JPH034622Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〈産業上の利用分野〉 開示技術は、補強部材を介装することにより剛
性を高めるようにしたフロントボデイーの構造技
術分野に属する。

而して、この考案はエプロンアツパメンバの内
側に固設されサスペンシヨン上部を支持するスプ
リングサポートと、両端部をエプロンアツパメン
バ基部に接合されるカウルトツプとの間に補強部
材としてカウルブレースが介装される自動車のフ
ロントボデイー構造に関する考案であり、特に、
カウルブレースが、平面視略コの字状に形成され
てその基面がカウルトツプとエプロンアツパメン
バとスプリングサポートの上面に重合されると共
にその基部がカウルトツプとエプロンアツパメン
バの側端にまで延出されて重合され、更に、略コ
の字状に形成されたカウルブレースの凹部内側全
域にフランジが延出形成され、フランジがカウル
トツプとエプロンアツパメンバとスプリングサポ
ートの側面に重合され、カウルブレースのカウル
トツプ、エプロンアツパメンバ、及び、スプリン
グサポートとの適宜重合面が固定されている自動
車のフロントボデイー構造に係る考案である。

〈従来技術〉 近年、自動車の開発にあたつては振動、騒音、
及び、操縦安定性が大きな課題の１つとされ、こ
れに対処すべく各種の対応策が案出され実施され
ている。

従来より、自動車における振動、騒音、及び、
操縦安定性はボデイー剛性に負うところが極めて
大きいことが知られており、このボデイー剛性を
向上させる為にボデイー各所に閉断面構造を多く
採用したり、或いは、補強部材を付設する等の
様々な工夫が為されてきた。

而して、中形車以上の多くの乗用車のフロント
ボデイーは、車両前後に走向する一対のエプロン
アツパメンバ間にカウルトツプが架設されると共
にエプロンアツパメンバ、及び、カウルトツプ
各々が他の部材と閉断面構造を成してその剛性を
維持出来るようにされている。

ところが、一般にエプロンアツパメンバの内側
には、サスペンシヨン上端を支持するスプリング
サポートやスプリングサポートプレート等が付設
され、自動車の走行中にエプロンアツパメンバに
対して頻繁に大きな振動や衝撃が印加されるた
め、実使用に際してこれだけではボデイー剛性、
及び、操縦安定性を充分に維持することが出来な
かつた。

これに対処するに、従来、カウルトツプを車両
前方に延出してスプリングサポートに直接固設し
た態様、或いは、例えば、実公昭58−6783号公報
に開示されている様な、スプリングサポート上面
とカウルトツプ中央側とにブレースを架設した態
様等が案出されていた。

〈考案が解決しようとする問題点〉 しかしながら、上述従来のカウルトツプを車両
前方に延出してスプリングサポートに直接固設し
た態様は、カウルトツプがウインドシールドガラ
ス下方からスプリングサポート近傍に亘る大幅な
スペースを占める結果となるため、クラツチマス
ターシリンダやブレーキブースタ等の配設を困難
にし、実使用することが出来ないという欠点があ
つた。

又、上述従来のスプリングサポート上面とカウ
ルトツプ中央側とにブレースを架設した態様は、
ブレースが、カウルトツプとエプロンアツパメン
バより成るコーナ部を大きく占めるため、エンジ
ン、或いは、他の部品の交換時における作業性を
低下させるという難点があつた。

更に、ブレースは、垂直な曲折部を１箇所だけ
有する構造であり、その接合面も２平面のみであ
るため、ブレース単品の剛性、ブレースが接合さ
れた接合部のねじれ剛性共に充分ではないという
不具合な点もあつた。

この考案の目的は上述従来技術に基づく自動車
のフロントボデイー構造の問題点を解決すべき技
術的課題とし、無駄の無い構造簡易な部品をボデ
イーの所定部に付設することによつて確実にボデ
イー剛性をアツプさせると共にエンジン内スペー
スを有効利用出来るようにして、自動車産業にお
ける部材利用分野に益する優れた自動車のフロン
トボデイー構造を提供せんとするものである。

