JPH04315910A - 超音波トランスジューサ及び超音波センサー並びにホール壁の膜厚測定方法及びその装置 - Google Patents

超音波トランスジューサ及び超音波センサー並びにホール壁の膜厚測定方法及びその装置

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JPH04315910A
JPH04315910A JP3108211A JP10821191A JPH04315910A JP H04315910 A JPH04315910 A JP H04315910A JP 3108211 A JP3108211 A JP 3108211A JP 10821191 A JP10821191 A JP 10821191A JP H04315910 A JPH04315910 A JP H04315910A
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hole
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教尊 中曽
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雅雄 斎藤
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Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、超音波探査に用いられ
る超音波トランスジューサに関する。更に、この超音波
トランスジューサを用いて、断面環状の壁面の超音波探
査、例えばプリント配線基盤の電子部品装着用のスルー
ホールの内周壁面上に形成されたコーティング層等の膜
厚測定や欠陥検出のために使用される超音波センサーに
関する。また、この超音波センサーを用いたホール壁の
膜厚測定方法及びその装置が本発明の技術分野に含まれ
る。
【0002】
【従来の技術】基盤の表面上に形成された膜の厚さを超
音波により測定する一つの方法として、特開昭61−2
0803号公報に開示された方法が知られている。この
方法は、基盤上の膜に対して、基盤、膜、超音波伝播媒
体からなる組合せ体に特有の入射角θにて超音波を入射
した場合、超音波の周波数と膜厚との積が上記組合せ体
に特有の値Cとなったときに超音波の反射率が極めて小
さくなるという現象に基づいている。この方法では、超
音波センサーとしての一対の超音波トランスジューサが
、基盤の上方に配置される。この一対のトランスジュー
サのうちの一方から超音波伝播媒体を通じて基盤に対し
て斜めに超音波を入射させ、その反射波を超音波伝播媒
体を通じて他方で受信し、電気信号に変換する。次に、
その電気信号の各周波数成分の関数として反射波の強度
分布を示したスペクトラム強度分布を形成し、この反射
波の強度が極小となる周波数fc を検出する。そして
周波数fc と上記値Cとから、膜厚dが、d=C/f
c として算出される。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】この方法は、膜厚を測
定すべき膜が基盤の表面上に形成されていること、即ち
膜が基盤の平面方向に対してほぼ平行に形成されている
ことを想定したものであり、基盤を貫く微小な径のスル
ーホールの内周壁に形成された膜の膜厚測定(以下、ホ
ール壁の膜厚測定と称す)には適用できない。超音波顕
微鏡に用いられる超音波センサーは、基盤の上方に配置
される形式であり、ホール内に挿通可能な構造の超音波
トランスジューサまたは超音波センサーは特に知られて
いない。
【0004】また、超音波を用いないホール壁の膜厚測
定としては、膜の電導率の測定により膜厚を求めること
が知られている。但し、この方法では、膜の電導率を測
定するために、膜の貫通された基盤は不導体である必要
がある。更に、被検体としての基盤に、一つよりも多く
のホールが存在する場合には適用できない。従って測定
対象に制約を受ける。
【0005】このように従来では、ホール壁の膜厚を物
理的に測定する方法は特に知られていないため、一般に
はホールの径方向に沿って基盤を切断し、その断面を顕
微鏡で観察して膜厚を測定する破壊試験が採られている
。しかしながら、これは製品を損う上に時間も要するの
で、工業的には好ましい方法ではない。
【0006】本発明は係る状況に鑑みてなされたもので
あり、その目的とするところは、円筒形状の空間に挿通
可能であり、その空間の側周面の壁に対して超音波を入
射させると共に、その反射波を受信可能な超音波トラン
スジューサ及び超音波センサーを提供することである。 また、本発明の他の目的は、この超音波センサーを用い
ることにより、ホール壁の膜厚を測定可能なホール壁の
膜厚測定方法及び装置を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明の請求項1記載の超音波トランスジューサは
、絶縁性材料からなる基体を備え、この基体の先端部に
おける側周面の少なくとも一部には、この基体の外周側
から先端側に向かって所定の鋭角をなすように断面テー
パー状の面が形成され、このテーパー面の外表面には薄
膜状の第1の電極が形成され、この第1の電極の上表面
には薄膜状の圧電体が形成され、この圧電体の上表面に
は、第1の電極に対して電気的に絶縁された薄膜状の第
2の電極が形成されてなり、第1と第2との電極の間に
電圧が印加された場合には、この電圧を機械的振動に変
換して上記基体のテーパー面の法線方向へ超音波を発信
し、上記テーパー面に超音波が受信された場合には、こ
の受信波を電気信号に変換することを特徴とする。
【0008】本発明の請求項2記載の超音波トランスジ
ューサは、導電性材料からなる第1の電極としての基体
を備え、この基体の先端部における側周面の少なくとも
一部には、この基体の外周側から先端側に向かって所定
の鋭角をなすように断面テーパー状の面が形成され、こ
のテーパー面の外表面には薄膜状の圧電体が形成され、
この圧電体の上表面には、上記基体に対して電気的に絶
縁された薄膜状の第2の電極が形成されてなり、第1の
電極としての上記基体と第2との電極の間に電圧が印加
された場合には、この電圧を機械的振動に変換して上記
基体のテーパー面の法線方向へ超音波を発信し、上記テ
ーパー面に超音波が受信された場合には、この受信波を
電気信号に変換することを特徴とする。
【0009】本発明の請求項3記載の超音波トランスジ
ューサは、絶縁性材料からなる基体を備え、この基体の
先端部における側周面の少なくとも一部には、この基体
の外周側から先端側に向かって所定の曲率をなすように
断面が円弧状の凹面が形成され、この凹面の外表面には
薄膜状の第1の電極が形成され、この第1の電極の上表
面には薄膜状の圧電体が形成され、この圧電体の上表面
には、薄膜状の第2の電極が形成されてなり、第1と第
2との電極の間に電圧が印加された場合には、この電圧
を機械的振動に変換して上記円弧状凹面の曲率中心方向
へ収束波としての超音波を発信し、上記円弧状凹面に超
音波が受信された場合には、この受信波を電気信号に変
換することを特徴とする。
【0010】本発明の請求項4記載の超音波トランスジ
ューサは、導電性材料からなる第1の電極としての基体
を備え、この基体の先端部における側周面の少なくとも
一部には、この基体の外周側から先端側に向かって所定
の曲率をなすように断面が円弧状の凹面が形成され、こ
の凹面の外表面には薄膜状の圧電体が形成され、この圧
電体の上表面には、薄膜状の第2の電極が形成されてな
り、第1の電極としての上記基体と第2との電極の間に
電圧が印加された場合には、この電圧を機械的振動に変
換して上記円弧状凹面の曲率中心方向へ収束波としての
超音波を発信し、上記円弧状凹面に超音波が受信された
場合には、この受信波を電気信号に変換することを特徴
とする。
【0011】また、本発明の請求項5記載の超音波セン
サーは、円筒形状の空間の側周面を包囲するように形成
された断面環状の壁面と上記空間内に満たされた超音波
伝播媒体とを有する被検体に対し、上記壁面の超音波探
