JPH0354738Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、バイオフイードバツク・インタフエ
ースに関し、より詳しくは、足裏面と地面間に介
在させることによつて、移動運動（ロコモーシヨ
ン）、跳躍運動（ジヤンピング）等の強い身体運
動から生じる怪我等を防止するため、足裏面に感
じた感覚を増幅するバイオフイードバツク・イン
タフエースに関する。

〔従来の技術・考案が解決しようとする問題点〕

人体の足裏面は各種の機械的刺激に反応する機
械的受容器（メカノレセプタ）と侵害受容器（ノ
シセプタ）が濃密に集中している。これらの受容
器（レセプタ）は動作上の反応を司る神経系統に
情報を伝達する。これが感覚フイードバツク・コ
ントロール系と称されるものであり、足裏面の場
合は、下肢さらには人体全体を障害から守る機能
を果たす。

出願人は、足裏面に加わる負荷に対する防御行
動について調査研究と実験を行つた結果、フイー
ドバツク・コントロール機構が、本質的に、回避
行動の形態をとる防衛行動を司るものであり、換
言すれば、不快感を生じるものを避けることによ
つて不快感を最小にするメカニズムであることを
見出した。そして、出願人は、これらのメカニズ
ムが自然の地面上を裸足で歩行、ランニング、跳
躍等の激しい身体運動を行う上で怪我等の障害の
防止に重要な機能を果たしているが、靴を着用し
た場合にはあまり機能を果たしていないことを見
出した。即ち、従来のフツトウエアの構成自体が
防衛的な感覚フイードバツク・コントロール機能
を低下せしめ、歩行や跳躍中に生じる靴着用者の
多くの怪我の一因となつている。この問題は特
に、従来の運動靴（アスレチツクシユーズ）にお
いては足裏面と当接するスムーズな低摩擦層を組
み入れてあるため、負荷が加わつてもこの低摩擦
層により緩和され、防衛的姿勢をとらせずに依然
として足裏を通常の状態に放置したおくことに起
因する。

また、出願人は、自然の地表面の凹凸によつて
足裏に局部的な変形を生じるが、このような変形
こそ裸足の場合における感覚フイードバツク・コ
ントロール機能を発揮させる上で重要であること
を見出した。即ち、従来のフツトウエアを着用し
た場合における凹凸感の欠如、足裏面の剪断変形
の減少及び足裏面の動き方が感覚フイードバツ
ク・コントロール機構の作用を減退せしめてお
り、過大な負荷や怪我をもたらし、医学上共通し
て見受けられる神経機能障害を生じる一因となつ
ているという問題点があつた。

本考案は上記の問題点を解決するためになされ
たものであり、歩行、ランニング、跳躍等の激し
い身体運動によつて生じる人体の障害を防止する
ため、足裏面と地面との間に介装して相互に作用
し合うバイオフイードバツク・インタフエースを
提供することを目的とする。

〔問題点を解決するための手段〕

上記の目的を達成するため、本考案にかかるバ
イオフイードバツク・インタフエースは、相対的
に高水準の負荷が加わる足の表皮とフツトウエア
の表底との間に介装され、人体が知覚する感覚を
潜在的には痛みの水準にまで実質上増幅する感覚
増幅手段を備え、この感覚増幅により人体による
フイードバツク反応を誘発し、人体が知覚した感
覚の水準を低下させる姿勢をとらせることにより
上記足に対する負荷の軽減をもたらすバイオフイ
ードバツク・インタフエースであつて、前記感覚
増幅手段を比較的硬い複数の小片体により構成す
ると共に、圧縮可能な弾性材料から成る枠体内に
複数の区画室を形成し、各区画室内に前記各小片
体を遊動可能に収容せしめたことを特徴とする。

好ましい実施例として、前記各区画室の上下両
開口を被覆すべく前記枠体の上下両面にそれぞれ
薄肉な樹脂層を装着した構成としている。

また、上記区画室が足裏面の実質上全面に配分
された構成としている。

〔作用〕

本考案にかかるバイオフイードバツク・インタ
フエースは、フツトウエアを着用した状態におい
て、足裏面の下に配置することによつて、特定パ
ターンの局部的な足裏の変形を生じさせ、これに
より実際的に障害回避行動をとらせるものであ
り、障害回避行動の程度は足裏面に加わる負荷の
程度と直接的に関係する。

本考案にかかるバイオフイードバツク・インタ
フエースは、フツトウエアに負荷が加わつたとき
には足裏に若干の痛みを感じる程度にまで一種の
不快感を生じるが、これによつて人体にバイオフ
イードバツク反応を誘起し、歩行、ランニング、
跳躍等の激しい身体運動中における足に対する負
荷が軽減される。

