JPH0357177B2

JPH0357177B2 -

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Publication number: JPH0357177B2
Application number: JP59041371A
Authority: JP
Priority date: 1984-03-06
Filing date: 1984-03-06
Publication date: 1991-08-30
Also published as: JPS60187653A

Description

【発明の詳細な説明】

本発明は、ろう付け接合によるAl製熱交換器
のフイン材用Al合金に関し、さらに詳しくは、
要求される性能のなかで、とりわけ熱伝導性を高
め、熱交換器の熱交換率（冷房能力）の向上を図
ることのできるようにしたフイン材用Al合金に
関するものである。一般にろう付け接合によるAl製熱交換器は、
水等の冷媒を通す通路（以下チユーブという）と
熱を放射するフインとからなり、チユーブとして
は、熱交換器の用途に応じて、押出偏平多穴管、
又はAl−Si系ろう材をクラツドしたブレージン
グシートによる電縫偏平管が用いられている。ま
た、フイン材としては第１図に示すような、芯材
１の両面にAl−Si系ろう材２をクラツドしてな
るブレージングシート、又はろう材をクラツドし
ない裸のフイン材が用いられている。ろう付けによるAl製熱交換器の具体例は第２
図に示される。第２図イはエバポレーター、ロは
コンデンサーであり、いずれも押出偏平多穴管３
と第１図のブレージングシートのフイン材を組合
せたものである。ハはラジエーターであり、片面
にAl−Si系ろう材をクラツドしたブレージング
シートで電縫偏平管３を製作し、この管（管の外
側にろう材がくる）と裸のフイン材と組合せたも
のである。これらの熱交換器の管とコルゲートフ
インは約600℃前後の温度でフラツクスろう付け、
真空ろう付け又は不活性ガス雰囲気ろう付けによ
り組立てられている。ところで従来このようなろう付けによるAl製
熱交換器においてはフイン材４として耐座屈性の
良いAl−Mn系合金、例えば3003合金（Al−0.05
〜0.20wt％Cu−1.0〜1.5wt％Mn合金〔以下wt％
を単に％と略記〕）又は3203合金（Al−1.0〜1.5
％Mn合金）を芯材として、その両面にAl−Si合
金ろう材（Al−５〜12％Si合金）Al−Si−Mg合
金ろう材（Al−５〜12％Si−0.5〜２％Mg合金）
等をクラツドした厚さ0.1〜0.2mmの薄板（ブレー
ジングシート）、又は厚さ0.1〜0.2mmの前記3003、
3203合金からなる裸の薄板が使用されている。しかしながら3003合金、3203合金のようなAl
−Mn系合金からなるフイン材４は、耐座屈性は
優れるものの熱伝導性が必ずしも高いとは言え
ず、これがこのフイン材を用いた熱交換器の放熱
性を悪くする原因となつていた。一方、熱交換器の中でも特に自動車用熱交換器
は近年重量軽減、小型化の方向にありフインの薄
肉化と共に、熱交換器の性能向上すなわち熱交換
率（冷房能力）の向上が求められてきている。したがつて、(1)熱伝導性が優れ、(2)ブレージン
グ接合を行う際のフインのへたりや変形がなく(3)
さらにチユーブの腐食を防止するいわゆる犠牲陽
極効果（チユーブの陰極防食効果）が優れる−な
どの各種性能を具備するフイン材の開発に対する
要望が高まつている。本発明者らは、このような要求に合致するフイ
ン材を開発するため鋭意研究を重ねた結果、Al
中のFe及びSi成分の含有量を所定量以下に規制
したAlを用いることにより、フイン材の熱伝導
性を向上し得ること、さらにはこれにZn、Inを
所定量添加することによりフイン材の耐座屈性及
び犠牲陽極効果を一層向上し得ることを見出し
た。本発明はこの知見に基づいてなされるに至つ
たものである。すなわち本発明は Fe0.2％以下、Si0.1％以下で、Cr0.01〜0.3％を
含み、さらにZn0.2〜2.0％、In0.01〜0.1％のうち
１種又は２種を含有し、残部がAl及び不可避不
純物からなることを特徴とする熱交換器フイン材
用Al合金、を提供するものである。以下本発明における各成分の作用とその含有量