〈問題点を解決するための手段・作用〉 上述目的に沿い先述実用新案登録請求の範囲を
要旨とするこの考案の構成は、前述問題点を解決
するためにカウルブレースを平面視略コの字状に
形成し略コの字状に形成された内側凹部全域に一
体のフランジを延出形成し、カウルトツプと、カ
ウルトツプ端部にその基部が接合されるエプロン
アツパメンバと、エプロンアツパメンバの内側に
固設されサスペンシヨン上部を支持するスプリン
グサポートの上面にカウルブレースの基面を重合
すると同時に、カウルブレースのフランジ面をカ
ウルトツプ、エプロンアツパメンバ、及び、スプ
リングサポートの各側面に重合して、エンジンル
ーム内の大きなスペースを使用することなく、互
いに垂直な隣接三平面円有する強固な構造にて支
持するようにし、更に、カウルブレースの基面が
カウルトツプとエプロンアツパメンバの側端にま
で延出するように形成されて重合され、カウルト
ツプとエプロンアツパメンバに挟まれたコーナ部
の剛性が維持されるようにした技術的手段を講じ
たものである。

〈実施例〉 次に、この考案の１実施例を第１〜５図に基づ
いて説明すれば以下の通りである。

１はこの考案の自動車のフロントボデイーであ
り、ウインドシールドガラス２の下部前方に互い
に接合され閉断面構造を成すカウルトツプアウタ
パネル３とカウルトツプインナパネル４が配設さ
れ、カウルトツプアウタパネル３とカウルトツプ
インナパネル４の両端部前方には、車両の前後方
向に走向するエプロンアツパメンバ５，５が配設
されている。

そして、カウルトツプアウタパネル３とカウル
トツプインナパネル４の両側部には図示しないフ
ロントピラーと接合されたカウルトツプインナサ
イドパネル６が介装され、カウルトツプインナパ
ネル４の端部下面には下方に延出するカウルサイ
ドパネル７の上端部が接合され、更に、カウルト
ツプアウタパネル３の側端部の下面とカウルサイ
ドパネル７の外側面にはエンジンルーム８の外側
コーナ部を形成するカウルトツプサイドパネル９
が接合され、カウルトツプアウタパネル３、カウ
ルトツプインナサイドパネル６、カウルサイドパ
ネル７、及び、カウルトツプサイドパネル９にて
閉断面構造が形成されている。

又、上記カウルトツプアウタパネル３の両側部
前方のエプロンアツパメンバ５は、断面略Ｌ字状
に形成されて、その水平面の外側端下面と垂直面
の下端外側面に、カウルトツプアウタパネル３と
カウルサイドパネル７にその後部を接合された上
記カウルトツプサイドパネル９が接合されて閉断
面構造を形成している。

そして、エプロンアツパメンバ５のエンジンル
ーム８側上面、及び、その側面には図示しないス
テアリング上部を支持するスプリングサポート１
０が固定されている。

更に、カウルトツプアウタパネル３、エプロン
アツパメンバ５、及び、スプリングサポート１０
部分にはカウルブレース１１が架設されるが、カ
ウルブレース１１は平面略コの字状に形成され、
略コの字状に形成された内側の凹状部分全域にフ
ランジ１２が延出形成されており、上述架設にあ
たつて、カウルブレース１１の基面１３がカウル
トツプアウタパネル３、エプロンアツパメンバ
５、及び、スプリングサポート１０の各上面に適
宜スポツト溶接され、それと同時にそのフランジ
１２面がカウルトツプアウタパネル３、エプロン
アツパメンバ５、及び、スプリングサポート１０
の各側面にも適宜スポツト溶接されている。

そして更に、カウルブレース１１の基面１３は
車両外側方向に延出形成され、上述のように閉断
面構造を形成するカウルトツプアウタパネル３と
エプロンアツパメンバ５の各端部上面に亘つて重
合固定されている。

