JPH0413805Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〓産業上の利用分野〓 本考案はテープカセツトに係り、とくにテープ
状記録媒体をリールに巻装してカセツトケーシン
グ内に収納するとともに、案内手段によつてケー
シングの前面側開口を横切るようにテープ状記録
媒体を掛渡し、この掛渡されたテープ状記録媒体
を覆うカセツト蓋を開いて記録および／または再
生を行なうようにしたテープカセツトに関する。

〓背景技術とその問題点〓 磁気テープをリールに巻装してケーシング内に
収納するようにしたテープカセツトを用いて記録
再生を行なう場合に、上記磁気テープと対接され
るヘツドが回転ヘツドから構成されている場合に
は、ケーシングから磁気テープを引出すか、ある
いは磁気テープの前面側に大きな開口を形成して
おき、この開口を利用して磁気テープと回転ヘツ
ドとの接触を行なうようにしなければならない。
従つて回転ヘツドを用いる場合には、カセツトケ
ーシングの前面側に大きな開口が形成されること
になり、この開口に磁気テープが掛渡されるよう
になる。

従つてこのようなテープカセツトにおいては、
ケーシングの前面側開口を横切るように掛渡され
るテープ状記録媒体を保護する必要があり、通常
はこの前面側開口を覆うように開閉自在なカセツ
ト蓋を設けるようにしている。そして記録およ
び／または再生を行なう場合には、上記カセツト
蓋を開いて磁気テープと回転ヘツドとの接触を可
能にしている。

ところがおのようなテープカセツトにおいて
は、カセツト蓋を取付ける際に、このカセツト蓋
が自由に回転すると、組立ての操作が非常に面倒
になり、これによつて組立ての生産性を損うこと
になる。またこのカセツト蓋の構造によつては、
このカセツト蓋がずれてケーシングを構成するハ
ーフから脱落する可能性も生じ、これによつてさ
らに組立てを困難にする。

すなわちカセツト蓋をケーシングを構成するア
ツパシエルに仮止めした状態でアツパシエルとロ
アシエルとを組合わせることにより、ケーシング
にカセツト蓋を開閉自在に取付けるようにしたテ
ープカセツトにおいては、カセツト蓋そアツパシ
エルに仮止め中にカセツト蓋が自由に回転する
と、上記の組立て操作が非常に面倒になる。そし
て組立て操作が面倒になるとカセツトの組立ての
生産性が損われるようになる。また組立て時に仮
止め中のカセツト蓋が横方向すなわち回転支軸方
向に移動してしまい、ケーシングを構成するアツ
パシエルから脱落することがあり、これによつて
も組立てを困難にすることになる。

〓考案の目的〓 本考案はこのような問題点に鑑みてなされたも
のであつて、組立て時にカセツト蓋が自由に回転
することを防止し、これによつて組立ての操作性
を改善して生産性を高めるようにしたテープカセ
ツトを提供することを目的とするものである。

〓考案の概要〓 本考案は、テープ状記録媒体をリールに巻装し
て少なくとも上下のシエルより成るカセツトケー
シング内に収納するとともに、案内手段によつて
前記ケーシングの前面側開口を横切るように前記
テープ状記録媒体を掛渡し、しかも掛渡されてい
るこのテープ状記録媒体を開閉自在なカセツト蓋
で覆うようになし、このカセツト蓋を開いて前記
テープ状記録媒体によつて記録および／または再
生を行なうようにしたテープカセツトにおいて、
前記カセツト蓋の枢支手段を両側の側板部に設け
るとともに、この側板部の先端側に突片を前記カ
セツト蓋を仮止めした少なくとも一方のシエルに
形成された凹部と係合させ、前記カセツト蓋の一
方向の所定量以上の回動を規制するようにしたこ
とを特徴とするテープカセツトに関するものであ
つて、上記突片と凹部とによつて組立て時にカセ
ツト蓋が自由に回転するのを防止するようにした
ものである。

