JPH04289226A - 吸湿性繊維 - Google Patents

吸湿性繊維

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JPH04289226A
JPH04289226A JP7819891A JP7819891A JPH04289226A JP H04289226 A JPH04289226 A JP H04289226A JP 7819891 A JP7819891 A JP 7819891A JP 7819891 A JP7819891 A JP 7819891A JP H04289226 A JPH04289226 A JP H04289226A
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JP
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hygroscopic
component
core
polyester
sheath
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JP7819891A
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Shinji Owaki
大脇 新次
Motohiro Kitagawa
元洋 北川
Masato Yoshimoto
正人 吉本
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Teijin Ltd
Original Assignee
Teijin Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、吸湿性に優れた芯鞘型
複合繊維に関する。さらに詳しくは、芯部にはボイドや
フィブリルを有するとともに、鞘部には芯部まで貫通し
た微細孔を有するので、吸湿性に優れるとともに風合及
び着用快適性にも優れた新規な吸湿性複合繊維に関する
【0002】
【従来の技術】合成繊維、とりわけ溶融紡糸により得ら
れる合成繊維は、風合的にも性能的にも、また工業的に
も優位な位置にあり、特にポリエチレンテレフタレート
を主としたポリエステル繊維はその主流となっている。 しかしながら、これらの合成繊維は親水性に乏しく、着
用時に蒸れるなどの欠点が従前から指摘され、着用快適
性の改善が望まれている。
【0003】一方、ウール,絹,麻,木綿などの天然繊
維は、高い吸湿性を示し着用時にも快適であるという特
徴を有しているものの、性能の面例えば力学的特性等の
面で合成繊維に劣るといった欠点があった。そのため、
天然繊維のもつ高い吸湿性と合成繊維のもつ優れた性能
とを兼ね備えた繊維を開発すべく、合成繊維の改良とい
った方向から多大の挑戦がなされてきた。
【0004】まず、合成繊維の表面に後加工により吸湿
剤を付与する方法が提案されているが、洗濯に対する耐
久性に劣る、高吸湿性を得るために吸湿剤の付与量を多
くすると吸湿によりズルズルとぬめり不快感を与えると
いった欠点がある。また、合成繊維にアクリル酸をグラ
フト共重合した後中和処理して−COONa基を導入す
る方法も提案されているが、グラフト率を高くすること
が困難で吸湿性が不充分である、あるいはグラフト率が
高くできても吸湿によりズルズルとぬめり不快感を与え
るものしか得られないといった欠点がある。
【0005】これに対して、合成繊維の基体自体を親水
化する試みも種々なされている。例えば、親水成分であ
るポリオキシアルキレンエーテル等を共重合する方法が
提案されているが、かかる方法で十分な吸湿性を達成す
るためには共重合割合を高める必要があり、吸湿性と力
学的特性,耐光性,ぬめり感等の特性とを同時に満足す
る繊維は得られていない。
【0006】このように、化学的変性といった手段のみ
で合成繊維、特にポリエステルに吸湿性を付与しようと
いう試みは未だ成功していない。
【0007】そこで、合成繊維がもつ特性を発現してい