査に用いられるものであって、第1と第2の超音波トラ
ンスジューサを備え、第1の超音波トランスジューサは
、請求項1または2に記載の超音波トランスジューサで
あり、第2の超音波トランスジューサは、請求項1また
は2に記載の超音波トランスジューサであり、これら第
1と第2の超音波トランスジューサが、その各々の上記
基体の先端側が互いに対向し、且つ各々の上記テーパー
面が互いに対向する配置関係で配置されてなり、上記超
音波探査に際しては、上記円筒形状空間と同軸に上記円
筒形状空間に挿通されると共に、第1と第2の超音波ト
ランスジューサのうち、少なくとも何れか一方の上記テ
ーパー面の法線方向へ発信された超音波を、上記伝播媒
体を通して上記壁面に対して上記所定の鋭角で定まる入
射角にて入射させ、この入射波に対する上記壁面からの
反射波を上記伝播媒体を通して上記所定の鋭角で定まる
受信角にて他方の超音波トランスジューサの上記テーパ
ー面で受信することを特徴とする。
【0012】この場合、本発明の一実施例によれば、第
1と第2の超音波トランスジューサが、上記配置関係で
一体的に形成されている。
【0013】本発明の請求項7記載の超音波センサーは
、円筒形状の空間の側周面を包囲するように形成された
断面環状の壁面と上記空間内に満たされた超音波伝播媒
体とを有する被検体に対し、上記壁面の超音波探査に用
いられるものであって、第1と第2の超音波トランスジ
ューサを備え、第1の超音波トランスジューサは、請求
項1または2に記載の超音波トランスジューサであり、
第2の超音波トランスジューサは、請求項3または4に
記載の超音波トランスジューサであり、これら第1と第
2の超音波トランスジューサが、その各々の上記基体の
先端側が互いに対向し、第1の超音波トランスジューサ
の上記テーパー面と第2の超音波トランスジューサの上
記円弧状凹面とが互いに対向する配置関係で配置されて
なり、上記超音波探査に際しては、上記円筒形状空間と
同軸に上記円筒形状空間に挿通されると共に、第1の超
音波トランスジューサの上記テーパー面の法線方向へ超
音波が発信された場合には、この超音波を上記伝播媒体
を通して上記壁面に対して上記所定の鋭角で定まる入射
角にて入射させ、この入射波に対する上記壁面からの反
射波を上記伝播媒体を通して第2の超音波トランスジュ
ーサの上記円弧状凹面で受信し、第2の超音波トランス
ジューサの上記円弧状凹面の曲率中心方向へ上記収束波
が発信された場合には、この超音波を上記伝播媒体を通
して上記壁面に入射させ、この入射波に対する上記壁面
からの反射波を上記伝播媒体を通して上記所定の鋭角で
定まる受信角にて第1の超音波トランスジューサの上記
テーパー面で受信することを特徴とする。
【0014】この場合、第1と第2の超音波トランスジ
ューサが、上記配置関係で一体的に形成されていてもよ
い。
【0015】また、本発明の請求項9記載のホール壁の
膜厚測定方法は、円筒形状のホールが貫通された基盤と
、上記ホールの内周面上に形成された膜と、上記ホール
内に満たされた超音波伝播媒体とを有する被検体に対し
、請求項5乃至8の何れか1項に記載の超音波センサー
を用いて上記膜の膜厚を測定する方法であって、上記超
音波センサーが、上記ホール状空間と同軸に上記ホール
状空間に挿通された状態で、この超音波センサーの第1
と第2の超音波トランスジューサのうちの少なくとも一
方から、上記伝播媒体を通して上記ホール内周面上の膜
に対して斜めに超音波を入射させる行程と、上記入射超
音波に対する反射超音波を他方の超音波トランスジュー
サにより受信して電気信号に変換する行程と、この電気
信号に基づいて反射超音波の強度分布を上記電気信号の
各周波数成分の関数として示したスペクトラム強度分布
を形成する行程と、上記スペクトラム強度分布から上記
反射超音波の強度の極小部の周波数を検出する行程と、
この検出された周波数に基づき、予め与えられた反射超
音波のスペクトラム強度分布と膜厚との関係に従って、
上記ホール壁面の膜の膜厚を算出する行程とを備えるこ
とを特徴とする。
【0016】この膜厚測定方法を実施するための本発明
のホール壁の膜厚測定装置は、請求項5乃至8の何れか
1項に記載の超音波センサーと、この超音波センサーの
第1と第2のトランスジューサのうちの少なくとも一方
に超音波を発信させるように電圧を印加する電圧印加手
段と、他方の超音波トランスジューサにより、上記ホー
ルの壁面に形成された膜からの反射超音波を受信して変
換して得られた電気信号に基づいて、反射超音波の強度
分布を上記電気信号の各周波数成分の関数として示した
スペクトラム強度分布を形成するスペクトラム形成手段
と、上記スペクトラム強度分布から上記反射超音波の強
度の極小部の周波数を検出する周波数検出手段と、上記
検出された周波数から、予め与えられた反射超音波のス
ペクトラムと膜厚との関係に従って、上記ホールの壁面
に形成された膜の膜厚を算出する演算手段とを備えるこ
とを特徴とする。
【0017】本発明の請求項11記載のホール壁の膜厚
測定方法は、円筒形状のホールが貫通された基盤と、上
記ホールの内周面上に形成された膜と、上記ホール内に
満たされた超音波伝播媒体とを有する被検体に対し、請
求項5乃至8の何れか1項に記載の超音波センサーを用
いて上記膜の膜厚を測定する方法であって、上記超音波
センサーが、上記ホール状空間と同軸に上記ホール状空
間に挿通された状態で、この超音波センサーの第1と第
2の超音波トランスジューサのうちの少なくとも一方か
ら、上記伝播媒体を通して上記ホール内周面上の膜に対
して斜めに超音波を入射させる行程と、上記入射超音波
に対する反射超音波を他方の超音波トランスジューサに
より受信して電気信号に変換する行程と、この電気信号
に基づいて、反射超音波の位相分布を上記電気信号の各
周波数成分についての関数として示したスペクトラム位
相分布を形成する行程と、上記規格化されたスペクトラ
ム位相分布から位相が変化を起こす周波数を検出する行
程と、この検出された周波数に基づき、予め与えられた
周波数と位相と膜厚との関係に従って、上記ホールの壁
面の膜の膜厚を算出する行程とを備えることを特徴とす
る。
【0018】この膜厚測定方法を実施するための本発明
のホール壁の膜厚測定装置は、請求項5乃至8の何れか
1項に記載の超音波センサーと、この超音波センサーの
第1と第2の超音波トランスジューサの何れか一方に超
音波を発信させるように電圧を印加する電圧印加手段と
、他方の超音波トランスジューサにより、上記ホールの
壁面に形成された膜からの反射超音波を受信して変換し
て得られた電気信号に基づいて、反射超音波の位相分布
を上記電気信号の各周波数成分の関数として示したスペ
クトラム位相分布を形成するスペクトラム形成手段と、
上記スペクトラム強度分布から位相の変化を起こす周波
数を検出する周波数検出手段と、上記検出された周波数
から、予め与えられた位相分布と膜厚との関係に従って
、上記ホールの壁面に形成された膜の膜厚を算出する演
算手段とを備えることを特徴とする。
【0019】また、本発明の請求項13記載のホール壁
の膜厚測定装置は、円筒形状のホールが貫通された基盤
と、上記ホールの内周の壁面上に形成された膜とを有す
る被検体に対し、上記膜の膜厚を測定する装置であって
、請求項5乃至8の何れか1項に記載の超音波センサー
と、この超音波センサーの第1と第2の超音波トランス
ジューサの何れか一方に超音波を発信させるように電圧
を印加する電圧印加手段と、他方の超音波トランスジュ
ーサにより、上記ホールの壁面に形成された膜からの反
射超音波を受信して変換して得られた電気信号に基づい
て、上記電気信号の各周波数成分の関数として反射超音
波の強度分布を示したスペクトラム強度分布と上記電気
信号の各周波数成分の関数として反射超音波の位相分布
を示したスペクトラム位相分布とを形成するスペクトラ
ム形成手段と、上記スペクトラム強度分布から強度の極
小部の周波数fc を検出すると共に、上記スペクトラ
ム位相分布から位相の変化を起こす周波数fr を検出
する周波数検出手段と、上記周波数fc と周波数fr
 のうちの少なくとも一方を選択し、周波数fc につ
いては、予め与えられたスペクトラム強度分布と膜厚と
