JPH0337322Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） この考案は、建物の屋上やベランダの周囲壁、
あるいは塀を構成する立壁等の所謂堰壁上に立設
する手摺りの取付装置に関する。

（従来の技術） 従来汎用の手摺りは、屋上やベランダの周囲壁
を構成する堰壁よりも内側位置にコンクリートの
根巻き等を施して立設されていることから、手摺
りの外側にデツドスペースを生じてそれだけ屋上
やベランダの利用スペースが狭くなる欠点があ
り、また手摺りの立設表面には下地モルタル層、
防水被覆層、仕上げモルタル層等の表面被覆層が
形成されているため、上記根巻きしたコンクリー
トの結着力が建物躯体には直接に及んでおらず、
立設強度が不充分であつた。

（考案が解決しようとする問題点） この考案は、上記従来の欠点を解消するために
なされたもので、手摺りを堰壁上に立設すること
により屋上やベランダにおける従来のデツトスペ
ースを解消すると共に、屋内方向幅の異なる堰壁
に対しても容易かつ確実に取付施工でき、充分な
立設強度を付与し得る低コストの取付装置を提供
することを目的としている。

（問題点を解決するための手段） この考案に係る手摺りの取付装置は、上記目的
を達成するために、手摺りの筒形支柱の内面にそ
の長手方向に沿う複数のビスポケツトを設け、鞍
形アンカー金物の上壁部に上記ビスポケツトに対
応する複数のビス挿通孔を設け、張出片部と垂下
片部とからなる略逆Ｌ字状の屋内外で対をなす取
付金具の該張出片部に屋内外方向の長孔を穿設
し、両取付金具をそれぞれ上記アンカー金物の垂
壁部下端面に上記長孔を通してビス止めすると共
に、支柱根本に断面略下向きコ字状の堰壁笠木と
その下面に重合させた上記アンカー金物とを下方
より上記ビス挿通孔を通して上記ビスポケツトに
螺入するビスにて固着一体化し、この一体物のア
ンカー金物を堰壁頂部に跨嵌し、かつ屋内外両取
付金具の垂下片部を堰壁両側面に当接し、両取付
金具の垂下片部を貫通して堰壁に屋内外方向に挿
通した通しボルトにナツトを螺合緊締して手摺り
を立設するようにしたものである。

（実施例） 以下、この考案を図示実施例に基づいて説明す
る。

第１図においては、１は屋上やベランダ等にお
ける軽量発泡コンクリート（ALC）製の堰壁で
あり、その頂部に冠着された堰壁笠木２上に四角
筒形支柱３，３…が所定間隔で立設され、これら
支柱３，３…の各上端が水平にわたされた手摺り
笠木４にＴ字型に連結され、更に支柱３，３間に
下部位置で橋架する横桟５，５…、ならびに手摺
り笠木４と横桟５とに上下両端を支持固定した竪
桟６，６…が配されている。

第２図は上記手摺りの取付けに使用されるアン
カー金物７と屋内外一対の取付金具８，８を示
す。このアンカー金物７は、アルミニウムまたは
その合金製ダイカストからなる肉厚成形物であ
り、上面が屋内側に低く緩傾斜した上壁部７ａ
と、外面が下方ほど外側に突出する傾斜面となつ
た屋内外両垂壁部７ｂ，７ｃとから鞍形に構成さ
れている。しかして上壁部７ａの下面中央には両
壁部７ｂ，７ｃと平行方向に連続する溝形のビス
止め用凹所９ａが形成され、この凹所９ａ位置に
おいて表裏面に透孔する複数のビス挿通孔１０が
円周方向に等配する形で穿設されている。また両
垂壁部７ｂ，７ｃの内面側にはそれぞれ上記凹所
９ａと平行な溝形の凹所９ｂが形成され、各凹所
９ｂの下面と垂壁部７ｂ，７ｃ外側に高く緩傾斜
した下端面との間に透通するビス孔１１（第３図
参照）が設けてある。

一方、各取付金具８は、鉄やステンレス鋼ある
いはアルミニウム等の軽合金にて製作されたもの
で、アンカー金物７の両垂壁部７ｂ，７ｃの下端
面に対応する傾斜状の張出片部８ａと垂下片部８
ｂとから略Ｌ字状に形成されている。しかして張
出片部８ａにはアンカー金物７のビス孔１１と対
応する位置に屋内外方向の長孔１２ａ，１２ａが
穿設されており、また垂下片部８ｂには上下方向
の長孔１２ｂ，１２ｂが穿設されている。

堰壁笠木２は、第３図で示すようにアルミニウ
ムまたはその合金の押出型材等で形成した断面略
下向きコ字状の長尺板材からなり、外側垂壁部２
ｃを内側垂壁部２ｂより高くして天板部２ａを屋
内側が低くなるように緩傾斜させて水切り性を付
与している。しかしてこの天板部２ａの傾斜度合
はアンカー金物７の上壁部７ａの上面のそれと合
致するように設定してある。また、両壁垂部２
ｂ，２ｃの下端部内側に下向きに曲折する略Ｌ字
状リブ２ｄ，２ｄが突設され、各リブ２ｄ，２ｄ
と垂壁部２ｂ，２ｃの下端との間で下向きに開放
した溝２ｅが構成されている。更に支柱３は、同
様にアルミニウムまたはその合金の押出型材より
形成されており、その内面に第５図で示す如く長
手方向に沿う複数のビスポケツト３ａ，３ａ…が
設けてある。これら各ビスポケツト３ａはアンカ
ー金物７の各ビス挿通孔１０と対応するように設
定されている。

