JPH04254205A - 二輪車用空気入りラジアルタイヤ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は、タイヤのほぼトレッ
ド幅に亙り実質的にタイヤ赤道に平行に螺旋卷回された
有機繊維コードのベルト層からなるベルトを有する二輪
車用空気入りラジアルタイヤ、特には乾燥路における操
縦安定性を損なうことなくウエット性能を向上させたタ
イヤに関するものである。

【０００２】

【従来の技術】近年の高速道路網の発展並びに車両性能
の向上に伴い、４輪車用タイヤと同様に、タイヤ赤道に
対して７５°〜９０°の範囲内の一定角度で配列された
有機繊維コードのカーカスプライからなるカーカスを具
備し、当該カーカスとトレッドゴムとの間に、タイヤ赤
道に対して小さな角度をなして一様に配列されたコード
のベルト層からなるベルトを具える、いわゆるラジアル
構造の二輪車用空気入りラジアルタイヤが種々提案され
ている。

【０００３】そして、このラジアルタイヤにあっては、
当該ベルトがカーカスをその周方向から締め付けてその
トレッドの動きを抑制するので、発熱が小さく、良好な
る耐摩耗性能、グリップ性能そして高速性能などを示す
ことが知られている。

【０００４】更に、最近では、従来のベルト構造と異な
り、有機繊維コードを、カーカスとトレッドゴムと間に
実質的にタイヤ赤道に平行に螺旋卷回したベルト層から
なるベルトを配設して、走行時におけるタイヤのトレッ
ドの半径方向外方への迫り出しを一段と抑制した、高速
性能に優れタイヤ重量を低減させた二輪車用空気入りラ
ジアルタイヤも提案されつつある。

【０００５】なお、ベルト層のコードをほぼトレッド幅
の７０％〜　１１０％の範囲に亙って螺旋卷回するのは
、トレッドの迫り出しを充分に抑制することに加え、タ
イヤのケーシング剛性をほぼ均一なものとしてキャンバ
ー角に対するキャンバースラストの増加率を一定に維持
するためであり、また、そのトレッド中央域には、タイ
ヤの直進安定性、高速性能及びウエット性能を高めるべ
く、従来の二輪車用ラジアルタイヤと同様に、タイヤ赤
道に平行に延在する溝を設けるのが通例である。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、ベルト
層のコードをタイヤ赤道に実質的に平行に螺旋卷回した
二輪車用ラジアルタイヤにあっては、当該コードの延在
方向と、トレッド表面に配設される溝のそれとがほぼ一
致することから、タイヤ成型に際して当該溝に対応する
モールド内面の突部により、溝底部に対してタイヤ半径
方向内側に位置するベルトを構成するコードがタイヤ幅
方向に押し広げられるいわゆる「コード開き」など、当
該ベルト層をタイヤ幅方向及び半径方向に一様に配列し
得ないことに起因して、タイヤの操縦安定性が低下する
などの問題がある。

【０００７】また、車両を旋回させるべくキャンバー角
を付与すると、トレッドと路面との接地域がトレッド中
央域からその側縁方向に偏移することに起因して、トレ
ッド中央域に配設した溝による排水性が損なわれること
から、ウエット性能が低下するという問題があった。

【０００８】本発明は、このような問題に鑑みてなされ
たものであり、乾燥路における操縦安定性を損なうこと
なく、ウエット性能を向上させた二輪車用空気入りラジ
アルタイヤを提供することを目的とする。

