JPH04316612A - 黒鉛繊維の製造方法 - Google Patents

黒鉛繊維の製造方法

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JPH04316612A
JPH04316612A JP3108845A JP10884591A JPH04316612A JP H04316612 A JPH04316612 A JP H04316612A JP 3108845 A JP3108845 A JP 3108845A JP 10884591 A JP10884591 A JP 10884591A JP H04316612 A JPH04316612 A JP H04316612A
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pitch
spinning
fibers
fiber
melt
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JP3108845A
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Takashi Kojima
孝 小島
Ko Moto
耕 毛戸
Takahiro Kojima
隆宏 小島
Koichi Sugano
公一 菅野
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Mitsubishi Gas Chemical Co Inc
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Mitsubishi Gas Chemical Co Inc
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Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は高性能黒鉛繊維の製造法
に関する。さらに詳しくは、優れた引張強度および引張
弾性率を有するピッチ系黒鉛繊維の製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】高性能の炭素繊維は、一般に工業的にP
AN(ポリアクリロニトリル)を原料として製造されて
いる。しかしPAN系炭素繊維は難黒鉛化性であり、引
張弾性率が50tf/mm2を超えるような高弾性黒鉛
繊維を得ることは本質的に極めて困難であるという欠点
がある。近年ピッチを原料にした場合にも、PAN系の
ものを遙かに凌ぐ高弾性率を有する黒鉛繊維を比較的容
易に製造し得ることが見いだされ注目されている。
【0003】上記ピッチ系高性能黒鉛繊維の原料となる
紡糸用ピッチの調製法としては、特公昭59−3019
2号、特開昭54−160427号、特開昭57−11
9984号、特開昭58−18421号に記述された方
法などが知られているが、いずれの方法も煩雑なプロセ
スを経るために、得られるピッチが極めて高価になるの
みならず品質が安定しないという問題がある。
【0004】またナフタレンを塩化アルミニウムの存在
下重合することにより炭素繊維原料ピッチを調製する方
法も知られている(特開昭61−83317号、特開昭
61−83318号、特開昭61−83319号)。し
かしこれらの塩化アルミニウム触媒を用いる方法は、重
合して得られたピッチ中から塩化アルミニウム触媒を特
別な操作で除去することが必要であると共に、微量の塩
化アルミニウムまたはその誘導体が炭素繊維中に残存し
、炭素繊維の強度などの物性を著しく劣化させるという
問題がある。
【0005】このような問題点を解決するためにナフタ
レン、アントラセン、フェナントレン、アセナフテン、
アセナフチレン、ピレン等の縮合多環炭化水素またはこ
れを含有する物質を、フッ化水素、三フッ化ホウ素の存
在下重合すると、■メソフェーズ含有量が高く、■紡糸
時の熱安定性が高く、■不融化性が高く、■炭化収率が
