JPH0352347B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 「産業上の利用分野」 本発明は、熱パルスを用いて記録紙上に印字を
行う感熱記録装置に関する。

「従来の技術」 感熱転写記録方式は、１種または２種以上の色
の熱流動性あるいは熱昇華性のインクを塗布した
インクドナーフイルムを記録紙上に重ね、サーマ
ルヘツドによつて熱パルスを加えて記録紙上に文
字や図形を転写することにより行われる。また、
同様の感熱記録であつて、感熱発色性インクが塗
布されている記録紙にサーマルヘツドが直接熱パ
ルスを加える方式も、上記同様よく知られた方式
である。

感熱転写記録方式に使用されるインクドナーフ
イルムは、単色印字用の場合は全長にわたつて一
色のインクが塗布されている。単色印字用のイン
クドナーフイルムと１台のサーマルヘツドを用い
れば、記録紙上にいわゆる白黒画像が印字され
る。また、２種の単色印字用のインクドナーフイ
ルムと２台のサーマルヘツドを用いて、２色刷り
の画像の印字も行われている。使用するインクド
ナーフイルムに色の三原色に相当するものを選定
し、３台のサーマルヘツドを用いて色を合成し、
いわゆるカラー（多色）印字も行うことができ
る。

また、一枚のインクドナーフイルムと１台のサ
ーマルヘツドを用いてカラー印字をを行うことも
できる。このインクドナーフイルムには、例えば
シアン、マゼンタ、イエロー、ブラツクの４色の
インクが長手方向に順に塗布されている。このよ
うなインクドナーフイルムを使用する面順次カラ
ー印字方式の従来の感熱記録装置の要部斜視図を
第７図に示す。

ロール状に巻回された長尺帯状のインクドナー
フイルム１は、その長手方向に順にシアン、マゼ
ンタ、イエロー、ブラツクのインクが塗布されて
いる。この図では、例えばシアン部２、マゼンタ
部３、イエロー部４のみが現われている。このイ
ンクドナーフイルム１は、記録部５の印字面に接
しながらバツクロール６とサーマルヘツド７との
間を通つて矢印１０方向に移送される。バツクロ
ールの両側には各１対のドライブロール８が設け
られている。ドライブロール８は記録紙５を挾ん
で矢印９方向に前後に移送するものである。

この装置は、まず記録紙５の直下にインクドナ
ーフイルム４のシアン部２を配置して、サーマル
ヘツド７を用いて熱パルスを印加しながらインク
ドナーフイルム１と、記録紙５とを矢印１０の方
向へ移送しシアンの印字を行う。次にバツクロー
ル６をサーマルヘツド７から遠ざけて記録紙５を
ドライブロール８によつて反対方向に移送し始め
の状態に戻す。同時に、インクドナーフイルム４
のマゼンタ部３が記録紙５の直下にくるようセツ
トして再び印字作業を行う。同様にしてイエロ
ー、ブラツクの印字を行うとカラー印字が完了す
る。

これに対して単色印字の場合は、インクドナー
フイルムと記録紙とを矢印１０の方向へ移送しな
がらサーマルヘツド７を用いて熱パルスを印加す
る。ドライブロール８の反転動作は無く、極めて
簡単なシーケンスである。

一般に、感熱記録装置のドライブロールやイン
クドナーフイルムを移送するモータ等は、装置に
組み込まれたシーケンサによりその動作を制御さ
れる。上述したような動作手順すなわちシーケン
スは、シーケンサ中のメモリ等に記憶されてい
る。

サーマルヘツドにより印加される熱パルスに関
する情報も、シーケンサ内あるいはシーケンサに
付属したメモリ内に記憶されている。インクドナ
ーフイルムのベースにされているプラスチツクテ
ープの材料、塗布されたインクの種類、インクの
塗布厚さ等によつて、適切な濃度の印字を行うた
めに印加すべき熱パルスが相違する。これを、サ
ーマルヘツドに加える電源電圧や、通電時間の制
御によつて調整している。

