JPH0380653B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、車輌における座席面の傾斜角調整装
置に関するものである。

従来も一般乗用車等においては、運転車席や助
手席等は、着座する人が各自の身長体形等に適合
するよう、前後や上下に座席位置を、段階的に、
あるいは無段階的に選択調整し得る装置を備えて
いた。

しかし、従来型のこれら装置においては、歯車
構成では相互噛合い装置とか、あるいはカム部材
と係合する相手方部材との相互的関連位置の選択
及びその位置保持等の機能確保上、必然的に構造
が複雑なものとなり、また、その位置調整には係
合、係止部材の係脱に多段的な操作を要した。従
つて、取扱い操作の面においても煩瑣であつた。

本発明装置は、格別な特異体形の人を除き、一
般人に適合する座席の位置を、ワンタツチ操作で
上下に変更でき、しかもその構成が簡単で、適格
迅速に作動するようになされたものである。ま
た、加えて変更座席位置の保持が確実で、その位
置変更の操作が極めて簡便なものとされた。

以下、この発明装置の実施例を添附図面を参照
して説明する。

１は座席で、２，２′の夫々は座席１を前後摺
動させるスライド部材、３及び４は該スライド部
材２，２に夫々固定された基板で、前記座席１及
び背もたれ５を回動可能に軸支６，６′及び７，
７′する。

８はスライド部材２上において前記基板３の前
方に固定された別の基板であり、該基板８と前記
他の基板４との間には、軸９が回動可能に設けら
れる。而して、軸９の一側（図でみて右方）に
は、前記基板８の内方面に隣接するリンク部材１
０が固定され、該リンク部材１０は下方に段差部
１０ａを形成し、また、その反対方向端部にはピ
ン１１が植設されている。

１２は把手リンク、１３はロツクリンクで、こ
の両リンク１２及び１３は、相互的にも回動自在
に座席１に対して軸着１４されている。

而して、把手リンク１２の一端は、前記リンク
部材１０に軸支１５され、その他端把手部と前記
ロツクリンク１３の端部間には、バネ１６が配置
されて、この両者端部を互に離間する方向へ反発
せしめている。

また、前記ロツクリンク１３の一方端にはＵ形
溝１３ａが設けられており、該Ｕ形溝１３ａは該
ロツクリンク１３の作動で、前記軸９に固着され
たピン部材１７の小径部１７ａ及び前記ピン１１
のいずれかと係脱するものである。

１８は、前記軸９上に固定され、基板４の内側
面に隣接するリンク部材で、そのリンク運動面に
対し直角に内方へ延在するストツパ部１８ａが一
体に形成されている。また、１９は他方のリンク
部材で、ピン２０により、前記リンク部材１８に
軸着され、その１９ａ部が図示せぬ手段で、座席
対向側に設けた前記軸手段１４と同一線上に軸着
される。

この発明装置は上記のように構成されており、
次にその操作、作用について述べる。

第１図は、座席１が通常位置（下方）に存る場
合を示し、座席左右に夫々設けられた各リンク部
材が係合組合せられた態形は図示の通りである。

即ち、右方側におけるリンク機構中、ロツクリ
ンク１３のＵ形溝１３ａは、軸９に設けたピン部
材の小径部１７ａに係合しており、バネ１６の作
用で座席への軸着点１４を支点として、把手リン
ク１２を介しリンク部材１０との軸支点１５を、
ピン１７の中心からみて時計回転方向へ向けての
力が附与されている。

従つて、座席１上に加わる荷重が如何様に変化
しても、この３点個所（１４，１５，１７）で枢
支するリンク機構の支持により、座席位置は前記
３点個所の関連位置が不動のものとなる事からし
て、完全に保持され、変化することがない。この
第１図示座席を、所望に応じて第２図に２点鎖線
で示す状態（上方）に変位させるには、次のよう
に操作すればよい。

即ち、把手リンク１２とロツクリンク１３との
端部を同時に握り、バネ１６を圧縮させると共に
軸着点１４を中心にこれ等を時計方向（右）へ回
動させる。かくすることにより、前記ロツクリン
クのＵ形溝１３ａはピン部材１７の溝１７ａから
脱出し、第２図に示す如く前方へ変位するリンク
部材１０のピン１１に係合止する。従つて、座席
とリンク側との軸着点１４は図示のように上方へ
変位し、この場合も第１図示時と同様、座席への
加重如何に係わらず、３点支持の関係位置は確固
不動なものとなる。また、この座席上方変位の操
作時には、他方側（左方）のリンク機構は第３図
に拡大示したように、ピン２０の中心点は、軸９
と軸着１９ａの中心を結ぶ線より記号ｔで示す如
く外方に位置する。この関係位置は、前述の一方
側（右方）のリンク機構のそれにおいても同様で
あり、本発明装置における３点支持型リンク構成
の長所である。

そして、リンク部材１８のストツパ部１８ａ
に、立上つたリンク部材１９のサイド面が当接す
るようになる。

これにより、座席左方部においても荷重を支え
得て、その保持が尚一層完壁なものとなる。これ
らの座席上下変化は、右方側のリンク機構を片手
で、しかもワンタツチ操作により行い得、その構
成共々に、前記した有益な効果を挙げることがで
きる。

【図面の簡単な説明】

第１図は、座席に本発明装置を取付けた常態時
における態様を示し、第２図は第１図示座席を上
方へ変位せしめたときのそれを示すもので、各図
共に夫々その構成と作動との説明図である。そし
て第３図はリンク機構の拡大図である。 １……座席、２，２′……スライド部材、３，
４，８……基板、９……軸（回転）、１０……リ
ンク部材、１１……ピン、１２……把手リンク、
１３……ロツクリンク、１４……軸、１６……バ
ネ、１７……ピン部材、１８，１９……リンク部
材。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 後方部が左右両側にて枢着され、前方部が左
   右両側に配設されたリンク機構を介して上下に動
   可能に支持された座席を有する車輌の座席装置に
   おいて、一方側の前記リンク機構は、スライド部
   材の前方に固着された基板に回動自在に支持され
   たリンク部材と、前記座席前方部に回動自在に支
   持され一端が前記リンク部材に回動自在に連結さ
   れた把手リンクと、前記座席前方部に前記把手リ
   ンクと同軸上で回動自在に支持されたロツクリン
   クと、前記把手リンクの他端と前記ロツクリンク
   の他端との間に配設されたバネ部材と、前記ロツ
   クリンクの一端に形成され前記座席前方部の回動
   下限時において前記バネ部材の付勢力を受けて前
   記基板と係合すると共に前記座席前方部の回動上
   限時において前記バネ部材の付勢力を受けて前記
   リンク部材と係合する係合部と、を有して構成さ
   れた車輌の座席傾斜角調整装置。 ２ 他方側の前記リンク機構は、２本のリンク部
   材でなり、前記座席前方部の回動上限時において
   一方のリンク部材が他方にリンク部材に設けられ
   たストツパ部で回動規制される特許請求の範囲第
   １項記載の車輌の座席傾斜角調整装置。