JP2004224581A - 軽量接着材 - Google Patents
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Abstract
【課題】意匠性、防水性能、耐久性に優れる、ALCパネル及びALC外壁用のタイル接着材を提供することを目的とする。
【解決手段】ポルトランドセメント、骨材、ノニオン系分散剤によりエマルジョン化したアクリルラテックスからなることを特徴とする軽量接着材とする。
【選択図】 選択図なし。
【解決手段】ポルトランドセメント、骨材、ノニオン系分散剤によりエマルジョン化したアクリルラテックスからなることを特徴とする軽量接着材とする。
【選択図】 選択図なし。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、建築物の外壁として使用される軽量気泡コンクリートパネル(以下、ALCパネルと呼ぶ)にタイルを貼着するために用いられる軽量接着材に関する。
【0002】
【従来の技術】
ALCパネルは、補強鉄筋等を内在させて補強した軽量な既製パネルであり、例えば幅60センチ、長さ数メートルの大きなパネルとして知られている。このALCパネルは、経済性、軽量性、耐火断熱性、加工性に優れているという特性を有しており、建築業界において個人住宅、店舗付住宅、ビルディングの屋根、床、外壁及び間仕切り材等として多用されている。
【0003】
建築物の躯体にALCパネルを取付けて外壁を構成するには、鉄骨躯体の場合、厚さ75〜150mmのALCパネルを取付け金具を用いて躯体に乾式または湿式工法で取付けたり、また、木製躯体の場合は、厚さ37、50mm程度のALCパネルを躯体の柱にビス止めして取付けたりしている。その後、隣接する各ALCパネルの目地部にシーリング材を充填し、該ビス穴をモルタル等で補修した後、ALCパネル表面に塗装等して仕上げを行っている。
またこのように構成された外壁の意匠性を向上するために、ALCパネルの表面に工場で予めストライプや格子状等の模様を切削加工したり、多色塗装等が行われたりする。
【0004】
さらに最近では、建築物の外観を一層向上させるために、外壁に煉瓦やタイルを貼着することが要望されており、そのため、例えば厚さ100mm以上のALCパネルには、工場で予めタイルを貼着したものが提供されている。このタイル貼着ALCパネルを製造する場合には、先ずALCパネル表面に吸水を防水するシーラーを塗布し、次にその上の全面にセメント系モルタルを塗布した後に、モザイクタイル等を押圧して貼着する。その後、各タイルの目地部に着色した目地モルタルを充填して仕上げている。
【0005】
しかしながらこの作業は該モルタルを乾燥させるために、通常1週間程度の工期が必要であり、またALCパネルの重量が重くなる、切断加工等が出来ない、作業性が良くない、等の問題があった。また厚さが37〜50mm程度の薄いALCパネルは、タイルを貼着するとハンドリングの際タイルが剥離しやすい、重量が大きいと人力での作業が困難となる、また、施工現場での切断作業が出来ないという施工上の問題を有している。
【0006】
そこでこれらの課題を克服するために、75mm未満の撥水性ALCパネル表面に、耐候性と弾性のあるエポキシ変性シリコン性の接着剤で軽量タイルを接着する方法等が提案されている。(特許文献1:特開平11−135706号公報)
しかし、この方法で使用される該接着剤は、一般にタイル接着に使用されるモルタルに比べて粘度が大きいため、塗布しにくい、比重が1.5程度であるためパネルを軽量化しようとする場合塗布量に制約を受ける、接着剤自体が高価でありあまり経済的ではない、タイル目地にタイルと質感の異なる接着剤が露出するため意匠性が乏しい、等の課題を抱えている。
【0007】
【特許文献1】
特開平11−135706号公報
【0008】