本考案にかかるバイオフイードバツク・インタ
フエースは、特定の構成（高さ、間隔、剛性、形
状）の凹凸部、即ち不規則性を有する感覚増幅手
段により足裏面に複数の局部的変形を生じさせ、
足裏面に知覚した負荷の程度を増幅せしめて障害
回避行動をとらせる。このことは同様に凹凸性や
不規則性を利用して、むしろ「マツサージ」、「弛
緩（リラツクセーシヨン）」等の快感を増大する
ように構成されている従来の装置やフツトウエア
と対照をなすものである。

本考案にかかるバイオフイードバツク・インタ
フエースは、感覚増幅手段を枠体内に形成された
各区画室内に遊動可能に収容することにより、感
覚増幅手段が各区画室内で負荷に応じて徐々に移
動して、一歩ごとに足の異なる個所に感覚情報を
伝達し、足裏と凹凸部との相対的な動きにより足
裏面に剪断変形が生じ、感覚フイードバツク・コ
ントロール機構が有効に作用して、障害を防止す
る。

バイオフイードバツク・インタフエースの特性
は、足裏面から凹凸性や不規則性を分離するソツ
クス等の追加層の存在、その物理的性質、バイオ
フイードバツク・インタフエースを装着するフツ
トウエアの種類、使用時における負荷の程度等に
密接に関係する。このように多くの変動要因があ
るため、出願人は、特定のバイオフイードバツ
ク・インタフエースを開発するため、即ち、所望
の防衛行動を生じるか否かを見極めるため、多く
の実験やテストを繰り返した結果、後述のように
的確に障害回避行動をとらせる解決手段を見出し
た。

〔実施例〕

以下、本考案に係るバイオフイードバツク・イ
ンタフエースを図面に示す実施例に基づき具体的
に説明する。

第１図は衝撃緩和の感覚フイードバツク・コン
トロール機構の概略対比図を示す。第１図におい
て、上欄より下欄に向けて順次、自然の地面上で
の裸足の状態、従来のフツトウエアを着用した状
態、及び本考案に係るフツトウエアを着用した状
態のそれぞれについて、激しい身体運動を行つた
場合における感覚フイードバツク・コントロール
機構の作用を図示してあり、グラフ左側の矢印は
負荷感受性を示し、上向きの矢印は負荷感受性が
大、下向きの矢印は負荷感受性が小であることを
示す。また、グラフ右側の矢印は障害危険性を示
し、上向きの矢印は障害危険性が大、下向きの矢
印は障害危険性が小であることを示す。両矢印に
挟まれたグラフは人体に加わる負荷の変化を示す
大地反力波形図である。

そして、図示するように、自然の地面上を裸足
で歩行、ランニング、跳躍等の激しい身体運動を
行つた場合は、地表面の凹凸により足裏に部分的
に反りが生じ、足裏面に強い負荷が加わつている
間はそのまま人体に負荷が強く感じられ、これに
より強い防衛的反応を生じさせる。即ち、足に対
する負荷を足自体で低減させて不快感を回避し、
肉体的障害の危険性を減らす行動をとらせる。

次に、従来のフツトウエアを着用して同じ身体
運動を行つた場合は、フツトウエアの各種の層が
もたらす緩衝作用によつて地面から受ける負荷が
減少するので、緩衝作用の限度を超えた強い衝撃
を受けたときには防衛行動的反応が不足し、怪我
の危険性が増大する。

即ち、正常にシユーズを着用した状態の足はシ
ユーズの支持面に平らに載置され、負荷は主とし
てシユーズのヒール部と中足骨指関節下方部とに
配分される。

一方、地面に直接載置されシユーズを着用して
いない状態の足はアーチ状の姿勢をとり、中足骨
指関節下方部に対しては殆ど負荷はかかつておら
ず、負荷は指に伝達される。従つて、中足骨指関
節下方部から指にかけては高負荷ゾーンであり、
中足骨指関節下方部は機械的に生じる感覚により
敏感であるから、地面の不規則性を感じて増幅さ
れた感覚に対して、感覚レベルを低減するため、
足にアーチ状の姿勢をとらしめる反応を示す。こ
の反応はシユーズを着用した足の場合は生じな
い。シユーズの多数のパツド層や輪郭内部が接触
面積を増やし、地面から伝達される感覚を減少さ
せるからである。

地面に直接載置されシユーズを着用していない
状態の足の姿勢は、足の靭帯や骨に伝わる反力
（応力）をある程度制限する衝撃吸収作用をもた
らす。これに対して、シユーズを着用しシユーズ
に平らに載置された状態の足では、足自体は衝撃
吸収作用を発揮せず、すべての反力（応力）を直
接伝達し、従つて怪我の危険を増大する。

この点に関して、本考案に係るバイオフイード
バツク・インタフエースを備えたフツトウエアを
着用した場合は、負荷情報は増幅されて人体に伝
達されるので、裸足で身体運動をした場合に観察
されるのと同様の障害回避行動的反応を生じる。

