JPH03356Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、自動成形機における離型装置、詳し
くは主として射出成形金型において用いられる成
形品を金型より取り出すための離型装置に関する
ものである。

〔従来の技術〕

プラスチツクの射出成形では、シリンダ中で加
熱流動化されたプラスチツク材料を高圧により金
型内に射出し、その中で冷却固化し、または硬化
させ、次いで金型を開いて成形品を取り出すこと
が行われている。

この操作は型締め、プラスチツク材料の射
出、保圧、冷却、型開き、成形品の取出
しからなるサイクルの繰り返しによつて行われ
る。

このような射出成形においては、成形品の品質
が良好であることは勿論のこと、生産性を向上す
ること、具体的には上記１サイクルに要する時間
を短縮することが極めて重要である。

〔考案が解決しようとする問題点〕

しかしながら、従来の射出成形機にあつては、
前記成形品の取出工程に無駄な時間を要し、サイ
クルタイムの短縮は容易でなかつた。

すなわち、従来の射出成形機では、可動側ダイ
プレートに可動側取付板を設けると共に、これら
ダイプレートと取付板にエジエクタロツドの突出
用のロツド孔を連通形成してあり、前記成形品の
取出工程においては、エジエクタピンを突設した
エジエクタプレートをエジエクタロツドの前進に
よつて固定側型板に向けて移動させることにより
エジエクタピンを受け板から突出させて成形品の
離型を行う構造になつている。

そして、前記エジエクタプレートの後面は、可
動側取付板への固定の便宜を考慮して平面状に形
成してあるうえ、エジエクタロツドの先端面は、
エジエクタロツドの往復動装置の構造の都合でそ
の後退限にあるときに可動側ダイプレートの前面
（可動側取付板と接触する側の面）とほぼ同じ位
置にあるか、又はこれよりもわずかに後退した位
置にあるように設定されているのが一般である。
このため、前記後退限においてエジエクタロツド
の先端面とエジエクタプレートの後面との間隔は
可動側取付板の厚みとほぼ等しいか、又はこれよ
りもわずかに長い値になつている。

ところが、前記成形品の取出工程におけるエジ
エクタピンの前記受け板からの所要突出長さは、
成形品の厚みにより相異はあるものの前記間隔に
比べてはるかに小さくて済む場合が少なくない。
例えば成形品が薄肉で前記所要突出長さが1.5〜
３mmで足りるものであつてもエジエクタロツドを
30〜50mm程度前進させる必要があり、エジエクタ
ロツドの往復動のために無駄な時間がサイクル毎
に消費される問題があつた。また、サイクルタイ
ムの短縮のためにエジエクタロツドの前進動を早
くすると成形品に損傷を与えその品質低下を来す
ことが多く、生産性向上のためサイクルタイムを
短縮することは容易でなかつた。

本考案は、この従来の問題を除去しようとする
もので、その目的は、成形品を金型から突き出し
て離型する際にエジエクタロツドを迅速にエジエ
クタプレートに当接させサイクルタイムの大幅な
縮減が可能な離型装置を、構成簡単かつ経済的に
提供することにある。

〔考案の構成〕

本考案は、ダイプレート間に取付板を介して配
備された成形金型を持ち、該成形金型でつくられ
た成形体を該成形金型より取り出す機構としてエ
ジエクタプレートに設けたエジエクタピンと、突
出操作用のエジエクタロツドとを備えた自動成形
機において、前記成形金型の取付板に形成された
前記エジエクタロツド挿入用の貫通孔に嵌挿され
る駒部材を、前記エジエクタプレートに配備した
ことを特徴とする自動成形機における離型装置で
ある。

〔実施例〕

本考案の一実施例を第１図及び第２図に基づい
て説明する。

第１図は射出成形機用の成形金型を示すもの
で、キヤビテイ１を形成した固定側型板２は固定
側取付板３を介して固定側ダイプレート４に取り
付けられている。受け板５は、スペーサブロツク
６及び可動側取付板７を介して可動側ダイプレー
ト８に取り付けられている。

前記受け板５と可動側取付板７との間には前記
スペーサブロツク６によつて包囲される区画室９
が形成され、この区画室９には互いに着脱可能と
された上部エジエクタプレート１０₁と下部エジ
エクタプレート１０₂の組み合わせからなるエジ
エクタプレート１０が配備されている。

