JPH034765B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本発明はめねじ穴用ゆるみ止めボルトに関す
る。

［従来の技術］ 従来のゆるみ止めボルトとしては、ゆるみ止め
効果を得るために、ねじ部の被螺合部に対する接
触面積を大きくし摩擦抵抗を大きくする事が考え
られている。このねじ部と被螺合部との接触面積
を大きくするためにはねじ部のねじのピツチを細
かくしたり、ねじ部の精度を上げてねじ部と被螺
合部との間に生じている間隙を減少したりするよ
うな手段が多く用いられている。しかし、これら
の手段によつてゆるみ止めボル効果を得るために
は、ボルト上に精度の高いねじ山を多数設けなけ
ればならず、多くの時間及び費用がかかるという
欠点がある。

又、前記ゆるみ止め効果を比較的簡単に得る方
法としては、ボルトねじ部の最終端にある不完全
ねじ部に対して高いトルクを与えて高いゆるみ止
め摩擦抵抗を得る手段も考えられている。しか
し、このような手段によるボルトを、激しい衝撃
が連続して与えられるような装置に用いた場合、
充分な摩擦抵抗を保持し得ず、その結果ゆるみ易
くなるという欠点を有し、この欠点に加え、前記
不完全ねじ部に高いトルクを与え、ゆるみ止め摩
擦抵抗を得るために、不完全ねじ部が損傷し易
く、そのため繰り返し使用に耐え難いという欠点
を有している。

［発明が解決しようとする問題点］ 本発明の目的は、ねじのピツチが粗くかつねじ
のかみ合い精度が低くても高いゆるみ止め効果が
得られ、かつ繰り返し使用しても高いゆるみ止め
効果を長時間維持し得るめねじ穴用ゆるみ止めボ
ルトを提供することにある。

［問題点を解決するための手段］ 前記目的は、本発明によれば、第１のボルト本
体と、第１のボルト本体の軸心に沿い、且つ第１
のボルト本体の一端から他端にかけて貫通して設
けられた貫通孔と、第１のボルト本体の一端に設
けられためすテーパ部と、第１のボルト本体に設
けられた第１のおねじ部と、第１のおねじ部の拡
径を可能とすべく、第１のボルト本体の一端に軸
心に沿つて設けられたスリツトと、貫通孔に挿入
され、第１のボルト本体より長い第２のボルト本
体と、第２のボルト本体の一端に、第１のボルト
本体の一端のめすテーパ部に対応して設けられた
おすテーパ部と、第１のボルト本体から突出する
第２のボルト本体の他端に設けられた第２のおね
じ部と、貫通孔においておすテーパ部をめすテー
パ部に向かつて相対的に移動させて第１のおねじ
部を拡径させるべく、第２のボルト本体の第２の
おねじ部に螺着させた止めナツトとを有してなる
めねじ穴用ゆるみ止めボルトによつて達成され
る。

本発明の好ましい特徴によれば、めすテーパ部
及びおすテーパ部の少なくとも一方が、テーパ座
金によつて形成される。

［具体例］ 以下本発明を、一具体例に基づいてさらに詳し
く説明する。

第１図、第２図及び第３図によると、めねじ穴
用ゆるみ止めボルト１は六角頭７と、第１のおね
じ部としてのおねじ部８と、おねじ部先端面１８
とからなる第１のボルト本体９を有し、第１のボ
ルト本体９にはボルト本体９の軸心１０にそつて
貫通孔１１が設けられている。おねじ部８には軸
心１０を中心として対称的におねじ部８の先端面
１８から軸心１０にそつた方向でスリツト１２が
設けられている。スリツト１２は２本に限らず、
第７図のように３本以上でも良く、逆に１本でも
良く、又、軸心１０と平行でなくとも構わない。
貫通孔１１には先端面１８から軸心１０にそつた
方向に径が小になつていくテーパ面３５が設けら
れている。又、ゆるみ止めボルト１は、さらに第
４図イに示すような皿頭面１４側から径が小にな
つていくテーパ部としてのテーパ面１７と、第２
のおねじ部としてのおねじ部１５とからなる第２
のボルト本体としての皿頭ボルト１３を有してお
り、この皿頭ボルト１３は第１のおねじ部８の先
端面１８に設けられた、貫通孔１１のテーパ面３
５に皿頭ボルト１３のテーパ面１７が当接し得る
ように、かつ貫通孔１１の他方の開口部２０、す
なわち六角頭７上に設けられた開口部２０よりお
ねじ部１５が突出するように装着され、このおね
じ部１５の突出部は締付け装置としてのゆるみ止
め機能を有したナツト１６によつて締結されてい
る。テーパ面１７は第４図ロにように溝２８を設
けても良く溝２８を設ける事によつて皿頭ボルト
１３のテーパ面１７と貫通孔１１のテーパ面３５
との接触面積を少なくし、皿頭ボルト１３の軸方
向移動をし易くし得、又、溝２８を設けることに
よつて貫通孔１１のテーパ面３５におけるテーパ
面１７の軸心１０を中心とする回転方向の移動を
阻止し得る。ナツト１６及び皿頭ボルト１３のお
ねじ部１５は左ねじ又は右ねじいずれでもよい
が、おねじ部８のねじ方向に対して逆の方向のね
じであるのが好ましい。

