JPH04109519U - コンデンサおよびこのコンデンサを用いたフイルタ付コネクタ装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 本考案は外部からの障害電波の侵入防止およ
び機器内で発生した不要電波を除去するフィルタとして
用いられるコンデンサおよびこのコンデンサを用いたフ
ィルタ付コネクタ装置に関するものであり、特にコンデ
ンサの装着性の向上を図ったものである。 【構成】 コンデンサ２０の上面電極２２の外径２２ａ
より下面電極２３の外径２３ｂを大きく、貫通孔２１の
上面側の内径２１ａより下面側の内径２１ｂを大きくす
ることにより、貫通孔２１に挿入され上面電極２２と接
続されるコネクタピンが下面電極２３と接触することを
防止するとともに、上下面の判別を容易に行えるように
したものである。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、通信機器・自動車用電装品等の高感度機器に用いられ、外部からの 障害電波の侵入および機器内で発生した不要電波の輻射を除去するフィルタとし て用いられるコンデンサおよびこのコンデンサを内蔵するフィルタ付コネクタ装 置に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】

従来の技術を図５〜図８のフィルタ付コネクタ装置により説明する。

【０００３】 同図によると、１は絶縁材料製の箱形ハウジングで、その上下周囲壁２，２′ の中間には仕切板３が設けられている。そして、この仕切板３には所定のピッチ で複数個の直線状コネクタピン４が複数個図５の下部側から圧入されて貫通植設 されている。５は金属板から成るシャーシで、上記コネクタピン４のそれぞれを 非接触的に貫通させる孔６を有すると共に、その外形はハウジング中間仕切板３ よりもやや小さい寸法とされ、中間仕切板３の上側表面に重ねて配されている。 また、シャーシ５の外形両端部には、突起７ａ，７ｂが上方に向けてハウジング の上部周囲壁２よりもやや突出するまで伸ばされている。

【０００４】 ８は厚さ方向に貫通する孔９を有して円板状に形成された磁器基板製の貫通形 のコンデンサであり、前記シャーシ５の貫通孔６毎にコネクタピン４に孔９を貫 通させ、かつシャーシ５上に固着している。

【０００５】 このコンデンサ８を図７（ａ）〜（ｃ）により詳細に説明すると、円板状に形 成された磁器基板８ａの片面の外周との間にギャップを残して孔９の周りに上面 電極９ａを設けると共に、他面には孔９の内周面との間にギャップを残して外周 まで下面電極９ｂを設けた構造となっており、前記シャーシ５に対して下面電極 ９ｂを、コネクタピン４に対して上面電極９ａを半田付けして、それぞれ導通固 着している。

【０００６】 尚、この円板状の貫通形のコンデンサ８の厚さおよび対向する上・下面電極９ ａ，９ｂの面積は、要求されるコンデンサの容量により決められる。

【０００７】 ここで、図８に示すように下面電極９ｂとシャーシ５との半田付けにはシャー シ５上に厚く塗られたクリーム半田１４を、上面電極９ａとコネクタピン４との 半田付けには貫通形のコンデンサ８の上からコネクタピン４に通されたリング状 半田１５を溶融させて半田付けされる。従って、シャーシ５は各貫通形のコンデ ンサに対する共通端子となっている。

【０００８】 また、１０は金属板製のシールドケースで、貫通形のコンデンサ８およびシャ ーシ５を固着したハウジング１の上から被せ、コネクタピン４先端部を天面１１ に設けた孔１２から導出させると共に、前記シャーシ５の外形端部から伸ばされ た突起７ａ，７ｂをその天面の孔１３ａ，１３ｂに通して半田付けしてある。従 って、シールドケース１０を接地するとシャーシ５も接地されるものである。

【０００９】

【考案が解決しようとする課題】

上記従来の構成のフィルタ付コネクタ装置においては貫通形のコンデンサ８が シャーシ５およびコネクタピン４に確実に半田付け固着され、半田付け後に各コ ンデンサ相互間および上・下面電極９ａ，９ｂ間の絶縁距離を確実に保つために 、一般に下記の如き配慮をされている。