る成分と、高い吸湿性を付与する成分とを複合して、夫
々の成分で夫々の特性を発現させる方法も提案されてい
る。例えば、特開平2−99612号公報には、標準状
態で10%以上の吸湿性を有する熱可塑性樹脂を芯成分
とする複合繊維が提案されている。この方法によれば、
高吸湿性成分が繊維表面に露出していないため、吸湿に
よる、ヌメリ感等の風合の悪化や摩擦係数の変化に伴な
う工程トラブル発生、さらには耐光性の悪化を防止する
ことができ、且つ鞘成分のポリマーの特性をそのまま生
かすことができる。しかしながら、吸湿するためには水
蒸気が鞘成分を透過する必要があるものの、水分の透過
速度を実用的なレベルまで速くすることができず、しか
も芯部における吸湿表面積が小さいこともあいまって吸
湿速度をあげることができないため、快適な素材とは言
い難いものであった。
【0008】一方、上述の如き化学的な改質以外にも物
理的改質、すなわち溶出可能な成分を混合して繊維形成
後、溶出成分を抽出してフィブリルやボイドを形成させ
、吸湿表面積を増大させて吸湿率の増加及び吸湿速度の
増大をはかる試みが提案されている。例えば特公昭58
−39926号公報には、溶出成分としてテレフタル酸
,5−ナトリウムスルホイソフタル酸及びエチレングリ
コールからなる共重合ポリエステルを用い、ポリエステ
ルにブレンドする方法が提案されている。また、特公昭
60−7067号公報には、水溶性脂肪族ポリアミドを
ポリエステルにブレンドする方法が提案されている。 さらには、特公昭62−7285号公報には蓚酸塩をポ
リエステルにブレンドする方法が提案されている。しか
しながら、これらの方法はいずれも、溶出成分が少ない
と充分な吸湿性は得られず、逆に溶出成分を多くすると
繊維としての力学的特性が不充分となり、着用時に布帛
の白化,フィブリル化等が発生するといった欠点が目立
つようになる。特に基質がポリエステルの場合には、ポ
リエステル自体の吸湿率が低いため、充分な吸湿性を付
与するためにはより多くのフィブリルやボイドを導入す
る必要があり、吸湿性と力学的特性とを両立させること
は困難であった。
【0009】
【発明の目的】本発明は、上記従来技術の欠点を解消し
、吸湿性に優れ且つ着用快適性にも優れた新規な吸湿性
繊維を提供せんとするものである。
【0010】
【発明の構成】本発明者等は、上記目的を達成するため
、まず天然繊維の吸湿メカニズムについて検討を行なっ
た。すなわち、絹,木綿,麻,羊毛等の天然繊維を液体
窒素中で冷却した後、横断面を切断して電子顕微鏡によ
りその断面を拡大観察した結果、木綿,麻,羊毛におい
ては、細かいフィブリルから成り、その集合体として繊
維が形成されていること、一方絹においては、その断面
に小さな穴が無数に見られ、必ずしも均一構造でないこ
とが判明した。そしてこれらの解析より、天然繊維は充
分な親水基を持つだけでなく、その繊維内には多数のフ
ィブリルやボイドを有するため吸湿性に寄与する表面積
が極めて大きいこと、そしてこのことが吸湿率及び吸湿
速度に高い性能を付与し、且つ水分の移動を容易にして
快適性に寄与している事を知った。
【0011】本発明者らは、かかる知見を基に更に鋭意
検討した結果、芯部にフィブリル及び/又はボイドを有
する親水性ポリマーを配し、一方鞘部には芯部まで連続
する微細孔を有するポリエステルを配することにより、
吸湿性及び吸湿速度と、ポリエステル繊維が有する風合
及び種々の特性とを同時に満足させ得ることを見い出し
、本発明に到達したものである。
【0012】すなわち、本発明によれば、アルカリ化合
物及び/又は水により溶出可能な成分を含有する融点が
160℃以上の熱可塑性で且つ高吸湿性のポリマーを芯
成分とし、ポリエステルを鞘成分とする芯鞘型複合繊維
であって、該複合繊維の鞘部には繊維横断面に散在し、
繊維軸方向に配列し且つその少なくとも一部は芯部まで
貫通している微細孔が存在していると共に、芯部には溶
出可能な成分の少なくとも一部が溶出されることによっ
て形成されたボイド及び/又はフィブリルが存在するこ
とを特徴とする吸湿性繊維が提供される。