の関係に従って、周波数fr については、予め与えら
れたスペクトラム位相分布と膜厚との関係に従って、上
記膜の膜厚を算出する演算手段とを備えることを特徴と
する。
【0020】
【作用】請求項1または2記載の超音波トランスジュー
サによれば、基体の上部における側周面の少なくとも一
部に断面テーパ状の面を形成し、このテーパ面を超音波
の発信・受信面としている。このような構造では、請求
項5記載の超音波センサーのように、一対の超音波トラ
ンスジューサの一方を発信側、他方を受信側として、各
々のテーパ面側で対向するように円筒形状の空間に挿通
することができ、その円筒形状空間の側周壁に対して斜
めに超音波を入射及び反射させることができる。
【0021】請求項3または4記載の超音波トランスジ
ューサによれば、上記テーパ面に代えて、断面円弧状の
凹面を超音波発信・受信面としている。このような構造
のトランスジューサは、請求項1または2記載の超音波
トランスジューサと組み合わせることにより、請求項7
記載の超音波センサーのように、円筒形状空間の側周壁
に対して斜めに超音波を入射及び反射させることができ
る。この場合、凹面を有するトランスジューサを発信側
として用いると、凹面がレンズ作用をなすことにより、
超音波が収束されて微小な焦点を結ぶ。従って、テーパ
面から発信される超音波が平面波であり、円筒形状空間
の側周壁の比較的に広い領域で入射・反射されるのに対
し、凹面から発信される超音波は側周壁の或る微小な領
域へ収束させることができる。例えば、上記の凹面を基
体の全周に亘って形成し、超音波を基体の全周方向へ発
信するようにすると、円筒形状空間の側周壁内周の或る
円周線上に超音波を収束させることができる。また、凹
面を有するトランスジューサを受信側として用いると、
上記円周線上からの反射波を高効率で受信できる。
【0022】請求項1及び3記載の超音波トランスジュ
ーサでは、絶縁性基体上に第1の電極、圧電体、第2の
電極が順に形成されているが、請求項2及び4記載の超
音波トランスジューサでは、基体が導電体からなること
により、基体が第1の電極を兼ねることになる。
【0023】上記のような各超音波センサーをホールに
挿通し、ホール壁に超音波を入射させる場合の入射角は
、テーパ面の鋭角または凹面の曲率で定まる。従って、
各超音波センサーは、被検体の基盤と膜と超音波伝播媒
体との弾性により定まる特定の入射角に設定して形成す
ることができる。この特定の入射角でホール壁に超音波
を入射させると、ホール壁表面に弾性表面波が励起され
る。この弾性表面波はホール壁表面方向に伝播されるた
め、入射波に対する反射波を測定すると、強度の減少や
位相の変化が起きる。この現象に基づき、本発明のホー
ル壁の膜厚測定方法及びその装置では、次のようにホー
ル壁の膜厚測定を可能としている。
【0024】本発明のホール壁の膜厚測定方法及びその
装置では、上記の超音波センサーをホールに挿通するこ
とにより、ホール壁の膜からの反射波の電気信号を得て
いる。そして、この反射波の電気信号に基づいて、反射
波のスペクトラム強度分布またはスペクトラム位相分布
を求めている。ここでスペクトラム強度分布上の反射強
度が極小となる周波数、またはスペクトラム位相分布上
における位相の変化を起こす周波数は、膜厚に関係して
いる。従って、これら周波数を検出することにより、反
射超音波のスペクトラム強度分布と膜厚との関係、また
はスペクトラム位相分布と膜厚との関係に従って、ホー
ルの壁面に形成された膜の膜厚が算出される。
【0025】
【実施例】以下、添付図面を参照して本発明の実施例に
ついて説明する。
【0026】図1は本発明の超音波トランスジューサを
示す。この超音波トランスジューサ1は、発信側と受信
側との一対から超音波センサーを構成するが、その一対
の各々は基本的に同一の構造であるため、図1にはトラ
ンスジューサ1を一体のみ示す。
【0027】トランスジューサ1の本体をなす絶縁性基
体12は、全体的に概ね円筒形状であるが、その先端部
12aは円錐形状をなしている。この基体12は、絶縁
材料、例えば軟質プラスチック等から形成され、その寸
法は一例として直径が1.9mm、全高が30mmであ
る。また、円錐形状部(先端部)12aの母線と高さ軸
線とがなす角度θは、トランスジューサ1の発信する超
音波の被検体に対する入射角に等しい。この角度θは、
被検体の基盤と膜と超音波伝播媒体との弾性により定ま
る特定の入射角に設定される。この円錐形状部12aの
側面には、薄膜状の下部電極14が形成されている。こ
の下部電極14の上表面には、薄膜状の圧電体16が形
成され、更に圧電体16の上表面には、薄膜状の上部電
極18が形成されている。ここで下部及び上部電極14
,18は、例えば金フィルムからなり、その厚さは50
00オングストローム以下であり、その幅は下部電極1
4が1.0mm、上部電極18が0.7mmである。 また、圧電体16は例えば酸化亜鉛フィルムであり、そ
の厚さは20μm、その幅は0.8mmである。これら
下部電極14、圧電体16及び上部電極18は、円錐形
状部12aの側面に順次に真空蒸着或いはスパッタリン
グすることにより形成できる。更に、下部及び上部電極
14,18の下端には、リード線14a,18aが基体
12の基部へ向かって延出されている。これらリード線
14a,18aは、対応する電極14,18と一体的に
成形できる。また、トランスジューサ1の外表面全体は
、リード線14a,18aの入力端部を除いて、例えば
有機材からなる絶縁性保護膜10で被覆することが好ま
しい。
【0028】このようなトランスジューサ1の超音波の
発信・受信面は、下部電極14、圧電体16、上部電極
18が順次に形成された円錐形状部12aの側面であり
、その発信及び受信方向は、円錐形状部12aの全周(
360°方向)に亘る。
【0029】図2は本発明のホール壁の膜厚測定装置を
示す。この膜厚測定装置210で使用されている本発明
の第1の超音波センサー110は、二体のトランスジュ
ーサ1を円錐形状部12a側で対向するように配置して
なるが、説明の便宜上、発信側のトランスジューサを符
号1a、受信側のトランスジューサを符号1bで示す。 また、これらトランスジューサ1a,1bは図2におい
ては模式的に描かれている。
【0030】被検体11は、例えば42合金からなる基
盤13に円筒形状のスルーホール15が貫通され、この
スルーホール15の内周壁に金の薄膜17が形成されて
なる。ここでスルーホール15内には、超音波伝播媒体
としての水Wが満たされている。
【0031】超音波トランスジューサ1a,1bは、各
々の円錐形状部12aがスルーホール15内に挿通され
ている。この状態では、超音波トランスジューサ1a,
1bはスルーホール15とほぼ同軸であり、その円錐形
状部12aの側面は水Wに接触している。
【0032】発信側トランスジューサ1aには、高周波
発振器(電圧印加手段)40が接続されている。この高
周波発振器40は、例えばインパルス信号源或いはバー
スト信号源であり、高周波パルス電圧を発振して発信側
トランスジューサ1aの下部電極14と上部電極18(
共に図2には図示しない)との間に印加する。これによ
り、発信側トランスジューサ1aは円錐形状部12aの
側面の法線方向へ超音波を発信する。この超音波は、円
錐形状部12aの縦断面でみると平面波と見做せる。 更に、この超音波は、高周波発振器40がインパルス信
号源の場合には広帯域インパルス波であり、高周波発振
器40がバースト信号源の場合には特定周波数のバース
ト波である。このような超音波は水Wを介してスルーホ
ール15の内周壁の薄膜17に入射される。
【0033】一方、受信側トランスジューサ1bは、発
信側トランスジューサ1aから発信されてスルーホール
15の薄膜17で反射した超音波を反射角θで受信し、
この受信波を電気信号に変換する。
【0034】ここでトランスジューサ1a,1bの円錐
形状部12aの縦断面で見ると、図3に示すように、ト
ランスジューサ1a,1bの超音波の発信・受信面は、
基体12の外周側から先端側へ向かって鋭角をなすテー
パー面である。このテーパー面から発信される超音波の