【本発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記の課題を解決する為に創案されたもので、意匠性、防水性能、耐久性に優れる、ALCパネル及びALC外壁のタイル用軽量接着材を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
即ち、本発明は上記の課題を達成したものであり、それは次の通りである。
(1) ポルトランドセメント100重量部、骨材140〜1000重量部の混合粉体原料と、ノニオン系分散剤によりエマルジョン化したアクリルラテックス10〜40重量部(固形分換算)からなることを特徴とする軽量接着材。
(2) (1)記載のモルタル組成物に、さらに、粉体着色顔料0.1〜20重量部を加えることを特徴とする軽量接着材。
【0010】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の下地に用いるALCパネルとは、次のような製造方法によって得られたものをいう。
例えば、石灰質原料、珪酸質原料に水、発泡剤等が加えられたモルタルスラリーを補強鉄筋が多数配置された型枠に注入し、気泡を含む型枠状の大きなブロックを、硬化途中の半硬化状態でピアノ線を用いて切断し、オートクレーブ養生したものである。
【0011】
本発明でいうALCパネルとは、大きさや形状はどのようなものも含み、補強鉄筋の形状や切削加工によって所定の形状に切断されたもの、建物の外壁材、間仕切り材として使用されるフラットパネル、外壁の出隅部及び入り隅部に利用されるL字型、R型のコーナーパネル、該パネル表面にデザイン溝がないもの、及びデザイン溝があるもの、等があげられる。
本発明で用いる接着材は、ポルトランドセメント、骨材、ノニオン系分散剤によりエマルジョン化したアクリルラテックスから成る組成物に適量の水を添加して用いられる。
【0012】
骨材としては、下地として用いるALCパネルの物性値に適したものにするのが一般的であるが、例えば、シリカ粉体、炭酸カルシウム、ALC粉末、珪砂、黒曜石パーライト、粘土鉱物、等が良く、好ましくは、ALC粉末、黒曜石パーライトを使用するのが良い。骨材の粒径は、1.2mm以下のものが好ましく、1.2mmより大きい場合には、後述する塗布方法に悪影響を与える。
骨材の添加量は140〜1000重量部が好ましく、140重量部より少ない場合は、硬化、乾燥収縮が大きくなるため接着モルタル表面に亀裂が発生しやすく、1000重量部より多い場合には、ALC並みの強度が得られない。
【0013】
該接着材の比重は配合組成により異なるが、比重を小さくする場合は、黒曜石パーライト、ALC粉末等の骨材を多く添加するのが良い。
アクリルラテックスエマルジョンは、ノニオン系分散剤でエマルジョン化したアクリルラテックスが適しており、同じアクリルラテックスエマルジョンでも、例えばカルボン酸などを官能基に持つアニオン系分散剤でエマルジョン化したアクリルラテックスを用いると、セメント中のカルシウムイオンが減少し、硬化遅延を起こし、亀裂等が発生する。
【0014】
ノニオン系分散剤でエマルジョン化したアクリルラテックス量が、固形分換算で40重量部より多い場合には、セメントの水和に支障が生じ、硬化時間が著しく長くなってしまう。固形分換算で10重量部より少ないとALCとの付着性が著しく低下し、また接着材に充分な防水性能が得られない。
アクリルラテックスの量は、ポルトランドセメント100重量部に対して35重量部以下が好ましく、全固形分に対して5重量%以上の添加量が好ましい。ポルトランドセメントに対して35重量部を越えるとセメントの水和に支障を生じ、硬化形成時間が著しく長くなってしまう。全固形分に対して5重量%を下回ると、防水性能、ALCとの付着性能が低下してしまう。
【0015】
