JPH034422Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は低圧鋳造装置、重力鋳造装置等の金型
鋳造装置に利用される中子納め装置に関し、特に
中子を把持して鋳型の所定位置に納める中子クラ
ンプ装置に関する。

〔従来の技術〕

中子は鋳型（金型）の所定位置に納めるのに、
従来は主に手作業に依つていたが、近年では大量
生産を目指した生産性向上のため、中子納め装置
を用いる機会が増加している。

この中子納め装置は、主に中子を直接クランプ
する中子クランプ装置と、クランプした中子を所
定位置まで運ぶ移送手段とからなる。

〔考案が解決しようとする課題〕 ところで、中子は通常低強度であるため、中子
クランプ装置のクランプ力が大きすぎると中子を
破損することがある。一方、中子の重量が大きい
場合には、一定以上の力でクランプしないと把持
できない。このため、今まで種々の中子納め装置
が試作、実験されているが、低強度の中子を破損
させることなく、かつ確実に把持する手段が見出
せず実用化に至るものは稀あつた。

特に、近来の鋳造品の軽量かつ高強度化傾向に
伴い、中子が種々の凹凸を有した複雑形状となる
と、それに伴い更に強度が低下するため、既存技
術ではかかる複数形状の中子を確実かつ損傷させ
ることなく把持することは困難な状態にあつた。

このため、複雑形状の中子でも、中子を損傷さ
せることなく確実に把持する中子クランプ装置の
開発が望まれていた。

〔課題を解決するための手段〕

上記課題は、次に述べる本考案の中子クランプ
装置によつて解決される。

即ち、本考案の中子クランプ装置は、中子を把
持して鋳型の所定位置に納める中子クランプ装置
であつて、 前記中子の凹部あるいは凸部に対応する昇降フ
レーム上の位置に、前記凹部内に挿入可能あるい
は前記凸部を囲むように取り付けられたクランプ
本体と、該クランプ本体に対し摺動自在とされた
押圧部材と、該押圧部材を摺動させる昇降手段
と、前記押圧部材と前記クランプ本体の間に挟持
され、前記押圧部材の昇降により押圧されて変形
し、この変形により前記中子に圧着されて該中子
を保持する弾性体とを有することを特徴としてい
る。

〔作用〕

本考案の中子クランプ装置によれば、中子の凹
部や凸部の形状に対応してクランプ本体が形成さ
れ、前記中子との接触は圧縮、変形された弾性体
により行われるため、比較的低強度の前記中子で
も損傷させることはない。また、前記弾性体の変
形量は押圧部材の押圧力を変えることにより容易
に調整することができるため、上記中子を損傷さ
せる程の押圧力を加えることなく、かつ前記中子
を落下させない程度の適度な押圧力を容易に得る
ことができる。

〔実施例〕

次に、第１図は本考案の実施例に係る中子クラ
ンプ装置の正面図、第２図は第１図の−線部
分断面図、第３図は第１図の−線部分断面図
である。

第１図において、１は略矩形の昇降フレームで
あり、図示しないシリンダのロツド２先端に取り
付けられて昇降自在とされる。この昇降フレーム
１の上部フレーム１ａのした面側中央には、第１
のシリンダ３が取り付けられ、この第１のシリン
ダ３のロツド先端には引上板４が取り付けられて
いる。この引上板４の上部にはガイドピン５が立
設されており、上部フレーム１ａの上部に設けら
れた引上板ガイド部材６内に挿入され、昇降時の
ガイドを行う。

また、昇降フレーム１の下部フレーム１ｂに
は、下部に凹部クランパ７と凸部クランパ８が取
り付けられている。この凹部クランパ７と凸部ク
ランパ８は、それぞれ中子９の凹部１０と凸部１
１に対応する位置に設けられている。

凹部クランパ７は第２図に示す構造を有する。
即ち、下部フレーム１ｂに下方を向いて円筒状の
クランプ本体１２が螺着されており、このクラン
プ本体１２の中空部を貫通して押圧部材としての
シヤフト１３が摺動自在に嵌合されている。この
シヤフト１３の一端は、引上板４に螺合された状
態で引上板４を貫通し、ナツト１４により固定さ
れ、他端の先端部１５はクランプ本体１２と略同
じ断面積を有するる円板状とされる。この先端部
１５の周壁にはテーパが設けられ、中子９の凹部
１０に挿入し易い形状とされる。このクランプ本
体１２の下面とシヤフト１３の上面の間には、ゴ
ムからなる断面が円形の環状の弾性体１６が介装
されている。この弾性体１６の大きさは、装着時
において荷重が加わらない状態でシヤフト１３の
先端部１５およびクランプ本体１２の外周面より
外にはみ出ない大きさとされる。