【０００９】

【課題を解決するための手段】この目的を達成するため
、本発明にあっては、一対のサイドウォールとトレッド
とがトロイダルに連なり、これら各部をタイヤ赤道面に
対して７５°〜９０°の範囲内の一定角度で配列された
有機繊維コードの少なくとも一枚のカーカスプライから
なるカーカスで補強し、カーカスプライの両端部を、両
サイドウォールの径方向内側端部に埋設したビードコア
の周りにタイヤ回転軸線方向外側に向かって巻き上げ、
トレッドゴムとカーカスとの間に、ほぼトレッド幅の７
０％〜　１１０％の範囲に亙ってタイヤ赤道に実質的に
平行に螺旋卷回した有機繊維コードからなる少なくとも
一枚のベルト層を有するベルトを設けた二輪車用空気入
りラジアルタイヤにおいて、そのトレッドは、タイヤ赤
道上で相互に離間しそれぞれタイヤ赤道を跨いでトレッ
ド中央域から交互に左右のトレッド側縁まで延在して左
右に対をなす複数の第１斜溝と、相互に隣接する第１斜
溝間にてそれぞれトレッド中央域からトレッド側縁まで
延在し、トレッド中央域にて第１斜溝を介して左右に対
をなす第２斜溝とを具え、第１斜溝は、第２斜溝に面し
てトレッド側縁側からトレッド中央域側に延在する三叉
分岐を有し、第２斜溝は、対をなす一方の第１斜溝の分
岐斜溝と他方の第１斜溝との間でトレッド中央域側から
トレッド側縁側に延在する鉤形分岐を有してなる。

【００１０】

【作用】第１及び第２の斜溝、さらにはそれら斜溝に関
連する三叉分岐及び鉤型分岐の延在方向が、実質的にタ
イヤ赤道に平行に螺旋卷回されたコードに交差する一方
、それら斜溝及び分岐により区画されて杉綾状をなす陸
部が、螺旋卷回されたコードをタイヤ幅方向及び半径方
向に均一に配列維持するので、コード開きなどに起因し
た問題を確実に阻止して、良好なる操縦安定性を担保す
る。

【００１１】加えて、第１及び第２の斜溝、さらにはそ
れら斜溝に関連する三叉分岐及び鉤型分岐がそれぞれタ
イヤ赤道を跨いでトレッド中央域から交互に左右のトレ
ッド側縁まで延在するので、車両旋回に伴ってトレッド
接地域がその中央域から左右何れのトレッド側縁側に偏
移しても、接地域に対する溝部の割合をほぼ一定に維持
し得るの、キャンバー角の変化に拘らず所定の排水性能
を発揮する。

【００１２】

【実施例】以下、図面を参照して本発明の好適な実施例
について詳述する。図１（ａ）　は、本発明に係る二輪
車用空気入りラジアルタイヤの赤道Ｓに関する半部を断
面にして示す図であり、タイヤ１０は、赤道Ｓに対して
７５°〜９０°の範囲の一定角度で配列した、例えば、
ナイロン、ポリエステルなどの有機繊維コードの少なく
とも一枚のカーカスプライからなるカーカス１２を具え
る。カーカス１２は、トロイダルに連なるトレド１４及
びサイドウォール１６を補強し、その両端部が、両サイ
ドウォール１６の径方向内側端部近傍に埋設したビード
コア１８の周りにタイヤ回転軸線方向外側に向かって巻
き上げられている。

【００１３】トレッド１４を形成するトレッドゴムとカ
ーカス１２との間に、適当な有機繊維コードをタイヤ赤
道Ｓに実質的に平行にトレッド幅ｗの７０％〜　１１０
％の範囲に亙って螺旋卷回した少なくとも一枚のベルト
層を有するベルト２０を具える。なお、符号２２はゴム
フィラーであり、その機能は既知のタイヤのそれと同様
である。

【００１４】図１（ｂ）　に一部を拡大して示すトレッ
ド１４は、それぞれタイヤ赤道Ｓを跨いでトレッド中央
域から左右のトレッド側縁まで交互に延在しタイヤ赤道
上で相互に離間して左右に対をなす多数の第１斜溝２４
を具える。左右に対をなす第１斜溝２４は、車両への装
着姿勢において回転方向前方からみて、タイヤ赤道Ｓ上
で半ピッチずれた「逆ハ」字状をなし、それぞれタイヤ
赤道Ｓに対して３０°〜５０°の範囲内の一定角度θ１
　で交互に斜交する。