〓実施例〓 以下本考案を図示の一実施例につき説明する。
第１図〜第３図は本考案の一実施例に係るPCM
オーデイオ用のテープカセツトを示すものであつ
て、このテープカセツトはカセツトケーシング１
０を備えている。カセツトケーシング１０はアツ
パシエル１１とロアシエル１２とから構成されて
おり、これらを組合せることによつて偏平な直方
体状のカセツトケーシング１０が組立てられるこ
とになる。そしてケーシング１０内には一対のリ
ール１３が配置されるとともに、これらのリール
１３に磁気テープ１４の両端が止着された状態で
巻装されている。磁気テープ１４はロアシエル１
２に形成された一対のテープガイド１５に案内さ
れ、同じくロアシエル１２に形成された切欠きか
ら成る底部開口１６およびこの底部開口によつて
形成される前面側開口を横切るように掛渡される
ことになる。

上記一対のシエル１１，１２から成るケーシン
グ１０の前面側にはカセツト蓋１７が装着される
ようになつており、このカセツト蓋１７によつ
て、上記ケーシングの前面側開口を覆うととも
に、一対のテープガイド１５に案内されて掛渡さ
れている磁気テープ１４を保護するようにしてい
る。カセツト蓋１７はその両端にピン１８を備
え、このピン１８がロアシエル１２の両側に形成
された段部１９に受入れられ、これによつてケー
シング１０に回動可能に支持されるようになつて
いる。

そしてケーシング１０のアツパシエル１１の下
側にはリールブレーキ２０が配置されるようにな
つており、このブレーキ２０はブレーキばね２１
によつて後方へ押され、ブレーキ片２２がリール
１３と接触して制動を行なうようになつている。
そしてリールブレーキ２０はその両端に突片２３
を備えており、第２図に示すようにカセツト蓋１
７が開かれると、この突片２３によつてリールブ
レーキ２０が前方へ移動し、上記ブレーキ片２２
がリール１３から離れて、制動が解除されるよう
になつている。

上記カセツトケーシング１０を構成するロアシ
エル１２の下側には、スライド板２４が摺動可能
に取付けられるようになつており、このスライド
板２４の両側に形成されている係合部２５がカセ
ツトケーシング１０の両側に形成されている係合
溝２６と係合されている。そしてこのスライド板
２４は、上記ロアシエル１２の底部開口１６を閉
じるようにばねによつて付勢されるようになつて
いる。すなわちスライド板２４の前端部にはばね
掛け２７が設けられており、このばね掛け２７に
はばね２８の先端部が係止されている。

つぎにこのテープカセツトの底部開口１６に連
なる前面側開口を横切るように掛渡される磁気テ
ープ１４を保護するためのカセツト蓋１７の構造
についてより詳細に説明する。まずカセツトケー
シング１０を構成するアツパシエル１１のカセツ
ト蓋１７が枢着される側部の構造について説明す
ると、第４図および第５図に示すようにアツパシ
エル１１の両側にはそれぞれ凹部３１が形成され
るとともに、この凹部３１のさらに側面側には、
段部３４が形成されるようになつている。

これに対してカセツト蓋１７の両側には、第６
図に示すように、側板部２９が一体に連設される
とともに、この側板部２９に上記枢支ピン１８が
植設されている。そしてこの側板部２９の先端側
には突片３０が一体に形成されており、しかもこ
の突片３０の側面側には段部３２が形成されるよ
うになつている。そしてこの突片３０を備えるカ
セツト蓋１７は、第７図に示すようにしてアツパ
シエル１１と組合されるようになつている。

以上のような構成において、このテープカセツ
トをテーププレーヤに装着すると、第２図に示す
ように、その前面側のカセツト蓋１７が開かれる
ことになり、これによつて前面側開口を横切るよ
うに一対のテープガイド１５間に掛渡されている
磁気テープ１４が露出する。同時に上記カセツト
蓋１７の開放によつて、リールブレーキ２０の突
片２３が前方へ押され、ブレーキ片２２がリール
１３から離間してリールブレーキが解除されるこ
とになる。さらにこのテープカセツトのテーププ
レーヤへの装着に伴つて、スライド板２４がばね
２８に抗して後方へ後退し、ロアシエル１２に形
成されている底部開口１６が開放されることな
る。

