JPH0423696B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、極めて簡単に構成でき、且つ施工性
が好適にでき、雨仕舞（水密性）等も良好にでき
る横葺屋根における水上側修構造に関する。

〔従来の技術及びその課題〕

従来の横葺屋根の棟、壁取合等の水上側の修め
は、棟包材又は壁取合水切材が取付けられている
が、一般に、その構成が複雑で、施工が面倒であ
つた。さらに、この水上側が棟部の場合には、こ
こにあたる風雨も強く、雨仕舞（水密性）が悪い
等の欠点があつた。

〔課題を解決するための手段〕

そこで発明者は、前記課題を解決すべく鋭意、
研究を重ねた結果、本発明を、横葺用屋根板の内
側係合部と外側係合部とを係合しつつ葺成した横
葺屋根において、底片取付部より立上り部を形成
し、この上端より前側に係止部を後側に頂片取付
部を各々一体形成した複合取付金具の係止部を、
前記横葺屋根の最も水上側位置の横葺用屋根板の
内側係合部に係止しつつその底片取付部を支持材
に固着し、上面部の一側より垂下状部を形成した
水上側水切材の上面部及び垂下状部にて前記水上
側位置の内側係合部を覆いつつその垂下状部下端
を横葺用屋根板の主板上に位置させ、且つその上
面部を前記複合取付金具の頂片取付部に固着した
横葺屋根における水上側修構造ことにより、極め
て簡単に構成でき、且つ施工性が好適にでき、雨
仕舞（水密性）等も良好にでき前記課題を解決し
たものである。

〔実施例〕

以下、本発明の第１実施例を第１図、第２図に
基づき説明する。この実施例は棟部修めの構成で
ある。１は母屋又は梁等の構造材、２は支持材
で、実施例では、金属製の支持材２が断面ハツト
形状をなしている。これが、前記構造材１の上に
屋根の傾斜方向を向く（傾斜方向に対し僅かにず
れる場合も含む）ようにして載置され、その支持
材２が適宜の間隔（約30cm乃至約1m）をおいて
多数併設されている。その支持材２，２間にはボ
ード、断熱板等の下地材３が敷設されている。

４は金属製の横葺用屋根板で、この長手方向に
適宜の長さ又は長尺をなし、この横葺用屋根板４
を長手方向に直交する断面としてみると、その主
板４ａの一側（水上側）より内側上方に向かう内
側係合部４ｂが形成され、その主板４ａの他側
（水下側）より内側下方に向かう外側係合部４ｃ
が一体形成されている。この外側係合部４ｃは、
下段の横葺用屋根板４の内側係合部４ｂに適宜係
合するように構成されている。前記主板４ａはそ
の一側より平坦部、緩傾斜部と平坦部とに屈曲形
成され、その主板４ａ内側係合部４ｂ外側係合部
４ｃとからなる横葺用屋根板４は一枚の金属板が
適宜屈曲されて一体形成されている。その横葺用
屋根板４の下面には発泡合成樹脂等の断熱材が必
要に応じて貼着されている。５は吊子で、山状等
の係止部５ａの下端より外方に取付部５ｂが一体
形成されている。

その横葺用屋根板４が、この長手方向と支持材
２の長手方向に対して直交（略直交も含む）する
ようにして支持材２上に載置され、横葺用屋根板
４の内側係合部４ｂが吊子５の山状等の係止部５
ａにて係止され、且つ吊子５の取付部５ｂが前記
支持材２にリベツト、ドリルビス等の固着具にて
固着され、次いでこの段の上側（水上側）の横葺
用屋根板４の外側係合部４ｃが下段の横葺用屋根
板４の内側係合部４ｂに係合され、これらが順次
水上側に繰返されて葺成される。棟部箇所では、
これが第１図、第２図に示すように左右対称に形
成される。この棟部箇所の左右側の下地材３，３
間には少しの間隔の開口部が形成されている。

Ａは複合取付金具であつて、底片取付部６端よ
り上向き傾斜状の立上り部７が形成され、この上
端より前側に係止部８が、後側に頂片取付部９が
各々一体形成され（第４図参照）、必要に応じて
この頂片取付部９の後端より略Ｌ形状の脚部１０
が形成されている（第１図乃至第３図、第５図参
照）。実施例では、第３図に示すように、その前
記吊子５を広幅にし、且つその係止部５ａの傾斜
部上端の左右側より折返し屈曲されて頂片取付部
９，９及び脚部１０，１０が略門形状に一体形成
されている。この複合取付金具Ａは吊子と後述の
水上側水切材Ｂを取付ける受金具とが、複合され
た金具である。