【００１０】 すなわち、貫通形のコンデンサ８の上面電極９ａは、この部分を半田付けする ためのリング状半田１５がコンデンサ上面の外周からはみ出さないように外周と の間にギャップを残し、また下面電極９ｂは、貫通孔９内を通るコネクタピン４ との絶縁ギャップを保つために孔９の内周面との間にギャップを残して形成され ている。

【００１１】 そして、上記上・下面電極９ａ，９ｂの形成法として、スクリーン印刷等で導 電インクを塗布したものを焼成して形成する方法が一般的であるが、上記の如く 、小さな磁器円板上に電極を高精度で印刷形成することは難しく、印刷ずれやに じみ等が生じ易い。従って、電極形成後のコンデンサは必ず印刷状態を確認選別 する必要があった。

【００１２】 また、コネクタピン４をコンデンサ８の孔９に通して組合わせる際には、コン デンサ８の下面電極９ｂがシャーシ５側を向くように方向を決めて組合わせる必 要があるが、これもコンデンサ上下面の印刷９ａ，９ｂの僅かな差で判別するた めに、画像認識等の方法でも判別ミスの危険性があり、自動化が困難なものとな っていた。

【００１３】 更に、コンデンサ８をコネクタピン４に組合わせた装着後のコンデンサ８の位 置はその貫通孔９を貫通したコネクタピン４により決められるので、位置ずれを 防ぐために、孔９の内径とピン４の外径の差はできるだけ小さくしておく必要が ある。このためコンデンサ８の孔９をコネクタピン４の先端にはめ込む際に入れ 難いものにもなっていた。

【００１４】 本考案は、このような従来の課題を解決するもので、コンデンサの電極形成時 のずれがなく、しかもコンデンサとコネクタピンとの組合わせ作業が容易なコン デンサおよびこのコンデンサを用いたフィルタ付コネクタ装置を提供することを 目的とするものである。

【００１５】

【課題を解決するための手段】

本考案は上記課題を解決するために、コンデンサの構成を上下両面のそれぞれ のほぼ全面を覆う上面電極および下面電極と上下両面を貫通する貫通孔を有し、 上面側の外径より下面側の外径は大きく、貫通孔の上面側の内径より下面側の内 径を大きくしたものである。

【００１６】

【作用】

本考案の構成によれば、コンデンサの電極形成時の印刷ずれ等の恐れがなく、 また、コネクタピンとの組合わせ時の方向判別およびはめ込み作業を容易にする ことができるものである。

【００１７】

【実施例】

本考案のコネクタ装置の一実施例を図１〜図３により説明する。なお従来技術 と同一部分については同一の番号を付与して説明する。

【００１８】 同図によると、２０は誘電体としての磁器材料を中央に下方が広くなったテー パ状の貫通孔２１を有し、上面２２外周が下面２３外周よりも小さくなった円板 状に成形・焼結後に、その上面２２および下面２３それぞれのほぼ全面に電極を 印刷・焼成して形成した貫通形のコンデンサである。

【００１９】 ここで、中央貫通孔２１の上面側の内径２１ａは、図２，図３に示すようにコ ンデンサ２０の中央孔２１にはめ込まれるコネクタピン４の外径よりも僅かに大 きく設定され、下面側内径２１ｂはこれよりも広く設定されてコネクタピン４は 挿入しやすく、挿入後は上面側により正確に位置決めされる。

【００２０】 また、コンデンサ２０の最大外径である下面外径２３ｂは、コネクタピン４の 配列ピッチよりも小さくする必要があり、上面外径２２ａはこれよりも更に小さ くなるように、両者の中間に段部２４が設けられている。

