JPH0423998Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 「考案の利用分野」 この考案は、トンネル側壁構造、特にPC板に
より構築する主として道路用トンネルなどの側壁
部の構造に関するものである。

「従来の技術」 近年山岳トンネルなどの覆工工法として、吹付
けコンクリートとロツクボルトなどの一次覆工で
地山の荷重を支持した後、二次覆工として現場打
ちコンクリートにより覆工するNATM工法が盛
んに実施されている。

「考案が解決しようとする問題点」 ところで、NATM工法における二次覆工は現
場打ちコンクリートで施工するため、移動型枠な
どの複雑で大型の型枠を要することに加えて内装
用の化粧モルタル施工を要し、極めて工数が多く
施工が煩雑であると共に、トンネル掘削時の余掘
による打設コンクリート量の増加、乾燥収縮によ
るコンクリートのひび割れ及びクラウン部コンク
リートのブリージングによる強度低下等多くの解
決すべき問題点が指摘されている。

そこで、出願人らは近年山岳トンネルなどの覆
工工法として地山の荷重を支保工に支持した後、
この支保工間にPC覆工板を建込み、これを型枠
代りとして地山とPC覆工板との空〓に裏込めコ
ンクリートなどの固結剤を充填して一体化し、地
山の荷重を固結剤とPC覆工板との合成によつて
受持たせることにより型枠及び化粧用モルタル被
覆等を不要とした簡易なトンネル覆工工法を開発
しつつある。

この考案は、このようなPC覆工板によるPC覆
工構造において、トンネル側壁部の退避用又は歩
行用道路などをPC壁板を用いて簡単かつ体裁よ
く造成できるようにしたトンネル側壁構造を提案
するものである。

以下この考案を図面に示す実施例について説明
すると、トンネル路面部１の両側部には、トンネ
ル側壁部２とその壁面から所定間隔を置いて横に
連続して設置したPC側壁板３との空間部に打設
した現場打ちコンクリート４により、退避用又は
歩行用道路５が形成され、この通路５における側
壁部２にはこれに沿つてPC腰壁板６が横に連続
して設置され、このPC腰壁板６と側壁部２との
空間に打設した現場打ちコンクリート７に一体化
されている。

PC側壁板３は、その背面に鋼材を枠組みしし
て後方に突設したステイ８は固定されており、こ
のステイ８によつて背面を支持して床面に自立的
に設置されるように構成され、またこのステイ８
は現場打ちコンクリート４に対するアンカー筋と
して機能してPC側壁板３をコンクリート４と強
固に一体化させると共に、コンクリート４の打設
時にその重量を受けてPC側壁板３の前方への転
倒を防止する押え材としても機能するようになつ
ている。

なお、PC側壁板３の下端には、必要に応じて
側溝９を一体に成形しておけば路面部１の施工が
容易となる。

腰壁板６はその表面にタイル１０を取付けた方
形PC板からなり、その背面に突設したアンカー
筋１１により現場打ちコンクリート７と一体化
し、またこのコンクリート７はこれに埋設したロ
ツクボルト１２の突出端部により側壁部２に一体
化する。

また、腰壁板６内にその上端から下端にかけて
シース１３を埋設しておき、ステイ８に固定して
現場打ちコンクリート４中に埋設したシース１４
からのPC鋼線１５をこのシース１３に通して上
端で緊結することによつて、現場打ちコンクリー
ト４とより強固に一体化することができる。

腰壁板６上にはPC覆工板１６が順次トンネル
周壁に沿つてアーチ状に組立てられ、覆工後必要
に応じてPC覆工板１６とトンネル周壁との間〓
に裏込め注入材を注入充填する。

施工に際しては、PC側壁板３をレベル調整し
ながらトンネル側壁部２から所定間隔を置いて順
次横に連設し、それぞれ背面のステイ８によつて
床面に自立的に支持する。

この状態で、PC側壁板３とトンネル側壁部２
との間の空間部に現場打ちコンクリート４を打設
し、道路面に対する側壁を形成すると共に、道路
５を造成する。

次に、腰壁板６を道路５上に吊上げてそのシー
ス１５に下方から突出するPC鋼線１４を通しな
がら通路５上に順次横に連続して設置し、PC鋼
線１４を緊結して現場打ちコンクリート４と一体
化する。

なお、各腰壁板６は側壁部２に突設した連結金
物などにより簡単に連結支持しておく。

この状態で、腰壁板６とトンネル側壁部２との
間の空間部に現場打ちコンクリート７を打設し、
側壁部２及び現場打ちコンクリート４に一体に固
定する。

そして、腰壁板６の上端に覆工板１６を接合
し、順次覆工板１６を組上げながらトンネル周壁
を覆工し、必要に応じて周壁との間〓に裏込め材
を収入充填する。

「考案の効果」 以上の通りこの考案によれば、PC側壁板はそ
の裏面側に突設した鋼材製ステイによつて自立さ
せながら簡単に連設することができると共に、ス
テイは打設した現場打ちコンクリートに対するア
ンカー筋として機能してPC側壁板をコンクリー
トを強固に一体化させると共に、コンクリートの
打設時にその重量を受けてPC側壁板の前方への
転倒を防止する抑え材としても機能し、型枠等の
仮設機材を要することなく極めて簡単な工程でト
ンネル側壁部に通路を造成することができる。

この通路はその側壁を表面性状が平滑なPC側
壁板で覆工されるので、側壁面に化粧モルタル等
を要することなく外観体裁のよい平滑な面に仕上
げることができる。

現場打ちコンクリート上に設置したPC腰壁板
は現場打ちコンクリートから突出したPC鋼線で
緊結されて、この現場打ちコンクリートとより強
固に一体化され、さらに型枠を要することなくそ
の背面に打設した現場打ちコンクリートと確実に
一体化することができ、しかもPC腰壁板表面に
予めタイル等の化粧を施しておくことにより、化
粧のための後施工を要することなく外観体裁よく
仕上げることが可能となる。

【図面の簡単な説明】

図はこの考案の実施例を示す部分縦断面図であ
る。 １……トンネル路面部、２……トンネル側壁
部、３……PC側壁板、４……現場打ちコンクリ
ート、５……通路、６……腰壁板、８……ステ
イ。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 １ 裏面側に突設した鋼材製ステイに支持された
   PC側壁板がトンネル路面部の両側部にトンネ
   ル側壁部から所定間隔を置いて横に連続して設
   置され、このPC側壁板はこれと前記トンネル
   側壁部との間に打設した現場打ちコンクリート
   に一体化されており、前記現場打ちコンクリー
   ト上にPC腰壁板が設置され、このPC腰壁板は
   前記現場打ちコンクリートから突出するPC鋼
   線を挿通してその上端で緊結され、かつこれと
   前記トンネル側壁部との間に打設した現場打ち
   コンクリートにより一体化されていることを特
   徴とするトンネル側壁構造。 ２ 腰壁板上には、トンネル周壁に沿つて順次
   PC覆工板を組上げてなることを特徴とする実
   用新案登録請求の範囲第１項記載のトンネル側
   壁構造。