第２図は本考案に係るバイオフイードバツク・
インタフエースを運動用フツトウエアの中底に多
層式に構成した実施例の分解斜視図を示す。

第２図において、バイオフイードバツク・イン
タフエース１０は、足と靴の表底との間に介装さ
れる中底に構成されている。この中底は、一般に
足の足裏面の輪郭形状に合わせて形成してあり、
上方に複数の突起１４，１４……を突出形成して
感覚増幅手段の凹凸部を構成した比較的剛性のあ
るプラスチツク製の基板１２から成る。突起１
４，１４……の大きさや配置間隔は、これらの突
起が所望レベルの間隔増幅作用を奏する限り、問
題ではない。また、突起の形状も同一形状として
もよいし、異なる形状としてもよい。実験による
と、高さ５mm、突起間間隔15mmの突起が望ましい
が、これらの数値は、個々の適用如何により、ま
た個々の人体如何により変化する。

基板１２にはその上面部に発砲プラスチツク製
の層材１６を固着すると共に、この層材１６に穿
設した透孔１８，１８……に突起１４，１４……
を嵌入せしめ、突起１４，１４……の先端を材層
１６の上面と略面一になるように構成してもよ
い。

更に、層材１６の上面部に低摩擦性繊維製の表
層材２０を載置して突起１４の先端を被覆し、表
層材２０、層材１６、及び基板１２を一体構造に
形成してもよい。

尚、層材１６及び表層材２０は必ずしも本考案
の必須要件ではないか、主として足裏面が突起１
４，１４……と直接接触して皮膚にまめが生ずる
のを防止するために使用している。従つて、層１
６及び表層材２０を構成せずに、突起１４，１４
……を小さく形成してもよい。

バイオフイードバツク・インタフエース１０
は、足が感じた間隔を実質的に増幅し、特に足に
対する負荷が非常に大である場合に、不快感の増
大に伴つてシユーズ着用者はその真価を認識する
ことになる。即ち、かかる感覚情報の伝達によつ
て、シユーズ内で足裏をアーチ（弧状）に反らし
め、衝撃吸収作用をもたらす等の各種の反応を誘
起することができ、従来のフツトウエアを着用し
た場合のように垂直方向の力が少ない状態で走る
ことによる危険性を回避することになる。

第３図は、第２図のバイオフイードバツク・イ
ンターフエイス１０とは別の実施例であるバイオ
フイードバツク・インタフエース２２の斜視図を
示す。

この実施例のバイオフイードバツク・インタフ
エース２２は、中底を編み構造体２４としてい
る。編み構造体２４は多数の糸を交差せしめて形
成した凹部２６と凸部２８とを有し、これら凹凸
面により足が知覚した負荷感覚を実質的に増幅せ
しめる。編み構造体２４も足裏に対応した形状を
有し、その周縁部に帯状布３０を縫着して、編み
構造体２４の糸がほつれたり、破断したりするの
を防止している。

第３図においては、編み構造体が中底の一部の
みに示されているが、中底全体を編み構造体で覆
つて形成することはいうまでもない。

第４図は第３図に示すバイオフイードバツク・
インターフエイスを適用したソツクスの一部欠截
斜視図を示したものであり、このようにソツクス
３２の底部に編み構造体２４を適用することもで
きる。この場合は、編み構造体２４を足底と対面
するソツクスの底部の内面または外面のいずれか
に縫着又は接着すればよい。

バイオフイードバツク・インタフエースを編み
構造体２４に構成した場合、上記実施例のバイオ
フイードバツク・インタフエース１０と比べて、
製造コストが安上がりとなり、また場合により大
きな長所ともなる薄さを実現することができる。

第２図乃至第４図に示す上記バイオフイードバ
ツク・インタフエースは、感覚増幅手段たる突起
あるいは凹凸部が固定しているので、その使用
時、常に皮膚の同じ個所を刺激することになる。
従つて、一定期間が経過すると、着用者は発生し
た感覚情報（不快感）に順応してしまい、実用上
感覚増幅作用の減退をもたらすという欠点があ
る。かかる欠点は、特にバイオフイードバツク・
インタフエースが足に対して固定的な関係にある
場合等に著しい。

かかる欠点を防止するため、第５図乃至第７図
に示すような凹凸部を非固定的乃至可動的に構成
したバイオフイードバツク・インタフエースを使
用すると好適である。

第５図は本考案に係るバイオフイードバツク・
インタフエースの他の実施例を示す部分平面図で
あり、第６図は第５図に示すバイオフイードバツ
ク・インタフエースの無負荷状態の縦断面図であ
り、第７図は第５図に示すバイオフイードバツ
ク・インタフエースの負荷状態における縦断面図
である。