【００１５】これは、第１斜溝２４のタイヤ赤道Ｓに対
する交角θ１　、即ち斜溝２４とタイヤ赤道Ｓとのなす
角度を３０°より小さくすると、タイヤ成型に際し、モ
ールド内面に配設した溝形成用の突起により、それら斜
溝２４の溝底部に対してタイヤ半径方向内側に位置して
ベルト２０を構成する螺旋卷回されたコードにコード開
きなどの不具合が生じやすく、一方、斜溝２４とタイヤ
赤道Ｓとの交角θ２　を５０°より大きくすると、斜溝
２４のタイヤ幅方向成分が増大するため、第１斜溝２４
による排水性能が急激に低下するからである。

【００１６】また、第１斜溝２４をそれぞれタイヤ赤道
を跨いでトレッド中央域から交互に左右のトレッド側縁
まで延在させるのは、トレッド中央域が接地する場合に
あっても、それら第１斜溝の溝部分を含めた接地面積に
対する斜溝部分の割合を或る値以上に保持することによ
り、充分なる排水性能を担保するためである。それゆえ
、左右のトレッド側縁まで延在する第１斜溝２４のトレ
ッド中央域でのタイヤ幅方向における重なり部分の長さ
Ｋをタイヤ１０のトレッド幅Ｗの１０％〜３０％とし、
また、タイヤ赤道上における左右の第１斜溝２４の隔た
りＬをタイヤ周長の２％〜３％又はトレッド幅Ｗの３０
％〜４０％とすることが好ましい。

【００１７】第１斜溝２４の重なり部分のタイヤ幅方向
長さＫをタイヤ１０のトレッド幅Ｗの１０％〜３０％と
するのは、長さＫが１０％より小さいと第１斜溝の溝部
分を含めた接地面積に対する斜溝部分の割合が小さくな
り過ぎる結果、所望の排水性能を期待し難く、当該長さ
Ｋを３０％より大きくすると、タイヤの排水性能は有利
となるものの、それら斜溝２４により区画される陸部の
剛性が局所的に小さくなり、タイヤの耐久性能が低下す
るからである。

【００１８】同様に、タイヤ赤道上における左右の第１
斜溝２４の隔たりＬを周長の２０％又はトレッド幅Ｗの
３０％より小さくすると、接地面積に対する溝部の割合
を多くし得るものの、タイヤ赤道付近での陸部の剛性が
小さくなり過ぎる結果、タイヤ耐久性能の低下が不可避
であり、また、隔たりＬを周長の３％又はトレッド幅Ｗ
の４０％より大きくした場合には、タイヤ赤道付近にお
ける陸部の剛性は高め得るものの、接地面積に対する溝
部の割合が小さくなり、排水性能が低下するからである
。

【００１９】そして、二輪車の旋回運動に伴うキャンバ
ー角の変化によりトレッドの接地域がその中央域から側
縁方向に偏移する場合にも、充分なる排水性能を担保す
べく本発明タイヤにあっては、タイヤ周方向に相互に隣
接する第１斜溝２４により区画されるトレッド部分に、
トレッド中央域にて第１斜溝２４を介して左右に対をな
し、それぞれトレッド中央域からトレッド側縁まで延在
する複数の第２斜溝２６を、ほぼ第１斜溝２６に沿って
延在させる。

【００２０】このようにタイヤ周方向に相互に隣接する
第１斜溝間に第２斜溝２６を配設したものにあっては、
トレッド接地域がその中央域からタイヤ幅方向外側に偏
移するに伴って、第１斜溝２４のトレッド中央域におけ
る重なり部分が減少する一方、第１及び第２斜溝により
区画される陸部の面積が増大することから、ウエット性
能が低下することになる。