着色顔料としては、ベンガラ、ニッケルチタンイエロー、黄色酸化鉄、黄鉛、群青、紺青、コバルトブルー、カーボンブラック、酸化チタン、コバルト緑等の無機粉体顔料が使用できる。他にペースト顔料の使用も可能であるが、粉体顔料を分散させるために使用する界面活性剤の種類によっては、セメントの硬化遅延を起こすおそれがあるため、粉体顔料の使用が好ましく、さらに好ましくは耐候性の優れる無機粉体顔料の使用が良い。着色顔料の添加量は、0.1〜20重量部が好ましく、この範囲で優れた着色効果を奏する。
【0016】
また、該接着材をALCパネルに塗布した後、垂れが発生し易い場合は、該接着材のモルタル組成物に増粘性を付与するのが良く、例えば、メチルセルロース等を少量添加するのが良い。
該接着材の配合組成は、得ようとする接着材の物性、外壁として使用される環境条件、生産性、製造コスト等から決定する。
接着材の塗布方法は、こて塗り、流し込み、塗装用スプレー、万能ガン、等により行うことが出来るが、生産性、製造コスト等から決定するのが一般的である。接着モルタルの粘度が高く、人手による作業で塗布する場合は、こて塗りが良く、塗料粘度が低く、機械で塗布出来る接着材を使用する場合は、流し込みやスプレー塗布を選択するのが良い。
【0017】
接着材の乾燥は、ALCパネル表面にタイルを貼着した後に行う。乾燥方法は、自然乾燥、強制乾燥のどちらでも良いが、施工現場で施工する場合は自然乾燥が一般的であり、予め工場にてタイル貼着ALCパネルを生産する場合は、生産性向上を目的とした、赤外線ランプによる照射、蒸気養生、熱風循環式乾燥器による乾燥、等から選択するのが良い。
また、本発明の接着材で使用できるタイルは、例えば、磁器質、せっ器質、陶器質、土器質等の一般的な材質であれば何でも良く、形状や大きさについても特に限定されない。また、外観が石材調、煉瓦調、スクラッチ模様、テッセラ等の意匠タイルでも良い。
厚さが37〜50mmの薄いALCパネルに予め工場でタイルを貼着する場合は、パネルを軽量化するのが好ましく、比重1.0〜1.5程度の軽量タイルを選択するのが良い。
【0018】
【発明の実施の形態】
次に、実施例によって本発明をさらに詳細に説明する。
軽量接着材に添加したノニオン系分散剤でエマルジョン化させたアクリルラテックスとしては旭化成(株)「ポリトロンA1500」、「ポリトロンA1600」を、アニオン系分散剤でエマルジョン化させたアクリルラテックスとしては旭化成(株)「ポリトロンA1210」を、カチオン系分散剤でエマルジョン化させたアクリルラテックスとしてはフジワラ化学(株)「カチオントレーヌ」を使用した。また、メチルセルロースは信越化学(株)「hiメトローズ90SH4000」を使用した。
【0019】
樹脂接着剤としては、セメダイン(株)「セメダインタイルエースLタイプ」を使用した。
タイル接着性は、JISK5400に準じた付着試験を実施した。付着強度は0.7N/mm2以上が好ましく、破壊状況はALC基材からの破壊が最適である。
表−1中結果欄の「◎」は「付着強度が0.7N/mm2以上で破壊状況はALC基材からの破壊で、極めて良好」を、「○」は「付着強度が0.7N/mm2未満であるが破壊状況はALC基材からの破壊で、良好」を、「△」は「付着強度が0.7N/mm2未満で破壊状況の一部に仕上げ材とALC基材の界面剥離が見られる場合で、やや劣る」を、「×」は「破壊状況が仕上げ材とALC基材の界面剥離で、劣る」をそれぞれ示す。
【0020】
接着材自体の防水度については、接着材及び樹脂接着剤を2.5Kg/m2塗布し、タイルを貼らない状態のまま常温で2週間放置させた後、JISK5400に準じた透水度測定を実施した。
外観は、ALC表面に接着材を塗布した後タイルを貼った状態で異常がないかを目視にて評価した。
【0021】
【実施例1】
ALCパネル表面に、表−1に掲げる普通ポルトランドセメント100重量部、ALC粉末40重量部、黒曜石パーライト100重量部、ノニオン系分散剤によりエマルジョン化したアクリルラテックス(旭化成(株)ポリトロンA1500)35重量部(固形分換算)、メチルセルロース1重量部、適量の水、から成る軽量接着材をクシ目ごてで2.5Kg/m2塗布し、タイルを貼らない状態のままのサンプルと、二丁掛けサイズの磁器質製軽量タイルを押圧して貼着したサンプルを各々作製し、常温で2週間放置した。次に作製サンプルを用いて、タイル接着性、接着剤自体の防水性能(透水度)、外観について試験を実施した。