上述構成において、実際に上記フロントボデイ
ー１が採用され、その自動車によつて路面走行が
行われた場合、車両両側に配設されたエプロンア
ツパメンバ５には、該メンバ５の内側に付設され
たスプリングサポート１０を介して路面振動やそ
の他各種の振動、衝撃が印加されるが、エプロン
アツパメンバ５はカウルブレース１１によつてス
プリングサポート１０とカウルトツプアウタパネ
ル３とが接合されているため、エプロンアツパメ
ンバ５にスプリングサポート１０より印加される
応力がカウルブレース１１を介してカウルトツプ
アウタパネル３に分散支持され、又、カウルトツ
プアウタパネル３とエプロンアツパメンバ５、エ
プロンアツパメンバ５とスプリングサポート１０
は各々カウルブレース１１の基面１３とフランジ
１２面の２面によつて支持固定されているため、
確実に剛性が高められる。

更に、カウルブレース１１の基面１３がカウル
トツプアウタパネル３とエプロンアツパメンバ５
の側端部にまで延出するように形成されて閉断面
構造を成す部位の上面に重合されているため、カ
ウルトツプアウタパネル３とエプロンアツパメン
バ５に挟まれたコーナ部の剛性も確実に高められ
る。

又、カウルブレース１１は、その基面１３が平
面視略コの字状に形成されその内側凹部にフラン
ジ１２が形成されているため、カウルブレース１
１自身の剛性が高く維持されるばかりでなく、エ
ンジンルーム８内の占めるスペースも最小限に小
さくされる。

尚、この考案の実施態様は上述実施例に限るも
のでないことは勿論であり、他の種々の態様が採
用可能である。

〈考案の効果〉 以上、この考案によれば、基本的に無駄の無い
構造簡易なカウルブレースをエプロンアツパメン
バとスプリングサポートとの適宜部位に架設する
ことにより、確実にボデイー剛性をアツプさせ、
エンジンルーム内のスペースをも有効利用出来る
ようにするという優れた効果が奏される。

即ち、カウルブレースを平面視略コの字状に形
成し、略コの字状に形成された内側凹部全域に一
体のフランジを延出形成し、カウルトツプとエプ
ロンアツパメンバとスプリングサポートの上面に
亘りカウルブレースの基面を重合し、それと同時
にカウルブレースのフランジ面をカウルトツプ、
エプロンアツパメンバ、及び、スプリングサポー
トの各側面に重合したことにより、エプロンアツ
パメンバに該スプリングサポートより印加される
応力をカウルトツプに分散支持させることが出
来、又、カウルブレースの基面がカウルトツプと
エプロンアツパメンバの側端にまで延出するよう
に形成され重合されるようにしたことにより、カ
ウルトツプとエプロンアツパメンバに挟まれたコ
ーナ部の剛性をより確実に高めるという優れた効
果が奏される。

更に、カウルブレースは平面視略コの字状に形
成されているため、エンジンルーム内に占めるカ
ウルブレースのスペースを最小限に小さくするこ
とが出来、エンジンルーム内部品の交換時におけ
る作業能率の向上、及び、エンジンルーム内の有
効利用を可能にするという優れた効果も奏され
る。

【図面の簡単な説明】

図面は、この考案の１実施例の説明図であり、
第１図は斜視図、第２図は平面図、第３図は第２
図−断面図、第４図は第２図−断面図、
第５図は第２図−断面図である。 ５……エプロンアツパメンバ、１０……スプリ
ングサポート、３……カウルトツプ、１１……カ
ウルブレース、１……自動車のフロントボデイ
ー、１２……フランジ。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. エプロンアツパメンバの内側に固設されサスペ
   ンシヨン上部を支持するスプリングサポートと該
   エプロンアツパメンバ基部に設けられるカウルト
   ツプとの間にカウルブレースが介装される自動車
   のフロントボデイー構造において、上記カウルブ
   レースが基面を平面視略コの字状に形成され、該
   基面が上記カウルトツプとエプロンアツパメンバ
   とスプリングサポートの上面に重合されると共に
   該略コの字状基面の基端がカウルトツプとエプロ
   ンアツパメンバの側端まで延出されて重合され、
   更にカウルブレースの略コの字状に形成された内
   側全域にフランジが延出形成され該フランジが上
   記カウルトツプとエプロンアツパメンバとスプリ
   ングサポートの側面に重合されていることを特徴
   とする自動車のフロントボデイー構造。