部４０
で仕切られた空間毎に設けられている。

【０００５】上記した構成を有する空胴共振器のＴＥ２
１０　モ−ドと呼ばれる共振モ−ドが高周波導入装置か
ら供給される高周波電力によって励振されると、各導電
性翼部４０にビ−ム加速軸Ｂの垂直方向に高周波電流が
流れる。このとき、隣接する導電性翼部４０には互いに
半周期遷移した高周波電流が流れ、逆極性の高周波電圧
が供給されるので、結果として４つの導電性翼部４０間
に４重極の加速集束電場が発生する。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】上述した空胴共振器に
は、ＴＥ２１０　モ−ドの他に、僅かずつ共振周波数の
異なるＴＥ２１Ｎ　モ−ド（Ｎ＝１，２，３　…），Ｔ
Ｅ１１Ｎ　モ−ド（Ｎ＝０，１，２　…）等，多数の共
振モ−ドが存在している。一般に、加速集束に使用され
るＴＥ２１０　モ−ドと低次のＴＥ１１Ｎ　モ−ドとの
共振周波数が接近し過ぎると、４重極電場に双極電場が
混入し、４重極電場を乱す為、著しく加速性能が低下す
る。この為、充分な加速性能を得るためには、ＴＥ２１
０モ−ドとＴＥ１１Ｎ　モ−ドとの共振周波数を離さな
ければならない。

【０００７】しかしながら、このような共振周波数は、
導電性外筒部の径や筒長によって一義的に決まる為、各
共振モ−ドの共振周波数を任意に設定することは困難で
あった。又、４つの導電性翼部で対称性の良い４重極の
加速集束電場を発生させるためには、取り付け位置（特
にその先端部）を厳密に調整する必要があると共に、導
電性翼部の寸法並びにプラグ部の構造が厳密に規定され
なければならない。

【０００８】更に、共振周波数並びに最終的な４重極電
場の微調整には、電場調整装置を必要とする。この微調
整は、突出容積を変えることによって行う為、複雑な構
造の高周波加速集束装置の各部に対して煩雑且つ微妙な
調整作業を要する。このように、従来の高周波加速集束
装置には種々の問題や不都合がある。

【０００９】本発明はかかる事情を鑑みなされたもので
、その目的は、ＴＥ２１０　モ−ドを直接的に使用しな
くても対称性の良い４重極の加速集束電場を発生させる
ことができると共に、各部の調整を容易に行い得るよう
な高周波加速集束装置を提供することにある。

【００１０】

【課題を解決するための手段】本発明によれば、ビ−ム
加速軸に沿った通過孔を有する円筒形の導電性外筒部と
、この導電性外筒部内にビ−ム通過部を形成するように
設けられた互いに対向する２枚の導電性金属板と、導電
性外筒部内にビ−ム加速軸を囲んで互いに９０度の角度
間隔を置いて配設された４つの導電性翼部と、この４つ
の導電性翼部のうち、互いに対向する２つの導電性翼部
をそれぞれ第１の組と第２の組とに区分し、導電性金属
板の一方と第１の組とを一体的に固定した第１の導電性
介挿部と、導電性金属板の他方と第２の組とを一体的に
固定した第２の導電性介挿部とから成る空胴共振器と、
この空胴共振器に高周波電力を導入し、第１及び第２の
組の導電性翼部を励振して４つの導電性翼部間に４重極
の加速集束電場を発生させる高周波導入装置とを備えた
高周波加速集束装置が得られる。

【００１１】

【作用】本発明は、従来より使用されてきたＴＥ２１０
　モ−ドに代えて、最低次（最も共振周波数が低い）の
ＴＥ１１０　モ−ドを使用し、４つの導電性翼部間に４
重極の加速集束電場を発生させ得るＲＦＱライナックの
高周波加速集束装置を構成している。具体的に云えば、
９０度の角度間隔を置いて配設された４つの導電性翼部
のうち、対向する２つの翼部同士により第１の組と第２
の組とを空胴共振器において区分すると共に、各組の翼
部同士を互いに電気的に接続し、この状態で、空胴共振
器に高周波電力を導入し、ＴＥ１１０モ−ドと呼ばれる
共振モ−ドを励振している。これによって、４つの導電
性翼部間の空間にＴＥ２１０　モ−ドを用いた場合と同
様の４重極の加速集束電場を発生させている。

