JPH0349446Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案はガラスアンテナに係り、特に窓ガラス
に発生する曇りを取り除く加熱用導電線条を
VHF帯やUHF帯のアンテナとして使用するガラ
スアンテナに用いて好適なものである。

〔考案の概要〕

窓ガラスに発生する曇りを除去するための加熱
用導電線群の加熱区域内に一端開放の補助素子を
付設することによつて、加熱用導電線条を受信周
波数帯域の周波数にチユーニングさせて、加熱用
導電線群をアンテナとして用いた時の受信効率を
向上させたガラスアンテナである。

〔従来の技術〕

従来より自動車の後部窓ガラスに曇り止め用の
複数の加熱用導電線条と共にAMラジオまたは
FMラジオ受信用のアンテナ線条を付設したガラ
スアンテナが知られている。

このようなガラスアンテナは加熱用導電線条と
共に印刷及び焼成によつて簡単に形成することが
でき、また導体パターンを選定することにより容
易にチユーニングができると云う優れた利点があ
る。

ところで最近テレビや自動車電話のように
VHF帯やUHF帯の電波を使用する機器が自動車
内に多数設置されるようになつてきた。このため
これらの機器用のアンテナも後部窓ガラス上に付
設することが考えられるが、後部窓ガラスの大部
分には加熱用導電線が設けられているので余白部
はあまり広くない。そのために新たにVHF帯や
UHF帯のアンテナを付設するスペースを後部窓
ガラス上に確保できない場合が多い。

そこで上記加熱用導電線をアンテナとしても用
いて、加熱用導電線に曇り止め作用とアンテナ作
用の両方を兼用させることがある。

〔考案が解決しようとする問題点〕

加熱用導電線は、その導体パターンの引回しを
適宜に選定してアンテナとしてのチユーニングを
施すことが困難である故、通常は中波帯において
のみ用いられ、VHF帯やUHF帯で使用すること
ができなかつた。

なお加熱用導電線から補助導体を延ばして、そ
の上部のアンテナパターンと直接結合又は容量結
合させて、これによつてアンテナパターンの受信
特性の改善及び受信効率の向上を図つたものが
種々提案されている（例えば特願昭56−11275
号）。しかしこのような補助導体は加熱用導電線
のアンテナとしての機能には何も寄与しないの
で、やはりVHF、UHF帯用のアンテナを別に付
設する必要がある。

本考案は上述の問題にかんがみ、加熱用導電線
群をVHF帯やUHF帯用のアンテナとして効率良
く使用できるようにすることを目的としている。

〔問題点を解決するための手段〕

本考案のガラスアンテナは、自動車用窓ガラス
の表面に付設された複数本の加熱用導電線条２０
と、加熱用導電線群２の加熱区域６内に付設さ
れ、少なくとも一端が開放端となるように上記加
熱用導電線条２０に接続された補助素子２１とを
具備している。

〔作用〕

加熱用導電線条２０に接続した先端開放の補助
素子２１が、加熱用導電線群２に乗る受信波の乗
り方を変化させる。上記加熱用導電線群２の加熱
区域６内に補助素子２１を付設すると共に、この
補助素子２１の全長Ｃや付設態様を目的の周波数
帯に合わせて設定することによつて、加熱用導電
線群２を受発信周波数帯域の周波数にチユーニン
グさせている。

〔実施例〕

第１図は本考案の一実施例を示すガラスアンテ
ナの正面図及び電気回路図である。第１図に示す
ように自動車のリアー窓ガラス１には曇り止めの
ための加熱用導電線群２が設けられ、これらには
母線７，８，９及び給電線１１，１２を通してバ
ツテリー１３から加熱電流が流される。加熱用導
電線群２の上部の余白部３には、アンテナ線条群
４が設けられ、受信出力の給電点１４に結合され
て同軸ケーブル１５を介してプリアンプ１６に導
出される。プリアンプ１６ではAM波帯域及び
FM波帯域の受信信号がそれぞれ帯域別に分けて
増幅されてからチユーナーに送られる。

加熱用導電線群２は例えばVHF帯のアンテナ
としても使用される。その受信信号は母線７から
同軸ケーブル１９を介してプリアンプ１６に導出
される。

なお加熱用導電線群２の受信効率を高めるため
に、加熱用導電線群２とバツテリー１３及び接地
点（車体）との夫々の間の給電線１１，１２に
は、ラジオ周波数帯域で極めて抵抗の高い高周波
チヨークコイル１７が間挿されている。また電源
ラインに乗るノイズが受信信号に混入しないよう
に、ラインと接地点との間にデカツプリングコン
デンサ１８が結合されている。