高いことを特徴とする、高性能炭素繊維の原料として好
適なメソフェーズピッチを安価に安定して調製できるこ
とが報告されている(特開昭63−146920号、 
特開平1−139621号、 特開平1−254796
号)。
【0006】上記のいずれの方法によって得られたピッ
チも、メソフェーズピッチであるかまたは潜在的メソフ
ェーズピッチ、プリメソフェーズピッチ等と呼ばれるピ
ッチであり、ピッチの発達した芳香族平面分子が溶融紡
糸の際に繊維軸に平行な方向に配列する。この配向構造
はその後の酸化性雰囲気流通下で徐々に昇温して表面を
酸化する不融化処理の際にも維持され、さらに不活性雰
囲気中で加熱処理する炭素化黒鉛化処理の際の最高処理
温度に応じて発達するため、配向度の高い高引張弾性率
の黒鉛繊維が得られると考えられている。しかし、この
ピッチ分子の繊維軸方向への配向が過剰になると、黒鉛
繊維製造段階において繊維軸に沿ってクラックが発生し
、またクラックが発生しなくとも繊維内の粒界部に存在
するミクロボイドが巨大化することにより黒鉛繊維が極
めて脆くなるため引張強度が低下してしまい、引張強度
、引張弾性率が共に極めて高いという特性を有する高性
能黒鉛繊維を得ることが困難である。
【0007】これに対し、これまでにまず繊維の横断面
内のピッチ分子の配向構造を制御することにより炭素繊
維の物性を改善することが試みられた。すなわち上述の
クラックの発生や繊維の脆化は繊維横断面のマクロ構造
がいわゆるラジアル構造であることに起因するとの考え
から、ラジアル構造を回避するための種々の提案がなさ
れている。例えば特開昭59−76925号、特開昭5
9−168124号、特開昭61−167019号等で
は、紡糸条件、すなわちノズル口金孔内でのピッチの粘
度、ピッチの受ける剪断応力または剪断速度等を適正化
しており、特開昭59−168127号、特開昭60−
104528号等のように紡糸ノズルの形状を特定する
ことにより、ランダム構造ないしオニオン構造の炭素繊
維や黒鉛繊維を得ようとしている。また特開昭61−1
2919号、特開昭61−201021号、特開昭61
−258024号等は、紡糸ノズルの直前に充填材層を
設けるものであり、特開昭61−167022号、特開
昭62−177222号、特開昭63−75119号、
特開昭63−303119号、特開平2−6628号等
では紡糸ノズル上に静的または動的攪拌装置を設置する
ことにより、ランダム構造等の炭素繊維や黒鉛繊維を得
ようとしている。しかしこれらの方法により得られた非
ラジアル構造の黒鉛繊維はラジアル構造のものに比べて
必ずしも引張強度が高いとはいえず、また紡糸時のピッ
チ粘度が極めて低いために紡糸が不安定で糸切れが生じ
易かったり、ノズルの構造が複雑なためにノズルの製作
、保守点検が容易でないなどの理由で工業的な生産の際
に不利であるという問題点を有する。
【0008】また繊維軸に平行な方向へのピッチ分子の
配向度自体を制御してクラック発生や繊維の脆化を防止
し、炭素繊維の高強度化を図る試みもなされている。例
えば特開昭59−53717号、特開平1−28231
7号等ではドラフト比やノズル口金孔内でのピッチの粘
度を適正化することにより配向構造を制御しており、特
開昭62−104926号はピッチのドメイン径に基づ
いてノズル口金孔内でのピッチの粘度を適正化すること
により配向構造を制御している。また特開昭60−27
12号はノズル口金を出てからのピッチの粘度を適正化
することにより配向構造を制御している。しかしこれら
のいずれの方法においても充分満足できるものではなく
、これらの方法に従えば構造制御によるクラック発生の
抑制は可能であるかもしれないが、得られる黒鉛繊維の
引張強度、引張弾性率は必ずしも高い値を示さないとい
う問題点を有する。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】以上の如くピッチ系炭
素繊維について種々の改良が行われているが、その性能
は未だ十分でない。しかも上記の公知の方法では、高引