前述したように横葺用屋根板４が水上側に順次
葺成されて、最上段（棟部箇所）位置の横葺用屋
根板４の内側係合部４ｂに、前記複合取付金具Ａ
の係止部８が係止されつつその底片取付部６が前
記支持材２にボルト・ナツト又はリベツト等の固
着具１１にて固着されている。

Ｂは金属製で長手方向に長尺又は適宜の長さを
有する水上側水切材であつて、棟修に使用する第
１実施例では、第１図、第２図等に示すように棟
包材としての役割をなすものであり、緩傾斜状の
上面部１２，１２が対称的に形成されて断面偏平
山形状に形成され、この山形状部の両側に垂下状
部１３，１３が形成されている。この棟包材なる
水上側水切材Ｂの上面部１２，１２及び垂下状部
１３，１３にて前記最上段の横葺用屋根板４，４
の内側係合部４ｂ，４ｂが被覆されつつ上面部１
２，１２が前記複合取付金具Ａ，Ａの頂片取付部
９，９にボルト・ナツト又はリベツト等の固着具
１４にて固着されている。さらに、その垂下状部
１３，１３の下端が前記横葺用屋根板４，４の主
板４ａ，４ａ上面に位置するように構成されてい
る。

又、第２図点線に示すようにその頂片取付部９
の高さが高くなるように立上り部７及び脚部１０
を変えて複合取付金具Ａを製作すれば、前記垂下
状部下１３端を横葺用屋根板４の主板４ａ上に対
し僅かに浮かせた状態となり、垂下状部１３と主
板４ａとの間に間隙が生じ、換気棟構造も可能で
ある。

次に本発明の第２実施例について説明する。こ
の第２実施例のものは、第４図、第５図に示すよ
うに特に壁取合い修めを構成したものであり、そ
の多くの構成部材は第１実施例と同様であり、こ
れについては同一の符号を付することとする。特
に第２実施例における場合には、その壁材１６又
は鉄筋コンクリート構造物の壁部１７と対応する
もので、壁取合部材としての役割をなし、この壁
取合部材なる水上側水切材Ｂは、緩傾斜状の上面
部１２の一側（水下側）に垂下状部１３が形成さ
れ、その他側（水上側）に垂直状部１５が一体的
に形成されている（第４図、第５図参照）。その
上面部１２と垂直状部１５との隅角部は第４図に
示すように角形に形成されたり、或いは第５図に
示すように円弧状に形成されている。

その壁取合部材なる水上側水切材Ｂの垂直状部
１５が前記壁材１６又は鉄筋コンクリート構造物
の壁部１７にボルト・ナツト又はアンカー等の固
着具１８にて固着され、その上面部１２及び垂下
状部１３にて前記最上段の横葺用屋根板４の内側
係合部４ｂが被覆されつつ上面部１２が前記複合
取付金具Ａの頂片取付部９にボルト・ナツト又は
リベツト等の固着具１４にて固着されている。さ
らに、その垂下状部１３の下端が前記横葺用屋根
板４の主板４ａ上面に位置するように構成されて
いる。

又、第５図点線に示すようにその頂片取付部９
の高さが高くなるように立上り部７及び脚部１０
を変えて複合取付金具Ａを製作すれば、前記垂下
状部下１３端を横葺用屋根板４の主板４ａ上に対
し僅かに浮かせた状態となり、その垂下状部１３
と主板４ａとの間に空〓が生じ、換気用壁取合修
構造も可能である。

前述の第１、第２実施例において、横葺用屋根
板４の内側係合部４ｂ及び外側係合部４ｃは互い
に係合できるものであれば、この実施例の断面形
状に限定されない。

図中１９は胴縁、２０はコーキング材、２１は
モルタル仕上げ部である。

〔発明の効果〕

本発明においては、横葺用屋根板４の内側係合
部４ｂと外側係合部４ｃとを係合しつつ葺成した
横葺屋根において、底片取付部６より立上り部７
を形成し、この上端より前側に係止部８を後側に
頂片取付部９を各々一体形成した複合取付金具Ａ
の係止部８を、前記横葺屋根の最も水上側位置の
横葺用屋根板４の内側係合部４ｂに係止しつつそ
の底片取付部６を支持材２に固着し、上面部１２
の一側より垂下状部１３を形成した水上側水切材
Ｂの上面部１２及び垂下状部１３にて前記水上側
位置の内側係合部４ｂを覆いつつその垂下状部１
３下端を横葺用屋根板４の主板４ａ上に位置し、
且つその上面部１２を前記複合取付金具Ａの頂片
取付部９に固着したことにより、第１に極めて簡
単に構成でき、第２に施工性が好適にでき、第３
に雨仕舞（水密性）等も良好にできる等の効果を
奏する。