加熱用導電線群２、母線７，８，９、各アンテ
ナ線条群４及び給電点１４は、銀の微細な粒子、
低融点ガラス粉末等を有機溶媒でペースト状にし
た導電ペーストを窓ガラス１上にスクーン印刷
し、更に焼成して得られる。

加熱用導電線群２のアンテナとしての性能を向
上させるために、第１図に示すように加熱区域６
内に補助素子２１を付設してある。第２図の拡大
図で示すようにこの補助素子２１は、最上段の加
熱用導電線条２０の下側に間隔ｂを開けて長さｃ
にわたつて平行に付設してある。そしてこの補助
素子２１の中点と上記加熱用導電線条２０とは連
結線２２を介して結合されている。従つて補助素
子２１は両端開放となつている。

上記補助素子２１の長さｃ及び補助素子２１と
加熱用導電線条２０との間隔ｂなどは、加熱用導
電線群２をVHF帯域の周波数にチユーニングし
た寸法にしてある。例えば加熱用導電線条２０の
配設間隔ａが30mmに設定されている場合に、間隔
ｂを５mm、補助素子２１の全長ｃを600mm（中点
から左右の開放端迄の長さｄを300mm）として、
76〜92MHzのVHF帯域の周波数を受信した時、
アンテナ利得は、第３図のＣに示すように大幅に
向上した。なお第３図Ａは補助素子２１を設けな
い加熱用導電線群２のみの利得であり、第３図Ｂ
は第４図の参考例のように長さｌ＝400mmの補助
素子２３を加熱用導電線群２の上部に間隔ｔ＝25
mm開けて水平に延ばして、その一端を母線９に接
続したときの利得である。上記Ｂの場合には、幾
分の利得上昇が認められたが、加熱用導電線群２
の導体分布に関するチユーニング作用は無く、単
に補助素子２３を付加したことによる受信利得の
変化と考えられる。

第１図の実施例における補助素子２１は、加熱
用導電線群２の加熱区域６内、即ち最上段から最
下段までの加熱用導電線条２０の線間領域に設け
ることを特徴とし、これによつて加熱用導電線条
群２の導体分布を変えて導電線条２０に乗る受信
波の分布を調整し、結果的にアンテナ実効長を変
化させる作用を有する。従つて加熱用導電線条２
０の長さ、間隔、本数に応じて補助素子２１のパ
ターンや寸法を受信周波数帯において最適にチユ
ーニングする必要がある。またアンテナ実効長を
変化させる作用を得るために、補助素子２１は加
熱導電線条２０又は母線７，８，９に直接又は連
結線２２を介して接続すると共に、一端を開放に
するのがよい。また補助素子２１を複数個使用し
てもよい。

第５図は補助素子２１の別の例を示し、この例
では最上段の加熱用導電線条２０に沿つて補助素
子２１を平行に延ばし、その一端を母線７に直接
に接続し、他端を開放にしてある。このように構
成しても加熱用導電線群２に対して所望のチユー
ニング効果が得られる。

なお加熱用導電線群２は、リアー窓ガラス１の
両側縁に母線を設けてその一方から他方にのみ加
熱電流を流すようにした両サイド給電タイプであ
つてもよい。

〔考案の効果〕

本考案は上述のように、自動車の窓ガラスの表
面に付着する曇りを取り除くための加熱用導電線
群の加熱区域内に、少なくとも一端が開放端とさ
れている補助素子を接続したので、これにより加
熱用導電線群のガラス面上の導体分布を変えて例
えばVHF帯やUHF帯の周波数に良好にチユーニ
ングできる。従つて、曇り除去機能を損なうこと
なく加熱用導電線群のアンテナ効率を向上させる
ことができて、加熱用導電線群をアンテナとして
良好に兼用することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例を示す自動車のリア
ー窓ガラスの正面図及び電気回路図、第２図は第
１図に示した補助素子の長さ及び配設態様の詳細
を説明する拡大図、第３図は加熱用導電線群を
VHF帯のアンテナとして用いた時の受信感度を
示すグラフ、第４図は第３図の特性Ｂに対応する
補助素子付き加熱用導電線群の導体パターン図、
第５図は別の実施例を示す第１図と同様な正面図
及び電気回路図である。 なお図面に用いた符号において、１……リアー
窓ガラス、２……加熱用導電線群、４……アンテ
ナ線条群、６……加熱区域、２０……加熱用導電
線条、２１……補助素子である。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 自動車用窓ガラスの表面に付設された複数本の
   加熱用導電線条と、加熱用導電線群の加熱区域内
   に付設され、少なくとも一端が開放端となるよう
   に上記加熱用導電線条に接続された補助素子とを
   具備するガラスアンテナ。