JPH0421586B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

（産業上の利用分野） 本発明は耐油性がすぐれた積層シートに関する
ものである。更に詳しくは、特定熱可塑性樹脂フ
イルムと紙とを積層した基材であつて紙層が耐油
処理されているアルコール蒸気透過性の耐油性積
層シート及びそれによる食品保存用具に関するも
のである。 （従来の技術） 食品保存用具として、シリカゲル、生石灰等の
乾燥剤とか、鉄粉を主剤とした脱酸素剤が知られ
ており、食品包装体の中に封入して、これらの密
閉領域内における細菌類の繁殖に必要な水分や酸
素を除去する方法、アルコールの殺菌力を利用す
るもので液体アルコールを必要により香料を加味
して食品に直接混合又は噴霧添加し、あるいは袋
詰時に同時一体封入するなどのアルコール直接添
加方法、及びアルコールを別の収納体に封入した
ものを食品包装体に封入し、その収納体から放散
されるアルコールガスにより防腐・防黴する間接
添加法等がある。 この内、間接添加法は収納体から長期間継続的
にアルコールガスが放散されるため、食品包装体
が一時開封された後も、引続き効果を維持する事
ができるものであり、例えば特公昭55−2273号公
報が提案されている。この特公昭55−2273号公報
に記載の方法はエチルアルコールを固形である吸
着物質に吸着させたいわゆる粉末アルコールを孔
のあいだポリエチレンフイルムやポリエステルフ
イルムと紙をラミネートしたいわゆる穴ポリで作
製した収納袋に封入したものである。この方法で
は後記の問題点を有する。 又、この他に間接添加法としては、特開昭55−
141182号公報にあるように、少く共一面がエチレ
ン酢酸ビニル共重合体等のエチルアルコールガス
透過度がすぐれたフイルムを「いれもの」とし
て、エチルアルコールを含む液体を封入して、フ
イルムを経由してエチルアルコールガスを放散さ
せるものも知られている。 しかし、この方法の場合でも「いれもの」をつ
くり、更に内容物を充填してシールするためのヒ
ートシールする必要があるが、シール時の熱によ
り溶融したフイルムがシールバーに粘着するた
め、高速充填作業が不可能であり、実用性に欠け
る問題がある。 このような問題を解決するため非シール面に耐
熱性材料である紙を積層する方法はあり、これに
より印刷性、遮蔽性も改善されるが、改めて耐油
性、耐水性に問題が生じる。 紙の耐油性、耐水性の改良方法については、特
開昭57−143599号公報のように水分散性フツ素系
耐油剤、浸透剤及び製紙用撥水剤を必須成分とし
て併含する液を塗布又は含浸する方法が知られて
いる。しかし、この方法により得た耐油シートも
耐アルコール性が不充分である。すなわち、アル
コール存在下で耐油性が経時劣化するという問題
点を有している。 （発明が解決しようとする問題点） 食品に水・油等が含まれている場合は収納袋
が膨潤したり、紙層が湿潤し、食品保存用具と
しては不適当である。 保存剤収納袋表面に製造メーカー名、使用上
の注意の表示、美観向上のために印刷した場
合、食品によつては印刷インキが溶出したり脱
落する。 （問題点を解決するための手段とその作用） 本発明者らは、上記の用途に有用で、従来それ
に用いられたシート材料の問題点を一気に改良し
た耐油性シート材料を求め鋭意研究した結果、ア
ルコール蒸気透過性エチレン酢ビ共重合体フイル
ムと一定範囲の組成の耐油処理剤で処理した紙と
の積層シートは液体アルコールは通過しないが、
アルコール蒸気は透過し、且、ヒートシール性、
耐水性及びアルコールにより阻害されない耐油性
を有する事を見出し、本発明を完成するに到つ
