JPH04284402A - 新規なる位相差補償シート - Google Patents

Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、液晶表示装置に用いら
れる位相差補償シートに関する。

【０００２】

【従来の技術】ＳＴＮ（Ｓｕｐｅｒ　　Ｔｗｉｓｔｅｄ
　　Ｎｅｍａｔｉｃ）の液晶ディスプレイにおいて白黒
表示を実現するためには、ＳＴＮ液晶の複屈折性による
着色を除く必要性がある。この方法として、光学補償用
の液晶セルをさらに重ねて液晶の着色を消す２層セル方
式が実用化されているが、光学補償用液晶セルは高価で
あり、また装置が厚く重くなり、光線の透過率が低下し
、より強い光源を必要とするなどの欠点を有する。

【０００３】このような２層セル方式の欠点を解決する
方法として、光学補償用の液晶セルと同等の光学的特性
をもった高分子シートで置き換える方法があるが、この
様な光学特性をもった高分子シート（以後、位相差補償
シートと呼ぶ）は、複屈折特性を持ち透明度の高いシー
トであることが必要である。従来の位相差補償シートの
製造方法としては、ベースとなるシートを加熱後又は、
加熱しながら引張延伸法等で延伸成形することによって
作られる。

【０００４】縦方向と横方向の延伸割合の差で光の複屈
折率差（△ｎ）を持たせる。これに、シートの厚みｄを
掛けた数値、レターデーションＲ＝△ｎ・ｄを補償する
液晶セルと同じに合わせる。これまで、合成樹脂の異方
性配向シートから成る位相差補償シートについては、各
種合成樹脂について報告されており、例えば、ポリカー
ボネート樹脂の補償シートについては、特開昭６３−１
８９８０４号、特開昭５６−１３０７０３号、特開昭６
３−２６１３０２号各公報等に報告されている。

【０００５】更に、ポリオレフィンからなる位相差補償
シートについては、特開昭６０−２４５０２号公報に報
告されている。これ等の既に報告されている位相差補償
シートでは未だ満足されていない性質がいくつかあるが
、最近特に要求されている特性は、液晶の光学特性の温
度変化と類似の性質を有する位相差補償シートである。

【０００６】すなわち、液晶の複屈折の温度変化と、位
相差補償シートの複屈折の温度変化が似ていることが要
求されている。液晶は温度の上昇によりレターデーショ
ンがかなり大きく低下するため、同様な傾向を示す位相
差補償シートが要求されている。これが達成できれば、
広い温度範囲で、コントラスト比の高い良好な液晶表示
ができる。

【０００７】又、上記の位相差補償シートは、該位相差
補償シートに対して垂直に見た場合の位相差を補償する
ものであるが、液晶で発生する位相差は、液晶セル及び
位相差補償シートに対して垂直に見た場合と、斜めに見
た場合とで異なる。即ち、液晶セル及び位相差補償シー
トに対して垂直に見ても、斜めに見ても、同様に位相差
補償がなされることが好ましい。現状ではこれに差を生
じてしまっている問題がある。本発明はシート面方向に
は均一多軸配向されており、シート厚み方向の屈折率の
みを変化させた視野角を広げる位相差補償シートにも係
る。

【０００８】

【発明が解決すべき課題】本発明の目的は、上記のよう
な問題点を解決した良好な複屈折特性をもった位相差補
償シートを提供することである。

【０００９】

【課題を解決するための手段】本発明は、４−メチルペ
ンテン−１を主体とした重合体を延伸配向せしめた位相
差補償シートである。すなわち、異方性配向あるいは均
一多軸配向せしめた上記シートであり、更に架橋した後
に延伸配向せしめた上記シートである。以下に本発明に
ついて詳細に説明する。