結果を表−1に示す。
【0022】
【実施例2】
ALCパネル表面に、表−1に掲げる普通ポルトランドセメント100重量部、ALC粉末40重量部、黒曜石パーライト100重量部、ノニオン系分散剤によりエマルジョン化したアクリルラテックス(旭化成(株)ポリトロンA1600)30重量部(固形分換算)、メチルセルロース1重量部、適量の水、から成る軽量接着材をクシ目ごてで2.5Kg/m2塗布し、タイルを貼らない状態のままのサンプルと、二丁掛けサイズの磁器質製軽量タイルを押圧して貼着したサンプルを各々作製し、常温で2週間放置した。次に作製サンプルを用いて、タイル接着性、接着剤自体の防水性能(透水度)、外観について試験を実施した。
結果を表−1に示す。
【0023】
【比較例1】
ALCパネル表面に、表−1に掲げる普通ポルトランドセメント100重量部、ALC粉末40重量部、黒曜石パーライト100重量部、カチオン系界面活性剤を用いて分散したアクリルラテックス30重量部(固形分換算)、メチルセルロース1重量部、適量の水、から成る軽量接着材をクシ目ごてで2.5Kg/m2塗布し、タイルを貼らない状態のままのサンプルと、二丁掛けサイズの磁器質製軽量タイルを押圧して貼着したサンプルを各々作製し、常温で2週間放置した。次に作製サンプルを用いて、タイル接着性、接着剤自体の防水性能(透水度)、外観について試験を実施した。
結果を表−1に示す。
【0024】
【比較例2】
ALCパネル表面に、表−1に掲げる普通ポルトランドセメント100重量部、ALC粉末40重量部、黒曜石パーライト100重量部、アニオン系界面活性剤を用いて分散したアクリルラテックス20重量部(固形分換算)、メチルセルロース1重量部、適量の水、から成る軽量接着材をクシ目ごてで2.5Kg/m2塗布し、タイルを貼らない状態のままのサンプルと、二丁掛けサイズの磁器質製軽量タイルを押圧して貼着しサンプルを各々作製し、常温で2週間放置した。次に作製サンプルを用いて、タイル接着性、接着剤自体の防水性能(透水度)、外観について試験を実施した。
結果を表−1に示す。
【0025】
【比較例3】
ALCパネル表面に、表−1に掲げる樹脂接着剤(セメダイン(株)セメダインタイルエースLタイプをクシ目ごてで2.5Kg/m2塗布し、タイルを貼らない状態のままのサンプルと、二丁掛けサイズの磁器質製軽量タイルを押圧して貼着したサンプルを各々作製し、常温で2週間放置した。次に作製サンプルを用いて、タイル接着性、接着剤自体の防水性能(透水度)、外観について試験を実施した。
結果を表−1に示す。
【0026】
【表1】
【0027】
【発明の効果】
本発明によれば、接着材自体の比重が小さいため、予め工場でタイルを貼着するALCパネルを作製する場合には軽量化を図れる、施工現場でタイルを貼着する場合はその重量から建物の外壁にかかる負担を低減出来る、パネル化した場合施工現場で切断加工が可能である、等の特徴を有しており、加えて、意匠性、防水性能、耐久性に優れるALCパネル及びタALC外壁用のタイル接着材を提供することが可能である。
【発明の属する技術分野】
本発明は、建築物の外壁として使用される軽量気泡コンクリートパネル(以下、ALCパネルと呼ぶ)にタイルを貼着するために用いられる軽量接着材に関する。
【0002】
【従来の技術】
ALCパネルは、補強鉄筋等を内在させて補強した軽量な既製パネルであり、例えば幅60センチ、長さ数メートルの大きなパネルとして知られている。このALCパネルは、経済性、軽量性、耐火断熱性、加工性に優れているという特性を有しており、建築業界において個人住宅、店舗付住宅、ビルディングの屋根、床、外壁及び間仕切り材等として多用されている。