た。 すなわち、本発明は特定のプラスチツクフイル
ム層と必要により印刷した紙に耐水・耐油処理し
た紙層との積層シートに関するものである。 本発明において使用されるプラスチツクフイル
ム層としては、液体アルコールは透過しないがア
ルコール蒸気は透過するものであれば良く、セロ
ハンフイルム、ナイロンフイルム、エチレン・酢
酸ビニル共重合体（以下EVAと略します。）フイ
ルムなどが挙げられるが、ヒートシール性、アル
コール蒸気透過性能、加工性の面から酢酸ビニル
含量（以下VA含量という）が10〜30モル％、メ
ルトフローインデツクス（以下MIと略します。）
が２〜20、厚さが10〜50μのエチレン・酢酸ビニ
ル共重合体フイルム層である事が望ましい。酢酸
ビニル含量が10モル％以下ではアルコール蒸気の
透過性が乏しく実用的でなく、30モル％以上では
アルコール蒸気の透過性は良いがフイルムにブロ
ツキング性が出てくるため好ましくない。又、
EVAのMIが２以下であると製膜及び紙との接着
力が不十分であり、又、20以上であるとフイルム
の機械的強度、ヒートシール強度が不十分である
ため好ましくなく、MIは２〜20、更に好ましく
は５〜15のEVAが好適である。又、基材として
用いられるEVAフイルムの厚さが10μ以下である
と、アルコール成分を収納する収納袋をつくる時
のヒートシール強度が不十分であり、又、50μ以
上であるとヒートシール強度は大きくなるがアル
コール蒸気の透過性が小さいため好ましくなく10
〜50μが好適であり、更に好ましくは20〜40μが
好適である。以上のようにEVAフイルムの組成
は酢酸ビニル含量、MI及び厚さによりアルコー
ル蒸気の透過性、ヒートシール性が変化するた
め、食品包装体の内容物、必要なアルコール放散
量、充填すべきアルコール量等を勘案し、適宜選
択されるがあ、更にスリツプ剤、アンチブロツキ
ング剤、着色剤その他通常用いられる添加剤を加
えてもよい。 上記のEVAフイルムはその強度、遮蔽性、印
刷性、耐油性、撥水撥油性加工を補充するため紙
と積層して用いられる。積層の方法としてはアル
コール蒸気の透過性を妨げない方法であれば何れ
の方法でもよいが、耐油処理した紙の上にEVA
樹脂を押出ラミネーチイングする方法が実用的で
ある。 又、EVAフイルムと積層する紙は特に限定さ
れないがサイズ剤、でんぷん類、ラテツクス、ア
クリル系樹脂などの紙力増強剤、湿潤紙力増強
剤、グリセリンなどの柔軟剤、着色剤などを含ん
でいてもよい。紙には製造メーカー名、使用上の
注意の表示の他、美観を向上させるため予め印刷
を施したものが用いられる場合がある。この印刷
面が同封されるい食品と接触する際印刷インキが
封入されているアルコール又は食品中の水・油に
より溶出、脱落しないように耐水・耐油処理が行
われる。 本発明において用いられる耐水・耐油処理剤は
内部に充填されるアルコールの他、食品中に含ま
れる水分、油分に浸されず、且アルコール蒸気を
透過するものであれば特に限定されるものではな
いが具体的に例示すれば、炭素数が３〜20のパー
フルオロアルキル基を含有するポリ（メタ）アク
リレート共重合体を主成分とする耐油処理剤水分
散液とポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニリデ
ン、アイオノマー、ポリブタジエン、ポリクロロ
プレン、ポリ（メタ）アクリル酸エステル等の耐
油性ポリマーの水溶液又は水分散液の中から選ば
れた１種又は２種以上とを固形分比で３：７乃至
７：３の割合で混合した液が挙げられるが、これ
らに限定されるものではない。 前記ポリマーが少ないと耐水性、撥水性アルコ
