JPH0425071B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、自動車ボテイーや家電製品のケーシ
ング等を吹付塗装するためのブースに関し、詳し
くは、その換気設備に関する。

〔従来の技術〕

従来、上記塗装ブースにおいて換気設備を構成
するに、第７図及び第８図に示すように、除塵処
理した換気空気を吹付塗装作業域の天井部のほぼ
全面から下方向きで、かつ、層流状に吹出供給す
る天井吹出口S₁を設けると共に、域内空気をそれ
に含有する余剰吹付塗料ミストと共に格子製床７
のほぼ全面を介して排出する排気口２３を床７の
下方に分散配置し、もつて、吹付塗装作業域内の
全域において換気空気を極力下方向き層流状に流
動させることにより、過流による余剰吹付塗料ミ
ストの舞い上がりを抑制して換気効果を高め、そ
れによつて、作業域に内装した塗装装置等への塗
料付着を軽減してメンテナンス性を向上したり、
又、浮遊塗料ミストを迅速に排出して塗色の異な
る被塗装物間の残留塗料ミストによる色移りを防
止した状態での被塗装物の移送交換を能率良く行
なえるように配慮していた。

図中Ａは被塗装物、 ８は、スプレーガン８Ａを装備した多関節ロボ
ツト型自動塗装装置、 ５は、被塗装物Ａを吹付塗装作業域に対して搬
入搬出するためのコンベアである。

〔発明が解決しようとする問題点〕

しかしながら、上述従来構成のものにおいて、
種々の実験を行なつた結果、吹付塗装作業域内の
全域にわたつて換気空気を下方向きに層流流動さ
せることが、被塗装物Ａの周辺に配置された塗装
装置８等に対して、余剰吹付塗料ミストを含んだ
換気空気を上方から吹付けることとなるために、
その吹付によつて、かえつて多量の塗料ミストを
周辺塗装装置８等に付着堆積させてしまうことと
なり、この付着堆積した塗料が自然乾燥して剥が
れ易くなり塗装装置８の振動や換気気流によつて
離脱し、それが被塗装物Ａの塗装面に付着して塗
装欠陥の原因となるのみならず、複雑精巧化する
自動塗装装置の故障の原因ともなり、これらを防
ぐためには、清掃メンテナンスの頻度と時間を多
大に要し、又、そのことが生産効率の低下をも招
いていた。

本発明は、換気気体流動に対する合理的な改良
で、余剰吹付塗料ミストの迅速な排除機能を維持
しながら、被塗装物の周辺塗装装置等への塗料付
着を効果的に防止できるようにすると共に、被塗
装物に対する吹付塗料の塗着効率をも向上できる
ようにし、しかも、被塗装物の大小や形状変化に
かかわらず、上記ミスト排除機能、塗料付着防止
機能、並びに、塗着効率の向上機能の夫々を安定
的に発揮できるようにする点にある。

〔問題点を解決するための手段〕

本発明による塗装ブースの特徴構成は、吹付塗
装作業域において、その天井部のほぼ全面から換
気気体をほぼ鉛直下方向きで層流状に吹出す天井
吹出口、側壁部から換気気体をほぼ水平向きで吹
出す側壁吹出口、及び、吹付塗装位置にある被塗
装物の下方から域内気体と共に余剰吹付塗料ミス
トを排出する排気口を設け、前記側壁吹出口から
の吹出風量を変更する操作装置を設けたことにあ
り、その作用・効果は次の通りである。

〔作 用〕

つまり、第１図に示すように、天井部のほぼ全
面からほぼ鉛直下方向きに吹出した換気気体と、
側壁部からほぼ水平向きに吹出した換気気体との
合流作用、及び、被塗装物Ａの下方からの排気作
用により、供給換気気体のほぼ全量を被塗装物Ａ
に集中させるように流動させるのである。（尚、
図中気体流動状態は矢印によつて表してある。） したがつて、合流換気気体の排気口２３側への
スムースな流動により、吹付塗装作業域内に浮遊
する余剰吹付塗料ミストを迅速に排除でき、又、
換気気体の水平向き吹出しによる下方向き換気気
体の被塗装物Ａ側への偏流により、余剰吹付塗料
ミストを含んだ上方からの換気気体が被塗装物Ａ
周辺の塗装装置８等に吹付けられることを回避で
きて、周辺塗装装置８等への塗料付着を効果的に
防止できる。

その上、換気気体を被塗装物Ａに集中させるよ
うに流動させることにより、被塗装物Ａに対して
吹付ける向きがいずれの方向であつてもその吹付
塗料は、換気気体流動でバツクアツプする状態で
被塗装物Ａの塗装面に至らせることができ、か
つ、その吹付けに伴ない発生する余剰吹付塗料ミ
ストが被塗装物Ａから作業域内空間に飛散して広
がることをも被塗装物Ａに集中する換気気体で抑
制でき、それらのことが相俟つて吹付塗料の塗着
効率の向上をも図ることができる。