【0013】まず、本発明の吸湿性繊維を構成する芯成
分は、高吸湿性と高吸湿速度を付与する成分であり、親
水性に優れているとともにフィブリル及び/又はボイド
を含有することによって大きな表面積を有していること
が必要である。また、主成分となる熱可塑性で吸湿性の
ポリマーは、融点が160℃以上、好ましくは170℃
以上、特に好ましくは200℃以上でなければならない
。本発明の吸湿性繊維は、織編物等の布帛となした後、
熱セット工程や染色工程等を通過するが、ポリエステル
繊維においては160℃以上、例えば170〜180℃
の温度で熱セットされる。また、着用時においても洗濯
とともにアイロン掛けが行なわれるが、アイロン温度は
通常160℃以上で行なわれる。したがって、親水性ポ
リマーの融点が160℃未満の場合には、上記プロセス
によってフィブリルやボイドが押しつぶされたり溶着し
たりして内部表面積が小さくなり、吸湿速度が大巾に低
下することになるので好ましくない。
【0014】好ましく用いられる熱可塑性高吸湿性ポリ
マーとしては、ポリアミド系ポリマー例えばナイロン4
(融点266℃,吸湿率14%)、ナイロン6(融点2
20℃,吸湿率6.7%)、ポリエチレングリコール等
のポリオキシアルキレングリコールを少量共重合したポ
リアミド、アミド結合の一部水素をメトキシメチル基で
置換したポリアミド等を例示することができ、これらは
2種以上を併用してもよい。
【0015】本発明においては、かかる熱可塑性高吸湿
性のポリマーに、アルカリ化合物及び/又は水により溶
出可能な成分を配合していることが必要である。かくす
ることにより、後述する如く鞘部に形成される芯部まで
貫通する微細孔を通してアルカリ化合物及び/又は水が
接近することができるため、ポリエステルにおいて一般
的に行なわれる風合向上のためのアルカリ減量処理工程
、または120〜130℃で行なわれる染色工程で、芯
部の溶出可能成分を溶出することができる。その結果、
芯部にボイド及び/又はフィブリルか形成され、芯部中
の内部表面積は一挙に増大し、前述のとおり吸湿速度及
び吸湿率は一段と向上するのである。
【0016】好ましく用いられる水により溶出可能な成
分としては、例えばポリエチレングリコール,ポリプロ
ピレングリコール,ポリエチレン/プロピレングリコー
ル共重合物などのポリオキシアルキレングリコール、N
−メトキシメチル化ナイロンなどの有機重合体、蓚酸金
属塩、有機スルホン酸の金属塩等を例示することができ
る。また、アルカリにより溶出可能な成分としては、ポ
リエステル類、特にポリオキシアルキレングリコール,
5−ソジウムスルホイソフタル酸等を多量に共重合した
易アルカリ分解溶出性のポリエステル類をあげることが
できる。
【0017】かかるアルカリ化合物及び/又は水により
溶出可能な成分の芯成分全体に対する添加量は5〜40
重量%、好ましくは10〜30重量%とするのが望まし
い。5重量%未満の場合ではボイドやフィブリルの形成
量が少なすぎるため、芯部内でボイドが独立相として存
在する場合が多く、ボイド及びフィブリルの連続相がと
ぎれ、かつその表面積も小さくなって吸湿速度が低下す
る傾向にある。一方40重量%を越える場合には、ボイ
ド及びフィブリルの量は充分になるものの、吸湿性のポ
リマー成分が少なくなること、及び吸湿性のポリマーと
水又はアルカリ化合物により溶出可能な成分との間に相
転移を生じ易くなることから、製糸時に張力が不均一に
掛るようになって曵糸性が低下することとなる。
【0018】なお、前記吸湿性ポリマーと可溶出性成分
の粘度比は、溶出処理後のボイドの径及びフィブリルの
径に大きな影響を与える。可溶出性成分の粘度が低い場
合にはフィブリル径は細くなる傾向にあり、逆に粘度が
高くなるとフィブリル径は大きくなる傾向にある。しか
るに、フィブリル径が細い場合には染色・熱処理等の工
程で吸湿性ポリマー成分の可塑化が起り易くフィブリル
のつぶれが発生し易くなるので、可溶出性成分の粘度を
大きくする方が望ましい。好ましくは、可溶出性成分粘
度/親水性成分粘度(溶融紡糸温度において)は、1.