一方、凸部クランパ８は第３図に示す構造を有
する。即ち、下部フレーム１ｂに下方を向いて略
円筒状のクランプ本体１７の先端は内側に張り出
したフランジ部１８を有する。このクランプ本体
１７の内側には、押圧部材としてのカラー１９が
摺動自在に嵌挿されている。このカラー１９は有
底円筒体形状を有し、下部フレーム１ｂを介して
クランプ本体１７の反対側（上部）に取り付けら
れた第２のシリンダ２０のロツド２１先端にその
底部を固定されている。このとき、カラー１９の
内側空間は、中子９の凸部１１が挿入できる大き
さとされる。このカラー１９の先端とクランプ本
体１７のフランジ部１８上面との間には、ゴムか
らなる環状の弾性体２２が介装されている。この
弾性体２２は、装着時荷重が加わらない状態で、
カラー１９の内側にはみ出ない程度の大きさとさ
れる。

次に、第１図の状態から、図示しないシリンダ
を駆動し、昇降フレーム１を中子９に向かつて下
降させる。そして、凹部クランパ７を中子９の凹
部１０に挿入させ、かつ凸部クランパ８で中子９
の凸部１１を囲んだ状態で下降を止める続いて、
第１のシリンダ３を駆動して引上板４を所定距離
上昇させる。すると、弾性体１６はシヤフト１３
の先端部１５とクランプ本体１２の間で押圧さ
れ、変形して横方向（押圧方向と直行する方向）
に張り出す。この張り出した弾性体１６は適度な
力で中子９の凹部１０の壁に圧着され、中子９を
保持する。この引上板４の動きと相前後して、第
２のシリンダ２０が駆動され、ロツド２１が押し
下げられる。この結果、カラー１９はクランプ本
体１７のフランジ部１８の間に介装された弾性体
２２が押圧され、横方向内側に向かつて張り出
す。張り出した弾性体２２は、中子９の凸部１１
の外周面に適度な力で圧着され、凸部１１を保持
する。

しかる後、凹部クランパ７と凸部クランパ８で
中子９を保持したまま、図示しないシリンダによ
り昇降フレーム１を上昇させ、図示しない鋳型
（金型）の所定位置まで搬送し、上記したのと逆
の動作で中子９を鋳型内に納める。

以上より、本実施例の中子クランプ装置によれ
ば、複雑かつ低強度な中子をゴム等の伸縮自在な
材料からなる弾性体で保持するようにしたため、
中子との接触面が軟らかくなり、中子のクランプ
時において中子を損傷することがない。

また、弾性体の変形量は押圧部材による荷重を
変えることにより容易に調整できるため、中子を
適切な力で把持することができ、クランプ力の小
さいことによる中子の脱落あるいはクランプ力が
大き過ぎることによる中子の損傷を防止できる。

更に、凹部クランパや凸部クランパを中子の凹
部や凸部の形状に対応した形状としたため、中子
に保持用の突起や穴を別途設ける必要がない。

尚、本考案は上記実施例に限定されるものでは
なく、実用新案登録請求の範囲内において、種々
の実施態様を含むものである。

〔考案の効果〕

以上より、本考案の中子クランプ装置によれ
ば、以下の効果を奏する。

(イ) 中子が複雑形状を有していても、中子が損傷
しない適切な力で確実に中子を把持することが
できる。

(ロ) 中子を把持するために、中子に特別な突起や
穴を形成しなくても、中子自体が有する凹部や
凸部の特有形状を有効に利用することができる
ため、低コスト化が図れ、かつ汎用性に富む。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の実施例に係る中子クランプ装
置の正面図、第２図は第１図の−線部分断面
図、第３図は第１図の−線部分断面図であ
る。 １…昇降フレーム、１ａ…上部フレーム、１ｂ
…下部フレーム、２…ロツド、３…第１のシリン
ダ、４…引上板、５…ガイドピン、６…引上板ガ
イド部材、７…凹部クランパ、８…凸部クラン
パ、９…中子、１０…中子の凹部、１１…中子の
凸部、１２，１７…クランプ本体、１３…シヤフ
ト（押圧部材）、１４…ナツト、１５…シヤフト
の先端部、１６，２２…弾性体、１８…フランジ
部、１９…カラー（押圧部材）、２０…第２のシ
リンダ、２１…ロツド。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 中子を把持して鋳型の所定位置に納める中子ク
   ランプ装置であつて、 前記中子の凹部あるいは凸部に対応する昇降フ
   レーム上の位置に、前記凹部内に挿入可能あるい
   は前記凸部を囲むように取り付けられたクランプ
   本体と、該クランプ本体に対し摺動自在とされた
   押圧部材と、該押圧部材を摺動させる昇降手段
   と、前記押圧部材と前記クランプ本体の間に挟持
   され、前記押圧部材の昇降により押圧されて変形
   し、この変形により前記中子に圧着されて該中子
   を保持する弾性体とを有することを特徴とする中
   子クランプ装置。