手摺りを立設するには、第３図で示すように、
堰壁１の要所に屋内方向のボルト挿通孔１３を穿
設する。しかしてアンカー金物７の両垂壁部７
ｃ，７ｃの各下端面に取付金具８の張出片部８ａ
を対向位置し、その長孔１２ａを通して下方から
ビス１４をビス孔１１に緩めて螺合する。これに
より取付金具８，８は長孔１２ａ，１２ａの範囲
で屋内外方向移動可能にアンカー金物７に吊持さ
れる。次に支柱３の根本に堰壁笠木２をパツキン
グ材１５を介して当接し、かつその内側にアンカ
ー金物７を重合し、下方よりビス１６を挿通孔１
０を通して支柱３のビスポケツト３ａにねじ込む
ことにより、支柱３と堰壁笠木２と取付金具８，
８を吊持したアンカー金物７とを固着一体化す
る。しかして、第４図で示すようにこの一体物の
アンカー金物７を堰壁１の頂部に跨嵌し、両取付
金具８，８の垂下片部８ｂをそれぞれ堰壁１の屋
内外両側面に当接してビス１４を緊締すると共
に、両垂下片部８ｂ，８ｂの長孔１２ｂ，１２ｂ
を通して堰壁１のボルト挿通孔１３に通しボルト
１７ａを貫通し、その両端にナツト１７ｂ，１７
ｂを螺合緊締する。かくして上記一体物の取付け
を行つた後、堰壁笠木２の両垂壁部２ｂ，２ｃの
各下端にはアルミニウムまたはその合金の押出型
材からなる水密材保持具１８を溝２ｅにビス１９
をねじ込んで固定し、該保持具１８先端の断面略
コ字状枠部１８ａに嵌着したゴム等からなる水密
材２０によつて堰壁笠木２の両垂壁部２ｂ，２ｃ
の下端と堰壁１の両側面との間を水密封止する。
また、手摺り笠木４と支柱３との連結は、支柱３
の上端部と手摺り笠木４の底板４ａとを下部と同
様に支柱３の各ビスポケツト３ａにビス１６を螺
入して固着し、更に底板４ａに断面略逆Ｕ字状の
上板４ｂを係嵌して行われる。

尚、２１ａは堰壁１の頂面より屋内側面にわた
り固着された補強用アングル材、２１ｂはこれよ
り屋外側の頂面に固着された補強用平板、２２は
堰壁１の屋内側に貼着された防水シート、２３は
その屋内側に設けられた仕上げモルタル層であ
る。

尚、この考案は、堰壁１が軽量発泡コンクリー
ト（ALC）以外に鉄筋コンクリートや鉄骨等の
他の材質からなる場合にも適用可能であるが、軽
量発泡コンクリートは他の材質に比較して強度的
に弱いことから特にこの考案は取付装置の適用効
果が大きい。更にアンカー金物７としてはアルミ
ニウムまたはその合金製ダイカストにて形成する
ことにより、肉厚のものが容易に得られ、取付金
具８，８の取付けが容易となる利点がある。

（考案特有の効果） この考案に係る取付装置によれば、手摺りを堰
壁上に直接に立設できるので、従来の如く手摺り
の外周部にデツトスペースを最大限に広くとるこ
とが可能となり、堰壁笠木の取付けと手摺りの立
設とを同時に行うので作業手数が従来に比較して
大きく低減され、しかも両側取付金具が長孔を介
してアンカー金物にビス止めされる構造であるか
ら、上記長孔の範囲で屋内外方向幅の異なる堰壁
に対して同一構成の取付装置を共用できる。更に
この考案の取付装置は、構造簡単で材料コストが
低く、かつ取付施工が容易であり、しかも強度的
に弱い軽量発泡コンクリートからなる堰壁に対し
ても強固に手摺りを立設できる利点がある。

【図面の簡単な説明】

図面はこの考案の実施例を示すもので、第１図
は手摺りの外観斜視図、第２図はアンカー金物と
取付金具の斜視図、第３図は手摺りの取付操作を
示す縦断面図、第４図は手摺りの取付状態の縦断
面図、第５図は第４図のＶ−Ｖ線の断面図であ
る。 １…堰壁、２…堰壁笠木、３…手摺り支柱、３
ａ…ビスポケツト、４…手摺り笠木、７…アンカ
ー金物、７ａ…上壁部、７ｂ，７ｃ…垂壁部、８
…取付金具、８ａ…張出片部、８ｂ…垂下片部、
１０…ビス挿通孔、１１…ビス孔、１２ａ…長
孔、１４…ビス、１６…ビス、１７ａ…通しボル
ト、１７ｂ…ナツト。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 １ 手摺り笠木と支柱とをＴ字型に連結した手摺
   りを堰壁上に立設する取付装置において、張出
   片部と垂下片部とからなる略逆Ｌ字状の屋内外
   で対をなす取付金具の該張出片部に屋内外方向
   の長孔を穿設し、両取付金具をそれぞれ鞍形ア
   ンカー金物の垂壁部下端面に上記長孔を通して
   ビス止めすると共に、支柱と断面略下向きコ字
   状の堰壁笠木とその下面に重合させた上記アン
   カー金物とをビスによつて一体的に固着し、か
   つ堰壁両側面に当接する屋内外両取付金具の垂
   下片部を貫通して堰壁に屋内方向に挿通した通
   しボルト及びこれに螺合するナツトによつて上
   記両垂下片部を堰壁に固締し手摺りを立設した
   ことを特徴とする手摺りの取付装置。 ２ アンカー金物がアルミニウムまたはその合金
   製ダイカストからなる肉厚成形物である実用新
   案登録請求の範囲第１項記載の手摺りの取付装
   置。 ３ 堰壁が軽量発泡コンクリートからなる実用新
   案登録請求の範囲第１項または第２項記載の手
   摺りの取付装置。