【００２１】 なお、対向する上面２２および下面２３の電極の大きさおよびコンデンサ２０ 全体の厚さは、要求されるコンデンサの容量に応じて決定される。

【００２２】 そして、図２に示す如く、絶縁材料製ハウジングの仕切板３に対して所定のピ ッチでコネクタピン４を圧入植設し、コネクタピン貫通孔６を有する金属板製シ ャーシ５を重ねて配したものと、上記の如き構成の貫通形のコンデンサ２０を組 合わせ、その下面電極２３をシャーシ５に、上面電極２２をコネクタピン４に半 田付けして図３のように導通固着し、更にシールドケース１０を被せてコネクタ 装置として完成させることは、従来例と同様である。

【００２３】 なお、図４は貫通形のコンデンサの他の実施例であり、上面外径２２と下面外 径２３間にテーパ部２０ａを設けても良く、また、コンデンサ２０の外形は円形 でなく多角形でも良いものである。

【００２４】

【考案の効果】

上記実施例より明らかなように、本考案のコンデンサは、 （１）コンデンサの素体である磁器材料焼結品自体が、上面外周は下面外周よ りも小さく、また中央貫通孔の下面側内径は上面側内径よりも大きく設定されて いるので、この上下面に印刷等で電極を形成する際、それぞれの面全体に導電イ ンクを塗布することにより必要な絶縁ギャップを確保することができる。すなわ ち、電極形成時に印刷ずれやにじみ等の心配がないので、電極形成後の確認選別 等は不要である。

【００２５】 （２）コンデンサの方向判別をコンデンサ上・下面の外径の差を利用して行え 、判別ミスがなくなる。

【００２６】 等の効果を有するものである。 また、上記構成のコンデンサを使用したフィルタ付コネクタ装置にあってはコ ネクタピンはコンデンサの貫通孔の下面側内径が広く設定されているため、挿入 しやすく、挿入後は上面側に正確に位置決めされ作業性の向上するものである。

【図面の簡単な説明】

【図１】（ａ）本考案のコンデンサの一実施例の上面図 （ｂ）同側断面図 （ｃ）同下面図

【図２】本考案のコンデンサをフィルタ付コネクタ装置
のピンに挿入する状態を示す要部側断面図

【図３】同挿入後の要部側断面図

【図４】本考案のコンデンサの他の一実施例の側断面図

【図５】従来のフィルタ付コネクタ装置の部分側断面図

【図６】同分解斜視図

【図７】（ａ）同コンデンサの上面図 （ｂ）同側断面図 （ｃ）同下面図

【図８】従来のフィルタ付コネクタ装置のピンへのコン
デンサの装着状態を説明するための要部側断面図

【符号の説明】

２０ コンデンサ ２１ 貫通孔 ２１ａ 上面側の内径 ２１ｂ 下面側の内径 ２２ 上面電極 ２２ａ 上面外径 ２３ 下面電極 ２３ｂ 下面外径

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】上下両面のそれぞれのほぼ全面を覆う上面
   電極および下面電極と上下両面を貫通する貫通孔を有
   し、上面側の外径よりも下面側の外径は大きく、貫通孔
   の上面側の内径より下面側の内径を大きく構成したコン
   デンサ。
2. 【請求項２】中間仕切板を有する箱形絶縁ハウジング
   と、この中間仕切板を貫通して所定のピッチで植設され
   た複数個のコネクタピンと、上記中間仕切板の上面に配
   されてコネクタピンのそれぞれを非接触的に貫通させる
   孔を有する金属板製シャーシと、中央に下方が広くなっ
   た貫通孔を有し上面外径が下面外径よりも小さく、その
   上・下面それぞれのほぼ全面に電極を有し、前記コネク
   タピンのそれぞれに上記貫通孔を通してはめ込まれ、下
   面電極を前記シャーシの上面に導通固着すると共に、上
   面電極を各コネクタピンに導通固着したコンデンサと、
   前記シャーシと電気的に導通し、かつコンデンサおよび
   シャーシをハウジングの外側から覆うシールドケースに
   より構成されるフィルタ付コネクタ装置。