感熱記録紙を用いる方式の場合も、サーマルヘ
ツドによつて加える熱パルスを、記録紙に塗布さ
れた発色性インクの種類等にあわせて調整する制
御が必要である。

「発明が解決しようとする問題点」 従来、上記のような感熱記録装置においては、
その装置に使用されるインクドナーフイルムや装
置の構成、サーマルヘツドの特性等を考慮して機
種ごとに最適条件を定め、それをシーケンサに記
憶させるようにしていた。

ところが、例えばインクドナーフイルムはイン
ク材料の研究開発が進むにつれて改良されていく
が、過去に販売され使用されている装置に改良後
のインクドナーフイルムを使用するためには、新
たな印字条件を記憶させたシーケンサを装着し直
したり、装置内の半固定抵抗等を回して条件変更
を行つたりする必要がある。

このような繁雑な保守や改修作業を避けようと
すれば、多種のインクドナーフイルムや感熱記録
紙の販売を続けなければならず、コストダウンの
妨げとなる。

本発明は以上の点に着目してなされたもので、
装着したインクドナーフイルムの種類や特性に応
じて自動的に適切な印字条件を選定する感熱記録
装置を提供することを目的とする。

「問題点を解決するための手段」 本発明の感熱記録装置はサーマルヘツドと、こ
のサーマルヘツドと接触する被加熱シートを搬送
する被加熱シート搬送手段と、装置の起動が行わ
れるたびに前記被加熱シート上に記されたそのシ
ートの品種を示す属性コードデータを読み取る属
性コードデータ読取手段と、読み取つた属性コー
ドデータを解読して熱パルス印加時の熱エネルギ
の強さを求める解読手段と、この解読手段によつ
て求められた熱エネルギで前記サーマルヘツドを
駆動して熱転写記録を行うサーマルヘツド駆動手
段とを有している。

被加熱シートとは、印字の際熱パルスを印加さ
れるインクドナーフイルムあるいは感熱記録紙等
のことであり、その属性コードデータとは、被加
熱シートの品種すなわちこれに塗布されたインク
等の種類、塗布厚さ、ベースフイルム材料あるい
は構造等を示す情報をいう。

このような情報がインクドナーフイルムに付さ
れており装置がそれを読み取つて必要なシーケン
スを選択すれば、インクドナーフイルムに適した
動作を感熱記録装置が行うことができる。

この装置に不揮発性メモリが設けられていれば
読み取つた属性コードデータを消失しないよう記
憶しておくことができる。

属性コードデータが被加熱シートの巻始め端に
設けられていれば被加熱シート装着時その使用に
先立つて被加熱シートの属性コードデータを読み
取り記憶することができる。

属性コードデータが被加熱シートの側縁部に付
されていれば、装置の起動時に属性コードデータ
をトレスして読み取ることができ、必ずしも属性
コードデータを記憶しておくことを要しない。

属性コードデータを被加熱シートの側縁部に付
す場合長手方向に連続的にあるいは間欠的に付す
ことができる。いずれの場合も、属性コードデー
タの反復読み取りが可能である。

「実施例」 第１図は本発明の感熱記録装置の実施例を示す
ブロツク図で、第２図、第３図、第４図はそれぞ
れ本発明の装置の使用に適するインクドナーフイ
ルムの実施例部分平面図である。

この装置は、読取手段２１と、シーケンサ２２
と、不揮発性メモリ２３（RAM）と、印加パル
ス制御テーブルメモリ２４（ROM）と、モータ
２６およびモータドライバ２７、サーマルヘツド
２８およびサーマルヘツドドライバ２９とで構成
されている。上記各部はバスライン３１で連結さ
れている。

第２図のインクドナーフイルム３４には、その
巻始め端３５とインク塗布領域３６の間に属性コ
ードデータ３７が付されている。第３図のインク
ドナーフイルム３４は、インク塗布領域３６の側
方すなわちフイルム側縁部に長手方向に間欠的に
属性コードデータ３７が付されている。第４図の
インクドナーフイルム３４は第３図のものと同様
にフイルム側縁部に長手方向に連続的に属性コー
ドデータ３７が付されているが、単色用のため全
長にわたり同色のインクが塗布されている。