0以上、特に1.5以上とするのが望ましい。
【0019】次に本発明の吸湿性繊維を構成する鞘成分
は、ポリエステル固有の風合と特性とを持つとともに、
水蒸気及び水を芯の吸湿性成分に速やかに移動せしめる
構造を有している必要がある。そのため、鞘部はポリエ
ステルからなり、且つその横断面鞘部に存在し、繊維軸
方向に配列し、その少なくとも一部が芯部まで貫通して
いる微細孔が存在している必要がある。
【0020】かかる微細孔をポリエステル鞘部に形成す
る方法は限定する必要はないが、特にポリエステルの合
成中に特定量の下記一般式(I)
【0021】
【化2】 で表わされる化合物を添加して得た変性ポリエステルを
鞘成分として溶融紡糸した後、得られた芯鞘型複合繊維
をアルカリ水溶液で処理して変性ポリエステルの一部を
除去する方法が好ましい。かくして得られる複合繊維の
鞘部に形成される微細孔は、その直径が0.01〜2μ
mの範囲にあり、且つその長さも長いものでも直径の2
0倍止まりであるため、水蒸気の通過には充分なものの
、鞘部のフィブリル化は起り難く、繊維の力学的特性は
悪化しないといった特徴を有する。また、かかるアルカ
リ水溶液の処理により、同時に芯部の可溶出性成分を溶
出することができ、芯部にボイド及び/又はフィブリル
が形成されるといった利点もある。
【0022】なお、本発明でいうポリエステルとは、テ
レフタル酸を主たる酸成分とし、エチレングリコール、
トリメチレングリコール、又はテトラメチレングリコー
ルを主たるグリコール成分とするポリエステルを主たる
対象とする。また、テレフタル酸成分の一部を他の二官
能性カルボン酸成分で置換えたポリエステルであっても
よく、及び/又はグリコール成分の一部を他のジオール
成分で置換えたポリエステルであってもよい。
【0023】かかるポリエステルに配合するスルホン酸
化合物は、下記一般式(I)で表わされ、
【0024】
【化3】 式中M1 及びM2 は金属であり、M1 としては特
にアルカリ金属,アルカリ土類金属,Mn1/2 ,C
o1/2又はZn1/2 が好ましく、なかでもLi,
Na,K,Ca1/2 ,Mg1/2 が特に好ましく
、M2 としては特にアルカリ金属又はアルカリ土類金
属が好ましく、なかでもLi,Na,K,Ca1/2,
Mg1/2 が特に好ましい。M1 及びM2 は同一
でも異なっていてもよい。nは1又は2である。Yは水
素原子又はエステル形成性官能基であり、官能基として
は−COOR’’’ (但し、R’’’ は水素原子、
炭素数1〜4のアルキル基又はフェニル基)又は−CO
−[O(CH2 )q ]−p OH(但し、qは2以
上の整数、pは1以上の整数)等が好ましい。
【0025】かかるスルホン酸化合物の好ましい具体例
としては、3−カルボメトキシ・ベンゼンスルホン酸N
a−5−カルボン酸Na,3−カルボメトキシ・ベンゼ
ンスルホン酸Na−5−カルボン酸K,3−カルボメト
キシ・ベンゼンスルホン酸K−5−カルボン酸K,3−
ヒドロキシエトキシカルボニル・ベンゼンスルホン酸N
a−5−カルボン酸Na,3−カルボキシ・ベンゼンス
ルホン酸Na−5−カルボン酸Na,3−ヒドロキシエ
トキシカルボニル・ベンゼンスルホン酸Na−5−カル
ボン酸Mg1/2 ,ベンゼンスルホン酸Na−3,5
−ジカルボン酸Na,ベンゼンスルホン酸Na−3,5
−ジカルボン酸Mg1/2 等をあげることができる。