発信方向及び薄膜17からの反射波の受信方向は、テー
パー面の法線方向である。従って、超音波センサー11
0とホール15の壁面との間で定義される超音波の入射
角及び検出角は、テーパー面の鋭角、換言すれば円錐形
状部の上記角度θで定まる。
【0035】受信側トランスジューサ1bには、増幅器
42、A/D変換器44、波形検出器46、スペクトラ
ム分析装置48、コントローラ50、ディスプレィ52
が順に接続されている。
【0036】波形検出器46としては、デジタイザーま
たはデジタルオシロスコープ等が使用される。また、高
周波発振器40がインパルス信号源の場合には、スペク
トラム分析装置(スペクトラム形成手段、周波数検出手
段)48としては、例えばマイクロコンピュータ等の高
速フーリエ変換を実行可能なFFT演算器が使用され、
高周波発振器40がバースト信号源の場合には、スペク
トラム分析装置48としては、例えばスペクトラムアナ
ライザーとトラッキングジェネレータとを組み合わせた
形式の装置が使用される。
【0037】受信側トランスジューサ1bで反射波から
変換された電気信号は、増幅器42で増幅され、A/D
変換器44にてディジタル信号に変換された後、波形検
出器46へ与えられる。波形検出器46は与えられた電
気信号から所望の反射波の時間波形を取り出してスペク
トラム分析装置48へ与える。スペクトラム分析装置4
8は入力された波形についてスペクトラム強度分布とス
ペクトラム位相分布とを形成する。例えば高周波発振器
40としてインパルス信号源、スペクトラム分析装置4
8としてFFT演算器を用いた場合は、スペクトラム分
析装置48は入力された波形を高速フーリエ変換し、ス
ペクトラム強度分布とスペクトラム位相分布とを形成す
る。或いは、高周波発振器40としてバースト信号源、
スペクトラム分析装置48としてスペクトラムアナライ
ザーとトラッキングジェネレータとを組み合わせた形式
の装置が使用された場合には、スペクトラム分析装置4
8は波形検出器46から与えられる反射波の時間波形か
らスペクトラムアナライザーにてスペクトラム強度分布
が分析されると共に、トラッキングジェネレータにてス
ペクトラム位相分布が解析される。
【0038】このスペクトラム分析装置48には、スペ
クトラム強度分布とスペクトラム位相分布とを規格化す
るための基準スペクトラム強度分布と基準スペクトラム
位相分布、及び薄膜17の膜厚dを算出するための膜厚
dの関数が記憶されている。
【0039】そして、スペクトラム分析装置48は、コ
ントローラ50の規格化指令により、時間波形から形成
されたスペクトラム強度分布、スペクトラム位相分布を
それぞれ基準スペクトラム強度分布、基準スペクトラム
位相分布を用いて規格化する。
【0040】次に、コントローラ(演算手段)50は、
スペクトラム分析装置48の検索機能を機能させ、上記
規格化されたスペクトラム強度分布から反射強度の極小
部の周波数、即ちディップ周波数fc を検出させると
共に、上記規格化されたスペクトラム位相分布から位相
の回転が起きる周波数fr を検出させる。コントロー
ラ50は、検出された周波数fc と周波数fr との
何れかにより薄膜17の膜厚dを算出し、ディスプレィ
52に表示させる。
【0041】このような膜厚測定装置により、ホール壁
の膜厚を測定する方法について説明する。
【0042】先ず、被検体11のホール壁の膜厚測定に
先立ち、薄膜17の種々の膜厚についての既知のスペク
トラム強度分布及びスペクトラム位相分布を用意する。 これらのスペクトラム強度分布及びスペクトラム位相分
布から反射波強度が極小部の周波数fc を変数とする
膜厚dの関数d=C/fc と、位相の回転を起こす周
波数fr を変数とする膜厚dの関数d=C/fr と
をそれぞれ求める。ここでCは、薄膜及び基盤の弾性定
数と、超音波伝播媒体としての水Wにおける音速及び水
Wの密度とによって定まる定数である。この定数Cをコ
ントローラ50に記憶させる。勿論、定数C自体が既知
の場合には、この既知の定数Cをコントローラ50に記
憶させてもよい。
【0043】また、図4(A)及び図5(A)に示すよ
うに、上記の反射波強度の極小部及び位相の回転を示さ
ない基準試料についての既知の基準スペクトラム強度分
布SR (f)及び基準スペクトラム位相分布PR (
f)を用意し、これらSR (f)及びPR (f)を
スペクトラム分析装置48に記憶させる。
【0044】尚、コントローラ50及びスペクトラム分
析装置48に記憶させるべきデータが未知の場合には、
下記の被検体11についての測定と同様な測定を適宜な
基準試料に実施して実験的にデータを求めてもよい。
【0045】その後、被検体11についての測定が開始
される。先ず、コントローラ42からスペクトラム分析
装置48に初期化信号が与えられ、スペクトラム分析装
置48が初期化される。次に、上記のようにスルーホー
ル15に挿通された超音波センサー110の発信側トラ
ンスジューサ1aから、スルーホール15の壁面の薄膜
17に超音波が入射される。これに対する反射波が受信
側トランスジューサ1bで受信されて変換されてなる電
気信号に基づいて、スペクトラム分析装置48が図4(
B)及び図5(B)に示すようなスペクトラム強度分布
ST (f)及びスペクトラム位相分布PT (f)を
形成する。これらスペクトラム強度分布ST (f)及
びスペクトラム位相分布PT (f)はスペクトラム分
析装置48に記憶される。ここでコントローラ42の規
格化指令により、スペクトラム分析装置48がスペクト
ラム強度分布ST (f)、スペクトラム位相分布PT
 (f)を規格化し、図4(C)及び図7に示すような
規格化スペクトラム強度分布SN (f)及び規格化ス
ペクトラム強度分布SN (f)を形成する。この規格
化の具体的な方法については後述する。
【0046】続いてスペクトラム分析装置48は、コン
トローラ50からの指令により、規格化スペクトラム強
度分布SN (f)を検索し、そのディップ周波数fc
 を検出すると共に、規格化スペクトラム位相分布PN
 (f)を検索し、その位相の回転を起こす周波数fr
 を検出する。次に、コントローラ50は、検出された
周波数fc ,fr 及び予め記憶されている関数d=
C/fc ,d=C/fr に従って薄膜17の膜厚d
を算出する。算出された膜厚dはディスプレィ52に表
示される。
【0047】ここで上記規格化の方法について説明する
【0048】先ずスペクトラム強度分布ST (f)の
規格化について説明する。
【0049】スペクトラム分析装置48は、スペクトラ
ム強度分布ST (f)から基準スペクトラムSR (
f)を減算することにより、図4(C)に示すような規
格化スペクトラム強度分布SN (f)を形成し、これ
を記憶する。図4(B)及び図4(C)から明らかなよ
うに、規格化スペクトラムSN (f)はスペクトラム
強度分布ST (f)に比して強度極小部を強調して示
すことができる。尚、強度がデシベル表示であれば規格
化は上記のように減算であるが、強度がリニア表示であ
れば規格化は除算である。
【0050】次に、スペクトラム位相分布PT (f)
の規格化について説明する。上記のスペクトラム位相分
布PT (f)も基準スペクトラム位相分布PR (f
)も非連続的に表示されているため、先ずこれらをフェ
イズアンラップ(Phase unwrap)により、
それぞれ図6(A)及び図6(B)に示すような連続的
な表示PUT(f),PUR(f)に変換する。ここで
フェイズアンラップを行う一つの方法としては、周波数
の低いほうから前のスペクトラム位相の値との大小を判
断して、スペクトラム位相が1回転(2π)しているか
否かを判断する手法である。例えば、図5(A)の基準
スペクトラム位相分布PR (f)において、周波数の
低い側から順にa,b,c点を考える。このうち、b点
のスペクトラム位相はa点から大きく変化していないた
め、図6(A)の連続的な表示PUR(f)のa,b点
においては、PR (f)におけるa,b点の値をその
まま表示する。しかしPR (f)におけるc点は、そ
の見掛け上の値は小さいが、b点の値とは大きく異なっ
ている。このことはc点の値は−π〜+πの間に制限さ