張弾性率を有するが引張強度が400kgf/mm2 
以下にとどまるものが殆どであり、引張弾性率のみなら
ず引張強度も極めて高いという特性を有する高性能黒鉛
繊維を安定して製造することが不可能である。本発明の
目的は、上記ピッチ系黒鉛繊維の従来技術の問題点を解
消し、引張弾性率のみならず引張強度も極めて高いとい
う特性を有する高性能黒鉛繊維を安定して製造する方法
を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者は上記の目的を
達成するために鋭意検討した結果、ピッチを溶融紡糸し
、不融化処理、炭素化黒鉛化処理することにより黒鉛繊
維を製造する方法において、原料ピッチとして縮合多環
炭化水素から得られる特定のメソフェーズピッチを用い
、かつ特定条件下で溶融紡糸と炭素化を行うことにより
、引張弾性率および引張強度が共に極めて高い黒鉛繊維
を安定して製造できることを見い出し、本発明の完成に
至った。
【0011】すなわち本発明は、フッ化水素、三フッ化
ホウ素の存在下、縮合多環炭化水素または、これを含有
する物質を重合させて得られたメソフェーズピッチを原
料として、溶融紡糸した後不融化処理、炭素化処理する
ことにより炭素繊維を製造する方法において、溶融紡糸
を下記の(1)式の条件を満足するドラフト比(Ve/
Vo)で行い、黒鉛化処理を1800℃以上の温度で行
うことを特徴とする炭素繊維の製造方法である。
【0012】   0.58(τD/L)−1.54 ≦Ve/Vo≦
  98(τD/L)−0.55   (1)ただし、 τ:溶融ピッチが紡糸ノズルキャピラリー壁面から受け
る剪断応力(kgf/cm2) D:紡糸ノズルキャピラリーの直径(mm)L:紡糸ノ
ズルキャピラリーの長さ(mm)Ve:  巻取速度(
m/min) Vo:  溶融ピッチのキャピラリー内での平均速度(
m/min) を表す。以下、本発明の内容について詳しく説明する。
【0013】本発明の方法で原料に用いられるメソフェ
ーズピッチは、縮合多環炭化水素またはこれを含有する
物質を重合させて得られたピッチである。すなわちこの
メソフェーズピッチは、特開昭63−146920号、
 特開平1−139621号、 特開平1−25479
6号に示される如く、ナフタレン、アントラセン、フェ
ナントレン、アセナフテン、アセナフチレン、ピレン等
並びにこれらの骨格を有する縮合多環炭化水素、及びこ
れらの混合物ないしこれらを含有する物質から合成され
たピッチである。
【0014】またこのメソフェーズピッチは、縮合多環
炭化水素またはこれを含有する物質をフッ化水素、三フ
ッ化ホウ素の存在下で重合させて得られたピッチである
。この重合は、ピッチ原料1モルに対し、重合触媒とし
てフッ化水素0.1〜20モル、三フッ化ホウ素0.0
5〜1.0モルを使用し、180〜400℃、5〜10
0気圧の条件で5〜300分反応させることにより行わ
れる。
【0015】この合成方法によれば、重合条件を適切に
組み合わせることにより、0〜100%の任意の光学的
異方性相含有率を有し、180〜400℃の任意の軟化
点を有するピッチを調製することができるが、本発明で
用いるピッチは光学的異方性相含有率が90%以上、特
に実質100%であることが好ましく、軟化点が205
〜255℃であることが好ましい。光学的異方性相含有
率が低い場合、溶融状態で異方性相と等方性相が分離し
、紡糸操作を妨害するのみならず、得られる炭素繊維の
引張強度、弾性率などが低くなる。また軟化点が低いと
ピッチ中の低分子量成分が紡糸時に揮発するため、ある
いは軟化点が高いと高温での紡糸が必要となり、ピッチ
の熱分解、熱縮合反応が起こり易くなるために安定な紡
糸を長時間継続することが困難である。
【0016】なお本明細書において「光学的異方性相」
とは、常温近くで固化したピッチ塊の断面を研磨し、反
射型光学顕微鏡で直交ニコル下で観察したとき、試料ま
たは直交ニコルを回転して光輝が認められ、すなわち光
学的異方性である部分を意味し、「光学的異方性相含有
率」とは、顕微鏡で観察した際のこの光学的異方性相の
