JPH04137323U - 導波路型光変調器 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】駆動電圧が低く、電気信号の反射や放射が生じ
にくい導波路型光変調器を実現する。 【構成】信号電極と反対側の基板面に溝を形成し、その
表面にア―ス電極を形成して、ア―ス電極を導波路の直
下に接近させて配置することにより、電気力線が導波路
を垂直に横切るようにし、駆動電圧の低減を図る。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、電気光学効果を用いた導波路型光変調器における電極特性の改善に 関するものである。

【０００２】

【従来の技術】

図４は従来の導波路型位相変調器の一例を示す構成図であり、（Ａ）図は平面 図、（Ｂ）図は（Ａ）図のＡ−Ａ断面図である。 図４において、１は光に電界を印加すると屈折率が変化する現象（電気光学効 果）を有する基板であり、例えばＬｉＮｂＯ₃ （ニオブ酸リチウム）等が用いら れる。２は基板１上に形成された光導波路、３は基板１の光導波路２上の位置に 配置するように形成され、光導波路２に電界をかけるための信号電極、４は基板 １の信号電極３と同一面上に形成されたア―ス電極、５は信号電極３とア―ス電 極４の一端に接続され、変調用の電気信号を発生する変調用信号源、６は信号電 極３とア―ス電極４の他端同士を終端するマッチング抵抗である。

【０００３】 このような構成において、図４（Ａ）で左側から光導波路２に入ってきた入力 光は、変調信号源５から信号電極３に電気信号を印加することにより変調を受け 、変調光として光導波路２の他端から出力される。この場合の変調方式は、基板 １に電界を印加すると屈折率が変化する現象（電気光学効果）を利用したもので ある。基板１に電界を印加すると、光導波路２の屈折率が変化する結果、光導波 路２から出力される光の位相が入力部の光の位相よりもずれてくる（見掛上、光 導波路長さが変化して位相変調がかかる）。したがって、図４装置を位相変調器 として用いることができる。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】

上記の導波路型光変調器において、電極から出た電気力線は光導波路２を垂直 に貫くことが理想であるが、ア―ス電極が横方向にあるため、実際には基板面と 平行な成分を持った電気力線も生じる。このような不要な成分による屈折率変化 は駆動効率を低下させ、駆動電圧が高くなるという欠点があった。 またこの構造ではインピ―ダンスの整合が悪く、特に変調信号源５やマッチン グ抵抗６の電極３との不整合により、電気信号の反射や放射が生じやすかった。

【０００５】 本考案は、上記の課題を解決するためになされたもので、駆動電圧が低く、電 気信号の反射や放射が生じにくい導波路型光変調器を実現することを目的とする 。

【０００６】

【課題を解決するための手段】

本考案は電気光学効果を有する基板上に光導波路と、この光導波路に電界を印 加する変調用電極とが形成され、この変調用電極に電圧を加えて入射光の位相を 制御する導波路型光変調器に係るもので、その特徴とするところは基板上に信号 電極と、この信号電極と反対側の基板面に形成された溝と、この溝の表面に形成 されたア―ス電極とを備えている点にある。

【０００７】

【作用】

ア―ス電極を導波路の直下に接近させて配置したため、電気力線が導波路を垂 直に横切り、横方向の成分を生じないので、駆動電圧の低減を図ることができる 。

【０００８】

【実施例】

以下本考案を図面を用いて詳しく説明する。 図１は本考案に係る導波路型光変調器の一実施例で光位相変調器を構成したも のを示す構成図で、（Ａ）図は平面図、（Ｂ）図は（Ａ）図のＢ−Ｂ断面図であ る。図４と同じ部分は同一の記号を付して説明を省略する。 ７は基板１の信号電極３と反対側の裏面に形成された溝、４は溝７の表面およ び基板１の裏面に形成されたア―ス電極４である。ここでは溝７の断面形状を台 形としている。

【０００９】 上記の構成で信号電極３とア―ス電極４の間に変調信号源５から変調信号を印 加すると、信号電極３から出た電気力線８は、光導波路２および光導波路２の下 の基板１の厚さが薄い部分を通ってア―ス電極４に入る。このとき光導波路２を 貫く電気力線はほぼ基板１の厚み方向の成分のみを有し、不要な横方向成分の屈 折率変化が無いので駆動効率が良くなり、駆動電圧を下げることができる。

【００１０】 このような構成の導波路型光変調器によれば、ア―ス電極を光導波路の直下に 配置したため電気力線が光導波路を垂直に横切り、駆動効率の点で理想的な状態 となる。したがって駆動電圧の低減を図ることができる。 また基板の裏面の一部に溝を掘り、そこに電極を形成しているので、基板全体 の厚さは従来のままでよい。したがって割れやすい基板を薄くする必要がないの で、製造，ハンドリングが容易である。 またこの構造では電極の引出しの際にも電気力線が基板の裏面からはみでるこ ともなく、乱れが少ないので、変調信号源５やマッチング抵抗６とのインピ―ダ ンス整合が良く、電気信号の反射や放射が生じにくい。

【００１１】 なお上記の実施例では進行波型電極を用いているので、終端抵抗６を用いてい るが、集中型電極を用いる場合は省略することができる。 また溝の断面形状は台形に限らない。

【００１２】 図２に示す導波路型光変調器は図１装置の変形例で、溝１７およびア―ス電極 １４の形状を尖らせることにより、電気力線８を光導波路２に集中し、駆動電圧 の低減を図ったものである。

【００１３】 図３に示す導波路型光変調器は図１装置の第２の変形例で、信号電極３直下の 部分を両側から挟むようにガイド溝９を形成することにより、電気力線８が周囲 に逃げないようにし、光導波路２を効率よく貫くようにしたものである。ただし ガイド溝９の誘電率は基板の誘電率よりも小さくする。その結果、駆動電圧の低 減を図ることができる。またア―ス電極２４は溝部分に電極材料を充填した構造 となっている。

【００１４】

【考案の効果】

以上述べたように本考案によれば、駆動電圧が低く、電気信号の反射や放射が 生じにくい導波路型光変調器を簡単な構成で実現することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案に係る導波路型光変調器の一実施例を示
す構成図である。

【図２】本考案に係る導波路型光変調器の一変形例を示
す構成断面図である。

【図３】本考案に係る導波路型光変調器の第２の変形例
を示す構成断面図である。

【図４】導波路型光変調器の従来例を示す構成図であ
る。

【符号の説明】

１ 基板 ２ 光導波路 ３ 信号電極 ４，１４，２４ ア―ス電極 ７，１７ 溝

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】電気光学効果を有する基板上に光導波路
   と、この光導波路に電界を印加する変調用電極とが形成
   され、この変調用電極に電圧を加えて入射光の位相を制
   御する導波路型光変調器において、基板上に信号電極
   と、この信号電極と反対側の基板面に形成された溝と、
   この溝の表面に形成されたア―ス電極とを備えているこ
   とを特徴とする導波路型光変調器。