【００１２】

【実施例】以下、本発明の一実施例に係る高周波加速集
束装置について詳細に説明する。図１は本発明の高周波
加速集束装置の要部である空胴共振器を、その一部を破
断して示す斜視図である。ここでは、導電性外筒部１の
円形端部においてその中心を通るＸ軸に対してＸ−Ｘθ
軸方向（２／３π）分を断面にした状態で示している。 図示の如く、導電性外筒部１はビ−ム加速軸Ｂに沿った
通過孔を有する円筒形状になっており、この導電性外筒
部１内に、互いに対向して２枚の導電性金属板（リッジ
）２Ａ及び２Ｂが設けられている。両導電性金属板２Ａ
及び２Ｂは、互いにビ−ム加速軸Ｂを挟んで互いに間隔
を置いて配置されている。

【００１３】又、導電性外筒部１内には、ビ−ム加速軸
Ｂを囲んで互いに９０度の角度間隔を置いて４つの導電
性翼部４Ａ〜４Ｄが配設されている。更に、この４つの
導電性翼部４Ａ〜４Ｄは、対向する２つの導電性翼部、
即ち、互いに１８０度の角度間隔を置いて配設された翼
部同士で２つの組を構成している。図示された例では、
翼部４Ａと４Ｃとにより第１の組を構成し、翼部４Ｂと
４Ｄとにより第２の組を構成している。第１の組の導電
性翼部（４Ａ及び４Ｃ）は、３個の導電性介挿部３Ａ及
び導電性金属板２Ｂによって一体的に固定される一方、
第２の組の導電性翼部（４Ｂ及び４Ｄ）も、３個の導電
性介挿部３Ｂ及び導電性金属板２Ａによって一体的に固
定され、それぞれ電気的に短絡されるようになっている
。

【００１４】ここで、導電性介挿部３Ａ及び３Ｂは、導
電性外筒部１内でビ−ム加速軸Ｂに沿ってそれぞれ３個
ずつ交互に配設されている。又、導電性介挿部３Ａがそ
れぞれ導電性金属板２Ｂを介して導電性外筒部１に接続
され、他方、導電性介挿部３Ｂが導電性金属板２Ａを介
して導電性外筒部１に接続された構成にあって、この４
つの導電性翼部４Ａ〜４Ｄには、導電性外筒部１外の所
定箇所に設置された高周波導入装置（図示せず）から高
周波電力が導入される。即ち、高周波加速集束装置は、
かかる空胴共振器と高周波導入装置とを備えて構成され
る。

【００１５】上述した構成を備え、空胴共振器に高周波
電力が導入されると、ＴＥ１１０　モ−ドが励振される
。このとき、上述した第１の組の導電性翼部（４Ａ及び
４Ｃ）と第２の組の導電性翼部（４Ｂ及び４Ｄ）とは、
それぞれ導電性介挿部３Ａ及び３Ｂを介して電気的に短
絡されるので、第１の組の導電性翼部（４Ａ及び４Ｃ）
は互いに同極性の高周波電圧が供給され、第２の組の導
電性翼部（４Ｂ及び４Ｄ）は互いに第１の組とは逆極性
の高周波電圧が供給される。そして、各組の導電性翼部
４Ａ〜４Ｄにはその電位の絶対値が等しく、且つ第１の
組（４Ａ及び４Ｃ）と第２の組（４Ｂ及び４Ｄ）とは互
いに逆極性にあり、共振周波数の半周期毎に電気極性が
反転されるので、各導電性翼部間に４重極の加速集束電
場を発生させることができる。

【００１６】図２はＴＥ１１０　モ−ドの励振によって
印加される本発明の高周波加速集束装置における高周波
電流のパタ−ン（電束線）を破線で示している。同図（
Ａ）は導電性外筒部１の円形断面における電束線を示し
、同図（Ｂ）は導電性外筒部１の側面方向における電束
線を示している。

【００１７】図２（Ａ）は、高周波電流が導電性外筒部
１の円形断面の円周から導電性金属板２Ａ，導電性介挿
部３Ｂ，第２の組の導電性翼部（４Ｂ及び４Ｄ）に通電
される一方、第１の組の導電性翼部（４Ａ及び４Ｃ）に
通電された後、導電性介挿部３Ａ，導電性金属板２Ｂに
伝送されることを説明している。ここでは、更に導電性
外筒部１の円形断面の円周に帰還される高周波電流が図
示の如く導電性金属板（２Ａ及び２Ｂ）に対して左右対
象に流れることを示している。