を上記の如く限定した理由を記す。 (a) Fe、Si Feを0.20％以下、Siを0.10％以下の範囲に規
制することにより、Alの熱伝導性を高め、ろ
う付け時の耐座屈性を著しく向上させることが
できる。Fe、Siをこの範囲に抑えることによ
り、ブレージングシートフイン材においてはろ
う付け直前の芯材の再結晶粒径を大きくでき、
ろう材中のSiの芯材粒界への拡散を低減してフ
イン材の耐座屈性を向上させることができる。
Fe、Siの含有量が上記範囲を超えると熱伝導
性、耐座屈性が劣化する。 (b) Cr Fe、Si量を上記範囲に規制したAlにCr0.01
〜0.3％を添加した合金は、熱伝導性を保持し
ながらさらに耐座屈性を向上せしめたものとな
る。この添加量が0.01％未満では耐座屈性の向
上が十分でなく0.3％を超えると大きな金属間
化合物が晶出して、塑性加工性が低下するとと
もに熱伝導性能が低下する。 (c) Zn、In Fe及びSi量を前記の如く規制したAl及びこ
れにCrを添加した合金に、Zn0.2〜2.0％、
In0.01〜0.1％を単独又は併用で添加することに
より、熱伝導性を保持しながら犠牲陽極効果を
向上させることができる。Zn又はInが上記範
囲の下限未満では、その犠牲陽極効果が得られ
なく、上限を超えると塑性加工性が低下すると
ともに、熱伝導性が低下する。なお本発明においてCu、Ti、Mn等の不可避の
不純物はAl分99％以上のAl地金相当（Cu0.02％
以下、Ti、Mnは各々0.03％以下）であれば問題
ない。本発明のフイン材用Al合金を用いたフイン材
は、芯材の両面にろう材を被覆した合せ板（ブレ
ージングシート）もしくは裸板で、半硬質板とし
て使用される。厚さは通常約0.1〜0.2mm、幅約20
〜100mmの範囲である。本発明に係るAl合金は、耐座屈性が特にすぐ
れるため、第２図イのエバポレーター用フインは
もちろん、第２図ロ及びハのコンデンサーもしく
はラジエーター用フイン（通常、フイン幅20〜40
mm）にも使用することができる。フイン材の熱伝導特性の評価は、次のようにし
て行うことができ、本発明の熱交換器フイン材用
Al及びAl合金の熱伝導特性はこの方法に従つて
試験、評価した。 (1) 材料の熱伝導度は電気伝導度に比例するので
電気伝導度の測定により、熱伝導特性を予測す
る。 (2) フイン材用薄板から実際にフインを形成し、
熱交換器に組立て、熱交換率（冷房能力）を測
定してその効果を確認する。本発明のAl合金板の製造方法には特に制限は
なく、通常の方法により作ることができる。まず
各成分を含有する鋳塊を作り、このようにして得
られたAl及びAl合金鋳塊は、均熱処理、熱間圧
延され、続いて冷間圧延され、必要に応じて中間
焼鈍し、最終的に半硬質程度の薄板に仕上げて使
用される。次に本発明を実施例に基づきさらに詳細に説明
する。実施例１通常の溶解法により、第１表に示す組成物の
Al合金を溶製し、水冷鋳造して鋳塊とした。な
お同表に表示しないがこれらのAl合金はいずれ
も不可避の不純物としてCu0.02％以下、Ti0.03％
以下、Mn0.03％以下（従来合金のみ1.1％）を含
んでいる。次にこの鋳塊を550℃の温度で３時間均熱処理
を行つたのち両面を面削し、この両面にろう材
4045（Al−９％Si合金）板を合せ、これを500℃
の温度に再度加熱して熱間圧延し、厚さ５mmの合
せ板とした。これを0.2mm厚まで冷間圧延し、次
いで中間焼鈍（360℃×２時間）し、0.16mm厚
（ろう材のクラツド率；片面10％）まで冷間圧延
して合せフイン材の試料を作成した。この試料について、ろう付加熱（610℃×３分）
後の導電率、垂下量（耐座屈性）を測定した。そ
の結果を第２表に記した。なお、導電率は純銅の導電率を100として比較
した場合の値である。また垂下量の測定は、幅22
mm×長さ50mmの試料を切出し、第３図の如く一端
を30mm突出させ他端を治具に固定し、加熱後の先
端の垂下量を測定して行つた。垂下量（ｈ）が２
mm以下を◎、２mmを超え５mm以下を〇、５mmを超
えるものを×で表示した。なお、ろう材4045板を合せない裸の芯材のみに
よるフイン材（圧さ0.16mm、半硬質板）を試作
し、これについても上記と同様にして導電率垂下
量を測定した。その結果を第３表に示した。

