JPH0427926B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ この発明は、木粉、籾殻粉あるいはバカス粉等
のセルロース系微分骨材を含有する樹脂プレート
あるいはシートないしはフイルム類における内部
残留応力を取除き、合板面に対する確実な積層一
体化を期して、反り出し、歪出しのない床材ある
いは壁材等の提供をなすものである。

［従来技術及びそれが有している課題］ 近時、良質の天然木材の払底に伴い合板その他
の合成建材ないしは貼合せ建材の改良がなされ、
多方面に亘り使用されるにいたつているものであ
る。

かゝる建材類は、通例雑木類ないしは木目等の
良くない木材類の貼合せ、合板ないしは木材破砕
屑類の圧縮板として提供されたものであるが、天
然木材よりなる建材に比し外観が著しく劣り、又
耐水性、耐久性においても多くの不都合を有して
いた。

特に、建材類の特長よりして木質状の外観を有
する居住空間を形づくることは、家屋構造あるい
は家具等との調和の問題にとどまらず、親しみ易
く、落ついた居住空間とする点においても重要な
ものとされ、前記の合板あるいは圧縮板の表面に
木目模様を印刷し、あるいは木目模様を印刷され
た塩化ビニルフイルムを貼合せて、外観を自然な
天然板材風に模した製品が提供されるにいたつて
いる。

又、一方において、建材類としての樹脂成形物
も多方面に亘り使用され、樹脂成形材としての利
点が効果的に利用されてきたものであるが、一般
的に合成樹脂成形物は、使用素材との関係、成形
条件との関係より成形物組成内に粗密等の組成に
バラつきと、成形時の成形条件による内部応力の
残留を生じ、かゝる残留内部応力の問題は、成形
後の冷却収縮あるいは経年的な収縮ないしは温度
変化に伴う膨縮において成形物に反り出し、捻れ
出し等の問題を生じたものである。

かゝる成形物における反り出し、捻れ出し等を
防止する一つの手段として樹脂成形物に各種の骨
材を混入することが試みられ、夫々の使用目的に
より相当の効果を生ずることが認められたもので
ある。

しかし乍ら、樹脂成形物が板材等である場合に
は、かゝる骨材の混入をもつても成形物の歪みを
全面的に是正することが難しく、往々にして反り
出し、捻れ出し等の問題を生じたものである。

又、従前における合板あるいは圧縮板類におい
ては耐久性、耐水性に劣り、比較的短期間内に腐
蝕する等の不都合を有すると共に、いかにも天然
木風の木目の模倣をなしているとの点が明瞭であ
り、建造物自体に安物のイメージをもたらしたも
のである。

更に、樹脂成形物に多量のセルロース系骨材を
混入した場合、この混入骨材が成形樹脂の流動性
を極端に阻害し、この結果、成形された樹脂成形
物中に予期以上の内部応力を残したものである。

かゝる内部残留応力をそのまゝ放置した場合、
成形物は、その応力の方向に合せて歪み出し、使
用上多くの不便がもたらしているものである。

かゝる残留内部応力は、セルロース系骨材の混
入に伴う成形樹脂の流動性の阻害が、成形樹脂に
脈動をもたらし、しかも、その残留応力の方向が
必ずしも一定していないことにより更に多くの不
都合をもたらしているものである。

又、かゝる残留内部応力の問題は、樹脂成形物
が二次的な加工を施される場合に更に顕著に現わ
れたものであつて、樹脂成形物のホツトプレス処
理等により再加工した場合、予想以上の反り出
し、捻れ出しを生じたものである。

［課題を解決するための手段］ この発明は、かゝる樹脂成形物に特に多量のセ
ルロース系骨材を有する樹脂成形板における残留
応力の除去をなし、そのまゝ利用し、あるいは更
に再加工の上利用する場合における成形板の歪み
を防止するべく、セルロース系の微粉骨材を有す
る熱可塑性成形板を所定条件下において加熱養生
し、この加熱養生された樹脂成形板表面の樹脂硬
化層部分がサンデイングされて内部応力が除去さ
れ且つ化粧表面を有する木質樹脂成形板を適宜の
合板上に添装、接着した方法により化粧合板の提
供をなしたものである。

