JPH0340306Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、種々の呼吸疾患患者の呼吸補助に用
いられる、異なるタイプの呼吸回路を接続するた
めのアダプターに関するものである。

〔従来の技術〕

酸素などのガスを患者に吸入させる方法には、
大別して密閉式と開放式がある。密閉式は麻酔等
にも用いられる方式で、気管内にチユーブを挿入
し、外部から強制的に陽圧で酸素的呼吸ガスを肺
へ送り込むものである。

一方、開放式は慢性呼吸疾患患者が長期間にわ
たつて酸素供給管の先端部を鼻孔内に挿入して吸
入するもので、その多くは第３図に示したよう
な、酸素供給管１１を２股に分岐させ、その１つ
のチユーブ端１２を、左右の鼻孔に挿入する一対
の鼻孔挿入管１４を有する鼻カニユーラ部１３の
両側に接続した、一般に鼻カニユーラと呼ばれる
呼吸回路が用いられている。

気管内にチユーブを挿入（以下、気管挿管とい
う）強制的に呼吸させる前者の方法は、重症ある
いは急性の患者に対して行われるものであるのに
対して、鼻から酸素を吸入する後者の方法は、患
者自身が自発呼吸の可能な状態の時に用いられる
もので、同じ呼吸の補助を行う方法でも両者は区
別されている。従つて、呼吸回路にしても各々に
独自のものがあり、両方の回路を簡便に接続し、
あるいはつなぎ替えることの出来るアダプターの
ようなものはなかつた。

〔考案が解決しようとする課題〕

しかし、例えば、気管挿管をしている患者で
も、急性期を脱して人工呼吸器から徐々に離脱す
るような時期には、人工呼吸器を使用していない
時に酸素濃縮器等の酸素供給源と気管チユーブを
開放式に接続すれば、自発呼吸により酸素吸入が
可能となる。

また、鼻カニユーラと気管チユーブとを接続で
きれば、鼻カニユーラを用いて在宅酸素療法を行
つている患者が急性憎悪によつて気管挿管を余儀
なくされた場合、気管挿管による気道確保を行な
つた後、さらにその場で酸素吸入を行なうことが
できるので有効であり、さらに、主として開放式
で用いられる陰圧式人工呼吸器の鼻カニユーラ型
呼吸センサーを気管チユーブと接続できることに
よつて、気管挿管をした患者でも呼吸同調させて
陰圧式人工呼吸を行うことができる。

本考案は、上記のような課題を実現するため
に、気管チユーブや、呼吸回路用のＬ型、Ｙ型、
Ｕ型などのアダプター、スパイロメーター等と、
鼻カニユーラ等の酸素供給管とを開放式に接続す
ることのできるアダプターを提供することを目的
としたものである。

〔課題を解決するための手段〕

即ち本考案は、鼻カニユーラの鼻孔挿入部を挿
入し保持するための１対の開口部と、呼気吸気を
大気に開放するための少なくとも１個の開放手段
を有する鼻カニユーラ側アダプター、および気管
チユーブもしくは呼吸回路の補助具を接続するた
めの気管チユーブ側アダプターより構成されてい
ることを特徴とする呼吸回路用アダプターであ
る。

以下、図面により本考案を詳細に説明する。

第１図は本考案によるアダプターの一実施例を
示す図で、第２図は鼻カニユーラ側アダプターの
他の実施例を示す図である。鼻カニユーラ側アダ
プター１は第３図に示すような鼻カニユーラ部１
３の鼻孔挿入管１４を挿入し保持するための鼻カ
ニユーラ用開口部３と、呼気・吸気が自由に出入
りできるように大気に開放するための手段とし
て、開放口４が少なくとも１個設けられている。
この開放手段は、必ずしも第１図のように鼻カニ
ユーラ用開口部３と別個に設ける必要はなく、第
２図のｄ〜ｆに示したように、鼻カニユーラ用開
口部６の形状を楕円形、多角形、星型等にするこ
とにより、鼻カニユーラの鼻孔挿入管１４を挿入
した時に隙間部７を生ずるようにしても良い。

