JPH0426068Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 「考案の目的」 （産業上の利用分野） 本考案は、シヤワー室等の狭い室内にも設置す
ることができる、新規な化粧キヤビネツトに関す
るものである。

（従来の技術） 一般住宅等において、シヤワー室は、浴室以外
の補足的な沐浴設備として、又はゆつたりとした
浴室の設備が困難の住宅事情のもとで、それを可
及的に補う設備として設置されることが多い。従
つて、シヤワー室は、その構造、設備に簡易化が
図られており、室内スペースについても、大人一
人のシヤワー浴動作が辛うじてできる程度の広さ
に留めるようにしてあつた。

ところが、従来のシヤワー室は、上述の如く充
分な広さを有しないにもかかわらず、殆どの場
合、その室内に洗面器又は手洗器等（以下、これ
らの器物を総称して受水鉢体という）が備え付け
られていた。該受水鉢体は、洗髪時等に湯を溜め
ておいたり、また、シヤワー未使用時の室内スペ
ースを化粧室又は洗面室として有効利用したりす
るためのものであつた。

（考案が解決しようとする問題点） 前記受水鉢体をシヤワー室内の立壁面に取り付
ける構造は、ボルト等を用いた固定的なものであ
つた。このため当然に、元来充分なスペースを有
しない室内は、受水鉢体により更に狭められ、本
来の用途通りシヤワーを浴びようとするときには
受水鉢体が邪魔になり、また危険をも伴うもので
あつた。このように、シヤワー室においてシヤワ
ーを浴びにくくなるのは正に本末転倒であり、結
果的には室内スペースの拡大化を招来していた。
しかし、前述した如く、シヤワー室はあくまでも
浴室の補足的なもとして設置されるのであるか
ら、該シヤワー室における室内スペースの拡大化
は、仮令それが機能を充実させるための結果であ
つたとしても、需要者側からは敬遠される原因と
なつていた。

本考案は、上記の如き事情に鑑みてなされたも
のであつて、シヤワー室等の室内を不可避的限度
を越えて狭隘にすることなく、しかも受水鉢体の
使用には極めて利便な、シヤワー室等用の新規な
化粧キヤビネツト（以下、本案キヤビネツトとい
う）を提供することを目的とする。

「考案の構成」 （問題点を解決するための手段） 本案キヤビネツトの要旨とするところは、上面
に湯水混合水栓、シヤワー切替栓等の載設用カウ
ンター部が形成された起立基体と受水鉢体とから
なるキヤビネツトであつて、該カウンター部の下
方が前記受水鉢体を収納する収納開口になされ、
前記カウンター部の下面側に下方へ延在する係止
垂条が形成され、該係止垂条に係合されるべき係
止突条が前記受水鉢体の後部に上方へ延在して形
成され、前記受水鉢体の両側面に形成された前後
方向に亘る長孔に該受水鉢体を揺動させる際の揺
動軸となる折込軸が水平方向に挿着された点にあ
る。

（作用） 受水鉢体を水平方向に維持するためには、カタ
ウンター部下方の収納開口内に収納された受水鉢
体を、該受水鉢体の両側面に形成された前後方向
に亘る長孔の後側に折込軸を位置せしめて、該折
込軸を中心として上方側に揺動させた後、折込軸
を長孔の前側に位置せしめるとともにカウンター
部の下面側に設けた係止垂条と、受水鉢体の後部
に設けた係止突条とを係合させる。

一方、受水鉢体を水平維持状態から収納開口内
に収納させるには、受水鉢体をやや持ち上げ状に
して、前記係止垂条と係止突条との係合を解くと
ともに折込軸を長孔の後側に位置させて下方側に
揺動させる。従つて、室内においてシヤワーを浴
びるときなどには、受水鉢体を起立基体に対して
揺動させ、その鉢上面が起立基体の立設方向に沿
うようにすれば、本案キヤビネツト全体が占める
床面積は、略々、受水鉢体の鉢部厚さ程度に納ま
り、室内は不可避的限度を越えて狭隘化されるこ
とはない。このように、室内スペースの拡大化を
防止できるばかりでなく、受水鉢体としても、そ
の使用状態における占有床面積の大小に腐心する
ことなく、大型のものを用いることが可能とな
り、洗髪、洗面等も楽に行えるものである。