面積分率を意味する。「メソフェーズピッチ」とはこの
ような光学的異方性相を含むピッチのことである。また
「ピッチの軟化点」は、高化式フローテスターにより測
定されたピッチの固−液転移温度を指す。
【0017】このようにして得られたメソフェーズピッ
チは、炭素に対する水素の原子比が0.5〜1.0であ
る。炭素に対する水素の原子比がこのように高いために
不融化時の酸素との反応性が高く、不融化処理を短時間
で終了することができる。そのためこのピッチを用いる
ことにより、黒鉛繊維製造工程の中でコストアップの要
因とされてきた不融化工程を大幅に短縮化できるという
特徴を持つ。
【0018】発明者等はかかる特徴を有したメソフェー
ズピッチを用いて溶融紡糸して炭素繊維を製造する方法
を検討した結果、このメソフェースピッチを前述の(1
)式で規定されるドラフト比(キャピラリー内速度Vo
と巻取速度Veの比率)で紡糸した後、不融化し、18
00℃以上の高温で黒鉛化することにより、引張弾性率
のみならず引張強度も極めて高いという特性を有する高
性能黒鉛繊維を得ることができることを見い出した。
【0019】(1)式によるドラフト比は、横軸にτD
/Lの対数を、縦軸にドラフト比の対数を採ることによ
り図1に示す2本の直線に挟まれる範囲に示される。こ
の範囲よりドラフト比が小さいと、引張弾性率は高いも
のの破断伸度が小さくなりすぎて高引張強度は得られな
い。逆にこの範囲よりドラフト比が大きいと、破断伸度
は大きいものの引張弾性率が低くなり高引張強度が得ら
れない。
【0020】ここでτD/Lは次の(2)式で定義され
、使用するノズルの形状やピッチ粘度、ピッチ吐出量の
組合せにより変化させることができる。     τD/L=(PD2 )/(4L2 )   
         =5.44×10−4(Qη)/(
πD2L)            =1.36×10
−8(Voη)/L            =8.1
6×10−10 η/t              
          (2)ただし、 P:溶融ピッチ吐出圧力(kgf/cm2)D:紡糸ノ
ズルキャピラリーの直径(mm)L:紡糸ノズルキャピ
ラリーの長さ(mm)Vo:溶融ピッチのキャピラリー
内での平均速度(m/min) Q:溶融ピッチ吐出速度(ml/min)η:溶融ピッ
チの粘度(poise) t:溶融ピッチのキャピラリー内平均滞留時間(sec
)である。
【0021】なお、本発明の方法における溶融紡糸は、
押し出し紡糸、吹き出し紡糸、遠心紡糸等のいずれを用
いてもよい。また使用する紡糸ノズルの形状は、一般の
溶融紡糸に用いられるノズルと同じものでよく特に制限
はない。
【0022】このような条件下で紡糸されたピッチ繊維
は常法により不融化処理された後、不活性雰囲気下での
炭素化を経て1800℃以上の高温で黒鉛化される。黒
鉛化温度が1800℃より低い場合は黒鉛結晶の成長が
不十分であるために本発明で目的とする高い引張弾性率
が得られない。
【0023】本発明で調製された黒鉛繊維が極めて高い
引張強度、引張弾性率を示すという作用機構の詳細は明
確ではないが、以下のように推察される。まず原料ピッ
チとして特殊な分子構造、分子量分布を持つメソフェー
ズピッチを用い、上記の条件下で溶融紡糸を行うことに
より、ピッチ分子が繊維軸方向に好適に配向したピッチ
繊維が得られる。このピッチ繊維においては、繊維横断
面内でもピッチ分子が好適に配向、積層している。この
ようなピッチ繊維を不融化後、さらに炭素化を経て特定
温度以上の高温で黒鉛化することにより黒鉛結晶を充分
に成長させれば、結晶が繊維方向に高度に配向している
ため極めて高い引張弾性率を示し、加えて繊維内の粒界
部に存在するミクロボイドが比較的微細に分散している
ために極めて高い引張強度を有する黒鉛繊維が得られる
と考えられる。
【0024】
【実施例】次に実施例により本発明をさらに具体的に説
明する。もちろん本発明はこれらの実施例により制限さ
れるものではない。
【0025】実施例1 ナフタレン1モル、フッ化水素0.5モル、三フッ化ホ
