JPH038279B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 「産業上の利用分野」 本発明は、化粧品容器やそのキヤツプなどのよ
うに、加飾を必要とする物品の表面加飾方法に関
する。

「従来技術」 例えば、化粧品容器用の合成樹脂製キヤツプ等
においては、その表面に金属色膜を施すことによ
つて、キヤツプ全体をもしくはキヤツプの一部を
金属で形成したようないわゆる金属的美感をもた
せる加飾方法が多く採用されている。そして、こ
のような加飾方法では、同一の金属色膜表面の中
に、その表面粗さを部分的に小さくしてその部分
だけ周囲よりも光沢をもたせることによつて、目
的とする文字・模様・図柄などのパターンを浮き
出させ、これによつてより一層の加飾効果を出す
ことも実施されている。

従来におけるこのような加飾手段の具体例とし
ては、加飾すべき物品の表面に、つや消剤入のベ
ースコートを施した上から金属蒸着を行なつて、
光沢をおさえた蒸着ベースコートを形成し、この
上に目的とするパターンを印刷した後、さらにそ
の上から金属蒸着を行なつて蒸着トツプコートを
形成する方法、あるいは、金属色膜を有する転写
箔を用いた公知のホツトスタンピング法による２
回重ね押し、などの方法がある。

「発明が解決しようとする問題点」 しかしながら、前者の蒸着による方法にあつて
は、前後２度の蒸着工程を必要とするだけでな
く、その間にパターン印刷工程がはいるためにそ
れらの工程に手間と費用がかかり、コスト高にな
る問題があり、また後者のホツトスタンピング法
利用による２回重ね押し方法にあつては、転写時
の押圧によつてパターン部分が押し付けられるた
めにその部分の肉厚感がなくなり、このため、パ
ターンが明確に浮き出ないという問題があつた。

「問題を解決するための手段」 加飾すべき物品の表面に、微粒子素材からなる
つや消し剤を含有する放射線硬化型塗料を施して
つや消塗膜を形成し、このつや消塗膜の上に目的
とするパターンを印刷し、次いで、このパターン
と前記つや消塗膜の両方を被覆する形態の金属色
膜をホツトスタンピング法により形成する加飾工
程とした。

「作用」 上記の加飾工程によれば、一度のホツトスタン
ピングによつて表面光沢のあるパターン部分と、
このパターン部分周囲の光沢のおさえられたつや
消し面とが同時に形成される。ここで、放射線硬
化型塗料を主成分とするつや消塗膜はきわめて早
い時間で硬化するため、その上に施すパターン印
刷もそのつや消塗膜の成形工程にほぼ連続して行
なえ、そしてその後の工程であるホツトスタンピ
ングもその作業性および作業速度の何れをとつて
も良好な工程であるから、これらの好条件は加飾
工程時間の短縮化およびコストダウン化に大きく
寄与する。また、つや消塗膜の上に施すパターン
は印刷によつて形成するようにしているから、イ
ンキの肉盛も充分に得られ、したがつてその上に
転写される金属色膜との相乗作用によりパターン
の肉厚感が表現される。

「実施例」 第１図ないし第５図に示す実施例は本発明をキ
ヤツプの表面加飾に適用した例を示すもので、こ
れらの図において符号１で示すものが加飾すべき
物品（キヤツプ）であり、符号２で示すものがそ
の表面に施された加飾層である。以下、この加飾
層２を形成する工程について述べる。

まず、キヤツプ１の表面に、粒子径１〜100μ
程度、好ましくは５〜30μ程度の例えばシリカ系
微粒子素材からなるつや消し剤を必要量だけ含有
する、紫外線または電子線などのいわゆる放射線
硬化型塗料を、塗布もしくは吹き付け等の手段に
より施した後、これに放射線を照射して硬化さ
せ、第２図または第５図に示すようなつや消塗膜
２ａを形成する。