【表】

【表】実施例２実施例１で作成したフイン材用Al合金薄板試
料（No.１〜３（発明合金）及びNo.８（従来合金））
を使用して第２図イに示すコルゲートフインを有
するエバポレーターを試作した（フインの幅100
mm；チユーブは押出20穴チユーブ、1050の純Al、
外周肉厚0.8mm；弗化物系フラツクスを用いた不
活性ガスろう付）。このコアについて、冷房能力、フインの耐座屈
性及び腐食試験によるチユーブの最大孔食深さを
測定した。なお冷房能力試験についてはフイン材
試料No.２、３及び８について行つた。試験方法及び判定方法は次の通りである。 (1) 冷房能力試験 JIS Ｄ 1618（自動車用冷房機試験方法）に
準じて行つた。 (2) フインの耐座屈性ろう付時にフインの座屈によるフインと押出
チユーブのろう付不良のないことを前提とし、
さらに曲げたチユーブの間隔（；ろう付け前
22mm）をろう付前後で比較し、減少量の0.3mm
以下を耐座屈性良とした。 (3) 腐食試験 15Kg／cm²の圧力でN₂ガスをコアに充填しキ
ヤス試験を720Hr（１ケ月）行い、圧洩れまで
の時間を比較した。圧洩れのない場合は、チユ
ーブに発生した最大孔食深さを測定しこれを比
較した。その結果を第４表に記した。

【表】実施例３実施例１で作成したフイン材用Al合金薄板試
料No.１〜３、８を使用して第２図ロに示すコンデ
ンサーを試作した（フイン幅22mm、チユーブは押
出４穴チユーブ、純アルミ1050、外周肉厚0.8mm、
弗化物系スラツクスを用いた不活性ガスろう付）。
このコアについて冷房能力、フインの耐座屈性を
実施例２と同様にして試験した。なお冷房能力試験についてはフイン材試料No.
１、８について行つた。その結果を第５表に記し
た。

【表】このように本発明によれば、熱伝導性特性ばか
りでなく、耐座屈性、犠牲陽極効果のより優れた
フイン材を提供することができる。したがつて一
層のフイン材の薄肉化が可能となり耐食性が高く
放熱特性に優れた小型、軽量化した熱交換器を製
造することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図はフイン用ブレージングシートの例を示
す側断面図、第２図イ，ロ，ハはそれぞれAl製
熱交換器の一例を示すもので、イはエバポレータ
ー、ロはコンデンサーハはラジエーターを示す説
明図である。第３図は耐座屈性試験装置の一例を
示す説明図である。１…フイン材、２…ろう材、３…チユーブ、４
…コルゲート状フイン、５…治具、６…試料。

Claims

【特許請求の範囲】

１ Fe0.2wt％以下、Si0.1wt％以下で、Cr0.01〜
0.3wt％を含み、さらにZn0.2〜2.0wt％、In0.01
〜0.1wt％のうち１種又は２種を含有し、残部が
Al及び不可避不純物からなることを特徴とする
熱交換器フイン材用Al合金。