従つてこの底部開口１６から一対のテープガイ
ド１５の間の部分にテープ引出し手段が挿入され
るとともに、このテープ引出し手段が前方へ移動
することによつて、テープガイド１５間の磁気テ
ープ１４を引掛けて、テーププレーヤの回転ヘツ
ドドラムに巻付けることになる。この状態におい
て、磁気ヘツドが回転するとともに、一方のリー
ル１３から送出されながら他方のリール１３に巻
取られるように磁気テープ１４が走行し、これに
よつて高密度の記録／およびまたは再生が行なわ
れるようになる。

さらにこのテープカセツトにおいては、第４図
〜第７図に示すように、カセツト蓋１７の側板部
２９の先端側に突片３０が形成されるとともに、
カセツトケーシング１０を構成するアツパシエル
１１の両側には凹部３１が形成されており、これ
らによつてカセツト蓋１７の自由な回動を防止し
ている。すなわちカセツト蓋１７がアツパシエル
１１と組合された場合には、突片３０が凹部３１
内に収納されるようになつている。そしてこのカ
セツト蓋１７の突片３０の段部３２が、アツパシ
エル１１の段部３４と当接するために、第７図に
おいて矢印３６で示すカセツト蓋１７の開かれる
方向とは逆の方向、すなわち矢印３７で示す方向
のカセツト蓋１７の回動運動が規制されることに
なる。このことはカセツト蓋１７がアツパシエル
１１に対して、矢印３７で示す方向へ自由に回転
しないことを示しており、このために組立て時に
２つの部品１１，１７の組合されたものの取扱い
が容易になり、組立ての生産性を高めることが可
能となる。

とくにカセツト蓋１７をアツパシエル１１に仮
止めした状態で、アツパシエル１１とロアシエル
１２とを接合してケーシング１０を組立てるよう
にしている。このような組立て操作によつて、カ
セツト蓋１７がケーシング１０に開閉自在に取付
けられるようになる。そして上記の組立て作業中
にカセツト蓋１７をアツパシエル１１に仮止め中
に、カセツト蓋１７が自由に回転すると、上記の
組立ての操作が非常に面倒になり、これによつて
生産性が損われることになる。ところが上述の如
く、カセツト蓋１７の側板部２９の突片３０がア
ツパシエル１１の凹部３１に受入れられるため
に、カセツト蓋１７が閉じる方向に所定量以上回
動しなくなり、これによつて組立ての作業性が改
善され、生産性が向上することになる。

さらにカセツト蓋１７がシエル１１に対して横
方向に移動しようとしても、カセツト蓋１７の段
部３２の垂直面３３が、アツパシエル１１の凹部
３１の側壁に当接するために、このカセツト蓋１
７が横方向に移動してアツパシエル１１から脱落
することがなくなる。従つて組立て時に上記仮止
め中のカセツト蓋１７が横方向、すなわち枢支ピ
ン１８の軸線方向に移動してケーシング１０のア
ツパシエル１１から段落することがなくなり、組
立てが容易になる。よつてカセツト蓋１７はアツ
パシエル１１に対する回動が規制されるばかりで
なく、横方向の移動も規制され、さらに組立ての
作業性を高めることが可能となる。従つてこのよ
うな構成によれば、生産性に優れたテープカセツ
トを提供することが可能になる。

つぎに上記実施例の変形例を第８図〜第１１図
につき説明する。なおこの変形例において、第４
図〜第７図に示す上記実施例と対応する部分には
同一の符号を付すとともに、同一の構造の部分に
ついてはその説明を省略する。この変形例の特徴
は、第８図および第９図に示すように、アツパシ
エル１１の凹部３１の形状をシンプルな形状に
し、上記実施例の段部３４をなくすようにしたも
のである。これに応じて、第１０図に示すよう
に、カセツト蓋１７の突片３０の形状もシンプル
な形状とし、同じく上記実施例の段部３２をなく
すようにしている。