ールによつて阻害されない耐油性の向上効果が認
められず、又、多すぎると耐油性の効果及びアル
コール透過性が悪くなるので望ましくない。その
塗布液又は含浸液組成は塗工方式によつて浴濃度
0.5％〜30％まで変化し得るが、重要なのは塗布
量でありアルコール透過性の確保又は経済性の面
からも紙層に対し0.5〜５重量％が望ましい。 又、本発明の処理は各種の印刷が施された紙に
行われるが、印刷の程度、インキの種類や塗布量
又は色数によつて塗布液又は含浸処理が困難とな
る場合が発生する。これはサイズ処理を施された
紙においても言えることであるが、このような場
合フツ素系耐油処理剤の効果を阻害せず、且食品
に接触しても有害でない浸透剤を添加する事によ
り改良される。 このような含浸剤としては分子量200〜1000で
あるポリエチレングリコールル、ポリプロピレン
グリコール又はエチレングリコールとプロピレン
グリコールのブロツクポリマー、あるいはこれら
上記物質のアルキルエーテル及び脂肪酸エステル
等が使用できるい。これらの使用方法としては塗
布液又は含浸液組成として液重量に対し浸透剤固
形分で0.1〜3.0重量％とするのが望ましい。 本発明の耐油性シートは、例えば食品保存用具
として食品包装に用いるとき、食品が水分や湿分
の多いものに使用される場合であつて、特に耐水
性を強化しようとするときは、下記の耐水・耐油
処理を行う事により耐水撥油離形性を耐油性と共
に併せもたせる事が出来る。耐水・耐油処理方法
としては例えば塗布剤組成としては反応性シリコ
ーン・アクリレート樹脂エマルジヨン100重量部
に対しパーフルオロアルキルアクリレート共重合
体を20〜100重量部添加した処理剤が耐油性、耐
アルコール性とアルコール透過性を有する表面被
膜形成剤として好適であり、塗布量は所望する性
能により0.5〜５ｇ／m²で選択されるのが望まし
くは２ｇ／m²前後が好ましい。処理剤の濃度は塗
工設備により様々であり特に塗工方法に限定する
ものではないが、印刷表面だけへの塗工でメイヤ
ーバー方式の場合では処理剤固形分濃度は20％前
後が好ましい。塗布後の乾燥は120〜140℃の電気
ヒーター、蒸気加熱、熱風加熱、その他各方式が
用いられる。 本発明における耐油性積層シートは、袋状に加
工して、液体アルコール、粉末化アルコールを封
入するか、又は、例えば結晶性セルロース、シリ
カゲルイ、砂糖、炭酸カルシウム等の粉末を先に
充填したのち、液体アルコールを充填して粉末に
吸収又は粉末粒子の空隙に保持させて封入する。
このようにしたアルコール封入袋はアルコールが
徐放されるので食品の保存用具としてい好適に使
用できる。その際、食品の油分水分による袋状の
膨潤脆弱化や印刷部の脱落等は起らず、更には封
入したアルコールによる耐油度の劣化がみられ
ず、極めて好都合である。又、アルコールに可溶
又は分散可能な有効成分例えば芳香剤・脱臭剤・
防虫剤・防錆剤等を徐放させるための容器・包材
としても有用である。液体アルコールを封入する
場合は今までとイメージの相違した収納体が可能
となる。例えば袋体というよりはむしろラベルあ
るいはシート状物として利用できる。収納体の面
積を大きくする事によつて液体であるから自由に
薄膜充填され、アルコールの透過はそれぞれ先に
述べたように自由にコントロール出来る。 以下に本発明を実施例、比較例及び参考例を挙
げて具体的に説明するが、これらの例に限定され
るものではない。なお、これらの例に示す部及び
％は重量部及び重量％を示す。 参考例 １〜４ 針葉樹クラフトパルプ80部、広葉樹パルプ20部
から成る紙料を中度に叩解しこれに1.5デニール、