【0026】上記スルホン酸化合物は1種のみ単独で使
用しても、また2種以上併用しても良いが、その配合量
は、ポリエステルの酸成分に対して0.3〜15モル%
とするのが好ましい。0.3%未満の場合には、芯部ま
で貫通した微細孔を形成し難く、一方15モル%を越え
る場合には微細孔の径が大きくなったり、その数が多く
なりすぎて繊維の力学的特性が不充分となり易い。
【0027】また添加時期は、ポリエステルを複合繊維
に溶融紡糸する紡糸工程が終了する以前の任意の段階で
よく、例えばポリエステルの原料中に添加配合しても、
ポリエステルの合成中に添加しても、また合成終了後か
ら溶融紡糸するまでの間に添加してもよい。いずれにし
ても、添加後溶融状態で混合されるようにするのが好ま
しい。
【0028】かくして得られる複合繊維から変性ポリエ
ステルの一部を除去するには、必要に応じて延伸熱処理
又は仮撚加工等を施した後、又は布帛にした後アルカリ
化合物の水溶液に浸漬処理すればよい。
【0029】ここで使用するアルカリ化合物としては水
酸化ナトリウム,水酸化カリウム,テトラメチルアンモ
ニウムハイドロオキサイド,炭酸ナトリウム,炭酸カリ
ウム等をあげることができる。なかでも水酸化ナトリウ
ム,水酸化カリウムが特に好ましい。
【0030】かかるアルカリ化合物の水溶液の濃度は、
アルカリ化合物の種類、処理条件等によって異なるが、
通常0.01〜40重量%の範囲が好ましく、特に0.
1〜30重量%の範囲が好ましい。処理温度は常温〜1
00℃の範囲が好ましく、処理時間は1分〜4時間の範
囲で通常行なわれる。また、このアルカリ化合物の水溶
液の処理によって溶出除去する変性ポリエステルの量は
、鞘成分繊維重量に対して5重量%以上の範囲にすべき
である。このようにアルカリ化合物の水溶液で処理する
ことによって、複合繊維の鞘部繊維横断面に散在し、繊
維軸方向に配列し且つその少なくとも一部は芯部まで貫
通している直径が略0.01〜2μm、長さは直径の2
0倍以下の微細孔が形成され、優れた吸湿性を呈するよ
うになる。
【0031】なお、本発明の吸湿性繊維には、その鞘部
及び芯部いずれにも必要に応じて任意の添加剤、例えば
触媒,着色防止剤,耐熱剤,難燃剤,螢光増白剤,艶消
剤,着色剤,無機微粒子等を添加しておいてもよい。
【0032】次に本発明の吸湿性繊維を構成する芯部と
鞘部の複合比率は、重量比で70/30〜30/70の
範囲が好ましい。芯の比率が70%を越える場合には、
ポリエステル成分が不足してポリエステルが有する性能
及び風合が低下することとなり、一方鞘成分の比率が7
0%を越える場合には、吸湿性を高く保つことが難しく
なるので望ましくない。特に好ましい範囲は60/40
〜40/60である。
【0033】
【発明の作用及び効果】繊維への水の吸着量は親水性基
の量に依存するが、吸着速度は表面積の大きさに依存す
る。一方快適性は体表面での水分の蓄積量すなわちむれ
が問題となるのであって、すばやく水又は水蒸気を布帛
が吸収して体表面の湿度を低下させることが快適性につ
ながるのである。したがって、いかに吸湿性の高い繊維
であっても、その吸湿速度が多いものでは、体表面から
の発汗に対して応答が遅く、結果として体表面での湿度
は高い状態が長くなり、不快感が持続して快適ではなく
なるのである。
【0034】これに対して、本発明の吸湿性繊維は、芯