一方、気管チユーブ側アダプター２は、気管チ
ユーブを直接接続するか、もしくは呼吸回路用の
Ｌ型、Ｙ型、Ｕ型などのアダプターや、スパイロ
メーター等の補助具を介して気管チユーブと接続
するためのものである。接続口５は内径15〜32mm
の範囲の円形で、その内径は特に限定されるもの
ではないが、例えば、気管チユーブに直接接続す
る場合には、内径が15mm程度のものが好ましく、
また、この接続口５をISO／TC121による略称
15Fの規格形状（内径15.47±0.04mm、テーパー
１／（40±２））とすればさらに好ましい。また、
各種の呼吸回路用アダプターやスパイロメーター
を介して接続する場合も同様に、略称22F（内径
22.37±0.04mm、テーパー１／（40±１））、30F
（内径30.9±0.05mm、テーパー１／（20±１））、
もしくはそれに類似した寸法、形状とするのが好
ましい。

鼻カニユーラ側アダプター１と気管チユーブ側
アダプター２とは、第１図ｂに示したように嵌
合、接続できるようになつており、接続口５の寸
法、形状の異なるものを適宜選んで組合せて用い
ることも可能である。また、両方のアダプターを
接着剤や溶接などの方法で予め接合一体化してあ
つてもよく、さらには始めから１個の部品として
成形したものであつても何ら差しつかえはない。

本考案のアダプターの材質に関しては、特に限
定を加えないが、比較的計量で、鼻カニユーラの
鼻孔挿入管や気管チユーブ接続補助具とのはめ合
わせの良い、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリウレタン
樹脂等のプラスチツク材料が好ましい。もちろ
ん、アルミニウム合金や、ステンレススチール、
ゴム等も用いることができる。鼻カニユーラの鼻
孔挿入管は比較的軟質の材料で作られることが多
く、また、気管チユーブ側の補助具は硬質もしく
は半硬質の材料であるため、鼻カニユーラ側アダ
プター１は半硬質ないし硬質の材料で製作し、一
方、気管チユーブ側アダプター２は軟質の材料と
すればより好ましい結果が得られる。

〔実施例〕

第１図に示したように、１対の鼻カニユーラ用
開口部３とその中間部に２個の呼気吸気開放口４
を設けた鼻カニユーラ側アダプター１を硬質塩化
ビニル樹脂で製作し、一方、気管チユーブ側アダ
プター２は、接続口５を内径15mmの円形とし軟質
塩化ビニル樹脂で製作した。気管チユーブ側アダ
プター２の接続口５とは反対側の端部を押しつぶ
して長円形状に変形させ、鼻カニユーラ側アダプ
ター１に嵌め込み、両者を接着固定した。

本アダプターを気管切開を行なつた患者の気管
切開口のアダプターに接続し、陰圧式人工呼吸器
の呼吸同調センサーを組込んだ鼻カニユーラを取
り付けて、呼吸に同調させて陰圧式人工呼吸を行
つたところ、鼻カニユーラより100％O₂を２／
minの流速で送りながら良好なる呼吸同調が得ら
れ、効果的な治療を行うことができた。

〔発明の効果〕

本考案の呼吸回路用アダプターを用いると、鼻
カニユーラと、気管チユーブや、Ｌ型、Ｙ型、Ｕ
型などの各種アダプター、スパイロメーター等と
を簡便に接続することが出来、在宅酸素療法を行
なつている場所でも、患者の容体変化に応じて速
やかに気管挿管を行ない気道を確保して、鼻カニ
ユーラを通して気管チユーブに酸素を供給させる
ことができるのみならず、主として、開放式に用
いられる陰圧式人工呼吸器を、気管挿管した患者
に対して呼吸同調させて用いることが可能とな
り、医療産業上極めて有用である。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例となる呼吸回路用ア
ダプターを示す図で、ａは上面図、ｂは側面図、
ｃは下面図である。第２図は鼻カニユーラ側アダ
プターの他の実施例で、第３図は本考案のアダプ
ターを使用する鼻カニユーラを示す図である。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) 鼻カニユーラの鼻孔挿入部を挿入し保持する
   ための１対の開口部と、呼気吸気を大気に開放
   するための少なくとも１個の開放手段を有する
   鼻カニユーラ側アダプター、および気管チユー
   ブもしくは呼吸回路の補助具を接続するための
   気管チユーブ側アダプターより構成されている
   ことを特徴とする呼吸回路用アダプター。 (2) 鼻カニユーラ側アダプターと気管チユーブ側
   アダプターとが一体に形成されていることを特
   徴とする、請求項(1)記載の呼吸回路用アダプタ
   ー。