４mmカツトのレーヨン繊維20部、３mmカツトの繊
維状PVA10部を加え、ポリアミドエピクロルヒ
ドリン系湿潤紙力剤をパルプに対し重量比0.5％
添加して成る米坪44ｇ／m²のレーヨン紙に酢酸ビ
ニル成分含量＝19％、MI＝15のエチレン酢酸ビ
ニル樹脂をＴ−ダイより押出しラミネートにより
13.0μ、23.8μ、32.6μ、及び46.1μの厚さに樹脂層
を設けた４種のサンプルを得た。 このものの特製を第１表に示す。測定法は抗張
力、引裂度についてはJIS−Ｐの試験法に、又、
フイルム厚さ、ヒートシール強度については
JISZ1526に準じた。 フイルム接着力は原紙抄造方向に幅15mm、長さ
150mmに裁断した試片の長さ方向の一端の紙層と
EVAフイルム層を注意深く剥離して剥離口とし
テンシロン万能試験機（東洋ボールドウイン製）
を用いピーリング角度180°、ピーリング速度100
mm／分で剥離した際の抗張力で表わした。 アルコール透過度はEVAラミネートサンプル
から60mm×120mmの試片を切取り、EVAラミネー
ト層を内側にして60mm×60mmとなるように二つ折
とした後、富士インパルスシーラー600型
（100V600W目盛＝６）を用いて内ノリ45mm×50
mmの袋を作り、これにエチルアルコール６mlを注
入し封入する。この袋体を40℃、相対湿度15％の
卵字卵機中につりさげ、24hr後の重量域から次式
によりアルコール透過度を算出した。 アルコール透過度（ｇ／m²）＝（仕込
時袋重量−24hr後の袋重量）／0.045ｍ×0.050ｍ×２ 参考例 ５〜６ 参考例１〜４と同じレーヨン紙にVA含量＝19
％、MI＝７のエチレン酢酸ビニル樹脂をＴ−ダ
イから押出しラミネートにより18.7μと30.4μの厚
さの樹脂層を設けた２種のサンプルを得たものの
特性を第１表に示す。 参考例 ７〜８ 参考例１〜４と同じレーヨン紙にVA含量＝21
％、MI＝７のエチレン酢酸ビニル樹脂をＴ−ダ
イから押出しラミネートにより19.0μと29.8μの厚
さの樹脂層を設けた２種のサンプルを得たものの
特性を第１表に示す。 第１表参考例１〜４に示す如く同一VA含量、
同一MIにおいてレーヨン紙にラミネートされた
EVA樹脂層厚さとアルコール透過量の関係は約
20μ付近を境としこれ以上の厚さでは緩慢なアル
コール透過量域を示し、一方、20μ以下において
は急激な透過増を示すため、このアルコール透過
挙動を把握する事によりアルコール透過量を任意
に調節できる事は明らかである。 なお、EVAフイルム厚さ10μ付近ではフイルム
接着力が極度に劣化し、フイルム層の部分的剥離
を生ずるため実用に耐えない。 第１表、参考例５〜６においては参考例１〜４
とVA含量を同じくして、MIだけを15〜７に変
化させた際の特性を示したものである。同一フイ
ルム厚さで比較すればMI＝７の抗張力、引裂度、
ヒートシール強度等の機械的強度はMI＝15より
強くなつているがアルコール透過度には変化がみ
られないので袋体の機械的強度はMIを変化させ
る事で選択できる事がわかる。 第１表、参考例７〜８ではVA含量＝21％、
MI＝７におけるEVAラミネート紙の特性を示し
たものであるが、同一ラミネート厚さにおいて
VA含量19％から21％に変化させるい事でアルコ
ール透過量が増加する事を示している。又、ラミ
ネート袋体の機械的強度も増加している。 参考例 ９〜10 参考例９、10として参考例１〜４と同じレーヨ
ン紙に酢酸ビニル含量＝22.6％、MI＝4.5及び酢
酸ビニル含量＝25.0％、MI＝２のエチレン酢酸
ビニル共重合体樹脂をＴ−ダイより押し出し、樹
脂の厚さがそれぞれ33.7μ、30.9μのラミネート紙