第５図は、第２図に例示したインクドナーフイ
ルム３４とその属性コードデータ３７を読み取る
読取手段２１の斜視図である。第６図は第３図に
例示したインクドナーフイルムとその属性コード
データ３７を読み取る読取手段２１の斜視図であ
る。

本発明において、インクドナーフイルム３４に
付す属性コードデータ３７は、光学的、磁気的あ
るいは電気的に各種センサで読み取り可能な態様
でインクドナーフイルム３４の表面あるいは裏面
に記録される。

光学的なものとしては例えばバーコード状のも
ので、文字、数字、記号等を情報として書き込む
ことができ、光センサを用いて読み取ることがで
きる。磁気的なものとしては磁性塗料を用いるも
ので、磁気ヘツドを用いて読み取り再生すること
ができる。電気的なものとしては、導電性塗料の
塗布があり、導電領域の幅、導電領域に設けたス
リツト等をブラシ等を用いて読み取ることができ
る。読取手段２１はこのような属性コードデータ
に適したものを使用する。

シーケンサ２２は感熱記録装置の各部の動作を
制御するマイクロプロセツサ等から成る。不揮発
性メモリ２３は、図示しないバツテリー等で記憶
内容を保持する機能を持つランダム・アクセス・
メモリ（RAM）から成る。印字パルス制御テー
ブルメモリ２４は、例えばサーマルヘツド２８に
加えるべき印字パルスの印加時間を短いものから
長いものまで各種記憶したリード・オンリ・メモ
リ（ROM）である。

以上の感熱記録装置は次のように動作する。例
えば第２図のインクドナーフイルム３５を使用し
た場合、まずこのインクドナーフイルム３５を装
置に装着すると、第５図のように読取手段２１が
属性コードデータ３７をトレスしてその情報を読
み取る。この情報は不揮発性メモリ２３内に書き
込まれる。書き込まれた情報は、再び別の情報に
より書き換えられるまで消えることがない。この
情報の内容は例えば４色カラーインク使用の面順
次カラー印字用のインクドナーフイルムであつ
て、標準のサーマルヘツド印字パルス幅は４ミリ
秒を指定するというような内容のものである。

この情報をもとにシーケンサ２２が面順次カラ
ー印字用のインクドナーフイルムの使用のための
シーケンスを選択する。更に、標準の印字パルス
幅を考慮して印字パルス制御テーブルメモリ２４
から印字パルス幅データを選択して取り出し、サ
ーマルヘツドドライバ２９を通じてサーマルヘツ
ド２８を駆動する。印字シーケンスは、第７図の
従来例で説明したと同様で、これにそつてモータ
ドライバ２７を制御し、第７図のドライブロール
８、バツクロール６あるいはインクドナーフイル
ム１の移送のタイミングをとる。

次に、単色印字用のインクドナーフイルムをこ
の装置に装着すると、同様にして属性コードデー
タ３７を読み取り、今度はシーケンサ２２にあら
かじめ記憶されている単色印字用のシーケンスに
従つて動作を行う。単色印字用のインクドナーフ
イルムを用いた場合の印字パルスはカラー用のそ
れと相違することもあるから別の条件で印字を行
うよう必要な印字パルスデータの選択をする。

第５図の実施例のインクドナーフイルム３４
は、矢印３８の方向へこのインクドナーフイルム
を移送することにより属性コードデータ３７を読
み取ることができる。また、第６図の実施例のイ
ンクドナーフイルム３４は、矢印４１の方向へイ
ンクドナーフイルムを移送するかあるいは矢印４
２の方向へ読取手段２１を動かして属性コードデ
ータ３７を読み取るかいずれの方式もとることが
できる。

第５図の方式の場合、属性コードデータ３７は
インクドナーフイルム３４を感熱記録装置に装着
した際にのみ読み取られ不揮発性メモリ２３に記
憶される。従つて、このインクドナーフイルム３
４を使い終わるまで同一のシーケンスが選択され
同一条件の印字が行われる。