部にはボイド及び/又はフィブリルがあって極めて表面
積の大きい高吸湿性ポリマーが存在するため、しかも鞘
部には貫通した微細孔が存在して芯部と外気が直接接触
しているため、極めて速い吸湿速度と大きな吸湿率を有
している。さらには、鞘部はポリエステルから構成され
ているため、ポリエステルのもつ機能及び風合も兼ね備
えた布帛を提供することができるのである。
【0035】
【実施例】以下に実施例をあげてさらに詳細に説明する
。なお、吸湿率及び吸湿速度は以下の方法に従った。
【0036】縦10cm×横10cmの布帛サンプルを
2枚採取し、50℃で1.5時間予備乾燥した後、12
0℃下4時間真空状態で乾燥し、次いで20℃90%R
Hに調温調湿されたチャンバー内に設置された上皿天秤
上にサンプルを置き、重量変化を求めて時間と吸湿率の
間にほぼ直線関係がある3分経時後の吸湿率より毎分あ
たりの吸湿率(吸湿速度)を求めた。さらに100時間
放置して平衡水分率を求め、その値を吸湿率とした。
【0037】
【実施例1】ナイロン6(融点222℃)80重量部と
平均分子量20000のポリエチレングリコール20重
量部との混合物を芯成分とした。
【0038】一方、鞘成分の変性ポリエステルは以下の
如くして合成した。テレフタル酸ジメチル197部,エ
チレングリコール124部,ベンゼンスルホン酸ナトリ
ウム−3,5−ジカルボン酸Mg1/2 を1.2部,
酢酸カルシウム1水塩0.118部を精留塔付ガラスフ
ラスコに仕込んでエステル交換反応せしめ、次いで安定
剤としてトリメチルホスフェート0.112部及び重縮
合触媒として三酸化アンチモン0.079部を加え、温
度280℃で常圧下20分、30mmHgの減圧下15
分反応させた後高真空下で80分間反応させた。最終内
圧は0.38mmHgであり、得られた変性ポリエステ
ルの極限粘度は0.600、軟化点は258℃であった
【0039】芯鞘型複合繊維用の紡糸口金を用い、芯成
分を0.63g/分・孔及び鞘成分を0.63g/分・
孔の割合で、径0.2mmの円形の紡糸孔から芯鞘型に
複合して吐出した(複合比50/50)。なお、吐出孔
数は24とした。紡出糸条は1500m/分の速度で捲
きとり、次いで常法に従って2.4倍に延伸し、76デ
ニール/24フィラメントのマルチフィラメントを得た
【0040】得られたマルチフィラメントをメリヤス編
地となし、常法により精練乾燥後、沸騰状態(100℃
)に保たれた50g/lの苛性ソーダ水溶液に浸漬し、
処理時間を10〜100分と変えて減量処理を行なった
。このアリカリ減量時間と減量率の関係を図1に示す。 この図には、減量時間の短い間は時間に比例して減量率
は直線a上を増加し、60分以上の時間では直線b上を
増加し、減量率15%を境として減量速度が変わってい
ることが示されており、このことから、この屈曲点にお
いて、鞘部に形成された微細孔の一部が芯部に到達し、
芯部のポリエチレングリコールの溶出が始まり芯部にボ
イド及び/又はフィブリルが形成されはじめたことがわ
かる。すなわち、屈曲点以降では、直線a′が鞘成分の
ポリエステルの減量に基づくものであり、直線bと直線
a′との差が芯部にボイド及び/又はフィブリルが形成
されたためのものである。
【0041】また、アルカリ減量処理後の繊維の断面及
び表面を電子顕微鏡で観察したところ、鞘部には径0.