【００１０】本発明者らは、各種ポリマーを用いて、延
伸配向シートを試作したところ、４−メチルペンテン−
１を主体とした重合体の延伸配向シートは、レターデー
ションの温度変化が大きく、ＳＴＮ液晶のレターデーシ
ョンの温度変化に合わせるには好適であることを発見し
本発明に到った。本発明に述べるシートとは、シートあ
るいはフィルムを意味し、一般には０．００５〜２ｍｍ
厚程度のシートであり、好ましくは０．０２〜１ｍｍ厚
である。

【００１１】本発明に述べる４−メチルペンテン−１を
主体とした重合体とは、４−メチルペンテン−１が５０
重量％以上、好ましくは６０重量％以上、更に好ましく
は７０重量％以上含まれた重合体であり、ホモポリマー
、コポリマー、ブレンド等必要に応じて選択できる。 ４−メチルペンテン−１と共重合されるモノマーは、エ
チレン、プロピレン、ブテン、ペンテン、ヘキセン−１
、スチレン、Ｃ５　〜Ｃ１８のα−オレフィンが良好に
使用できる。ペンテン−１とのコポリマーは、ペンテン
−１含有量が２７％で全光線透過率は９４％となる。

【００１２】共重合体は共重合成分の増加により、非結
晶成分が増加し、融点も低下する。ポリ−４−メチルペ
ンテン−１の融点は２３５℃であるが、１９．３％ヘキ
セン−１含有共重合体の融点は２１７℃まで低下する。 本発明では共重合ブレンド共に、樹脂の全光線透過率が
大巾に低下しない範囲で使用できる。本発明のシートは
全光線透過率が８０％以上であることが好ましい。又、
延伸配向されたシートは加熱収縮を開始する温度が６０
℃以上、好ましくは７０℃以上であることが好ましく、
この範囲で共重合成分及びその量、ブレンド成分及びそ
の量が選択される。本発明シートの成形上からは、若干
の共重合成分を配合して、成形加工性を向上し、更にシ
ートの透明度を向上させた共重合体が好ましい。

【００１３】本発明に述べる延伸配向された配向シート
とは、一軸方向、二軸方向、あるいは多軸方向に配向し
たシートを言い、異方性配向シートは後述の方法で求め
たＤ（主配向方向での延伸倍率）とｄ（主配向方向に垂
直な方向での延伸倍率）が等しくない。主配向方向とは
シート面内で延伸倍率が最大な方向である。この主配向
方向を求める方法は図１（ａ）に示した様に、延伸後の
シートに円及びその中心Ｏを描き、そのシートを加熱収
縮させた後の図形、同図（ｂ）において、中心からの距
離が最小になる点Ｐと中心Ｏを結ぶ直線ＯＰの方向が主
配向方向である。

【００１４】主配向方向での延伸倍率Ｄの平均値Ｄ、主
配向方向に垂直な方向での延伸倍率ｄの平均値ｄの求め
方は次の様である。図２（ａ）に示した様に、主配向方
向に平行及び垂直な方向に辺を持つ長方形の試験片を作
り、この上に主配向方向に平行及び垂直な線分を等間隔
に各１０本以上描く。そしてこのシートを加熱収縮させ
た後の図形、同図（ｂ）各線分の長さで収縮前の線分の
長さを割ることにより各線分におけるＤ及びｄが求める
。

【００１５】すなわち、 Ｄｎ＝Ａｎ　　Ｂｎ／Ａ′ｎＢ′ｎ（ｎ＝１〜１０）ｄ
ｎ　＝ａｎ　　　ｂｎ　／ａ′ｎ　ｂ′ｎ　（ｎ＝１〜
８）及び ｄ９　＝Ａ１　Ａ１０／Ａ′１　Ａ′１０　　、ｄ１０
＝Ｂ１　Ｂ１０／Ｂ′１　Ｂ′１０　　、である。こう
して求めたＤ、ｄの平均値がＤ（ａｖ）、ｄ（ａｖ）で
ある。

