JPH0420627B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ この発明は、繊維強化プラスチツク（以下、こ
れをFRPと略記する）を外殻としたゴルフ用ウ
ツドクラブヘツドの製法に関し、ヘツド本体を構
成するFRP外殻成形手段に工夫を施すことによ
り、成形性及び品質の向上を図る用にしたもので
ある。

［従来の技術］ 従来、この種のウツドクラブヘツドにおいて
は、特開昭51−21436号公報に開示されいてるよ
うに、ヘツド本体の外殻をFRPで形成し、芯部
に発泡合成樹脂を充填してなる外殻構造を有する
ものがある。

［発明が解決しようとする課題］ しかしながら、このような従来構造のもので
は、ヘツド本体を形成するFRP外殻の補強繊維
として、短繊維のガラス繊維を使用していること
から、繊維の配列自体、ランダムで弾性率が不足
し、これによつて、補強繊維による補強効果が低
下し、打球時のボールに対する反発力が劣る。

また、成形時に、割型からなる成形型のキヤビ
テイに、例えばプリプレグ等の未硬化状態の
FRP成形用材料が添付されたコア型を配置して
型締めする際にあつては、FRP成形用材料のベ
タ付きによつて、コア型の位置決め作業が困難
で、修正などに時間が掛かる。

さらに、型締め時に、FRP成形用材料中の補
強繊維の一部が含浸樹脂と共に割型の合せ面部間
に挟まれ易く、型締めの仕直しなどによるコア型
の位置決め作業を困難なものにするばかりでな
く、この挟み込み部分が成形後にバリとなり、成
形後のバリ取り作業が面倒である。

しかも、このようなバリ取りによつて、たとえ
補強繊維としても長繊維を使用したとしても、バ
リ取り後の補強繊維の一部が切断されて不連続に
なり、この繊維配列方向の不連続性に伴い、全体
強度が低下するなどの問題があつた。

［発明の目的］ この発明の目的は、成形時のコア型の位置決め
作業性を高め、かつ補強繊維の成形型への挟み込
みによる強度の低下を防止することができるよう
にしたゴルフ用ウツドクラブヘツドの製法を提供
することにある。

［課題を解決するための手段］ 上記した課題を解決するために、この発明は、
クラブシヤフト部材に相当する芯金材に、ヘツド
本体の芯部を構成するコア型を結合し、該コア型
の周囲に補強繊維体を添付した後、該成形用材料
と共に、予めヘツド外形状に硬化成形された分割
体からなるFRP殻体を、ヘツド外形状を有する
分割型内に配置するとともに、型締め後、該分割
型内に配置されたFRP殻体内に液状合成樹脂を
注入してなることを特徴としたものである。

この場合、前記コア型の周囲への補強繊維体の
添付と共に、フエース部、ソール部またはバツク
部相当位置の適所に他の部材を添付することが好
ましい。

［作用］ すなわち、この発明は、上記の構成を採用する
ことにより、ヘツド外形状に硬化成形された分割
体からなるFRP殻体と共に、コア型の周囲に補
強繊維が添付された成形用材料を分割型内に挿入
配置し、型締め後、該分割型内に配置された
FRP殻体内に液状合成樹脂を注入して、該FRP
殻体内に挿入配置された成形用材料に液状合成樹
脂を含浸させるようになつているために、コア型
の周囲への補強繊維体の添付時、及びこの成形用
材料の分割型内への挿入配置時の液状合成樹脂の
含浸によるベタ付きがなく、しかも、樹脂注入前
の時間制約がないために、成形用材料の分割型内
への位置決めに伴う修正や型締めの仕直しが自由
に行なえ、これによつて、成形時の作業性の向上
が図れる。

また、FRP殻体内に、コア型の周囲に補強繊
維が添付された成形用材料を挿入配置してなるた
めに、分割型内への成形用材料の挿入配置が容易
にかつ簡単に行なえ、型締め時のコア型の周囲に
添付された補強繊維体の分割型の型合せ面間への
挟み込みによる成形後のバリの発生が少なくな
り、これによつて、バリ取り後の補強繊維体の連
続性を維持することが可能になる。