従つてこの変形例によれば、カセツト蓋１７が
アツパシエル１１に組込まれた状態においては、
その突片３０が第１１図に示すようにアツパシエ
ル１１の凹部３１内に収納されるようになる。そ
してカセツト蓋１７が矢印３０で示される開く方
向とは逆方向、すなわち矢印３７の方向に回転す
るのを防止する機能は、突片３０の上面３５と凹
部３１の上面とによつて行なわれるようになつて
いる。またこのカセツト蓋１７の横方向の移動
は、突片３０の側面が凹部３１の側壁に当接する
ことによつて阻止される。従つてこの変形例にお
いても、上記実施例と同様の作用効果を奏するこ
とが可能になり、しかも形状がシンプルになつて
いるために、金型の構造も簡潔な構造とすること
が可能になる。

〓考案の効果〓 以上のように本考案は、カセツト蓋の枢支手段
を両側の側板部に設けるとともに、この側板部の
先端側に突片を上記カセツト蓋を仮止めした少な
くとも一方のシエルに形成された凹部と係合さ
せ、上記カセツト蓋の一方向の所定量以上の回動
を規制するようにしたものである。従つて本考案
によれば、カセツト蓋の自由な回動を規制するこ
とが可能になり、カセツト蓋をケーシングを構成
する上下のシエルの内の少なくとも一方に仮止め
した状態でこのシエルを他方のシエルと組合わせ
ることによつてケーシングを組立てる際に、一方
のシエルに仮止め中のカセツト蓋が自由に回転す
ることが防止される。これによつてテープカセツ
トの組立ての作業性を向上させることが可能にな
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例に係るテープカセツ
トの外観斜視図、第２図はカセツト蓋が開かれた
状態の同テープカセツトの外観斜視図、第３図は
このテープカセツトの分解斜視図、第４図はアツ
パシエルの要部斜視図、第５図は別の角度から見
たアツパシエルの要部斜視図、第６図はカセツト
蓋の側板部の外観斜視図、第７図はアツパシエル
とカセツト蓋との結合の状態を示す外観斜視図、
第８図は変形例に係るアツパシエルの要部斜視
図、第９図は別の角度から見たアツパシエルの要
部斜視図、第１０図はカセツト蓋の側板部の外観
斜視図、第１１図はこのカセツト蓋とアツパシエ
ルとの結合の状態を示す外観斜視図である。 なお図面に用いた符号において、１０……カセ
ツトケーシング、１１……アツパシエル、１３…
…リール、１４……磁気テープ、１５……テープ
ガイド、１７……カセツト蓋、１８……枢支ピ
ン、２９……側板部、３０……突片、３１……凹
部である。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 １ テープ状記録媒体をリールに巻装して少なく
   とも上下のシエルより成るカセツトケーシング
   内に収納するとともに、案内手段によつて前記
   ケーシングの前面側開口を横切るように前記テ
   ープ状記録媒体を掛渡し、しかも掛渡されてい
   るこのテープ状記録媒体を開閉自在なカセツト
   蓋で覆うようになし、このカセツト蓋を開いて
   前記テープ状記録媒体によつて記録および／ま
   たは再生を行なうようにしたテープカセツトに
   おいて、前記カセツト蓋の枢支手段を両側の側
   板部に設けるとともに、この側板部の先端側に
   突片を形成し、この突片を前記カセツト蓋を仮
   止めした少なくとも一方のシエルに形成された
   凹部と係合させ、前記カセツト蓋の一方向の所
   定量以上の回動を規制するようにしたことを特
   徴とするテープカセツト。 ２ 前記突片が前記凹部に係合することによつて
   カセツト蓋の回転支軸方向への移動が規制され
   るようにしたことを特徴とする第１項記載のテ
   ープカセツト。