【００１８】一方、図２（Ｂ）では同図（Ａ）に示した
高周波電流が導電性金属板２Ａから第２の組の導電性翼
部（４Ｂ及び４Ｄ）に通電された後、第１の組の導電性
翼部（４Ａ及び４Ｃ）に通電されることを説明している
。そして、ここでは４重極の加速集束電場が４つの導電
性翼部４Ａ〜４Ｄ間の空間に発生する様子を示している
。又、図２（Ａ）及び（Ｂ）に示す第１の組の導電性翼
部（４Ａ及び４Ｃ）と第２の組の導電性翼部（４Ｂ及び
４Ｄ）とが共振周波数の半周期で電気極性が反転された
場合に流れる高周波電流は、図示したものとは反対方向
に流れる。

【００１９】このように、本発明の高周波加速集束装置
は、ＴＥ１１０　モ−ドを用いたＲＦＱライナックを構
成しており、４つの導電性翼部４Ａ〜４Ｄ間でＴＥ２１
０　モ−ドを用いた場合と同様な高周波加速集束電場を
発生させて、ビ−ム加速軸Ｂに沿って入射された荷電粒
子に対して適当な加速集束を行うことができる。

【００２０】

【発明の効果】以上のように本発明によれば、導電性翼
部を導電性介挿部と導電性金属板とを介して導電性外筒
部に固定し、ＴＥ１１０　モ−ドを用いてＴＥ２１０　
モ−ドを用いた場合と同様な加速集束電場を発生させ得
る高周波加速集束装置（ＲＦＱライナック）が得られる
。この結果、導電性翼部を小型化することができ、その
取り付け位置の調整を容易に且つ高精度に行うことがで
きる。

【００２１】又、本発明のＲＦＱライナックは、最低次
のＴＥ１１０　モ−ドを使用しており、その共振周波数
が他のモ−ドの共振周波数と接近し過ぎて電場を乱すこ
とがなくなるので、導電性外筒部の径や導電性翼部の長
さ等を任意に選択することができ、これらの設計を自由
に行い得るようになる。更に、対向する導電性翼部は、
導電性介挿部によって短絡されているので、電圧が常時
等しく供給され、極めて対称性の良い４重極の加速集束
電場を得ることができる。即ち、これにより、４重極電
場を調整するための電場調整装置を不要にすることがで
きる。

【００２２】加えて、本発明のＲＦＱライナックは、従
来のＴＥ２１０　モ−ドのＲＦＱライナックとは異なり
、高周波電流が流れる金属の表面積が小さく、高周波電
流に対する抵抗を小さくできるので、結果として省電力
化を図ることができる。従って、使用者にとって取扱い
が簡易でしかも信頼性の高い高周波加速集束装置が提供
されるという格別の効果を有している。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の高周波加速集束装置の要部（空胴共振
器）を示す斜視図である。

【図２】図１に示す空胴共振器における高周波電流の電
束線を説明するために示す図である。

【図３】従来の高周波加速集束装置の要部（空胴共振器
）を、その一部を破断して示す斜視図である。

【図４】図３に示す空胴共振器の断面を説明するための
図である。

【符号の説明】

１　　導電性外筒部 ２Ａ，２Ｂ　　導電性金属板 ３Ａ，３Ｂ　　導電性介挿部 ４Ａ〜４Ｄ，４０　　導電性翼部 ５　　プラグ部 ８　　電場調整装置

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】　　ビ−ム加速軸に沿った通過孔を有する
   円筒形の導電性外筒部と、前記導電性外筒部内にビ−ム
   通過部を形成するように設けられた互いに対向する２枚
   の導電性金属板と、前記導電性外筒部内に前記ビ−ム加
   速軸を囲んで互いに９０度の角度間隔を置いて配設され
   た４つの導電性翼部と、前記４つの導電性翼部のうち、
   互いに対向する２つの導電性翼部を第１の組と第２の組
   とに区分し、前記導電性金属板の一方と前記第１の組と
   を一体的に固定した第１の導電性介挿部と、前記導電性
   金属板の他方と前記第２の組とを一体的に固定した第２
   の導電性介挿部とから成る空胴共振器と、前記空胴共振
   器に高周波電力を導入し、前記第１及び第２の組の導電
   性翼部を励振して前記４つの導電性翼部間に４重極の加
   速集束電場を発生させる高周波導入装置とを備えたこと
   を特徴とする高周波加速集束装置。