次に、このつや消塗膜２ａの上に、文字・模
様・図柄など、目的とするパターン２ｂを例えば
公知のスクリーン印刷によつて形成し、これを強
制的にまたは自然乾燥によつて硬化させる。

そして、前記パターン２ｂが完全硬化もしくは
半硬化状態になつたら、例えばAl等の蒸着金属
膜を有する転写箔を用いた公知のホツトスタンピ
ング法により、前記パターン２ｂおよびつや消塗
膜２ａの両方を被覆する金属色膜２ｃを転写して
完了とする。

実施例において、放射線硬化型塗料には微粒子
素材からなるつや消し剤が含有されているために
塗膜２ａの表面全体がいわゆる物理的に粗面化さ
れたような状態となり、したがつて、この上に直
接転写されている部分の金属色膜２ｃは、粗面状
態となつているつや消塗膜２ａの影響を直接的に
受けてその表面光沢がおさえられた、つやのない
金属色表面となる。

一方、この金属色膜２ｃのうちでもパターン２
ｂを被覆する部分の表面は、パターン２ｂの存在
によつて、つや消塗膜２ａの影響を受けず、した
がつて、この部分だけは金属色膜本来の充分な光
沢を有する面となる。この結果、金属色膜２ｃの
表面全体の中でもパターン２ｂ部分だけがその周
囲との光沢の対比においてくつきりと浮き出るこ
とになる。この現象には、インキの肉盛が充分に
得られる印刷によつてパターン２ｂ自体を形成し
たことに基づき、パターン２ｂの肉厚感が表現さ
れる点も大きく貢献している。

なお、以上の実施例にあつては、金属色膜２ｃ
をキヤツプ１の表面全体にわたつて転写した例を
示したが、本発明の技術思想を考慮した場合、こ
の金属色膜２ｃは少なくともパターン２ｂを含む
範囲の転写であれば良いことが知られる。また、
パターン２ｂは、その上に転写される金属色膜２
ｃとの関係において、その金属色膜２ｃと良好な
接着状態が得られるような、かつ、充分な肉盛も
形成できるような印刷インキ、例えば熱硬化型樹
脂材料を主成分とする印刷インキにて形成するの
が好ましいが、パターン２ｂの硬化もしくは半硬
化時間を早めて、加飾工程全体に要する時間の短
縮化を図るという観点からすれば、放射線硬化型
印刷インキもしくは塗料を使用して形成しても良
い。

「発明の効果」 以上説明したように、本発明による加飾方法で
は、加飾すべき物品の表面に、微粒子素材からな
るつや消し剤を含有する放射線硬化型塗料を施し
てつや消塗膜を形成し、このつや消塗膜の上に目
的とするパターンを印刷し、次いでこのパターン
と前記つや消塗膜の両方を被覆する形態の金属色
膜をホツトスタンピング法により形成するように
したから、一度のホツトスタンピングによつて表
面光沢のあるパターン部分と、このパターン部分
周囲の光沢のおさえられたつや消し面とを同時
に、かつ、パターン部分の肉厚感も充分に具備さ
せて形成することができ、しかもその加飾工程時
間を著しく短縮化して生産性の向上ないしそれに
伴なうコストダウンを図り得るなど、種々の優れ
た効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

第１図ないし第４図は本発明による加飾方法の
実施例を説明するために工程順に示したものであ
り、第１図、第２図および第３図はそれぞれ斜視
図、第４図は平面図、第５図は実施例によつて施
された加飾層を示す断面図である。 １……物品（キヤツプ）、２……加飾層、２ａ
……つや消塗膜、２ｂ……パターン、２ｃ……金
属色膜。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 加飾すべき物品の表面に、微粒子素材からな
   るつや消し剤を含有する放射線硬化型塗料を施し
   てつや消塗膜を形成し、このつや消塗膜の上に目
   的とするパターンを印刷し、次いで、このパター
   ンと前記つや消塗膜の両方を被覆する形態の金属
   色膜をホツトスタンピング法により形成すること
   を特徴とする物品の表面加飾方法。