【００１６】本発明の異方性配向シートにおいて、一軸
方向に配向されたシートとは、Ｄ（ａｖ）＞１．０かつ
ｄ（ａｖ）＝１．０のものをいい、二軸方向に配向され
たシートとは、Ｄ（ａｖ）＞１．０かつｄ（ｓｖ）＞１
．０のものをいう。本発明において、異方性配向シート
はＤ（ａｖ）／ｄ（ａｖ）の値が、１．１≦Ｄ（ａｖ）
／ｄ（ａｖ）≦１０．０を満たすことが好ましい。 Ｄ（ａｖ）／ｄ（ａｖ）＜１．１では異方性配向シート
とならず、Ｄ（ａｖ）／ｄ（ａｖ）＞１０．０において
は均一に延伸することが困難になる。

【００１７】更に好ましくは、１．３≦Ｄ（ａｖ）／ｄ
（ａｖ）≦８．０であり、最も好ましくは、１．５≦Ｄ
（ａｖ）／ｄ（ａｖ）≦６．０である。本発明の均一多
軸配向シートとは、該シートの厚みをｄ、該シートの平
面（Ｘ−Ｙ平面）上の各方向の最大の屈折率をｎｍａｘ
　、最小の屈折率をｎｍｉｎ、該シートの厚み方向（Ｚ
方向）の屈折率をｎｚ　とすると、 を満たす光学シートである。好ましくは、値の１０倍以
上、更に好ましくは１５倍以上である。

【００１８】本発明では延伸配向する前に架橋すること
により、更に良好な本発明シートが得られる。すなわち
、架橋された熱可塑性樹脂は延伸成形の際の加熱温度に
差が生じても、延伸倍率及び異方性が等しければ、分子
の配向度に差が生じにくい。これに対して未架橋の溶融
成形可能な樹脂の場合、分子差の絡みが少なく、延伸時
にすぬけが生じやすく、延伸成形の際の加熱温度に差が
生じたとき、延伸倍率異方性が等しくても、分子の配向
度に差が生じやすい。この結果、均一な配向度をもった
配向シートを得ようとしたとき、未架橋熱可塑性樹脂の
場合に比べ、架橋された熱可塑性樹脂は容易となる。

【００１９】本発明のシートを延伸するに先立ち、架橋
シートを成形する。無架橋の熱可塑性樹脂を押出成形等
の方法でシートを成形し、該シートに電子線等を照射し
て架橋する方法は良好に使用できる。電子線による架橋
を良好に行わせるため、４−メチルペンテン−１を主体
とした重合体にはトリアリルシアヌレート等の架橋促進
剤を配合することが好ましい。

【００２０】好ましい架橋は、押出成形によりシート状
に成形されたシートに電子線等を照射して、ゲル分率１
〜９０重量％に架橋したシートである。ここに述べるゲ
ル分率とは室温で樹脂の溶剤に溶解した後に、不溶分と
して残るゲル成分の割合である。ゲル分率は樹脂の種類
、シートの厚さ、電子線の照射量により調節できる。 ゲル分率が９０重量％を越えると延伸配向が困難になり
、ゲル分率が１重量％以下では効果が少く好ましくは５
〜８０重量％、更に好ましくは１０〜６０重量％である
。

【００２１】配向シートのレターデーションの温度変化
率は素材ポリマーの分子構造に依存し、温度と分子運動
の関係が大きく作用する。４−メチルペンテン−１を主
体とする重合体からなる配向シートが、ＳＴＮ液晶と同
じ負のレターデーション温度変化率を示す理由は、この
様な大きな側鎖をもつポリマーは、延伸すると、主鎖と
側鎖の分極率の異方性により、延伸軸方向の屈折率（Ｎ
ｘ）がこれに直角方向の屈折率（Ｎｙ）に比べ小さい負
の１軸性を示すが、Ｎｙの大きさを決定する主因子であ
る側鎖のメチル基が室温域で回転可能なため、ガラス転
移点以下で、温度の上昇と共にＮｘは変わらず、Ｎｙだ
けが小さくなり、面内主屈折率差（△ｎ＝Ｎｙ−Ｎｘ）
が温度上昇と共に小さくなるからであると考えられる。

