JPH0424318B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この発明はALC板（高圧蒸気養生した軽量気
泡コンクリート板）、PC板（プレキヤストコンク
リート板）あるいは石綿板、珪酸カルシウム板、
石膏ボード等の無機質パネルの表面に溝条がある
溝条付き無機質パネルの製造法に関する。

〔発明が解決しようとする課題〕

無機質パネルの表面に、縞模様、格子模様、レ
ンガ模様、タイル模様等の化粧目地を設けた溝条
付き無機質パネルは美粧性が優れ、広く使用され
ている。

しかし、これらパネル類、特にALC板は多数
の気孔を母材内に含んでいるので、屋外側に面し
た表面には合成樹脂吹付タイル、リシン等の有機
質系外装仕上を塗着し、パネル内に雨水が浸透し
たり、あるいは炭酸ガス等による老化を防止する
必要があつた。しかし有機質系外装仕上材は一般
に劣化したり、剥離したりするので、ある期間毎
に塗替えの手間がかかり、しかも汚れがつき易く
美粧性が低下する欠点もあつた。

この発明は上記事情に鑑みなされたものであ
る。その目的は、外装仕上材を塗布することな
く、長期にわたり清浄面を保ち、化粧目地と組合
せ美粧性が優れた溝条付き無機質パネルの製造法
を提案するにある。

〔課題を解決するための手段〕

この無機質パネルの製造法は、無機質パネルの
表面に防水性下地層および珪酸塩と硬化剤を含む
珪酸塩系組成物層を順に塗着し、この組成物層内
に形成ずべき溝条形状の型板を配置し、組成物が
指触乾燥状態となつた時点で型板を外し、溝条を
かたちづくり、珪酸塩系硬化物層に溝条を形成す
ることを特徴とする。

〔作用〕

この製造法は、粘稠な水ガラスである珪酸塩と
硬化剤からなる珪酸塩系組成物を防水性下地層を
塗布したパネル表面に塗着し、この組成物層に
溝条形状の型板を配置しておき、組成物が半硬化
した時点で型板を外し、溝条をかたちづくつた
後、硬化せしめて硬化物層すなわちガラス質硬化
物層に溝条を形成するので、従来のパネル母材を
穿設して溝条を形成する手段に比べ作業性が優
れ、母材を損なう恐れがない。溝条の形成と同
時にパネル表面を防水性下地層およびガラス質硬
化物層で被覆するので、汚れたり、透水したりし
がたく、外装材の塗布の必要がなく、常に平滑で
清浄な面を保ち、溝条と組合せ優れた美粧性を発
現する。溝条の下層には防水性下地層があるの
で溝条部分からの透水も起らない。珪酸塩系硬
化物は、膨張率が無機質パネル母材に近似してい
るので剥離しがたく、半永久的に下地母材を保護
し塗替えの必要がなく、顔料等を添加し色彩を施
すこともできる。

〔実施例〕

以下、ALC板を基板とする実施例を図面を用
い説明する。第１図において、ALC板１の表面
に、セメント40部、珪砂60部、合成樹脂エマルジ
ヨン10部からなる防水モルタルを金ゴテにてコテ
塗仕上げ等を行ない塗着し、養生して厚さ２mm以
下（好ましくは１〜1.5mm）の防水性下地層２を
設ける。この上に図示しないが、格子状をなした
プラスチツク製の型板を載置し、型板の上から珪
酸カリウム80部（固形分換算）、硬化剤（亜硫酸
カルシウム100部、珪灰石灰120部、カオリン50
部）、および顔料（ベンガラ10部）、水酸化マグネ
シウム２部からなる珪酸塩系組成物層３を約３mm
の厚さに塗着する。

塗着後、30分程度経過して組成物層３が指触乾
燥の状態に達したならば型板を静かに取り除い
て、型板の跡にならつた溝条４をかたちづくり、
そのまま放置して常温硬化せしめて、パネル表面
のガラス質硬化物層３に防水性下地層２表面に達
する直交２方向の溝条４を形成する。

なお、第１図では５は埋設した鉄筋、６は
ALC板を接合した場合目地を形成するための側
縁に設けた段差部である。

第２図、第３図、第４図は、それぞれこの製造
法でつくつたレンガ模様、横縞模様および格子模
様の溝条付き無機質パネルである。

この製造法で基板として用いるALC板は通常
厚さ30mm〜150mm程度のもので、鉄筋あるいはメ
タルラス等を配筋して補強したものであるが、無
配筋のものであつても差支えない。またALC板
の代わりに、PC板、コンクリートブロツク、石
綿板珪酸カルシウム板、石膏ボード等の無機質パ
ネルを基板とすることもできる。パネルの寸法と
しては幅600〜1800mm、長さ1800〜4500mm程度で
ある。

防水性下地層としては、例えば防水モルタル、
合成樹脂混入セメントペースト（通常合成樹脂セ
メントフイラー）等が用いられる。また、これら
に繊維補強材を混入した組織は亀裂等が発生しが
たく、表層の珪酸塩系硬化物層と組合せて優れた
耐候性を発揮する。また、硬化物層に形成した溝
条の底面が直接防水性下地層となる場合でも、防
水性下地層がパネル母材を強固に保護することが
できるので好適である。

〔発明の効果〕

この発明は以上の通りであり、この製造法によ
ると、パネル母材を損なうことなく、作業能率
よく、パネル表面に溝条を形成できる。得られ
るパネルは外装材仕上の必要がなく、清浄な面を
保ち溝条と組合されて優れた美粧性と耐久性を発
揮する。

【図面の簡単な説明】

第１図はこのパネルの製造法を説明するパネル
の断面図、第２，３，４図はそれぞれこの製造法
でつくつたレンガ模様、縞模様、格子模様の溝条
付きパネルの平面図である。 １……ALC板、２……防水性下地層、３……
珪酸塩系組成物、４……溝条、５……鉄筋、６…
…段差部。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 無機質パネルの表面に防水性下地層および珪
   酸塩と硬化剤を含む珪酸塩系組成物層を順に塗着
   し、この組成物層内に溝条形状の型板を配置し、
   組成物が指触乾燥状態となつた時点で型板を外
   し、溝条をかたちづくり、珪酸塩系硬化物層に溝
   条を形成することを特徴とする溝条付き無機質パ
   ネルの製造法。