ウ素0.2モルを500ミリリットルの耐酸オートクレ
ーブに仕込み、反応圧力を25kgf/cm2に保ちな
がら260℃に昇温後、2時間反応した。その後オート
クレーブの放出弁を開け、常圧において実質的に全量の
フッ化水素、三フッ化ホウ素をガス状で回収した後、窒
素を吹き込み、低沸点成分を除去したピッチを得た。得
られたピッチの収率は原料ナフタレンに対する重量比で
76%であった。またこのピッチの光学的異方性相含有
率は100%であり、軟化点は231℃、H/C原子比
は0.67であった。
【0026】このメソフェーズピッチを、D=0.10
mmφ、L/D=5の単孔ノズルを有する溶融紡糸器に
入れ320℃に昇温後、40kgf/cm2の圧力をか
けて押し出し、310m/minで巻取ることにより直
径d=12×10−3mmφのピッチ繊維を得た。この
時の剪断応力はτ=2.00kgf/cm2であり、ド
ラフト比はVe/Vo=69であるので、この紡糸条件
は上述の好適範囲に含まれる。このようにして得られた
ピッチ繊維を空気中で5℃/minの昇温速度で280
℃まで昇温することにより不融化した後、アルゴン雰囲
気下30℃/minの昇温速度で2000℃まで昇温す
ることにより黒鉛繊維を得た。 得られた炭素繊維の引張強度は500kgf/mm2、
引張弾性率は83tf/mm2 、破断伸度は0.6%
であり、高強度、高弾性率であった。
【0027】比較例1 実施例1で用いたものと同じ原料ピッチ、紡糸ノズル、
紡糸器を使用し、320℃に昇温後、4kgf/cm2
の圧力をかけて押し出し、30m/minで巻取ること
により直径d=12×10−3mmφのピッチ繊維を得
た。このときのドラフト比はVe/Vo=69であり、
実施例1と同じであるが剪断応力がτ=0.20kgf
/cm2と小さいために、好適範囲から外れている。こ
のピッチ繊維から実施例1と同じ方法により黒鉛繊維を
得た。得られた黒鉛繊維の引張強度は362kgf/m
m2、引張弾性率は73tf/mm2 、破断伸度は0
.5%であった。
【0028】実施例2 実施例1で用いたものと同じ原料ピッチを、D=0.2
5mmφ、L/D=4の単孔ノズルを有する紡糸器に入
れ、320℃に昇温後、1.6kgf/cm2の圧力を
かけて押し出し、120m/minで巻取ることにより
直径d=12×10−3mmφのピッチ繊維を得た。こ
の時の剪断応力はτ=0.10kgf/cm2であり、
ドラフト比はVe/Vo=434であるので、この紡糸
条件は前述の好適範囲に含まれる。このようにして得ら
れたピッチ繊維を空気中で5℃/minの昇温速度で2
80℃まで昇温することにより不融化した後、アルゴン
雰囲気下30℃/minの昇温速度で1800℃まで昇
温することにより炭素繊維を得た。得られた炭素繊維の
引張強度は435kgf/mm2、引張弾性率は55t
f/mm2 、破断伸度は0.8%であり、高強度、高
弾性率であった。
【0029】比較例2 実施例2で用いたものと同じ原料ピッチ、紡糸ノズル、
紡糸器を使用し、313℃に昇温後、9.0kgf/c
m2の圧力をかけて押し出し、360m/minで巻取
ることにより直径d=12×10−3mmφのピッチ繊
維を得た。このときのドラフト比はVe/Vo=434
であり、実施例2と同じであるが剪断応力がτ=0.5
6kgf/cm2と小さいために、好適範囲から外れて
いる。このピッチ繊維から実施例1と同じ方法により黒
鉛繊維を得た。得られた黒鉛繊維の引張強度は360k
gf/mm2、引張弾性率は39tf/mm2 、破断
伸度は0.9%であった。
【0030】実施例3〜6、比較例3〜7ナフタレン6
0モル、フッ化水素30モル、三フッ化ホウ素  9モ
ルを43リットルの耐酸オートクレーブに仕込み、反応
圧力を25kgf/cm2に保ちながら260℃に昇温
後、2時間反応した。その後オートクレーブの放出弁を
開け、常圧において実質的に全量のフッ化水素、三フッ
化ホウ素をガス状で回収した後、窒素を吹き込み、低沸
点成分を除去したピッチを得た。得られたピッチの収率