［実施例］ 以下、この発明を図示の一実施例を参照しなが
ら詳細に説明する。

第１図及び第２図に示すように、図中１は後述
する製造工程により得られたこの発明に係るゴル
フ用ウツドクラブのヘツド本体である。

このヘツド本体１は、FRPの複数の積層構造
からなる外殻２と、芯部が発泡合成樹脂からなる
芯材３とで構成されている。

そして、前記ヘツド本体１のフエース部１ａに
は、硬化済FRP（補強繊維としてカーボン繊維を
使用したCFRP）からなるフエース面板４が、ま
た、そのソール部１ｂ及びバツク部１ｃには、真
鍮等の金属材料からなるソールウエイト部材５及
びバツクウエイト部材６がそれぞれ必要に応じて
埋設固定されている。

さらに、図中７は前記ヘツド本体１のネツク部
１ｄに挿貫固定されたクラブシヤフト、８はこの
クラブシヤフト７と前記ヘツド本体１のネツク部
１ｄとの周囲を保護するキヤツプ状の保護体で、
これら各々の部材は、後述するウツドクラブヘツ
ドの成形と同時に一体的に固定されるようになつ
ている。

すなわち、上記したウツドクラブヘツドを製造
するには、第３図に示すように、クラブシヤフト
部材に相当する芯金材１０を、ヘツド本体の芯部
形状に別途造形された発泡合成樹脂または中空成
形用低融点金属等からなるコア型１１に挿入し、
このコア型１１のヘツドソール面側に相当する底
面側に前記芯金材１０の先端部１０ａを突出させ
て固定し結合する。

次いで、前記コア型１１の周囲に、ヘツド本体
のFRP外殻を構成する補強繊維体１２を巻回被
覆して添付する。

この場合に、前記コア型１１の周囲に補強繊維
体１２を添付すると同時に、この補強繊維体１２
の内側、外側または内部のヘツド本体のフエース
部、ソール部及びバツク部に相当する部位の一部
または全部に、硬化済FRPからなるフエース面
板１３、真鍮等の金属材料からなるソールウエイ
ト部材１４及びバツクウエイト部材１５等の他の
構成部材を必要に応じて仮保持させて配置する。

ところで、前記コア型１１の周囲に添付される
補強繊維体１２としては、好ましくはカーボン繊
維、またはガラス繊維あるいはケブラーなどを単
独または適宜組合せて袋織り状に編成されたもの
やマツト状のものが好ましく使用される。

一方、第４図に示すように、図中２１，２２は
予めヘツド外形状に硬化成形された一対の分割体
からなる薄肉なFRP殻体である。

これらFRP殻体２１，２２は、ヘツド本体１
の外殻を形成するように打球方向の前後に２分割
され、特に、ヘツド本体１の外側相当する部位に
は、サーフエスマツトあるいは朱子織りクロスを
袋織り体上に重ね合わせて用いることにより、ヘ
ツド表面の平滑性及び形状の追従安定性を高める
ようにする一方、ヘツド本体１のフエース部１ａ
に相当する部位には、打球時の衝撃に対する補強
効果を高めるためにロービングクロス類等が好ま
しく使用されている。

そして、前記FRP殻体２１，２２内に、上記
した芯金材１０に結合されたコア型１１の周囲に
補強繊維１２が添付されかつ必要に応じてウエイ
ト部材１３，１４が添付された成形用材料を予め
挿入するか、または前記FRP殻体２１，２２を、
第５図に示すように、ヘツド外形状を有する左右
一対の分割型２３，２４のキヤビテイ内に挿入配
置した後、これら分割型２３，２４内に配置され
たFRP殻体２１，２２内に前記成形用材料１０，
１１，１２，１３，１４を挿入配置するなどする
ことによつて、前記成形用材料１０，１１，１
２，１３，１４及びFRP殻体２１，２２を前記
分割型２３，２４のキヤビテイ内に挿入配置す
る。

このとき、前記成形用材料１０，１１，１２，
１３，１４を位置決めするには、型締めの際、芯
金材１０の先端部１０ａと補強繊維１２が被覆さ
れたコア型１１のヘツド本体のネツク部に相当す
る部分とを分割型２３，２４の型合せ面部で挾持
することにより行なわれる。

このように、前記成形用材料１０，１１，１
２，１３，１４をFRP殻体２１，２２と共に分
割型２３，２４内に挿入配置して型締めし位置決
めした後、注入前に硬化剤が添加されたエポキシ
樹脂等の液状合成樹脂１８を、前記成形用材料１
０，１１，１２１３，１４が挿入配置された
FRP殻体２１，２２内に注入し、前記成形用材
料１０，１１，１２，１３，１４とFRP殻体２
１，２２とを一体に硬化形成し、これによつて、
複数積層構造のFRP外殻２からなるヘツド本体
１を成形する。