この結果、合板面に積層された樹脂成形板は合
板面に密着した状態で半永久的に接着され、反り
出し、歪出しが一部防止されると共に木質様の良
好な外観が特に約束されたものである。

［実施例］ 以下、この本発明の典型的な一実施例を添付の
図面について説明する。

先ず前提とされる木質合成材の成形において混
入される骨材ａは、木質チツプ、パルプ、バカス
あるいは籾殻等のセルロース系の素材を気乾含水
率以内（でき得れば7wt％内）のものとし、素材
における組織の脆弱化を計つた後に、この組織内
に尿素系の樹脂液を添着、含浸させて100〜200℃
の温域内において加熱、乾燥と、破砕処理とを施
すものである。

かゝる尿素系樹脂液の添着、含浸、硬化と粉砕
とにより、個々の骨材ａが夫々に硬化した尿素形
樹脂材の部分を有し、これがセルロース系素材の
再吸湿の不都合を木酸ガスの蒸散を防止すると共
に骨材ａに適宜の滑性を付与したものである。

尚、かゝる骨材ａの処理は、樹脂成形におい
て、セルロース系骨材ａを樹脂素材に混入の上、
加熱成形をなした場合、混入骨材ａより多量の木
酸ガスと、水蒸気とが発生し、この木酸ガス並び
に水蒸気が成形機並びに製品に種々の悪影響をも
たらすことを考慮したものである。特に発生する
木酸ガスと水蒸気とは成形機のシリンダー、シリ
ンダーダイ、シリンダースクリユー等の腐蝕、被
傷をもたらし、又製品に気泡並びに表面の肌荒れ
をもたらす等の不都合を有したものである。

又、混入される骨材が尿素系の樹脂液をもつて
事前に硬化処理が施されたことよりして、混入骨
材における滑性が良好とされ、樹脂材との混りが
良好とされるのみならず、成形に際して成形機の
成形面との摩擦抵抗が少なく、良好な押出し、な
いしは射出を可能としたものである。

かくして提供される骨材ａは、基本的には100
メツシユ篩下〜200篩上メツシユの微細粉末とさ
れ、前記のロール成形等においては80メツシユ篩
下〜150メツシユ篩上程度とし、且つ、その含有
水分を5wt％以内、でき得れば3wt％以内として、
塩化ビニル樹脂、ABS樹脂、酢酸ビニル樹脂、
ポリカーボネート樹脂等の熱可塑性樹脂材ｂに20
〜80wt％の範囲内で混入して通例の樹脂成形を
なしたものである。

かくして押出し、あるいはロール成形等の任意
の方法をもつて成形されたプレート状、シート状
ないしはフイルム状の樹脂成形板Ａを60〜130℃
の温域内において24時間加熱した後、自然に冷却
することにより所謂熱処理（焼入れと称する。）
を施したものである。

かゝる熱処理の条件は、加熱条件を高温に設置
し、時間の短縮をなし得るものではなく、この発
明における骨材ａを20〜80wt％含有する木質合
成材においては70℃／24時間が最適とされたもの
である。

かゝる熱処理は通例内部応力の残り易い方法、
特に成形に際しての押出し方向に向けた収縮を強
制したものであつて、前記の条件において200cm
の板材中に20cm程度の縮みを板材の長手方向（幅
方向の縮みは極めて微小）にもたらしたものであ
る。

かゝる樹脂の焼入れは、木質合成材Ａの内部に
存する残留応力、組織部分の粗密等によつて生ず
る歪み出しを事前に引き出すものである。

かくして、収縮歪み等を極力引き出し、以降の
樹脂成形あるいは経年的な収縮に伴う木質合成板
の反り出し、捻れ出しと防止した木質合成板Ａの
表面スキン層であるｘ相当分をサンデイング処理
をもつて除去し、スキン層より内部に位置し、残
留内部応力が比較的無いとみられるｙ部分が直接
該表面として露呈したものである。

かゝる表面ｘ部分の削除は、図示例において明
らかなように樹脂材ｂの密となつている部分の削
除を意図としたものである。即ち、骨材ａを混入
した樹脂成形においては骨材が存在することによ
り樹脂材ｂが成形物の表面部分ににじみ出し、ス
キン層を作り出したものであり、この表面部分の
樹脂素材の組織密度は極めて高いものである。