【0003】
建築物の躯体にALCパネルを取付けて外壁を構成するには、鉄骨躯体の場合、厚さ75〜150mmのALCパネルを取付け金具を用いて躯体に乾式または湿式工法で取付けたり、また、木製躯体の場合は、厚さ37、50mm程度のALCパネルを躯体の柱にビス止めして取付けたりしている。その後、隣接する各ALCパネルの目地部にシーリング材を充填し、該ビス穴をモルタル等で補修した後、ALCパネル表面に塗装等して仕上げを行っている。
またこのように構成された外壁の意匠性を向上するために、ALCパネルの表面に工場で予めストライプや格子状等の模様を切削加工したり、多色塗装等が行われたりする。
【0004】
さらに最近では、建築物の外観を一層向上させるために、外壁に煉瓦やタイルを貼着することが要望されており、そのため、例えば厚さ100mm以上のALCパネルには、工場で予めタイルを貼着したものが提供されている。このタイル貼着ALCパネルを製造する場合には、先ずALCパネル表面に吸水を防水するシーラーを塗布し、次にその上の全面にセメント系モルタルを塗布した後に、モザイクタイル等を押圧して貼着する。その後、各タイルの目地部に着色した目地モルタルを充填して仕上げている。
【0005】
しかしながらこの作業は該モルタルを乾燥させるために、通常1週間程度の工期が必要であり、またALCパネルの重量が重くなる、切断加工等が出来ない、作業性が良くない、等の問題があった。また厚さが37〜50mm程度の薄いALCパネルは、タイルを貼着するとハンドリングの際タイルが剥離しやすい、重量が大きいと人力での作業が困難となる、また、施工現場での切断作業が出来ないという施工上の問題を有している。
【0006】
そこでこれらの課題を克服するために、75mm未満の撥水性ALCパネル表面に、耐候性と弾性のあるエポキシ変性シリコン性の接着剤で軽量タイルを接着する方法等が提案されている。(特許文献1:特開平11−135706号公報)
しかし、この方法で使用される該接着剤は、一般にタイル接着に使用されるモルタルに比べて粘度が大きいため、塗布しにくい、比重が1.5程度であるためパネルを軽量化しようとする場合塗布量に制約を受ける、接着剤自体が高価でありあまり経済的ではない、タイル目地にタイルと質感の異なる接着剤が露出するため意匠性が乏しい、等の課題を抱えている。
【0007】
【特許文献1】
特開平11−135706号公報
【0008】
【本発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記の課題を解決する為に創案されたもので、意匠性、防水性能、耐久性に優れる、ALCパネル及びALC外壁のタイル用軽量接着材を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
即ち、本発明は上記の課題を達成したものであり、それは次の通りである。
(1) ポルトランドセメント100重量部、骨材140〜1000重量部の混合粉体原料と、ノニオン系分散剤によりエマルジョン化したアクリルラテックス10〜40重量部(固形分換算)からなることを特徴とする軽量接着材。
(2) (1)記載のモルタル組成物に、さらに、粉体着色顔料0.1〜20重量部を加えることを特徴とする軽量接着材。
【0010】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の下地に用いるALCパネルとは、次のような製造方法によって得られたものをいう。
例えば、石灰質原料、珪酸質原料に水、発泡剤等が加えられたモルタルスラリーを補強鉄筋が多数配置された型枠に注入し、気泡を含む型枠状の大きなブロックを、硬化途中の半硬化状態でピアノ線を用いて切断し、オートクレーブ養生したものである。
【0011】
本発明でいうALCパネルとは、大きさや形状はどのようなものも含み、補強鉄筋の形状や切削加工によって所定の形状に切断されたもの、建物の外壁材、間仕切り材として使用されるフラットパネル、外壁の出隅部及び入り隅部に利用されるL字型、R型のコーナーパネル、該パネル表面にデザイン溝がないもの、及びデザイン溝があるもの、等があげられる。