このとき、前記FRP殻体２１，２２内に液状
合成樹脂１８を注入する際しては、分割型２３，
２４の完全型締め状態で行なうか、仮型締め状態
で行なつて、注入後に分割型２３，２４を完全型
締めすることにより行なう。

また、完全型締め状態で行なう場合には、例え
ば分割型２３，２４の型合せ面で挾持される芯金
材１０のヘツドネツク部に相当する周囲の挾持部
分にキヤビテイに連通する空気排出口を設け、か
つ、樹脂注入口をヘツドソール部に相当する部分
に設ければ、樹脂注入作業が好敵に行なえる。

そして、このようなウツドクラブヘツドの成形
後、ヘツド成形品を分割型２３，２４から離型
し、前記芯金材１０をコア型１１から引脱して、
クラブシヤフト７を、第１図及び第２図に示すよ
うに、保護体８と共に別途挿着してなるものであ
る。

なお、この発明の実施例として、コア型１１と
して発泡合成樹脂を用いて説明したが、低融点金
属を用いた場合には、ヘツド本体の硬化成形後
に、芯部から溶融除去し、芯部を中空にするか、
この中空に発泡合成樹脂を充填するようにするこ
とも可能である。

また、芯金材１０として、クラブシヤフト７を
直に使用し、保護体８と共にコア型１１に結合す
ることにより、ヘツド本体成形と同時に一体化す
ることも可能である。

［発明の効果］ 以上の説明から明らかなように、この発明は、
ヘツド外形状に硬化成形された分割体からなる
FRP殻体と共に、コア型の周囲に補強繊維体が
添付された成形用材料を分割型内に挿入配置し、
型締め後、該分割型内に配置されたFRP殻体内
に液状合成樹脂を注入して、該FRP殻体内に挿
入配置された成形用材料に液状合成樹脂を含浸さ
せるようになつていることから、コア型の周囲へ
の補強繊維体の添付時、及びこの成形用材料の分
割型内への挿入配置時の液状合成樹脂の含浸によ
るベタ付きが全くなく、しかも、樹脂注入前の時
間的制約がないために、成形用材料の分割型内へ
の位置決めに伴う修正や型締めの仕直しが自由に
行なえ、これによつて、成形時の作業性の向上を
図ることができる。

また、FRP殻体内に、コア型の周囲に補強繊
維体が添付された成形用材料を挿入配置してなる
ために、分割型内への成形用材料の挿入配置が容
易にかつ簡単に行なえ、型締め時のコア型の周囲
に添付された補強繊維体の分割型の型合せ面間へ
の挟み込みによる成形後のバリの発生が少なくな
り、これによつて、バリ取り後の補強繊維体の連
続性を維持することができ、従前のような強度の
低下を防止することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの発明に係る製法によつて得られた
ゴルフ用ウツドクラブヘツドの一実施例を示す斜
視図、第２図は同じく要部断面図、第３図から第
５図はこの発明に係るゴルフ用ウツドクラブヘツ
ドの製法工程を示す説明図である。 符号の説明、１……ヘツド本体、１ａ……フエ
ース部、１ｂ……ソール部、１ｃ……バツク部、
２……FRP外殻、１０……芯金材、１０ａ……
先端部、１１……コア型、１２……補強繊維体、
１８……液状合成樹脂、２１，２２……FRP殻
体（分割体）、２３，２４……分割型。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 下記の工程を備えたゴルフ用ウツドクラブヘ
   ツドの製法； (a) クラブシヤフト部材に相当する芯金材に、ヘ
   ツド本体の芯部を構成するコア型を結合する工
   程、 (b) 該コア型の周囲に補強繊維体を添付する工
   程、 (c) 上記工程を経て得られた成形用材料と共に、
   予めヘツド外形状に硬化成形された分割体から
   なるFRP殻体を、ヘツド外形状を有する分割
   型内に配置する工程、 (d) 型締め後、該分割型内に配置された前記
   FRP殻体内に液状合成樹脂を注入する工程。 ２ 前記コア型の周囲への補強繊維体の添付と共
   に、フエース部、ソール部またはバツク部相当位
   置の適所に他の部材を添付することを特徴とする
   特許請求の範囲第１項に記載のゴルフ用ウツドク
   ラブヘツドの製法。