【００２１】そこで、本発明にあっては、それぞれの第
１斜溝２４に、第２斜溝２６に面してトレッド側縁側か
らその中央域側に延在する三叉分岐２８を設ける。また
、各々の第２斜溝２６には、対をなす一方の第１斜溝の
三叉分岐２８と他方の第１斜溝との間でトレッド中央域
側からトレッド側縁側に延在する鉤形分岐３０を設ける
。そして、それら三叉分岐２８及び鉤形分岐３０のそれ
ぞれの延在方向がタイヤ赤道Ｓに対してなす角度θ２　
及びθ３　は、第１斜溝２４がタイヤ赤道Ｓとなす角度
θ１　にほぼ等しくする。

【００２２】このように、第１斜溝２４が三叉分岐２８
を、また、第２斜溝２６が鉤形分岐３０をそれぞれ具え
ることにより、車両旋回に伴ってトレッド接地域がタイ
ヤ幅方向外側に偏移した場合にあっても、それら三叉分
岐及び鉤形分岐が接地域に対する溝部の割合を或る値以
上に維持するので、ウエット性能が低下することがない
。しかも、それら分岐を設けたことにより、第１及び第
２斜溝並びに三叉分岐及び鉤形分岐により区画される陸
部の剛性をほぼ一様なものとすることができるので、乾
燥路における操縦安定性も向上することとなる。

【００２３】なお、第２斜溝２６の鉤形分岐をトレッド
側縁側に配設し、第１斜溝２４の三叉分岐をトレッド中
央域側に配設することも考えられる。しかしながら、そ
の場合には、タイヤ赤道Ｓを跨ぐ第１斜溝部分とトレッ
ド中央域側に位置する三叉分岐とにより区画される陸部
の剛性が低くなるため、タイヤの操縦安定性及び耐久性
能が低下することになるので、上述した実施例の如く三
叉分岐及び鉤形分岐を設けることが好ましい。

【００２４】◎比較例 本発明に係るタイヤのウエット路面及び乾燥路における
操縦安定性を調べるため、本発明タイヤと、図２（ａ）
及び（ｂ）、図３（ａ）及び（ｂ）に示すトレッドパタ
ーンを有する供試タイヤとを用いて比較試験を行ったと
ころ、以下に示す結果を得た。なお、比較試験に供した
タイヤは、何れもサイズがＭＣＲ　１６０／６０　Ｒ１
７であり、カーカスは、太さ１２６０ｄ／２　の６６ナ
イロンからなるコードをタイヤ赤道に対して実質的に９
０°の角度をなして配列した一層のカーカスプライから
なり、ベルトを、太さ１５００ｄ／２　の芳香族ポリア
ミド繊維よりなるコードをタイヤ赤道にほぼ平行に螺旋
卷回した一層のベルト層からなるものである。

【００２５】また、第１斜溝の溝幅をトレッドクラウン
中央部で６ｍｍ、溝深さを６ｍｍ、その重なり合う部分
の長さＫをトレッド幅Ｗの１９％、タイヤ赤道となす角
度θ１　を３８°、タイヤ赤道上の隔たりＬをタイヤ周
長の２．７　％又はトレッド幅の３４％、三叉分岐の溝
幅を７ｍｍ、溝深さを３ｍｍ、タイヤ赤道となす角度θ
２　を３８°、第２斜溝の溝幅を６ｍｍ、溝深さを５．
５ｍｍ　、鉤形分岐の溝幅を６ｍｍ、溝深さを５．５ｍ
ｍ　、タイヤ赤道となす角度θ３　は３８°である。

【００２６】◎供試タイヤ： ・発明タイヤ図１（ｂ）に示すトレッドパターンを有す
るタイヤ。 ・比較タイヤ１図２に示すトレッドパターンを有するタ
イヤ。 ・比較タイヤ２図３に示すトレッドパターンを有するタ
イヤ。 ・比較タイヤ３図４に示すトレッドパターンを有するタ
イヤ。 ・比較タイヤ４図５に示すトレッドパターンを有するタ
イヤ。