本発明で用いる接着材は、ポルトランドセメント、骨材、ノニオン系分散剤によりエマルジョン化したアクリルラテックスから成る組成物に適量の水を添加して用いられる。
【0012】
骨材としては、下地として用いるALCパネルの物性値に適したものにするのが一般的であるが、例えば、シリカ粉体、炭酸カルシウム、ALC粉末、珪砂、黒曜石パーライト、粘土鉱物、等が良く、好ましくは、ALC粉末、黒曜石パーライトを使用するのが良い。骨材の粒径は、1.2mm以下のものが好ましく、1.2mmより大きい場合には、後述する塗布方法に悪影響を与える。
骨材の添加量は140〜1000重量部が好ましく、140重量部より少ない場合は、硬化、乾燥収縮が大きくなるため接着モルタル表面に亀裂が発生しやすく、1000重量部より多い場合には、ALC並みの強度が得られない。
【0013】
該接着材の比重は配合組成により異なるが、比重を小さくする場合は、黒曜石パーライト、ALC粉末等の骨材を多く添加するのが良い。
アクリルラテックスエマルジョンは、ノニオン系分散剤でエマルジョン化したアクリルラテックスが適しており、同じアクリルラテックスエマルジョンでも、例えばカルボン酸などを官能基に持つアニオン系分散剤でエマルジョン化したアクリルラテックスを用いると、セメント中のカルシウムイオンが減少し、硬化遅延を起こし、亀裂等が発生する。
【0014】
ノニオン系分散剤でエマルジョン化したアクリルラテックス量が、固形分換算で40重量部より多い場合には、セメントの水和に支障が生じ、硬化時間が著しく長くなってしまう。固形分換算で10重量部より少ないとALCとの付着性が著しく低下し、また接着材に充分な防水性能が得られない。
アクリルラテックスの量は、ポルトランドセメント100重量部に対して35重量部以下が好ましく、全固形分に対して5重量%以上の添加量が好ましい。ポルトランドセメントに対して35重量部を越えるとセメントの水和に支障を生じ、硬化形成時間が著しく長くなってしまう。全固形分に対して5重量%を下回ると、防水性能、ALCとの付着性能が低下してしまう。
【0015】
着色顔料としては、ベンガラ、ニッケルチタンイエロー、黄色酸化鉄、黄鉛、群青、紺青、コバルトブルー、カーボンブラック、酸化チタン、コバルト緑等の無機粉体顔料が使用できる。他にペースト顔料の使用も可能であるが、粉体顔料を分散させるために使用する界面活性剤の種類によっては、セメントの硬化遅延を起こすおそれがあるため、粉体顔料の使用が好ましく、さらに好ましくは耐候性の優れる無機粉体顔料の使用が良い。着色顔料の添加量は、0.1〜20重量部が好ましく、この範囲で優れた着色効果を奏する。
【0016】
また、該接着材をALCパネルに塗布した後、垂れが発生し易い場合は、該接着材のモルタル組成物に増粘性を付与するのが良く、例えば、メチルセルロース等を少量添加するのが良い。
該接着材の配合組成は、得ようとする接着材の物性、外壁として使用される環境条件、生産性、製造コスト等から決定する。
接着材の塗布方法は、こて塗り、流し込み、塗装用スプレー、万能ガン、等により行うことが出来るが、生産性、製造コスト等から決定するのが一般的である。接着モルタルの粘度が高く、人手による作業で塗布する場合は、こて塗りが良く、塗料粘度が低く、機械で塗布出来る接着材を使用する場合は、流し込みやスプレー塗布を選択するのが良い。
【0017】
接着材の乾燥は、ALCパネル表面にタイルを貼着した後に行う。乾燥方法は、自然乾燥、強制乾燥のどちらでも良いが、施工現場で施工する場合は自然乾燥が一般的であり、予め工場にてタイル貼着ALCパネルを生産する場合は、生産性向上を目的とした、赤外線ランプによる照射、蒸気養生、熱風循環式乾燥器による乾燥、等から選択するのが良い。