これに対して、第６図の方式は、例えば装置の
起動の際その都度インクドナーフイルム３４の属
性コードデータ３７を読み取るようにすれば、中
途でインクドナーフイルムをかけ替えた場合にも
インクドナーフイルムに適合した動作を行わせる
ことができる。このような使い方をするために
は、インクドナーフイルムの長手方向に周期的に
同一の属性コードデータを付しておくことが好ま
しく、この属性コードデータが常に読取手段で読
取可能な位置になければならない。長手方向に連
続的にすなわちどの部分を読み取つても同じ属性
コードデータを読み取ることができるようであれ
ば一層好ましい。

なお、上記実施例では２種のシーケンスを選択
する例を示したが、シーケンサに必要に応じて２
以上のシーケンスを記憶させておきこれらを選択
するようにさせてもよい。

印字パルス幅データは、例えば印字パルス制御
テーブルメモリ２４内に１ミリ秒、３ミリ秒、５
ミリ秒という形式で記憶させておき、シーケンサ
がこれを適当に、組合せて、例えば、１ミリ秒を
２回で２ミリ秒、３ミリ秒と１ミリ秒を組合せて
４ミリ秒というように、制御すれば、将来インク
ドナーフイルムが改良されて印加パルス幅が大幅
に変更になつた場合にも対処が可能である。

なお、属性コードデータに対応して印字パルス
の電圧やインクドナーフイルムの移送速度、移送
量、バツクロールの圧力等を適宜選択可能にして
もよい。また、感熱記録紙を使用する方式におい
ても、この感熱記録紙に属性コードデータを付し
ておくことにより、上述したと同様、本発明の実
施が可能である。また、属性コード、読取手段を
２以上設けてもさしつかえない。

「発明の効果」 以上説明した本発明の感熱記録装置は、装着す
るインクドナーフイルムの種類に応じて自動的に
適切な印字制御を行うことができる。しかも、装
置の起動のたびに被加熱シート上に記された属性
コードデータを読み取ることにしたので、被加熱
シートを途中でかけ替えた場合にもそのたびに熱
パルス印加時の熱エネルギを調整する必要がな
い。また、被加熱シート自体に記された属性を読
み取ることにしているので、例えばシートが何ら
かの事故で切断されてしまつたり、シートの終端
まで使用してそのシート部分に属性データが記さ
れていなかつたような場合には、シートの交換を
指示したりシートの使用を禁止する等の措置をと
ることができる。また、将来改良された良質のイ
ンクドナーフイルムが出現しても、装置の改造無
しに、ただちにそのインクドナーフイルムを装着
して使用することもできる自由度を有している。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の感熱記録装置の実施例を示す
ブロツク図、第２図、第３図、第４図はそれぞれ
本発明の装置の使用に適するインクドナーフイル
ムの実施例部分平面図、第５図と第６図はそれぞ
れ第２図と第３図のインクドナーフイルムとその
属性コードデータの読取手段を示す斜視図、第７
図は面順次カラー印字方式を用いた従来の感熱記
録装置の要部斜視図である。 ２１……読取手段、２２……シーケンサ、２３
……不揮発性メモリ、２８……サーマルヘツド、
３４……インクドナーフイルム、３５……インク
ドナーフイルムの巻始め端、３７……属性コード
データ。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ サーマルヘツドと、 このサーマルヘツドと接触する被加熱シートを
   搬送する被加熱シート搬送手段と、 装置の起動が行われるたびに前記被加熱シート
   上に記されたそのシートの品種を示す属性コード
   データを読み取る属性コードデータ読取手段と、 読み取つた属性コードデータを解読して熱パル
   ス印加時の熱エネルギの強さを求める解読手段
   と、 この解読手段によつて求められた熱エネルギで
   前記サーマルヘツドを駆動して熱転写記録を行う
   サーマルヘツド駆動手段 とを具備することを特徴とする感熱記録装置。 ２ 前記属性コードデータ読取手段の読み取つた
   属性コードデータを前記被加熱シートの使用期間
   の間少なくとも保持する不揮発性メモリを具備す
   ることを特徴とする特許請求の範囲第１項記載の
   感熱記録装置。