又、かゝる樹脂材ｂの密部分である表面スキン
層は、成形に際しての樹脂成形素材の脈動に伴う
粗密あるいは流れ方向と、流れに対し直交する方
向との差に伴つて生ずる内部応力を特に残す部分
とされたものである。

従つて、この表面ｘ部分のサンデイング切除に
は特に意味があり、前記の焼入れ処理によつて充
分に歪を是正した木質合成板Ａより、この表面ｘ
部分が取除かれた場合、内部の残留応力は殆ど消
去されたものである。

又、このサンデイング処理において、サンデイ
ングされる木質合成板Ａの表面に掻傷ｇを設けた
ものであり、この掻傷ｇは、本質合成板Ａの一方
向、具体的には後に設けられる木目模様の木目の
方向に揃えて設けたものである。かゝる掻傷ｇ
は、具体的にはサンデイングをロールサンデイン
グとし、サンデイングロールの周面にランダムに
サンデイング刃を突設することによつて実施され
たものであり、木質合成板Ａの表面に無数の掻傷
ｇが一方向に向けてランダムに、しかも、その傷
の大きさ、深さを異にして設けられたものであ
る。尚、この掻傷ｇはサンデイングロールによつ
て設けられた場合、ロールの接している間隔部分
のみが掻きとられることゝなり、個々の掻傷ｇは
比較的短いものであり、しかも掻き始めと、終り
とが浅く、中央で深い傷の形状とされ、より木目
に近い表面形状とされると共に掻傷ｇの深さの程
度に応じた、該部に残留する内部応力の解放をな
しえるものである。

叙上において熱処理が施され、しかも成形板表
面（片面又は両面）に掻傷ｇを有するサンデイン
グ処理が施された木質合成板に対し、プレスある
いはロール機により木目模様の型押しを施すこと
により、プレスあるいはロール機における木目模
様が正確に合成板の表面の型づけされ、しかも型
づけのされた木目模様が形づけ後にダレ出し、型
づけ木目模様がボヤけたりすることが一切防止さ
れたものである。

この結果、プレスあるいはロール機の木目型
を、通常の自然な板目状とした場合、成形される
合成板も又、同様に自然木よりなる板材としての
外観を呈したものであり、この板材としての外観
が半永久的に維持されたものである。

かくして提供される木目模様は、前記の掻傷ｇ
と、この型づけとにより殆ど自然木と同一の木目
模様として合成板Ａの面を作り出したものであ
り、その趣きが特に良好とされたものである。

かゝる型づけ後に、通例の塗装手段をもつて、
この型づけ合成材の表面に着色を施して合板Ｂ面
上に接着して使用に供したものであるが、前記の
合成材の成形に際して、使用樹脂素材中に適宜の
顔料の混入をなし、合成板自体が一定の色彩を有
するものとし、そのまゝ合板Ｂ面上に接着して使
用に供することも可能とされたものである。

［発明の効果］ この発明に係る木目模様を有する木質合成板を
積層された化粧合板においては叙上における特長
ある構成にもとづき以下の具体的な効果が奏効さ
れた。即ち、この発明においては、 (1) 耐摩耗性は次のように通例の硬質塩ビ製の表
面材よりも良好とされ、壁面あるいは歩行面と
して、特に摩耗の激しい床材等としては最適の
ものである。

本件（塩ビ化粧合板の化粧面における）の摩
耗量35.9／通常塩ビの摩耗量46.6（但し、荷重
１Kg、回転数70rpm、摩耗輪cs−17 calibrase
におけるmg／1000回転量） (2) 耐水性が認められると共に適度の吸湿性が認
められ、接触時に肌面の汗を吸収し、足裏等肌
面に対する密着感が良好であると共に柔らかい
肌触りをもたらした。

本件の吸水率0.44／通常塩ビの吸水率0.09
（但し、JIS K7209吸水試験方法による25℃、
24hrにおける単位面積当りの吸水率） (3) 化粧面の木目模様の型づけが、掻傷ｇを事前
に設けることにより、自然木の木目と殆ど区分
することのできない木目が木目型通りに精密に
なされ、しかも型づけのされた木目がダレ出
し、長期に亘つて自然にボヤケ出すこともなく
自然木状の風合いを有するものとされた。