（実施例） 以下本考案を、その実施例を示す図面に基づい
て説明すると次の通りである。

第１図は本案キヤビネツトを一部切り欠いて示
す斜視図である。本案キヤビネツトは、起立基体
１と受水鉢体２とから成る。

起立基体１は幅広柱状の箱体を成しており、該
幅広な前面部に受水鉢体２の上面形状に応じた収
納開口１ｂが穿設されている。該起立基体１の上
端面１ａには、湯水混合水栓３ａ、シヤワー切替
栓３ｂ等を載設させるためのカウンター部４が形
成されている。

受水鉢体２は洗面器、手洗器等から成り、前記
起立基体１に、収納開口１ｂ内からその前面側へ
向かつて突出する如く片持ち状に保持されてい
る。該受水鉢体２は、鉢上面の凹部開口が広く、
鉢部厚さが薄く、且つ軽量なものが好ましい。

上記受水鉢体２は、前記起立基体１に対して収
納機構５を介設するようにして結合されている。
該収納機構５は、起立基体１の内部両側面に対向
して突設された折込軸５ａ、５ａが、受水鉢体２
の外側面に穿設された長孔５ｂ，５ｂ内に夫々嵌
入されて成る。従つて、受水鉢体２は、起立基体
１に対して、長孔５ｂの穿設方向に沿つて前後に
摺動可能となされていると共に、前記折込軸５
ａ，５ａを中心として下方側又は上方側へ揺動可
能となされている。また、受水鉢体２を手前側へ
引き出しておいて、そのまま下げ降ろす方向に揺
動させれば、該受水鉢体２が、起立基体１の前記
収納開口１ｂ内に丁度納まり入るようになつてい
る。

前記起立基体１における収納開口１ｂの奥部上
辺隅は下向き段部状に形成されており、その下向
き面が受水鉢体２用の受荷重面１ｃとなされてい
る。また該受荷重面１ｃの前縁には更に係止垂条
１ｄが下垂形成されている。一方、前記受水鉢体
２の奥辺側上面には係止突条２ａが突設されてい
る。そして、該係止突条２ａを、前記起立基体１
の受荷重面１ｃに当接させ、且つ係止垂条１ｄに
係合させるようにすると、前記の如き収納機構に
おいて、受水鉢体２の長孔５ｂの最も手前端部が
折込軸５ａと接触する状態になるように関係付け
られている。従つて、この状態における受水鉢体
２は、折込軸５ａを境とする前半部の鉢部荷重が
後半部の奥部荷重を上回る如く偏り、前半部側が
下降しようとする力の反力が、係止突条２ａを起
立基体１の受荷重面１ｃに強く押圧するように伝
達される。このため、受水鉢体２は、起立基体１
に対してその室内側へ略々水平に突出する如く片
持ち状に保持されることとなる。