は原料ナフタレンに対する重量比で70%であった。ま
たこのピッチの光学的異方性相含有率は100%であり
、軟化点は237℃、H/C原子比は0.66であった
【0031】このメソフェーズピッチを、単孔ノズルを
有する紡糸器に入れ、表1に示す紡糸条件で溶融紡糸し
、直径d=12×10−3mmφのピッチ繊維を得た。 得られたピッチ繊維を空気中で5℃/minの昇温速度
で280℃まで昇温することにより不融化した後、アル
ゴン雰囲気下30℃/minの昇温速度で2000℃ま
で昇温することにより黒鉛繊維を得た。得られた黒鉛繊
維の物性を表1に示す。表1の実施例3〜6は紡糸条件
が前述の好適範囲に入っており、得られた炭素繊維は高
引張強度、高弾性率を示すが、比較例3〜7の場合は紡
糸条件が好適範囲から外れているために黒鉛繊維の物性
が低い。
【0032】
【表1】
【0033】
【発明の効果】本発明の炭素繊維製造法は、ナフタレン
、アントラセン、フェナントレン等、及びこれらの縮合
多環炭化水素を含有する多様な原料のピッチを用いるこ
とができる。しかも本発明に用いるメソフェースピッチ
は酸素との反応性が高いため不融化工程を著しく短縮化
できる。さらにドラフト比を特定の範囲で紡糸し、18
00℃以上の高温で黒鉛化を行うことにより、引張強度
、引張弾性率が共に極めて高い高性能黒鉛繊維が安定し
て得られる。このように本発明の方法は、多様な原料の
ピッチより高性能黒鉛繊維を短時間で容易に製造できる
経済的に優れた方法である。
【0034】
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明における紡糸時のドラフト比(Ve /
Vo )の好適な範囲を斜線で示したものである。 τ:溶融ピッチが紡糸ノズルキャピラリー壁面から受け
る剪断応力(kgf/cm2) D:紡糸ノズルキャピラリーの直径(mm)L:紡糸ノ
ズルキャピラリーの長さの比(mm)Ve:  巻取速
度(m/min) Vo:  溶融ピッチのキャピラリー内での平均速度(
m/min)

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】フッ化水素、三フッ化ホウ素の存在下、縮
    合多環炭化水素または、これを含有する物質を重合させ
    て得られたメソフェーズピッチを原料として、溶融紡糸
    した後不融化処理、炭素化処理および黒鉛化処理するこ
    とにより黒鉛繊維を製造する方法において、溶融紡糸を
    下記の条件を満足するドラフト比(Ve/Vo)で行い
    、黒鉛化処理を1800℃以上の温度で行うことを特徴
    とする黒鉛繊維の製造方法、   0.58(τD/L)−1.54 ≦Ve/Vo≦
     98(τD/L)−0.55 ただし、 τ:溶融ピッチが紡糸ノズルキャピラリー壁面から受け
    る剪断応力(kgf/cm2) D:紡糸ノズルキャピラリーの直径(mm)L:紡糸ノ
    ズルキャピラリーの長さ(mm)Ve:  巻取速度(
    m/min) Vo:  溶融ピッチのキャピラリー内での平均速度(
    m/min) を表す。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN109056119A (zh) * 2018-06-26 2018-12-21 武汉科技大学 一种通过高温加张制备性能提升的中间相沥青基石墨纤维的方法

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CN109056119A (zh) * 2018-06-26 2018-12-21 武汉科技大学 一种通过高温加张制备性能提升的中间相沥青基石墨纤维的方法
CN109056119B (zh) * 2018-06-26 2020-12-08 武汉科技大学 一种通过高温加张制备性能提升的中间相沥青基石墨纤维的方法

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