れているために、2πだけ小さく表現されていると見な
せる。従って、連続的な表示PUR(f)のc点は、P
R (f)におけるc点の値に2πを加算して表示する
。このような操作によりPR (f)を連続的な表示P
UR(f)に変換できる。同じく、スペクトラム位相分
布PT (f)も連続的な表示PUT(f)に変換でき
る。ここでPUT(f)からPUR(f)を差し引くこ
とにより、図7に示すような規格化されたスペクトラム
位相分布PN (f)が得られる。 図5(B)及び図7から明らかなように、非連続なスペ
クトラム位相分布PT (f)に対し、規格化スペクト
ラム位相分布PN (f)は連続値として示すことがで
きる。
【0051】尚、上記の説明では、スペクトラム位相分
布の規格化の際にPR (f),PT (f)をフェイ
ズアンラップ処理するものとしたが、基準スペクトラム
位相分布、スペクトラム位相分布をスペクトラム分析装
置48に記憶させる際にフェイズアンラップ処理をして
もよい。即ち、PR(f)をフェイズアンラップ処理し
たPUR(f)を基準スペクトラム位相分布として記憶
させ、同じく、PT (f)をフェイズアンラップ処理
したPUT(f)をスペクトラム位相分布として記憶さ
せてもよい。
【0052】また、スペクトラム強度分布及び位相分布
の規格化は、周波数fc 、fr を強調して示すため
の便宜的な手段であり、本発明に必須のものではない。 例えばスペクトラム強度分布ST (f)やスペクトラ
ム位相分布PT (f)として、平坦な波形、周波数f
c、fr が明確に現れる特徴的な波形が得られたのな
ら、特に規格化する必要はない。
【0053】上記図2の測定装置210による二つの膜
厚測定例を示す。それぞれ入射角は30°とする。第1
の測定例では、ガラスエポキシ複合材料のプリント配線
基盤のスルーホール(半径1mm)の内周壁に形成され
た銅膜を測定対象とした。膜厚の算出にはスペクトラム
強度分布に現れる複数の極小現象のうち、最も周波数が
低いところに出現するもののディップ周波数を用いた。 また、定数Cの値は膜厚が既知の試料により1800と
した。測定の結果、ディップ周波数fc は65MHz
と検出され、膜厚dは、 d=C/fc =1800/65 =27.5μm と算出された。
【0054】第2の実験例では、銅製基盤のスルーホー
ル(半径1mm)の内周壁に形成されたクロムの薄膜を
測定対象とした。この場合、高周波発振器40にはイン
パルス信号源を用い、スペクトラム分析装置48にはF
FT演算器を用いた。FFT演算器48による高速フー
リエ変換の結果、図8及び図9(A)に示すようなスペ
クトラム強度分布ST (f)及びスペクトラム位相分
布PT (f)が得られた。銅においてはスペクトラム
強度分布ST(f)に強度の変化が見られないため、膜
厚の算出にはスペクトラム位相分布PT (f)を用い
ることとした。また、基準スペクトラム位相分布PR 
(f)としては、図9(B)に示すようなクロム膜のな
い試料から測定されたものを用いた。これらPT (f
)及びPR (f)をフェイズアンラップ処理して連続
化した結果、図10(A)及び図10(B)に示すPU
T(f)及びPUR(f)を得た。PUT(f)からP
UR(f)を減算して規格化したところ、図11に示す
規格化スペクトラム位相分布PN (f)を得た。この
PN (f)から、位相の回転を起こす周波数fr は
70MHzと検出された。一方、定数Cとしては弾性力
学に基づき算出された値350を用いた。従って、膜厚
dは、 d=C/fr =350/70 =5μm と算出された。
【0055】図12は、本発明の第2の超音波センサー
を示す。この超音波センサー120は、二体の超音波ト
ランスジューサ2a,2bを各々の円錐形状部12a側
で対向させ、且つ一体的に形成してなる。各トランスジ
ューサ2a,2bは何れも発信側と受信側とを兼ねる。 各トランスジューサ2a,2bは、上記トランスジュー
サ1(図1)が絶縁性材料から形成された基体12を用
いるのに対し、導電性材料(例えば銅線)から形成され
た基体22a,22bを用いている。つまり、基体22
a,22bは、トランスジューサ1の下部電極14のよ
うな下部電極としての役割をも果たす。各々の基体22
a,22bの円錐形状部12aの外表面には、薄膜状の
圧電体26が形成され、この圧電体26の外表面には、
薄膜状の上部電極28が形成されている。各々の導電性
基体12a,12bの形状及び寸法は、上記図1の絶縁
性基体12と同様である。従って、超音波センサー12
0とホール15の壁面との間で定義される超音波の入射
角及び検出角は、超音波センサー110と同様である。 また、圧電体26、上部電極28の材質及び厚さも、そ
れぞれ超音波センサー110の圧電体16、上部電極1
8と同様である。但し、図12においては、基体12a
,12b、圧電体26、上部電極28が、発信側と受信
側とで一体的に形成された例を示している。上部電極2
8の下縁からは基体22aの基部へ向かってリード線2
8aが延出されているが、このリード線28aと基体2
2aとの間には、これらを電気的に絶縁する絶縁層20
が配置されている。各トランスジューサ2a,2bは、
トランスジューサ1と同様に絶縁保護膜10で被覆され
ていることが好ましい。
【0056】図13は、第2の超音波センサー120を
用いたホール壁の膜厚測定装置を示す。この測定装置2
20において、高周波発振器40、増幅器42、A/D
変換器44、波形検出器46、スペクトラム分析装置4
8、コントローラ50、ディスプレィ52については、
測定装置210(図2)におけるものと同様である。但
し、発信側と受信側とが一体的なセンサー120の発信
信号と受信信号との分離のために、サーキュレータ54
が用いられている。
【0057】高周波発振器40の発信する高周波パルス
電圧は、サーキュレータ54を通じてセンサー120に
加えられる。これにより、各トランスジューサ2a,2
bは円錐形状部12aの円錐面の法線方向へ、高周波発
振器40の種類に応じて広帯域インパルス波または特定
周波数のバースト波としての平面波超音波を発信する。 この平面波超音波は水Wを介してスルーホール15の内
周壁の薄膜17に入射角θで入射される。トランスジュ
ーサ2aの発信波に対する反射波はトランスジューサ2
bに、トランスジューサ2bの発信波に対する反射波は
でトランスジューサ2aにそれぞれ反射角θで受信され
る。これら入射角θ及び反射角θは、各トランスジュー
サ2a,2bの円錐形状部12aの角度θに等しい。
【0058】各トランスジューサ2a,2bは受信波を
電気信号に変換し、この電気信号はサーキュレータ54
を通じて増幅器42へ与えられ増幅される。以後、A/
D変換器44、波形検出器46、スペクトラム分析装置
48、コントローラ50にて、測定装置210(図2)
の例と同様の処理が実行され、膜厚dが算出されてディ
スプレィ52に表示される。
【0059】この図13の測定装置220による膜厚測
定例を示す。測定対象は、42合金の基盤のスルーホー
ル(半径1mm)の内周壁に形成された金の薄膜とし、
入射角θは30°とした。膜厚の算出にはスペクトラム
強度分布を用い、定数Cの値は膜厚が既知の試料により
300とした。測定の結果、ディップ周波数fc は1
00MHzと検出され、膜厚dは、 d=C/fc =300/100 =3.0μm と算出された。
【0060】図14は本発明の第3の超音波センサーを
示す。この超音波センサー130でにおいて、一方のト
ランスジューサ1は、上記トランスジューサ1(図1)
と全く同一である。但し、他方のトランスジューサ3は
、その先端部3aが円錐形状部の側周面に断面円弧状の
凹面を形成した形状とされている。これは後述のように
、トランスジューサ3から放射される超音波を収束し、
高い空間分解能を与えるためである。この凹面を除くト
ランスジューサ3の構造は、上記トランスジューサ1と
同様である。即ち、絶縁性基体32の凹面が形成された
先端部3aの側周面上に、それぞれ薄膜状の下部電極3
4、圧電体36、上部電極38が順次に形成されてなる
。このトランスジューサ3の焦点は凹面の曲率中心と一