被取付部３の表面４側には、ゆるみ止めボルト
１のおねじ部８に適合するめねじ穴５が設けられ
ている。

取付部材２には、ゆるみ止めボルト１のおねじ
部８の最大ねじ径よりも大きく、かつゆるみ止め
ボルト１の六角頭７の最大径２１よりも小さい径
を持つ貫通孔６が設けられている。

本発明のめねじ穴用ゆるみ止めボルトは、皿頭
ボルト１３のテーパ面１７を第１のボルト本体９
の軸心１０にそつた貫通孔１１のスリツト１２を
有したおねじ部８側のテーパ面３５に当接させ、
皿頭ボルト１３の軸心１０の方向の移動に伴つて
おねじ部８の径を変化させおねじ部８と、おねじ
部８の被螺合部であるめねじ穴５との接触圧及び
接触面積を変化させ、ゆるみ止め効果を調節し得
るものである。

さらに詳しく説明すると、取付部材２を被取付
部３上に固定する手順は、まず被取付部３の一方
の表面４の上に取付部材２を、そして取付部材２
の貫通孔６と被取付部３のめねじ穴５とが夫々一
致するようにセツトする。そしてゆるみ止めボル
ト１の皿頭ボルト１３がナツト１６で締め付けら
れていない状態、すなわちゆるみ止めボルト１の
おねじ部８のスリツト１２が皿頭ボルト１３のテ
ーパ面１７によつて押し拡げられていない状態で
取付部材２の貫通孔６にゆるみ止めボルト１のお
ねじ部８を挿入し続いてゆるみ止めボルト１の六
角頭７の頭部座面２２が取付部材２の一方の表面
２７に当接する迄被取付部３のめねじ穴５におね
じ部８を螺入していく。

頭部座面２２が取付部材２の一方の表面２７に
当接した状態で、次にゆるみ止めボルト１の皿頭
ボルト１３のおねじ部１５に装着された締付け装
置としてのゆるみ止めナツト１６を締め付けてい
くと、皿頭ボルト１３は軸心１０方向にそつて移
動し、この移動に従つて皿頭ボルト１３のテーパ
面１７が貫通孔１１のテーパ面３５に当接し、こ
の当接によつてスリツト１２が押し拡げられ、お
ねじ部８の径が拡大し、おねじ部８とめねじ穴５
との密着圧が高まり、強い摩擦抵抗が生じる。

又、第５図には、めねじ穴用ゆるみ止めボルト
の他の具体例として、第１のボルト本体の外周面
全体に第１のボルト本体８が設けられたスタツド
ボルト３を用いためねじ穴用ゆるみ止めボルトが
示されている。このスタツドボルト３１の一端部
３２には、第１図のめねじ穴用ゆるみ止めボルト
と同様のゆるみ止め機構が設けられている。他端
部３３には、スタツドボルト３１を介して被取付
部３に取付部材２を取付るための取付ナツト３０
が装着されており、他端部３３には、さらに第１
のゆるみ止め機構に設けられたスリツト１２及び
テーパ面３５と同様なスリツト２５及びテーパ面
３６が設けられている。スタツドボルト３１には
第１図のボルト本体９と同様に、スタツドボルト
３１の軸心３７にそつて貫通孔３８が設けられて
おり、この貫通孔３８に皿頭ボルト１３が装着さ
れている。スタツドボルト３１の他端部３３側か
ら突出した皿頭ボルト１３のおねじ部１５には、
第６図に示すようなテーパ面２６を有したテーパ
座金２４のテーパ面２６がスタツドボルト３１の
他端部３３のテーパ面３６に当接するように装着
され、おねじ部１５には、さらにゆるみ止めナツ
ト１６が装着されておりスタツドボルト３１のス
リツト２５、テーパ面３６、及びテーパ座金２４
と伴に第２のゆるみ止め機構を構成している。こ
の状態でゆるみ止めナツト１６を締付けていく
と、テーパ座金２４は、軸心３７に沿つてテーパ
面２６がスタツドボルト３１の他端部３３のテー
パ面３６に強く当接する方向に移動し、この座金
２４の移動に伴い、スリツト２５が押し拡げら
れ、この押し拡げにより、おねじ部８が拡径し、
このおねじ部８と、取付ナツト３０のめねじ部３
９との密着度が高まり、強い摩擦抵抗を生じるよ
うになる。