次に、本案キヤビネツトの使用状況を、第２図
Ａ乃至Ｄに基づいて説明する。まず、同図Ａは、
受水鉢体２が使用状態に展開された状況を示す側
断面図である。本案キヤビネツトは、シヤワー室
内等の立壁面６に起立基体１の背面を接触させる
ようにして配設されている。また、受水鉢体２
は、その奥辺部の係止突状２ａが、起立基体１の
受荷重面１ｃに当接させられているため、室内へ
の突出状態は保証されたものとなつている。尚、
図中符号７は可撓性を有した排水ホースであつ
て、多少の伸縮も可能なものとなつている。い
ま、シヤワーを浴びる等の理由により、受水鉢体
２を収納するとする。まず、矢符で示す如く、受
水鉢体２の前縁部をそのまま上方へ引き上げる。
本実施例では、受水鉢体２における鉢内前縁にリ
ブ２ｂを突出形成させて、前記引き上げ作業に際
して受水鉢体２に指を引つ掛け易くしてある。こ
の引き上げ作業により、受水鉢体２は折込軸５
ａ，５ａを中心に揺動し、同図Ｂに二点鎖線で示
す如く、起立基体１の係止垂条１ｄに対する受水
鉢体２の係止突条２ａの係合が解かれる。続け
て、受水鉢体２を実線で示す如く正面側の上方へ
引き出しておいて、今度は徐々にその持ち上げ力
を緩める。従つて同図Ｃに示す如く、受水鉢体２
は、その自荷重により前縁部が下降傾斜する如く
揺動する。完全に揺動し終わつた状態を、同図Ｄ
に示す。このようにしておけば、本案キヤビネツ
トは、その全体形として占める床面積が、略々、
受水鉢体２の鉢部厚さ程度に納まり、室内には、
シヤワーを浴びるときなどの諸動作に必要なスペ
ースが確保されることとなる。

（別態様の検討） 本案キヤビネツトは、その設置箇所をシヤワー
室に限るものではない。例えば、浴室、脱衣室、
居間等、どこであつてもよい。また、収納機構５
について、受水鉢体２の長孔５ａを、その鉢体前
縁部の近傍まで延設しておき、その収納状況にお
いて、受水鉢体２の底面側が現れるようにするこ
とも可能である。即ち、第２図Ｂの状態からその
まま受水鉢体２を上昇させ続けて該受水鉢体２の
奥端面側から起立基体１内へ落とし込むのであ
る。更に、起立基体は、箱状のものであることは
限定されず、棒材等の組合せによつて成る門型状
のものや板状物のもの或いは支柱状のもの等が考
えられる。このように、本案キヤビネツトの構成
及び形状は、実施の態様に応じて適宜変更可能で
ある。

「考案の効果」 以上の説明で明らかなように、本考案に係るシ
ヤワー室等用の化粧キヤビネツトによれば、洗面
器、手洗器等の受水鉢体を、シヤワー室等の狭い
室内にも設置することが可能となる。勿論、その
設置によつて室内スペースが不可避的限度を越え
て狭隘化することはない。従つて、シヤワーを浴
びるときなどに邪魔になることはなく、また怪我
をするようなこともない。このようなことから、
シヤワー室等においてその室内スペースを拡大化
することの防止が図れると共に、カウンター部の
係止垂条と受水鉢体の係止突条と係合によつて受
水鉢体を水平に維持するので、安定しており、受
水鉢体において使用に便利な大型のものを設置で
きる等、幾多の優れた利点を有している。

【図面の簡単な説明】

第１図は本案キヤビネツトを一部切り欠いて示
す斜視図、第２図Ａ乃至Ｄは本案キヤビネツトに
おける受水鉢体の収納手順を示す側断面図であ
る。 １……起立基体、１ａ……上端面、２……受水
鉢体、３ａ……湯水混合水栓、４……カウンター
部、５……収納機構、６……立壁面。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 上面に湯水混合水栓、シヤワー切替栓等の載設
   用カウンター部が形成された起立基体と受水鉢体
   とからなるキヤビネツトであつて、該カウンター
   部の下方が前記受水鉢体を収納する収納開口にな
   され、前記カウンター部の下面側に下方へ延在す
   る係止垂条が形成され、該係止垂条に係合される
   べき係止突条が前記受水鉢体の後部に上方へ延在
   して形成され、前記受水鉢体の両側面に形成され
   た前後方向に亘る長孔に該受水鉢体を揺動させる
   際の揺動軸となる折込軸が水平方向に挿着された
   ことを特徴とするシヤワー室等用の化粧キヤビネ
   ツト。