致する。以下、トランスジューサ3を凹面収束トランス
ジューサ3と称し、トランスジューサ1を平面非収束ト
ランスジューサ1と称する。
【0061】この第3の超音波センサー130は、上記
超音波センサー110,120と同様に、各トランスジ
ューサ1,3の外表面を絶縁性保護膜(図14には図示
せず)で被覆することが好ましい。
【0062】この第3の超音波センサー130を上記の
ホール壁の膜厚測定装置210,220において各超音
波センサー110,120と置き換えることにより、ホ
ール壁の膜厚測定装置を構成することができる。
【0063】このような第3の超音波センサー130に
おいて、凹面収束トランスジューサ3を発信側、平面非
収束トランスジューサ1を受信側に用いたとする。この
場合、超音波センサー130の縦断面で見ると、図15
に示すように先端部3aから放射される広帯域インパル
ス波または特定周波数のバースト波の波面は、凹面から
放射されるため、図示のように曲面である。この超音波
は、スルーホール15の内壁上の膜17の表面の点(凹
面の曲率中心に等しい)P1 ,P2 に収束される。 そして円錐形トランスジューサ1が受信する反射波も曲
面波である。このトランスジューサ1が受信する反射波
は、点P1 ,P2 から反射したものであるが、図示
のように波面の方向が相違する複数の平面波の成分E,
F,G等の組み合わせである。このうち、成分E,Gに
より示す方向へ反射した超音波成分は、圧電体16上で
の位相干渉により電気信号への変換効率が低く、成分F
で示す波面を有する超音波のみが平面非収束トランスジ
ューサ1に高効率で受信される。このことは、平面非収
束トランスジューサ1とホール15の壁面との間で定義
される反射角で反射された成分のみが出力されることを
意味する。ここで反射角は、円錐形トランスジューサ1
を発信側に用いた場合の入射角である。従って、円錐形
トランスジューサ1のテーパ面なす角度と凹面収束トラ
ンスジューサ3の凹面のなす曲率とを適宜に定め、ホー
ル15の内壁の円周線上に焦点を設定することにより、
膜17の表面上の微小な領域に対して超音波を入射させ
、その反射波の特定の成分を高効率で受信することがで
きる。
【0064】また、超音波センサー130の全周で見る
と、凹面収束トランスジューサ3が発信した超音波は、
膜17の表面の点P1 ,P2 を通る円周線(スルー
ホール15の横断面)に沿って収束されることになる。 つまり、第1及び第2の超音波センサー110,120
では、膜17の表面上における超音波の照射領域が比較
的に広いので、この広い領域の膜厚分布の平均が測定さ
れるのに対し、第3の超音波センサー130を用いた膜
厚測定では、スルーホール15の内壁の或る円周線上の
膜厚を測定することができる。
【0065】逆に、凹面収束トランスジューサ3を受信
側に用いたとすると、上記円周線上からの反射波が先端
部3aの凹面に高効率で受信されるため、トランスジュ
ーサ3を発信側に用いた場合と同様に、この円周線上の
膜厚を測定できる。また、第3の超音波センサー130
をスルーホール15の軸方向へ移動させながら膜厚測定
を行うと、ホール壁の膜厚分布を高空間分解能で測定で
きる。
【0066】尚、特に図示しないが、凹面収束トランス
ジューサ3の絶縁性基体32に代えて、これと同様な形
状の導電性基体(下部電極を兼ねる)を用い、その凹面
上に、それぞれ薄膜状の圧電体、上部電極を順次に形成
しても凹面収束トランスジューサを構成することができ
る。このような導電性基体を有する凹面収束トランスジ
ューサを、トランスジューサ1,2a(または2b)の
何れかと組み合わせることにより、第3の超音波センサ
ー130と同様な効果を有する超音波センサーを構成す
ることができる。この場合には、第2の超音波センサー
120(図12)と同様に、導電性基体と上部電極とを
絶縁する絶縁層が必要である。
【0067】以上に説明した超音波トランスジューサ及
び超音波センサーの形状は、上記実施例に限定されるも
のではない。例えば、テーパー面や凹面の超音波発信・
受信面は、必ずしも全周面に形成する必要はなく、周面
の少なくとも一部に形成すればホール壁の膜厚測定に使
用可能である。この場合、一対のトランスジューサの発
信・受信面を対向させた状態でスルーホール内に配置す
ることにより、発信・受信面が対面するホール壁の或る
特定個所についての膜厚を測定できる。また、このよう
な配置の一対のトランスジューサをスルーホールの軸芯
回りに回転させながら測定を行うと、ホール壁の全周面
に沿った膜厚分布を測定できる。
【0068】また、各超音波センサーにおいて、その超
音波トランスジューサは、発信側と受信側との二体を一
体的に形成してもよい。即ち、二体の超音波トランスジ
ューサの絶縁性基体(または下部電極を兼ねる導電性基
体)、圧電体、上部電極の少なくとも何れかを一体的に
形成し、発信側と受信側とのトランスジューサが一体的
な超音波センサーを構成してもよい。この場合、発信側
と受信側とにおける上部電極を一体的に形成する場合に
は、上部電極のリード線は発信側と受信側との何れか一
方の側のトランスジューサに設ければよい。また、二体
の超音波トランスジューサの上記各構成要素の全てを一
体的に形成した場合は、二体の超音波トランスジューサ
の各々が発信側と受信側とを同時に兼ねることになるが
、この場合は反射波の電気信号を分離することにより膜
厚測定が可能である。
【0069】一方、上記実施例におけるホール壁の膜厚
測定方法及び装置における膜厚の算出は、スペクトラム
強度分布とスペクトラム位相分布とのうち、何れか一方
のみに基づいてもよく、双方に基づいてもよい。例えば
、強度の周波数依存性を有する被検体に対しては、スペ
クトラム強度分布のみから膜厚を算出するものとしても
よい。或いは、図8乃至図11の測定例のように、強度
の周波数依存性がない被検体に対しては、スペクトラム
強度分布から膜厚を算出することができないので、スペ
クトラム位相分布に基づいて膜厚を算出する。
【0070】また、各測定装置においては、スペクトラ
ム分析装置48とコントローラ50とを別個の構成要素
として図示したが、両者の機能を兼ね備える1台の装置
、例えばFFT演算用ボードを内臓したマイクロコンピ
ュータを用いてもよい。
【0071】更に、本発明における超音波センサーは、
ホール壁の膜に対し、その厚さ測定のみならず膜の剥離
の検出にも使用可能である。また、本発明の超音波セン
サーを適用可能な対象はホール壁に限定されるものでは
なく、円筒形状の空間を包囲する断面環状の壁面、例え
ば細管パイプにも適用可能であり、その超音波探傷にも
使用可能である。
【0072】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の超音波ト
ランスジューサ及び超音波センサーによれば、超音波セ
ンサーを円筒形状の空間に挿通させることにより、その
側周壁に対して超音波を斜めに入反射させることができ
るので、円筒形状空間側周壁における膜厚測定等の超音
波探査に使用することができる。
【0073】また、本発明のホール壁の膜厚測定方法及
び装置によれば、従来は破壊試験によらなければ測定不
可能であったホール壁の膜厚測定が、上記の超音波セン
サーの使用により可能となる。従って、例えば電子部品
装着用基盤のスルーホールにおけるコーティング層の厚
さを定量的に検出することができるから、その厚さ精度
の管理やコーティング不良の検出が実現可能となる。
【0074】更に、スペクトラム位相分布に基づいて膜
厚を測定するホール壁の膜厚測定方法及び装置によれば
、強度の周波数依存性がない被検体についてもホール壁
の膜厚を測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の超音波トランスジューサを示す斜視図
である。
【図2】図1の超音波トランスジューサを一対組み合わ
せてなる超音波センサーを使用したホール壁の膜厚測定
装置を示すブロック図である。
【図3】図2の超音波センサーの作用を説明するための
図であって、スルーホールに挿通された超音波センサー
の先端部分をその軸芯に沿って断面した部分断面図。