以上の通り、第５図におけるめねじ穴用ゆるみ
止めボルトは、第１図におけるゆるみ止めボルト
の第１のゆるみ止め機構に加えて第２のゆるみ止
め機構を設けたものであつて、さらに大きいゆる
み止め効果を生じる事が可能になる。

以上の具体例では、軸中心方向にそつたスリツ
トが２本の場合で説明したが、本発明で軸中心方
向かつ２本に限定するものではなくおねじ部８の
被螺合部との圧着目的によつて任意に設定するの
が好ましい。

［発明の効果］ 以上の構成によつて、本発明のめねじ穴用ゆる
み止めボルトは、当該ゆるみ止めボルトをめねじ
穴５に装着する場合、第１のボルト本体を当該め
ねじ穴に螺着した後に、当該第１のボルト本体に
ゆるみ止め作用を生起させるべく第２のボルト本
体の第２のおねじ部に螺着された止めナツトを締
付けても、当該第２のボルト本体自身が回転する
ことなく軸方向に移動し、これによつて第１のボ
ルト本体のめすテーパ部に嵌合された第２のボル
ト本体のおすテーパ部が当該第１のボルト本体の
第１のおねじ部を拡径することができる。

換言すると、前記第１のおねじ部を拡径すべく
前記めすテーパ部がおすテーパ部に対して軸方向
に相対的に移動する際、当該めすテーパ部とおす
テーパ部との間には相対的な回転が生じないた
め、めすテーパ部とおすテーパ部との間の摩擦力
の低下を阻止し得、その結果当該止めナツトをよ
り一層強固に締付け得るため、前記第１のおねじ
部をより一層拡径させることができ、前記第１の
ボルト本体のゆるみ止め作用を確実に増大させる
ことができる。

それと共に前記めすテーパ部とおすテーパ部と
の間の接触部における傷等の発生、即ち損傷を最
小限に抑制することができるため、ゆるみ止めボ
ルトの繰返し使用においても初期のゆるみ止め機
能の低下を比較的ゆるやかに抑制し得る。

【図面の簡単な説明】

第１図は、めねじ穴用ゆるみ止めボルトを用い
て被取付部上に取付部材を取り付けた状態の断面
図、第２図は、第１図における方向から見ため
ねじ穴用ゆるみ止めボルトの説明図、第３図は、
第１図における方向から見ためねじ穴用ゆるみ
止めボルトの説明図、第４図は、テーパ部を有し
たボルトの斜視図、第５図は、別のめねじ穴用ゆ
るみ止めスタツドボルトを用いて被取付部上に取
付部材を取り付けた状態の断面図、第６図は、テ
ーパ座金の斜視図で、第７図は多数のスリツトが
設けられたボルト先端の第１のおねじ部の一変形
例の説明図である。 １……ゆるみ止めボルト、５……めねじ穴、８
……第１のボルトのおねじ部、９……第１のボル
ト、１０……軸中心、１１……第１のボルトの貫
通孔、１２……スリツト、１３……皿頭ボルト、
１５……皿頭ボルトのおねじ部、１６……ゆるみ
止めナツト、１７……テーパ面、１９……開口
部。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 第１のボルト本体と、この第１のボルト本体
   の軸心に沿い、且つ当該第１のボルト本体の一端
   から他端にかけて貫通して設けられた貫通孔と、
   前記第１のボルト本体の一端に設けられためすテ
   ーパ部と、前記第１のボルト本体に設けられた第
   １のおねじ部と、この第１のおねじ部の拡径を可
   能とすべく、前記第１のボルト本体の一端に前記
   軸心に沿つて設けられたスリツトと、前記貫通孔
   に挿入され、前記第１のボルト本体より長い第２
   のボルト本体と、この第２のボルト本体の一端
   に、前記第１のボルト本体の一端のめすテーパ部
   に対応して設けられたおすテーパ部と、前記第１
   のボルト本体から突出する前記第２のボルト本体
   の他端に設けられた第２のおねじ部と、前記貫通
   孔において前記おすテーパ部を前記めすテーパ部
   に向かつて相対的に移動させて第１のおねじ部を
   拡径させるべく、前記第２のボルト本体の第２の
   おねじ部に螺着された止めナツトとを有してなる
   めねじ穴用ゆるみ止めボルト。 ２ 前記めすテーパ部及び前記おすテーパ部の少
   なくとも一方が、テーパ座金によつて形成される
   特許請求の範囲第１項に記載のめねじ穴用ゆるみ
   止めボルト。 ３ 前記止めナツトが、ゆるみ止めナツトである
   特許請求の範囲第１項又は第２項に記載のめねじ
   穴用ゆるみ止めボルト。