01〜2μmの微細孔が形成されており、減量時間60
分を越えるものでは芯部にもボイドが形成されているこ
とが確認された。
【0042】かくして得られた試料を130℃下20分
常法に従って染色した後乾燥し、これについて吸湿速度
及び吸湿率の測定を行ない結果を表1に示した。なお、
吸湿速度は、図2に示す吸湿時間と吸湿率との関係より
、前記の如くして求め、また図1のアルカリ減量曲線を
基にアルカリ減量後のポリエステル成分,ナイロン成分
及びポリエチレングリコール成分の組成を求め、各成分
の平衡吸湿率としてナイロン6:6.7%,ポリエチレ
ングリコール:20%,ポリエステル:0.5%を用い
繊維の吸湿率(計算値)として求めた。
【0043】
【表1】 図2及び表1から明らかなように、芯部に未だボイドや
フィブリルの形成がないNo.1〜No.5の繊維は吸
湿速度が遅くかつ平衡吸水率も小さいが、芯部の溶出に
ともないフィブリル又はボイドが形成されているNo.
6〜No.10 においては吸湿速度及び平衡吸湿率が
極めて向上している。
【0044】
【実施例2】実施例1において、芯成分に用いられる溶
出可能成分としてポリエチレングリコールに代えて5−
ソジウムスルホイソフタル酸成分を10モル%共重合し
たポリエチレンテレフタレートを使用する以外は実施例
1と同様にした。得られた結果を表2に示す。なお、上
記共重合ポリエチレンテレフタレートの吸収率は1.0
%として吸湿率の計算値を求めた。
【0045】
【表2】 表2から明らかなように、減量率15%を越えるNo.
6〜10においては、減量速度が変化して芯部にボイド
又はフィブリルが形成されたと推定され、吸湿速度及び
吸湿率が極めて向上している。
【0046】
【実施例3】熱可塑性で且つ吸湿性のポリマーとしてナ
イロン4(融点266℃)を用いる以外は実施例1と同
様にして吸湿性繊維の布帛を得た。この評価結果を表3
に示す。なお、吸湿率の計算値を求めるに際してナイロ
ン4の吸湿率は14%とした。
【0047】
【表3】 表3からも明らかなように、No.1〜5 は芯部にボ
イド及びフィブリルが形成されていないために吸湿速度
及び吸湿率は低いが、No.6〜10は鞘部に貫通した
微細孔が且つ芯部にはボイド又はフィブリルが形成され
て吸湿速度及び吸湿率が極めて向上している。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1における、アルカリ減量処理時間と減
量率との関係を示すグラフである。
【図2】実施例1における減量処理後の布帛の吸湿時間
と吸湿率との関係を示したグラフである。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】アルカリ化合物及び/又は水により溶出可
    能な成分を含有する融点が160℃以上の熱可塑性で且
    つ高吸湿性のポリマーを芯成分とし、ポリエステルを鞘
    成分とする芯鞘型複合繊維であって、該複合繊維の鞘部
    には繊維横断面に散在し、繊維軸方向に配列し且つその
    少なくとも一部は芯部まで貫通している微細孔が存在し
    ていると共に、芯部には溶出可能な成分の少なくとも一
    部が溶出されることによって形成されたボイド及び/又
    はフィブリルが存在することを特徴とする吸湿性繊維。
  2. 【請求項2】熱可塑性で且つ高吸湿性のポリマーがポリ
    アミド系ポリマーである請求項1記載の吸湿性繊維。
  3. 【請求項3】アルカリ及び/又は水により溶出可能な成
    分がポリオキシアルキレングリコールである請求項1記
    載の吸湿性繊維。
  4. 【請求項4】鞘成分のポリエステルが、下記一般式(I
    ) 【化1】 で表わされるスルホン酸化合物の少なくとも一種を、ポ
    リエステルの酸成分に対して0.3〜15モル%添加し
    てなるポリエステルである請求項1記載の吸湿性繊維。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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EP0544249A2 (en) * 1991-11-25 1993-06-02 Teijin Limited Polyamide fibers and process for making polyamide fabric

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP0544249A2 (en) * 1991-11-25 1993-06-02 Teijin Limited Polyamide fibers and process for making polyamide fabric
US5306761A (en) * 1991-11-25 1994-04-26 Teijin Limited Hygroscopic polyamide fiber

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