を作製した。これらについてアルコール蒸気透過
度を測定したところ、それぞれ720810ｇ／m²、
24Hr、40℃であつた。他の物性は参考例８と同
程度又はそれ以上であつた。 このように、酢酸ビニル含量の多いエチレン・
酢酸ビニル共重合体樹脂を用いれば、アルコール
蒸気透過度が大きいラミネート紙を得る事ができ
る。 以上の如く、EVAラミネート樹脂層やEVAの
VA含量、MIを適宜選択する事によりEVAラミ
ネート袋体のアルコール透過量及び袋体の機械的
強度を任意に調節する事ができることがわかる。

【表】 比較例 １ 米坪52.2ｇ／m²の上質紙にゴムアクリル系樹脂
印刷インキで５ｇ／m²塗布の白抜け印刷をした。
この印刷裏面に参考例１〜４と同じくVA含量＝
19％、MI＝15のEVAを30.5μの厚さにラミネー
トした。このラミネート紙について撥水度、耐油
度、摩耗テスト、アルコール透過度について評価
した結果を第２表に示した。 摩耗テストは脱脂綿約１ｇに約７mlの水、サラ
ダ油、エタノール、トルエンを各々含ませ、印刷
面上又は、処理面上を長さ30cmに亘り前後に10回
こすりつけ印刷インキの摩耗剥落状況を調べた。
評価基準としては◎印は印刷面又は処理面上に全
く変化がなく且こすりつけた脱脂綿にも印刷イン
キの付着の全くないもの、○印は印刷面又は処理
面上に殆ど変化はないがこすりつけた脱脂綿に軽
度のインキ付着があるもの、△印は印刷面上又は
処理面上に若干のインキの剥落と脱脂綿にインキ
付着のあるもの、×印は印刷面上又は処理面上及
び脱脂綿に極度の印刷インキ剥落があるものであ
り４段階評価で示した。 撥水度測定法はJISP−8137に準じるもので、
サンプルの表面を45°に傾斜せしめ、１滴が0.1ml
の水滴を３滴滴下せしめ、流下の跡を観察し、サ
ンプルが濡れて一様な巾の跡を残す程度（撥水度
＝R₀）から、水滴が完全に転がり落ちるもの
（撥水度＝R₁₀）の間に区分評価するものである。 又、耐油度測定法はTAPPI RC−338改良法に
よるものであり、耐油度に対応してひまし油、ト
ルエン及びｎ−ヘプタンの各混合比率を調節した
試験液を、水平に置かれた試験片上に静かに滴下
し、油滴により斑点が生じない最高耐油度の試験
液の耐油度を試験片の耐油度とするものであつ
て、耐油度が最も低いもの（試験液組成：ひまし
油100％）を１、最も高いもの（試験液組成：ｎ
−ヘプタン100％）を16とするものである。 実施例 １ 鹸化度98.5％重合度1700〜2400のポリビニルア
ルコール（クラレ(株)、PVA−117）２重量部を水
98重量部に溶解したもの50重量部とパーフルオロ
アルキルアクリレート共重合体（旭硝子(株)、アサ
ヒガードAG−550）の全固形分含有率が２％の
もの50重量部を加え、更にこの液に対しポリオキ
シエチレン・アルキルエーテル剤（明成化学(株)、
マイネツクスSO）を固形分重量で２重量部加え
充分撹拌し含浸液を得た。この含浸液に比較例１
の印刷紙を浸した後、２本のゴムロールで過剰の
含浸液を絞りとり、写真用鏡面板に貼りつけ120
℃に加温した写真用ドライヤーで約２分キユアし
て得たものの固形分付着量は0.95ｇ／m²であつ
た。この印刷裏面に比較例１と同様にEVAをラ
ミネートし、得られた積層シートの特性を第２表
に示す。 比較例 ２ 米坪50ｇ／m²のノーサイズ紙に実施例１と同一
の含浸液を用い、同じ条件で耐油処理を行つたの
ち紙層にゴムアクリル系樹脂印刷インキ５ｇ／m²
塗布の白抜け印刷を実施した。次いで印刷裏面に
比較例１と同様にEVAをラミネートした。得ら