また、本発明の接着材で使用できるタイルは、例えば、磁器質、せっ器質、陶器質、土器質等の一般的な材質であれば何でも良く、形状や大きさについても特に限定されない。また、外観が石材調、煉瓦調、スクラッチ模様、テッセラ等の意匠タイルでも良い。
厚さが37〜50mmの薄いALCパネルに予め工場でタイルを貼着する場合は、パネルを軽量化するのが好ましく、比重1.0〜1.5程度の軽量タイルを選択するのが良い。
【0018】
【発明の実施の形態】
次に、実施例によって本発明をさらに詳細に説明する。
軽量接着材に添加したノニオン系分散剤でエマルジョン化させたアクリルラテックスとしては旭化成(株)「ポリトロンA1500」、「ポリトロンA1600」を、アニオン系分散剤でエマルジョン化させたアクリルラテックスとしては旭化成(株)「ポリトロンA1210」を、カチオン系分散剤でエマルジョン化させたアクリルラテックスとしてはフジワラ化学(株)「カチオントレーヌ」を使用した。また、メチルセルロースは信越化学(株)「hiメトローズ90SH4000」を使用した。
【0019】
樹脂接着剤としては、セメダイン(株)「セメダインタイルエースLタイプ」を使用した。
タイル接着性は、JISK5400に準じた付着試験を実施した。付着強度は0.7N/mm2以上が好ましく、破壊状況はALC基材からの破壊が最適である。
表−1中結果欄の「◎」は「付着強度が0.7N/mm2以上で破壊状況はALC基材からの破壊で、極めて良好」を、「○」は「付着強度が0.7N/mm2未満であるが破壊状況はALC基材からの破壊で、良好」を、「△」は「付着強度が0.7N/mm2未満で破壊状況の一部に仕上げ材とALC基材の界面剥離が見られる場合で、やや劣る」を、「×」は「破壊状況が仕上げ材とALC基材の界面剥離で、劣る」をそれぞれ示す。
【0020】
接着材自体の防水度については、接着材及び樹脂接着剤を2.5Kg/m2塗布し、タイルを貼らない状態のまま常温で2週間放置させた後、JISK5400に準じた透水度測定を実施した。
外観は、ALC表面に接着材を塗布した後タイルを貼った状態で異常がないかを目視にて評価した。
【0021】
【実施例1】
ALCパネル表面に、表−1に掲げる普通ポルトランドセメント100重量部、ALC粉末40重量部、黒曜石パーライト100重量部、ノニオン系分散剤によりエマルジョン化したアクリルラテックス(旭化成(株)ポリトロンA1500)35重量部(固形分換算)、メチルセルロース1重量部、適量の水、から成る軽量接着材をクシ目ごてで2.5Kg/m2塗布し、タイルを貼らない状態のままのサンプルと、二丁掛けサイズの磁器質製軽量タイルを押圧して貼着したサンプルを各々作製し、常温で2週間放置した。次に作製サンプルを用いて、タイル接着性、接着剤自体の防水性能(透水度)、外観について試験を実施した。
結果を表−1に示す。
【0022】
【実施例2】
ALCパネル表面に、表−1に掲げる普通ポルトランドセメント100重量部、ALC粉末40重量部、黒曜石パーライト100重量部、ノニオン系分散剤によりエマルジョン化したアクリルラテックス(旭化成(株)ポリトロンA1600)30重量部(固形分換算)、メチルセルロース1重量部、適量の水、から成る軽量接着材をクシ目ごてで2.5Kg/m2塗布し、タイルを貼らない状態のままのサンプルと、二丁掛けサイズの磁器質製軽量タイルを押圧して貼着したサンプルを各々作製し、常温で2週間放置した。次に作製サンプルを用いて、タイル接着性、接着剤自体の防水性能(透水度)、外観について試験を実施した。
結果を表−1に示す。
【0023】
【比較例1】
ALCパネル表面に、表−1に掲げる普通ポルトランドセメント100重量部、ALC粉末40重量部、黒曜石パーライト100重量部、カチオン系界面活性剤を用いて分散したアクリルラテックス30重量部(固形分換算)、メチルセルロース1重量部、適量の水、から成る軽量接着材をクシ目ごてで2.5Kg/m2塗布し、タイルを貼らない状態のままのサンプルと、二丁掛けサイズの磁器質製軽量タイルを押圧して貼着したサンプルを各々作製し、常温で2週間放置した。次に作製サンプルを用いて、タイル接着性、接着剤自体の防水性能(透水度)、外観について試験を実施した。