【図4】(A),(B),(C)を含み、(A)は基準
スペクトラム強度分布を示す線図、(B)は測定された
スペクトラム強度分布を示す線図、(C)は規格化され
たスペクトラム強度分布を示す線図である。
【図5】(A),(B)を含み、(A)は基準スペクト
ラム位相分布を示す線図、(B)は測定されたスペクト
ラム位相分布を示す線図である。
【図6】(A),(B)を含み、(A)はフェイズアン
ラップ処理された基準スペクトラム位相分布を示す線図
、(B)はフェイズアンラップ処理された測定スペクト
ラム位相分布を示す線図である。
【図7】規格化されたスペクトラム位相分布を示す線図
である。
【図8】図2の測定装置による膜厚測定例におけるスペ
クトラム強度分布を示す線図である。
【図9】図2の測定装置による膜厚測定例におけるスペ
クトラム位相分布を示す図であって、(A),(B)を
含み、(A)は測定スペクトラム位相分布を示す線図、
(B)は基準スペクトラム位相分布を示す線図である。
【図10】図2の測定装置による膜厚測定例におけるス
ペクトラム位相分布を示す図であって、(A),(B)
を含み、(A)はフェイズアンラップ処理された測定ス
ペクトラム位相分布を示す線図、(B)はフェイズアン
ラップ処理された基準スペクトラム位相分布を示す線図
である。
【図11】図2の測定装置による膜厚測定例におけるス
ペクトラム位相分布を示す図であって、規格化されたス
ペクトラム位相分布を示す線図である。
【図12】本発明の第2の超音波センサーを示す斜視図
である。
【図13】第2の超音波センサーを使用したホール壁の
膜厚測定装置を示すブロック図である。
【図14】本発明の第3の超音波センサーを示す斜視図
である。
【図15】第3の超音波センサーの作用を説明するため
の図であり、スルーホールに挿通された超音波センサー
の先端部分をその軸芯に沿って断面した部分断面図であ
る。
【符号の説明】
1,1a,1b,2a,2b,3…超音波トランスジュ
ーサ、12,32…絶縁性基体、22a,22b…導電
性基体、14,34…下部電極(第1の電極)、16,
26,36…圧電体、18,28,38…上部電極(第
2の電極)、40…高周波発振器(電圧印加手段)、4
8…スペクトラム分析装置(スペクトラム形成手段、周
波数検出手段)、50…コントローラ(演算手段)、1
10,120,130…超音波センサー。

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】  超音波探査における超音波の発信と受
    信との少なくとも何れかに用いられるものであって、絶
    縁性材料からなる基体を備え、この基体の先端部におけ
    る側周面の少なくとも一部には、この基体の外周側から
    先端側に向かって所定の鋭角をなすように断面テーパー
    状の面が形成され、このテーパー面の外表面には薄膜状
    の第1の電極が形成され、この第1の電極の上表面には
    薄膜状の圧電体が形成され、この圧電体の上表面には、
    第1の電極に対して電気的に絶縁された薄膜状の第2の
    電極が形成されてなり、第1と第2との電極の間に電圧
    が印加された場合には、この電圧を機械的振動に変換し
    て上記基体のテーパー面の法線方向へ超音波を発信し、
    上記テーパー面に超音波が受信された場合には、この受
    信波を電気信号に変換することを特徴とする超音波トラ
    ンスジューサ。
  2. 【請求項2】  超音波探査における超音波の発信と受
    信との少なくとも何れかに用いられるものであって、導
    電性材料からなる第1の電極としての基体を備え、この
    基体の先端部における側周面の少なくとも一部には、こ
    の基体の外周側から先端側に向かって所定の鋭角をなす
    ように断面テーパー状の面が形成され、このテーパー面
    の外表面には薄膜状の圧電体が形成され、この圧電体の
    上表面には、上記基体に対して電気的に絶縁された薄膜
    状の第2の電極が形成されてなり、第1の電極としての
    上記基体と第2との電極の間に電圧が印加された場合に
    は、この電圧を機械的振動に変換して上記基体のテーパ
    ー面の法線方向へ超音波を発信し、上記テーパー面に超
    音波が受信された場合には、この受信波を電気信号に変
    換することを特徴とする超音波トランスジューサ。
  3. 【請求項3】  超音波探査における超音波の発信と受
    信との少なくとも何れかに用いられるものであって、絶
    縁性材料からなる基体を備え、この基体の先端部におけ
    る側周面の少なくとも一部には、この基体の外周側から
    先端側に向かって所定の曲率をなすように断面が円弧状
    の凹面が形成され、この凹面の外表面には薄膜状の第1
    の電極が形成され、この第1の電極の上表面には薄膜状
    の圧電体が形成され、この圧電体の上表面には、薄膜状
    の第2の電極が形成されてなり、第1と第2との電極の
    間に電圧が印加された場合には、この電圧を機械的振動
    に変換して上記円弧状凹面の曲率中心方向へ収束波とし
    ての超音波を発信し、上記円弧状凹面に超音波が受信さ
    れた場合には、この受信波を電気信号に変換することを
    特徴とする超音波トランスジューサ。
  4. 【請求項4】  超音波探査における超音波の発信と受
    信との少なくとも何れかに用いられるものであって、導
    電性材料からなる第1の電極としての基体を備え、この
    基体の先端部における側周面の少なくとも一部には、こ
    の基体の外周側から先端側に向かって所定の曲率をなす
    ように断面が円弧状の凹面が形成され、この凹面の外表
    面には薄膜状の圧電体が形成され、この圧電体の上表面
    には、薄膜状の第2の電極が形成されてなり、第1の電
    極としての上記基体と第2との電極の間に電圧が印加さ
    れた場合には、この電圧を機械的振動に変換して上記円
    弧状凹面の曲率中心方向へ収束波としての超音波を発信
    し、上記円弧状凹面に超音波が受信された場合には、こ
    の受信波を電気信号に変換することを特徴とする超音波
    トランスジューサ。
  5. 【請求項5】  円筒形状の空間の側周面を包囲するよ
    うに形成された断面環状の壁面と上記空間内に満たされ
    た超音波伝播媒体とを有する被検体に対し、上記壁面の
    超音波探査に用いられるものであって、第1と第2の超
    音波トランスジューサを備え、第1の超音波トランスジ
    ューサは、請求項1または2に記載の超音波トランスジ
    ューサであり、第2の超音波トランスジューサは、請求
    項1または2に記載の超音波トランスジューサであり、
    これら第1と第2の超音波トランスジューサが、その各
    々の上記基体の先端側が互いに対向し、且つ各々の上記
    テーパー面が互いに対向する配置関係で配置されてなり
    、上記超音波探査に際しては、上記円筒形状空間と同軸
    に上記円筒形状空間に挿通されると共に、第1と第2の
    超音波トランスジューサのうち、少なくとも何れか一方
    の上記テーパー面の法線方向へ発信された超音波を、上
    記伝播媒体を通して上記壁面に対して上記所定の鋭角で
    定まる入射角にて入射させ、この入射波に対する上記壁
    面からの反射波を上記伝播媒体を通して上記所定の鋭角
    で定まる受信角にて他方の超音波トランスジューサの上
    記テーパー面で受信することを特徴とする超音波センサ
    ー。
  6. 【請求項6】  第1と第2の超音波トランスジューサ
    が、上記配置関係で一体的に形成されていることを特徴
    とする請求項5に記載の超音波センサー。
  7. 【請求項7】  円筒形状の空間の側周面を包囲するよ
    うに形成された断面環状の壁面と上記空間内に満たされ
    た超音波伝播媒体とを有する被検体に対し、上記壁面の
    超音波探査に用いられるものであって、第1と第2の超
    音波トランスジューサを備え、第1の超音波トランスジ