れた積層シートの特性を第２表に示す。 実施例 ２ 米坪50ｇ／m²のノーサイズ紙にゴムアクリル系
樹脂インキで５ｇ／m²塗布の白抜け印刷を実施し
た。別にポリビニルアルコール（クラレ(株)、
PVA−117）２重量部を水98重量部に溶解したも
の50重量部とパーフルオロアルキルアクリレート
共重合体（旭硝子(株)、アサヒガードAG−550）
の全固形物含有量が２％のものを50重量部加え、
更にこの液に対して分子量400のポリプロピレン
グリコール（日本油脂(株)、ユニオールＤ−400）
を固形分重量で１重量部加え充分撹拌して得た処
理液を満した含浸槽に前記印刷紙を通しスクイズ
ロールで過剰の含浸液をしぼつたのち120℃ドラ
ムドライヤーにて乾燥した。なお加工速度は50
ｍ／分で行つた。浸透剤を入れる事によつて塗布
量1.2ｇ／m²が確保された。次いで印刷裏面に比
較例１と同様にEVAをラミネートした。得られ
た積層シートの耐水耐油性は第２表の如くとなつ
た。 実施例 ３ 反応性シリコン・アクリル系水性エマルジヨン
（日本純薬(株)、ポリメリツクスCylane A14−１）
固形分10重量部に対しパーフルオロアルキルアク
リレート共重合体（旭硝子(株)、アサヒガードAG
−550）を６重量部混合し全固形分含有率が20％
になるように水で稀釈調整し塗布液を得た。この
塗布液を比較例１の印刷紙上に固形分が２ｇ／m²
となるようにメイヤーバーにて塗布液120℃−２
分間乾燥した。次いで印刷裏面に比較例１と同様
にEVAをラミネートし、得られた積層シートの
特性を第２表に示した。 実施例 ４ 実施例３で得られたラミネート紙を用い12cm×
12cmの袋体を作製し、エチルアルコール３mlを空
気が混入しないように封入した。この液体アルコ
ールの層は僅か200μとなり、液体アルコールの
蒸気圧によるフクレや膨脹も液体アルコールの粘
着性あるいは表面張力によつて発生せずシート状
が確保された。この保存用具は箱詰の下じきとし
てあるいは食品の表示兼食品保存用具として食品
包装体に同封出来た。この保存用具の特性は表２
に示したとおりであつた。 実施例 ５ 実施例３で得られたラミネート紙を用い4.5cm
×５cmの袋体を作製し、結晶性セルロース粉末３
ｇを入れ、次いでエチルアルコール１ｇを注入し
た後熱シールして保存用具を作製した。この保存
用具の特性は表２に示したとおりであつた。

【表】

【表】 実施例 ６、７ 印刷裏面に押出ラミネートを施すのに用いるエ
チレン酢酸ビニール共重合体樹脂として参考例
９、10に使用した酢酸ビニル含量＝22.6％、25.0
％のものを用いた以外は実施例１と全く同様にし
てそれぞれ実施例６及び７の耐水・耐油性積層シ
ートを作製した。 これらのアルコール透過度はそれぞれ658730
ｇ／m²・24hrs・40℃であつた。 実施例 ８ 実施例１の処理で得た本発明の耐水・耐油性積
層シートの耐油性に対する液体アルコールの影響
を調べるため、４cm×４cmの試験片12枚を各々60
mlのエチルアルコール液中に浸し、それぞれ１日
間、２日間、５日間及び８日間放置後、各３枚取
出し、室温にて風乾した後、耐油度を測定した。
その結果を第３表に示した。 比較例 ３、４ 実施例１においてPVAのかわりにワツクス・
エマルジヨンを用いた以外は実施例１と全く同様
にして作製した耐油シート（比較例３）及びパー
フルオロアルキルアクリレート共重合体（旭硝子
(株)製アサヒガードAG−50）のかわりにパーフル
オロアルキルホスフエート系重合体を用いた以外
は実施例１と全く同様にして作製した耐油シート
（比較例４）について実施例８と同様にして耐油
度を測定した。 その結果を第３表に示した。 実施例９及び比較例５〜６ 本発明の耐水・耐油性積層シートの耐油性に対