結果を表−1に示す。
【0024】
【比較例2】
ALCパネル表面に、表−1に掲げる普通ポルトランドセメント100重量部、ALC粉末40重量部、黒曜石パーライト100重量部、アニオン系界面活性剤を用いて分散したアクリルラテックス20重量部(固形分換算)、メチルセルロース1重量部、適量の水、から成る軽量接着材をクシ目ごてで2.5Kg/m2塗布し、タイルを貼らない状態のままのサンプルと、二丁掛けサイズの磁器質製軽量タイルを押圧して貼着しサンプルを各々作製し、常温で2週間放置した。次に作製サンプルを用いて、タイル接着性、接着剤自体の防水性能(透水度)、外観について試験を実施した。
結果を表−1に示す。
【0025】
【比較例3】
ALCパネル表面に、表−1に掲げる樹脂接着剤(セメダイン(株)セメダインタイルエースLタイプをクシ目ごてで2.5Kg/m2塗布し、タイルを貼らない状態のままのサンプルと、二丁掛けサイズの磁器質製軽量タイルを押圧して貼着したサンプルを各々作製し、常温で2週間放置した。次に作製サンプルを用いて、タイル接着性、接着剤自体の防水性能(透水度)、外観について試験を実施した。
結果を表−1に示す。
【0026】
【表1】
【0027】
【発明の効果】
本発明によれば、接着材自体の比重が小さいため、予め工場でタイルを貼着するALCパネルを作製する場合には軽量化を図れる、施工現場でタイルを貼着する場合はその重量から建物の外壁にかかる負担を低減出来る、パネル化した場合施工現場で切断加工が可能である、等の特徴を有しており、加えて、意匠性、防水性能、耐久性に優れるALCパネル及びタALC外壁用のタイル接着材を提供することが可能である。
Claims (2)
- ポルトランドセメント100重量部、骨材140〜1000重量部の混合粉体原料と、ノニオン系分散剤によりエマルジョン化したアクリルラテックス10〜40重量部(固形分換算)からなることを特徴とする軽量接着材。
- 請求項1記載の軽量接着材に、さらに、粉体着色顔料0.1〜20重量部を加えることを特徴とする軽量接着材。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003010615A JP2004224581A (ja) | 2003-01-20 | 2003-01-20 | 軽量接着材 |
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JP (1) | JP2004224581A (ja) |
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2008115026A (ja) * | 2006-11-01 | 2008-05-22 | Inax Corp | セメント調合物、タイル壁及びセメント調合物の判別方法 |
JP2008196038A (ja) * | 2007-02-15 | 2008-08-28 | Clion Co Ltd | 防錆材、及び、補強鉄筋の防錆処理方法 |
WO2018101613A1 (ko) * | 2016-12-02 | 2018-06-07 | 롯데정밀화학 주식회사 | 경량 기포 콘크리트용 접착제 조성물 및 이를 포함하는 경량 기포 콘크리트용 접착제 |
CN110145087A (zh) * | 2019-06-11 | 2019-08-20 | 曹磊 | 一种石材粘连剂的施工方法 |
-
2003
- 2003-01-20 JP JP2003010615A patent/JP2004224581A/ja active Pending
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