【００２２】ポリマーのブレンド比、或いは重合比は、
配向シートを位相差補償シートにした際のレターデーシ
ョン値、及びその使用形態で異なり、位相差補償シート
を１枚構成で用いる場合は、１枚で、複数構成で用いる
場合は複数重ねた状態で、レターデーションの温度変化
率が光学補償するＳＴＮ液晶セルの特性にほぼ合うよう
に最適に設定されることが好ましい。

【００２３】位相差補償シートを複数枚積層して用いる
場合、互に異なる光学特性を有するシートを適度に選択
して用いることが好ましい。積層体は正の１軸性と負の
１軸性を示すポリマーの組合せが特に好ましい。お互い
の遅相軸、または進相軸をほぼ合わせて貼合わせた形態
に於いて、レターデーションの仰角依存性がお互いに逆
の特性になるため、キャンセル効果により、レターデー
ションの仰角依存性の小さい、ＳＴＮ液晶の特性に近い
位相差補償シートが得られ、液晶表示画面を斜めから見
た時の表示性能改善にも効果があるからである。

【００２４】好ましい積層の具体例は、本発明シート／
ポリカーボネート位相シート、本発明シート／ポリビニ
ルアルコール位相シート等である。本発明の位相差補償
シートは、従来のブルーモード、イエローモードのＳＴ
Ｎ液晶表示を白黒モードにするための光学補償素子とし
て用いられ、レターデーション値は１００〜１０００ｎ
ｍの範囲にあることが好ましい。レターデーションの温
度変化率は、補償するＳＴＮ液晶の温度変化率との差が
、使用温度０〜５０℃に於いて１５％以下であることが
好ましく、更に好ましくは１０％以下であり、広温度環
境化で高品位の表示画面が得られる。

【００２５】ポリ４−メチルペンテン−１あるいは微小
の共重合成分を含む共重合体から成る本発明シートはこ
れまで述べてきた複屈折特性に優れている上に、耐熱性
が高く、透明性に優れ、耐溶剤性にも優れ、非常に好ま
しい位相差補償シートである。従来、一般に知られてい
るポリオレフィンのポリエチレン、ポリプロピレンの位
相差補償シートと本発明位相シートは、１軸延伸シート
では延伸方向の進相軸と遅相軸が逆であり、多軸延伸シ
ートでは厚み方向の屈折率とシート面方向の屈折率の大
小が逆であり、従来のポリオレフィン位相差補償シート
からは全く類推できない。

【００２６】

【実施例】三井石油化学工業（株）製のＴＰＸ樹脂（４
−メチルペンテン−１を主体とした重合体）を押出成形
により原板を成形し、次いで引張り法により約３倍に縦
一軸に引張延伸して本発明のシートを得た。本発明の複
屈折率特性及び各種性質を表１に示した。

【００２７】

【表１】

【００２８】該シートのレターデーションの温度変化率
は−２．２５ｎｍ／℃であった。レターデーションの温
度依存性がほとんどないポリビニルアルコールの位相差
補償シートと上記本発明シートを積層して、レターデー
ションの絶対値が５００〜６００ｎｍで、温度変化率が
負である位相差補償シートは、ＳＴＮ液晶の位相差補償
シートとして優れたものであった。

【００２９】

【発明の効果】本発明により、液晶表示装置に用いられ
る精密な位相差補償シートとして良好に使用できる。す
なわち、広い温度範囲でコントラスト比の高い良好な液
晶表示ができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の異方性配向シートの主配向方向を求め
る方法を示したものである。

【図２】延伸倍率のＤ及びｄの平均値Ｄ（ａｖ）、ｄ（
ａｖ）を求める方法を示したものである。図１、図２い
ずれも（ａ）は本発明の延伸シート試験片、（ｂ）は加
熱収縮後の試験片である。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】　　４−メチルペンテン−１を主体とした
   重合体を延伸配向せしめた位相差補償シート。