するアルコール蒸気の影響を調べるため、実施例
８、比較例３及び比較例４で用いたものと同じ耐
水・耐油性積層シートを用いて、内ノリ45mm×50
mmの袋30個が帯状に連なる連包装をつくり、各袋
にエチルアルコール４mlを注入し、ヒートシール
した。 同じ連包を５組つくり、その内４組の連包を折
りたたみ、厚さ63μのKOP／PEの積層フイルム
（PVDCコート延伸ポリプロピレン23μ／ポリエチ
レン40μ）でつくつたタテ200mm、ヨコ270mmの外
袋に入れ、この外袋中の空気を減圧・脱気後ヒー
トシーラーで密封し、40℃の恒温槽中に保存し
た。 この連包密封袋を５日後、10日後、20日後及び
１ケ月後に１つづつ取り出し、それぞれから６個
の連包袋を切り取り、室温にて風乾後、耐油度を
測定した。 その結果を第４表に示した。

【表】

【表】 （効果） 以上の実施例１〜７、比較例１〜２及び参考例
１〜10の結果からわかるように、本発明の耐水・
耐油性積層シートは比較例に比し何れの溶剤に対
しても卓越した抵抗性を示すとともに、アルコー
ル蒸気透過度も参考例の耐油処理をしていないシ
ートと全く遜色なく、且透過度の大きさは、エチ
レン酢酸ビニル共重合体ラミネート層の厚さ及び
酢酸ビニル含有量を選択することにより調節する
こともできる。 更に、実施例８〜９及び比較例３〜６の結果
（第３表及び第４表）からわかるように、本発明
の耐水・耐油性積層シートの耐油性はエチルアル
コール蒸気中又は液状エチルアルコール中に放置
しても殆ど阻害されず、従来の耐油紙に比べ耐久
性が著しく改良されたものであることがわかる。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 下記(イ)又は(ロ)の耐油処理を施した紙層とエチ
   レン・酢酸ビニール共重合体層とを積層してなる
   アルコール蒸気透過性がすぐれ、かつ、耐油性が
   アルコールによつて阻害されない耐水・耐油性積
   層シート。 (イ) ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニリデ
   ン、ポリブタジエン、ポリクロロブレン及びポ
   リ（メタ）アクリル酸エステルから成る耐油性
   ポリマー群から選ばれた１種又は２種以上のポ
   リマーの水溶液又は水分散液と、パーフルオロ
   アルキルアクリレート共重合体の水分散液とを
   固形分重量比で３：７乃至７：３となるように
   混合し、更に浸透剤として分子量が200〜1000
   のポリエチレングリコール又はポリプロピレン
   グリコール又はこれらのブロツクポリマー、あ
   るいはこれらのアルキルエーテル又は脂肪酸エ
   ステルを前記混合液重量に対し0.1〜3.0重量％
   添加した液を塗布又は含浸した後乾燥する。 (ロ) パーフルオロアルキルアクリレート共重合体
   水分散液と反応性シリコン・アクリル系水性エ
   マルジヨンとを固形分比で２：８乃至８：２と
   なるよう混合した液を塗布した後乾燥する。 ２ エチレン・酢酸ビニール共重合体樹脂層の酢
   酸ビニル成分が10〜30モル％であることを特徴と
   する特許請求の範囲第１項の耐水・耐油性積層シ
   ート。 ３ 耐油処理が紙層に対し固形分換算0.5〜５重
   量％を含浸又は塗布したものであることを特徴と
   する特許請求の範囲第１項の耐水・耐油性積層シ
   ート。 ４ 紙層に印刷を施した後耐油処理することを特
   徴とする特許請求の範囲第１項、第２項又は第３
   項の耐水・耐油性積層シート。