    ューサは、請求項1または2に記載の超音波トランスジ
    ューサであり、第2の超音波トランスジューサは、請求
    項3または4に記載の超音波トランスジューサであり、
    これら第1と第2の超音波トランスジューサが、その各
    々の上記基体の先端側が互いに対向し、第1の超音波ト
    ランスジューサの上記テーパー面と第2の超音波トラン
    スジューサの上記円弧状凹面とが互いに対向する配置関
    係で配置されてなり、上記超音波探査に際しては、上記
    円筒形状空間と同軸に上記円筒形状空間に挿通されると
    共に、第1の超音波トランスジューサの上記テーパー面
    の法線方向へ超音波が発信された場合には、この超音波
    を上記伝播媒体を通して上記壁面に対して上記所定の鋭
    角で定まる入射角にて入射させ、この入射波に対する上
    記壁面からの反射波を上記伝播媒体を通して第2の超音
    波トランスジューサの上記円弧状凹面で受信し、第2の
    超音波トランスジューサの上記円弧状凹面の曲率中心方
    向へ上記収束波が発信された場合には、この超音波を上
    記伝播媒体を通して上記壁面に入射させ、この入射波に
    対する上記壁面からの反射波を上記伝播媒体を通して上
    記所定の鋭角で定まる受信角にて第1の超音波トランス
    ジューサの上記テーパー面で受信することを特徴とする
    超音波センサー。
  8. 【請求項8】  第1と第2の超音波トランスジューサ
    が、上記配置関係で一体的に形成されていることを特徴
    とする請求項7に記載の超音波センサー。
  9. 【請求項9】  円筒形状のホールが貫通された基盤と
    、上記ホールの内周面上に形成された膜と、上記ホール
    内に満たされた超音波伝播媒体とを有する被検体に対し
    、請求項5乃至8の何れか1項に記載の超音波センサー
    を用いて上記膜の膜厚を測定する方法であって、上記超
    音波センサーが、上記ホール状空間と同軸に上記ホール
    状空間に挿通された状態で、この超音波センサーの第1
    と第2の超音波トランスジューサのうちの少なくとも一
    方から、上記伝播媒体を通して上記ホール内周面上の膜
    に対して斜めに超音波を入射させる行程と、上記入射超
    音波に対する反射超音波を他方の超音波トランスジュー
    サにより受信して電気信号に変換する行程と、この電気
    信号に基づいて反射超音波の強度分布を上記電気信号の
    各周波数成分の関数として示したスペクトラム強度分布
    を形成する行程と、上記スペクトラム強度分布から上記
    反射超音波の強度の極小部の周波数を検出する行程と、
    この検出された周波数に基づき、予め与えられた反射超
    音波のスペクトラム強度分布と膜厚との関係に従って、
    上記ホール壁面の膜の膜厚を算出する行程とを備えるこ
    とを特徴とするホール壁の膜厚測定方法。
  10. 【請求項10】  請求項9に記載のホール壁の膜厚測
    定方法を実施する装置であって、請求項5乃至8の何れ
    か1項に記載の超音波センサーと、この超音波センサー
    の第1と第2のトランスジューサのうちの少なくとも一
    方に超音波を発信させるように電圧を印加する電圧印加
    手段と、他方の超音波トランスジューサにより、上記ホ
    ールの壁面に形成された膜からの反射超音波を受信して
    変換して得られた電気信号に基づいて、反射超音波の強
    度分布を上記電気信号の各周波数成分の関数として示し
    たスペクトラム強度分布を形成するスペクトラム形成手
    段と、上記スペクトラム強度分布から上記反射超音波の
    強度の極小部の周波数を検出する周波数検出手段と、上
    記検出された周波数から、予め与えられた反射超音波の
    スペクトラムと膜厚との関係に従って、上記ホールの壁
    面に形成された膜の膜厚を算出する演算手段とを備える
    ことを特徴とするホール壁の膜厚測定装置。
  11. 【請求項11】  円筒形状のホールが貫通された基盤
    と、上記ホールの内周面上に形成された膜と、上記ホー
    ル内に満たされた超音波伝播媒体とを有する被検体に対
    し、請求項5乃至8の何れか1項に記載の超音波センサ
    ーを用いて上記膜の膜厚を測定する方法であって、上記
    超音波センサーが、上記ホール状空間と同軸に上記ホー
    ル状空間に挿通された状態で、この超音波センサーの第
    1と第2の超音波トランスジューサのうちの少なくとも
    一方から、上記伝播媒体を通して上記ホール内周面上の
    膜に対して斜めに超音波を入射させる行程と、上記入射
    超音波に対する反射超音波を他方の超音波トランスジュ
    ーサにより受信して電気信号に変換する行程と、この電
    気信号に基づいて、反射超音波の位相分布を上記電気信
    号の各周波数成分についての関数として示したスペクト
    ラム位相分布を形成する行程と、上記規格化されたスペ
    クトラム位相分布から位相が変化を起こす周波数を検出
    する行程と、この検出された周波数に基づき、予め与え
    られた周波数と位相と膜厚との関係に従って、上記ホー
    ルの壁面の膜の膜厚を算出する行程とを備えることを特
    徴とするホール壁の膜厚測定方法。
  12. 【請求項12】  請求項11に記載のホール壁の膜厚
    測定方法を実施する装置であって、請求項5乃至8の何
    れか1項に記載の超音波センサーと、この超音波センサ
    ーの第1と第2の超音波トランスジューサの何れか一方
    に超音波を発信させるように電圧を印加する電圧印加手
    段と、他方の超音波トランスジューサにより、上記ホー
    ルの壁面に形成された膜からの反射超音波を受信して変
    換して得られた電気信号に基づいて、反射超音波の位相
    分布を上記電気信号の各周波数成分の関数として示した
    スペクトラム位相分布を形成するスペクトラム形成手段
    と、上記スペクトラム強度分布から位相の変化を起こす
    周波数を検出する周波数検出手段と、上記検出された周
    波数から、予め与えられた位相分布と膜厚との関係に従
    って、上記ホールの壁面に形成された膜の膜厚を算出す
    る演算手段とを備えることを特徴とするホール壁の膜厚
    測定装置。
  13. 【請求項13】  円筒形状のホールが貫通された基盤
    と、上記ホールの内周の壁面上に形成された膜とを有す
    る被検体に対し、上記膜の膜厚を測定する装置であって
    、請求項5乃至8の何れか1項に記載の超音波センサー
    と、この超音波センサーの第1と第2の超音波トランス
    ジューサの何れか一方に超音波を発信させるように電圧
    を印加する電圧印加手段と、他方の超音波トランスジュ
    ーサにより、上記ホールの壁面に形成された膜からの反
    射超音波を受信して変換して得られた電気信号に基づい
    て、上記電気信号の各周波数成分の関数として反射超音
    波の強度分布を示したスペクトラム強度分布と上記電気
    信号の各周波数成分の関数として反射超音波の位相分布
    を示したスペクトラム位相分布とを形成するスペクトラ
    ム形成手段と、上記スペクトラム強度分布から強度の極
    小部の周波数fc を検出すると共に、上記スペクトラ
    ム位相分布から位相の変化を起こす周波数fr を検出
    する周波数検出手段と、上記周波数fc と周波数fr
     のうちの少なくとも一方を選択し、周波数fc につ
    いては、予め与えられたスペクトラム強度分布と膜厚と
    の関係に従って、周波数fr については、予め与えら
    れたスペクトラム位相分布と膜厚との関係に従って、上
    記膜の膜厚を算出する演算手段とを備えることを特徴と
    するホール壁の膜厚測定装置。
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