【００２７】◎試験方法 ・ウエット路面：実車にタイヤを装着し、水深３ｍｍと
した試験路で直線スラローム試験を行い、フィーリング
テストにより指数評価した。 ・乾燥路面：実車にタイヤを装着し、乾燥試験路で直線
スラローム試験を行い、フィーリングテストにより指数
評価した。

【００２８】◎試験結果 　　ここで、ＣＡはキャンバー角を示し、例えば、ＣＡ
＝４０°以上とは、キャンバー角度を４０°から最大角
まで傾斜させた状態を示すものである。また、乾燥路操
縦安定性能におけるＣＡ＝　０°〜４０°及びウエット
路面操縦安定性能における指数　１００とは、トレッド
中央域にタイヤ赤道に平行に延在する幅６ｍｍ、溝深さ
６ｍｍのほぼ直線状の溝を設けたタイヤのフィーリング
テストによるものであり、乾燥路操縦安定性能における
ＣＡ＝４０°以上での指数　１００とは、比較タイヤ１
に示すトレッドパターンを有するタイヤのフィーリング
テストによるものである。

【００２９】この表から明らかなように、本発明タイヤ
によれば、乾燥路における操縦安定性能を向上させてな
お、ウエット路面における操縦安定性能を向上し得るこ
とがわかる。

【００３０】かくして本発明によれば、乾燥路面及びウ
エット路面における操縦安定性能を共に向上させた二輪
車用空気入りラジアルタイヤを提供することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】（ａ）は、本発明に係る二輪車用空気入りラジ
アルタイヤの半部を断面にして示す図であり、（ｂ）は
、（ａ）に示すタイヤのトレッドの一部を拡大して示す
図である。

【図２】比較タイヤ１のトレッドの一部を拡大して示す
図である。

【図３】比較タイヤ２のトレッドの一部を拡大して示す
図である。

【図４】比較タイヤ３のトレッドの一部を拡大して示す
図である。

【図５】比較タイヤ４のトレッドの一部を拡大して示す
図である。

【符号の説明】

１０　　タイヤ １２　　カーカス １４　　トレッド １６　　サイドウォール １８　　ビードコア ２０　　ベルト ２２　　コムフィラー ２４　　第１斜溝 ２６　　第２斜溝 ２８　　三叉分岐 ３０　　鉤形分岐

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】　　一対のサイドウォールとトレッドとが
   トロイダルに連なり、これら各部をタイヤ赤道面に対し
   て７５°〜９０°の範囲内の一定角度で配列された有機
   繊維コードの少なくとも一枚のカーカスプライからなる
   カーカスで補強し、カーカスプライの両端部を、両サイ
   ドウォールの径方向内側端部に埋設したビードコアの周
   りにタイヤ回転軸線方向外側に向かって巻き上げ、トレ
   ッドゴムとカーカスとの間に、ほぼトレッド幅の７０％
   〜　１１０％の範囲に亙ってタイヤ赤道に実質的に平行
   に螺旋卷回した有機繊維コードからなる少なくとも一枚
   のベルト層を具備するベルトを設けた二輪車用空気入り
   ラジアルタイヤにおいて、そのトレッドは、タイヤ赤道
   上で相互に離間しそれぞれタイヤ赤道を跨いでトレッド
   中央域から交互に左右のトレッド側縁まで延在して左右
   に対をなす複数の第１斜溝と、相互に隣接する第１斜溝
   間にてそれぞれトレッド中央域からトレッド側縁まで延
   在し、トレッド中央域にて第１斜溝を挟んで左右に対を
   なす第２斜溝とを具え、第１斜溝は、第２斜溝に面して
   トレッド側縁側からトレッド中央域側に延在する三叉分
   岐を有し、第２斜溝は、対をなす一方の第１斜溝の三叉
   分岐と他方の第１斜溝との間でトレッド中央域側からト
   レッド側縁側に延在する鉤形分岐を有することを特徴と
   する二輪車用空気入りラジアルタイヤ。