このエジエクタプレート１０には成形品を突き
出すためのエジエクタピン１１と、型締め時にエ
ジエクタプレート１０を可動側取付板７に密着さ
せるためのリターンピン１２が、受け板５に形成
した貫通孔に挿入した状態で設けられている。

前記可動側取付板７及び可動側ダイプレート８
には貫通孔１３，１４がそれぞれ形成され、これ
ら両貫通孔はエジエクタロツド１５の往復動用の
ロツド孔となつている。

しかして、前記下部エジエクタプレート１０₂
の裏面側には駒部材１０′が突設されているが、
この駒部材１０′は型締め時に於いて前記貫通孔
１３に挿入され、かつその先端部が貫通孔１４に
は達しないものとなつている。

なお、図中１６はスプルー、１７はロケートリ
ング、１８は位置決め用のガイドピンである。

次に、この実施例の作用について説明すると、 第１図の状態に型締めされた金型のキヤビテイ１
にスプルー１６を介してプラスチツク材料が射出
され成形されたのち、通常の順序で保圧、冷却及
び型開きが行われ、次いで成形品の取出しが行わ
れるわけであるが、この取出工程においては、そ
れまで第１図に示す位置にあつたエジエクタロツ
ド１５が往復動装置（図示せず）の作動により前
進し、その先端面が前記エジエクタプレート１０
に突設した駒部材１０′に当接する。これによつ
てエジエクタピン１１及びリターンピン１２が同
時に固定側型板２に向かつて突き出され、第２図
に示す状態で成形品Ｐが離型される。

前記エジエクタロツド１５の前進直前の時点に
おいて、その先端面は可動側ダイプレート８の前
面とほぼ同一位置にあり、しかも駒部材１０′が
可動側取付板７に形成した貫通孔１３に挿入され
ているので、エジエクタロツド１５をごくわずか
前進するだけで駒部材１０′したがつてエジエク
タプレート１０に当接させることができ、この結
果、前記突出し操作におけるエジエクタロツドの
前進距離したがつてストロークを、従来装置に比
べて大幅に短縮することができる。

前記駒部材１０′は、エジエクタプレート１０
が上下２枚のプレートからなるものであるときは
第１図例のように下部エジエクタプレート１０₂
に設けるのが便利であり、その形状や厚みは可動
側取付板７の厚みや、これに形成した貫通孔１３
の深さに応じて適宜なものに設定することが好ま
しい。

本考案は、第３図に示すように深底の容器を成
形するための金型についても適用できるが、エジ
エクタロツドのストローク短縮のためには、可動
側取付板７の厚みをできるだけ薄くすると共に、
これに形成される貫通孔に前記駒部材が位置する
ように構成するのが合理的である。

〔考案の効果〕

本考案の離型装置は、簡単な構成によりエジエ
クタロツドのストロークが短縮でき、したがつて
成形のサイクルタイムの短縮が可能となり、成形
品の品質を低下させることなく、しかもエジエク
タロツドの往復動速度を従来と同一に設定しても
生産能力の増大を達成できる効果がある。

【図面の簡単な説明】

第１図及び第２図は本考案の実施例の断面図で
あつて第１図はエジエクタロツドが後退限にある
ときの状態を、第２図は成形品の突出し時の状態
をそれぞれ示すものである。第３図は別の実施例
の概略断面図である。 １……キヤビテイ、２……固定側型板、３……
固定側取付板、４……固定側ダイプレート、５…
…受け板、６……スペーサブロツク、７……可動
側取付板、８……可動側ダイプレート、９……区
画室、１０……エジエクタプレート、１０₁……
上部エジエクタプレート、１０₂……下部エジエ
クタプレート、１０′……駒部材、１１……エジ
エクタピン、１２……リターンピン、１３，１４
……貫通孔、１５……エジエクタロツド、１６…
…スプルー、１７……ロケートリング、１８……
ガイドピン。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 １ ダイプレート間に取付板を介して配備された
   成形金型を持ち、該成形金型でつくられた成形
   体を該成形金型より取り出す機構として離型用
   のエジエクタピンと突出操作用のエジエクタロ
   ツドとを備えた自動成形機において、 前記成形金型の取付板に形成される前記エジ
   エクタロツド挿入用の貫通孔に嵌挿される駒部
   材を、前記エジエクタピンを設けたエジエクタ
   プレートに配備したことを特徴とする自動成形
   機における離型装置。 ２ 前記駒部材の厚さが、前記貫通孔の長さより
   短いものである実用新案登録請求の範囲第１項
   記載の離型装置。