即ち、木目模様の型づけされる化粧合成板の
表面スキン層がサンデイングにより取除かれ、
骨材ａ部分が露出されたことにより、スキン層
の有する残留内部応力が取除かれると同時に樹
脂材ｂの少ない面に対する型づけが可能とさ
れ、精密な型づけと、型づけ後における樹脂材
の戻しを無くし、型づけられた通りの木目を型
づけ面に残したものである。又、成形される化
粧合成板の表面に滲出する樹脂材ｂをもつて形
成されるスキン層部分は組織が緻密であり、又
硬度を有することより精密な型づけに不向きと
されていたものであるが、これを取除くことに
より精密な型づけを可能とした。

(4) 型づけされた木目模様が、スキン層がサンデ
イングされ、しかもサンデイング面に掻傷ｇを
設けることにより、より自然な風合いを有する
木目模様とされた。即ち、スキン層のサンデイ
ング処理に伴つて木粉等のセルロース系骨材ａ
が表面に露呈し、自然木風の掻傷ｇを有する地
肌と手触り感とがもたらされ、これに木目を型
づけることによつてほとんど自然木的な化粧合
成板とされた。

(5) サンデイング、型づけのされた化粧合成板の
表面の手触り感は、表面掻傷ｇ並びに型づけ面
と混入骨材の露呈により自然木に近い状態とさ
れ、適度の摩擦抵抗と、若干の吸湿機能（汗ば
まない程度の）とを有し、木材の代替機能を有
すると共に優れた耐腐朽性、耐水性を保障され
た。

(6) 同様にサンデイング、型づけのされた化粧合
成板の表面に対する塗装処理が、該塗装粒子が
このサンデイング面に露呈している骨材面に結
着することにより確実になされ、塗料のダレ出
し、あるいは剥離等がなく、精密な塗装面の作
成を可能とした。

(7) 熱処理（焼入れ）及び成形合成板のスキン層
部分サンデイング処理とをもつて合成板におけ
る経時的な組織変化（成形樹脂材の化学的変化
に伴う）による歪出し、あるいは合成板の熱的
変化に伴う歪出しが確実に防止され、合成板に
おける反り、捻れ等の不都合を一切なくした。

(8) 合板Ｂに対する木質合成板Ａの接着が、露呈
した骨材ａの存在により確実になされると共に
木質合成板Ａにおける歪が無いことより接着面
に無理がなく継続的に良好な接着性が保持され
た。

この発明は叙上におけるように合板Ｂ上に積層
される木質合成板Ａにおける内部応力を取り除
き、しかも良好な化粧表面を有する化粧合板の提
供をなしたものである。

【図面の簡単な説明】

第１図はスキン層である表面ｘ部分をサンデイ
ング処理前の化粧合成板の拡大切断端面図、第２
図は同サンデイング処理後の拡大切断端面図、第
３図は同切断方向を異にした拡大切断断面図、第
４図は型づけされた化粧合成板を有する合板の斜
視図である。 尚、図中Ａ…合成材、Ｂ…合板、ａ…骨材、ｂ
…樹脂材、ｇ…掻傷を示したものである。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ セルロース系の微粉骨材を有する熱可塑性成
   形板を所定条件下において加熱養生し、この加熱
   養生された樹脂成形板表面の樹脂硬化層部分がサ
   ンデイングされて内部応力が除去され且つ化粧表
   面を有する木質樹脂成形板を適宜の合板上に添
   装、接着されたことを特徴とする化粧合板の成形
   方法。 ２ 前記化粧面が木目の型づけ模様面とされてい
   ることを特徴とする特許請求の範囲第１項記載に
   係る化粧合板の成形方法。 ３ 前記加熱養生が60〜130℃／24時間であるこ
   とを特徴とする特許請求の範囲第１項記載に係る
   化粧合板の成形方法。 ４ 前記骨材が80メツシユ篩下〜200メツシユ篩
   上、含有水分量が3wt％以内であることを特徴と
   する特許請求の範囲第１項記載に係る化粧合板の
   成形方法。