しかも、側壁吹出口S₂，S₃からの吹出風量を変
更操作できるようにしたことにより、その吹出風
量の変更による下方向き換気気体と水平向き換気
気体との合流状態調節で、被塗装物Ａの大小ない
し形状変化にかかわらず、上述浮遊ミストの迅速
排除、周辺装置８への塗料付着防止、及び、塗着
効率の向上の夫々を安定的に達成できるように、
換気気体の被塗装物Ａに対する集中流動状態を、
例えば第５図イ，ロに示す如く、被塗装物Ａの大
小及び形状に応じて適宜変更調節できるようにな
つた。

〔発明の効果〕

以上の結果、吹付塗装作業域に対する被塗装物
の連続的な入換えを、色移りを防止した状態で従
前と同等に能率良く行なうことができて、全体と
しての連続塗装作業能率を高く維持することがで
きる。

又、周辺装置に対する清掃メンテナンスの頻度
ならびに所要時間を大巾に節減できると共に、周
辺装置への塗料付着に起因した粉塵発生による塗
装不良をも軽減できる。

しかも、塗着効率の向上により連続塗装作業に
おける塗料の浪費を低減できて、塗装コストの低
減も達成できた。

さらには、被塗装物の大小変化ならびに形状変
化にかかわらず上述の効果を安定的に発揮できる
ことから、被塗装物の種類に対する塗装ブースの
汎用性をも高めることができ、全体として、連続
塗装作業に極めて好適な塗装ブースを提供でき
た。

〔実施例〕

次に実施例を説明する。

第１図ないし第３図に示すように、１個の室状
に形成した吹付塗装作業域１において、前壁２、
及び、後壁３に、台車４に載置して被塗装物Ａを
コンベヤ５により搬入搬出するための搬入・搬出
口６を形成し、格子部材で形成した床７に、スプ
レーガン８Ａを備えた多関節ロボツト型の自動塗
装装置８、前記コンベア５による被塗装物搬送方
向に沿つてその左右両側に並置し、もつて、吹付
塗装作業域１内の所定位置に停止させた状態の被
塗装物Ａを、予じめ設定されたタイムスケジユー
ルに基づく塗装装置８の自動作動で吹付塗装する
塗装ブースを構成してある。

塗装作業域１内に対して換気空気を供給する給
気フアン９を設け、かつ、前記格子製床７を介し
て域内空気を余剰吹付塗料ミストと共に排出する
排気フアン１０を設け、それら両フアン９，１０
により作業域１内を余剰吹付塗料ミスト排除のた
めに強制換気するように構成してある。排気フア
ン１０に対する排気気系路Ｒにおいて、洗浄水
W₁を上面に沿つて流下させることにより床７か
らの塗料塊を粘着させること無く受け止めるパン
１１を、床７の下方で、そのほぼ全面にわたらせ
る状態に配設すると共に、そのパン１１から溢水
した洗浄水W₁を内周面に沿つて流下させること
により塗料ミストの付着を防止しながら排気気体
を下方向きに高速通過させる平面視開口形状がス
リツト状の排気管路１２を並設し、もつて、排気
管路１２からの高速吐出気体を前記パン１１の下
方に配置した洗浄水槽１３の貯留水面に衝突させ
ることに伴ない、慣性質量の違いを利用して排気
気体中の塗料ミストを貯留洗浄水W₁に捕捉させ、
それによつて、排気気体から塗料ミストを分離除
去する第１ミスト除去装置１４を構成してある。
又、第１ミスト除去装置１４よりも下流側の排気
系路Ｒにおいて、第１ミスト除去装置１４により
大径塗料ミスト及び塗料塊が荒取り的に除去され
た後の排気気体を溢水洗浄水W₂との合流状態で
Ｓ状字屈曲管路１５に高速流下させ、それに伴な
う遠心作用により、第１ミスト除去装置１４と同
様に慣性質量の違いを利用して小径塗料ミストを
流下洗浄W₂に捕捉させる第２ミスト除去装置１
６を装備してある。

前記塗装作業域１に対する換気構造を構成する
に、天井１７のほぼ全面を、前記給気フアン９か
ら上部チヤンバー１８に加圧供給された空気をフ
アルター１９を介してほぼ鉛直下方向きで層流形
状に域内に吹出し供給する天井吹出口S₁に形成
し、かつ、作業域１の左右側壁２０Ａ，２０Ｂ、
及び、前後壁２，３夫々の下側1/3〜2/3の範囲で
好ましくは下側1/2部分を、同じく給気フアン９
から両側部チヤンバー２１Ａ，２１Ｂ、及び、前
後チヤンバー２１Ｃ，２１Ｄに加圧供給された空
気をフイルター２２を介して水平横向きで層流状
に域内に吹出し供給するパンチング板製の側壁吹
出口S₂〜S₅に形成してある。