これらを詳述すると、その複合取付金具Ａは横
葺用屋根板４を取付ける吊子と、棟包材や壁取合
部材としての役割をなす水上側水切材Ｂを取付け
る受金具とを兼ね備えた単一部材であり、これを
利用した水上側修めは極めて簡単な構成にでき
る。このような構成にするのには、従来では、少
なくとも２部材を必要としたが、本発明で単一部
材のみで簡単に葺成できる大きな利点がある。こ
れによつて、その修めを比較的安価に施工でき
る。

又、このように簡単であると、施工するにも、
その単一部材なる複合取付金具Ａを支持材２に取
付けるのみで、吊子の取付や、受金具の取付が同
時にでき、施工性を著しく向上させうる効果があ
る。

さらに、その水上側水切材Ｂの上面部１２及び
垂下状部１３にて前記内側係合部４ｂを覆いつつ
その垂下状部１３下端を横葺用屋根板４の主板４
ａ上に位置させたことにより、棟部箇所や壁取合
箇所等の水上側修めの雨仕舞（水密性）を好適に
できる。即ち、その垂下状部１３が雨水の堰とな
り、雨水が極めて浸入しにくくなるし、仮に浸入
しても、この内部では、水上側水切材Ｂによる空
〓部が形成されているため、毛管現象を阻止して
室内への浸入を確実に防止できる。さらに、この
ように簡単な構成で水密的な構造であると、防
音、防塵、防虫、防雪等の効果も発揮しうる。

又、その水上側水切材Ｂの上面部１２を前記複
合取付金具Ａの頂片取付部９に固着したことで、
強固なる吊子に取付けたのと同様であり、水上側
箇所を比較的強固に構成できる。

なお、複合取付金具Ａの頂片取付部９の端に脚
部１０を設ければ、この複合取付金具Ａを一層強
固なものにでき、ひいては水上側修構造も強固に
できる。又、第５図に示すような弧状部を有する
水上側水切材Ｂを使用すれば、コンクリート構造
物に対して鉄骨構造物が各々独立して振動した
り、その鉄骨構造物が熱伸縮しても、その弧状部
の弾性許容範囲内において、これらを吸収でき強
固な取付ができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は鉄骨構造物の棟部に設けた本発明の斜
視図、第２図は第１図の縦断側面図、第３図は複
合取付金具の斜視図、第４図は鉄骨構造物の壁取
合い箇所に設けた断面図、第５図はコンクリート
構造物の壁取合い箇所に設けた断面図である。 Ａ……複合取付金具、Ｂ……水上側水切材、２
……支持材、４……横葺用屋根板、４ａ……主
板、４ｂ……内側係合部、４ｃ……外側係合部、
６……底片取付部、７……立上り部、８……係止
部、９……頂片取付部、１２……上面部、１３…
…垂下状部。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 横葺用屋根板の内側係合部と外側係合部とを
   係合しつつ葺成した横葺屋根において、底片取付
   部より立上り部を形成し、この上端より前側に係
   止部を後側に頂片取付部を各々一体形成した複合
   取付金具の係止部を、前記横葺屋根の最も水上側
   位置の横葺用屋根板の内側係合部に係止しつつそ
   の底片取付部を支持材に固着し、上面部の一側よ
   り垂下状部を形成した水上側水切材の上面部及び
   垂下状部にて前記水上側位置の内側係合部を覆い
   つつその垂下状部下端を横葺用屋根板の主板上に
   位置させ、且つその上面部を前記複合取付金具の
   頂片取付部に固着したことを特徴とした横葺屋根
   における水上側修構造。 ２ 特許請求の範囲第１項の発明において、前記
   垂下状部下端を横葺用屋根板の主板上に対し僅か
   に浮かせたことを特徴とした横葺屋根における水
   上側修構造。