図において、中底３４は発砲プラスチツク等の
圧縮可能な弾性部材からなる比較的肉厚の枠体３
６に構成してあり、枠体３６は複数の区画室３
７，３７……を有する。これらの区画室３７，３
７……は中底３４の全面にわたつて配置してあ
り、各区画室３７内には室内を移動することがで
きる程度に小さく比較的硬い感覚増幅手段、例え
ば、球状体等の小片体４０，４０……を遊動可能
に収容せしめてある。

枠体３６は、区画室３７，３７……の上下開口
を被覆すべく薄肉な上下樹脂層３８，３８間に挟
着せしめてある。

枠体３６は、その弾性が重要であり、以下の基
準に適合する必要がある。

第７図に示すように、バイオフイードバツ
ク・インタフエースに負荷が加わつたときに、
荷重の殆どが小片体４０によつて支持されるに
足る十分な柔軟性を有すること。

第６図に示すように、負荷のないとき、即
ち、足が歩行又はランニング中に瞬間的に空中
にあるときは、元の形状に復元して小片体４０
をそれぞれの区画室３７内で移動させることが
できるに足る十分な弾性を有すること。

上記２つの基準に適合するときは、歩行又はラ
ンニング中に上記各区画室３７，３７……内に遊
動可能に収納された各小片体４０，４０……が区
画室内で徐々に移動して、一歩ごとに足の異なる
個所に感覚情報を伝達することができる。

尚、上記実施例においては、本考案を特定の形
態に実施する場合について説明したが、本考案は
上記の実施例に限定されるものではなく、当業者
にとつて容易に改変しうるものも本考案の技術的
範囲に含まれるものであり、本考案は実用新案登
録請求の範囲に基づいて解釈されるべきである。

〔考案の効果〕

本考案に係るバイオフイードバツク・インタフ
エースは以上の構成より成り、感覚増幅手段が枠
体の区画室内に遊動可能に配置されているから、
従来品のように常に足の皮膚の同じ個所のみを刺
激するのではなく、各室内で負荷に応じて徐々に
移動して、一歩ごとに足の異なる個所に感覚情報
を伝達し、運動用フツトウエアに衝撃が加わつた
ときに人体に感じた感覚を痛みを覚える水準にま
で増幅させる感覚増幅手段により足裏面に複数の
局部的変形を生じさせ、人体によるバイオフイー
ドバツク反応を誘起してこの水準より低減する姿
勢をとらせることによつて足に対する衝撃負荷を
足自体で軽減し、人体に対する障害の危険性を減
少することができるという特有に効果を生じる。

【図面の簡単な説明】

第１図は衝撃緩和の感覚フイードバツク・コン
トロール機構の概略対比図；第２図は本考案に係
るバイオフイードバツク・インタフエースを運動
用フツトウエアの中底に多層式に構成した実施例
の分解斜視図；第３図はバイオフイードバツク・
インターフエイスを編み構造に構成した他の実施
例の斜視図；第４図は第３図の示すバイオフイー
ドバツク・インターフエイスを適用したソツクス
の一部欠截斜視図；第５図は本考案に係るバイオ
フイードバツク・インタフエースの他の実施例を
示す部分平面図；第６図は第５図に示すバイオフ
イードバツク・インタフエースの無負荷状態の縦
断面図；第７図は第５図に示すバイオフイードバ
ツク・インタフエースの負荷状態における縦断面
図である。 １０，２１……バイオフイードバツク・インタ
フエース、１２……基板、１４……突起、１６…
…層材、２０……表層材、２４……編み構造体、
３２……ソツクス、３４……中底、３６……枠
体、３７……区画室、３８……樹脂層。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) 相対的に高水準の負荷が加わる足の表皮とフ
   ツトウエアの表底との間に介装され、人体が知
   覚する感覚を潜在的には痛みの水準にまで実質
   上増幅する感覚増幅手段を備え、この感覚増幅
   により人体によるフイードバツク反応を誘発
   し、人体が知覚した感覚の水準を低下させる姿
   勢をとらせることにより上記足に対する負荷の
   軽減をもたらすバイオフイードバツク・インタ
   フエースであつて、前記感覚増幅手段を比較的
   硬い複数の小片体により構成すると共に、圧縮
   可能な弾性材料から成る枠体内に複数の区画室
   を形成し、各区画室内に前記各小片体を遊動可
   能に収容せしめたことを特徴とするバイオフイ
   ードバツク・インタフエース。 (2) 前記各区画室の上下両開口を被覆すべく前記
   枠体の上下両面にそれぞれ薄肉な樹脂層を装着
   した実用新案登録請求の範囲第１項記載のバイ
   オフイードバツク・インタフエース。 (3) 上記区画室が足裏面の実質上全面に配分され
   た実用新案登録請求の範囲第１項記載のバイオ
   フイードバツク・インタフエース。