そして、域内空気排気口２３としての前記排気
管路１２のスリツト状開口を、被塗装物Ａ停止位
置の下方に配置し、もつて天井吹出口S₁からの換
気空気と側壁吹出口S₂〜S₅からの換気空気とを合
流させ、かつ、その合流空気をその合流流動方向
にほぼ沿うように被塗装物下方の排気口２３から
排出させることにより、供給換気空気のほぼ全量
を被塗装物Ａに集中させる状態で流動させるよう
に構成してある。つまり、換気空気流動の被塗装
物側への円滑な集中流動により余剰吹付塗料ミス
トの迅速な排出、及び、塗着効率の向上を達成し
ながらも、換気空気の水平向き吹出しによる下方
向き換気空気の被塗装物Ａへの偏流により、余剰
吹付塗料ミストを含んだ上方からの換気空気が被
塗装物周辺の塗装装置８に吹付けられることを回
避して、その吹付けによる周辺塗装装置８への塗
料付着を防止するように構成してある。

前記側壁吹出口S₂〜S₅の夫々を構成するに、第
４図イ，ロに示すように、作業域１内に面する吹
出口形成用固定パンチング板２４の裏面側に、そ
の全面にわたる可動パンチング板２５を、ストロ
ーク装置２６により摺動操作自在に設け、そのス
トローク装置２６に対する操作で両パンチング板
２４，２５を相対摺動させて、それらパンチング
板２４，２５の孔の相対位置を変更することによ
り、各側壁吹出口S₂〜S₅の実質的開口率を変化さ
せ、それによつて各側壁吹出口S₂〜S₅からの水平
向き吹出量を変更するように構成すると共に、各
吹出口S₂〜S₅に対するストローク装置２６の作動
量、つまり、各可動パンチング板２５の変位量を
各別に制御する人為操作型のコントローラ２７を
設け、もつて、そのコントローラ２７に対する人
為操作で各側壁吹出口S₂〜S₅からの水平向き吹出
量を変更して下方向き換気気体と水平向き換気気
体との合流状態を調整することにより、換気気体
の被塗装物Ａに対する前述の如き集中流動の状態
を対象被塗装物Ａの大小ないし形状に応じて第５
図イ，ロに示す如く適切に調整できるように構成
してある。

〔別実施例〕

次に別実施例を列記する。

前壁２及び後壁３の側壁吹出口S₄，S₅を省略し
ても良い。

側壁吹出口S₂〜S₅の吹出風量を変更操作する
に、第６図に示すように、各側壁吹出口S₂〜S₅に
対して吹出風量変更用の遠隔操作型ダンパー２
５′を装備したり、給気フアン９と側壁チヤンパ
ー２１Ａ，２１Ｂ、ないし、前後チヤンバー２１
Ｃ，２１Ｄとを接続するダクトに風量調節用ダン
パーを介装したり、あるいは、側壁吹出口S₂〜S₅
に対する専用の給気フアンに回転数制御やベーン
角制御による送風能力変更操作自在なフアンを適
用する等、側壁吹出口S₂〜S₅の吹出風量を変更操
作するための具体的装置は種々の構成変更が可能
であり、それら装置を総称して吹出風量変更装置
と称する。又、各側壁吹出口S₂〜S₅の吹出風量を
各別に変更操作するように構成するに代えて、全
ての側壁吹出口S₂〜S₅の吹出風量を一体的に変更
操作するように構成しても良い。

天井吹出口S₁及び側壁吹出口S₂〜S₅の具体的構
造は種々の改良が可能である。

【図面の簡単な説明】

第１図ないし第５図は本発明の実施例を示し、
第１図は縦断面図、第２図は概略平面図、第３図
は一部切欠き斜視図、第４図イ，ロは吹出風量変
更操作構造及び操作状態を示す図、第５図イ，ロ
は夫々換気気体流動状態を示す概略縦断面図であ
る。第６図は本発明の別実施例を示す縦断面図、
第７図及び第８図は従来構造を示す概略縦断面
図、及び、概略平面図である。 １……吹付塗装作業域、２３……排気口、S₁…
…天井吹出口、S₂，S₅……側壁吹出口。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 吹付塗装作業域１において、その天井部のほ
   ぼ全面から換気気体をほぼ鉛直下方向きで層流状
   に吹出す天井吹出口S₁、側壁部から換気気体をほ
   ぼ水平向きで吹出す側壁吹出口S₂〜S₅、及び、吹
   付塗装位置にある被塗装物Ａの下方から域内気体
   と共に余剰吹付塗料ミストを排出する排気口２３
   を設け、前記側壁吹出口S₂〜S₅からの吹出風量を
   変更する操作装置を設けた塗装ブース。