JPH0331445B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 この発明は、コーヒー抽出器によりコーヒー抽
出液を製造する装置、特には、コーヒー粉末が投
入される室（以下、抽出室という）に熱湯を導く
手段と、この熱湯をコーヒー粉末に通過させて得
られる抽出液を取り出す手段とを具える自動式の
コーヒー抽出器に関するものである。

それら手段は、それぞれ抽出室の上下に配設さ
れてピストンの側壁及び抽出室の間に形成される
環状のポートと、このピストンの底壁に形成され
た穴内及びこの穴内を摺動する円筒状の閉止要素
との間に形成される環状のポートとを具える。

ピストン及びフイルターデイスクと呼ばれるデ
イスクに形成されるそれら環状のポートは、コー
ヒー粉末から適正な抽出液を得るために最適と考
えられる通過領域を構成する。

多数のコーヒーを短時間の内で抽出する一方、
長期に亙り使用されることがないコーヒー抽出
器、特に自動式の抽出器の普及は、使用者による
通例の対応でなく、専門的な熟練者による機器の
段取り及び維持という重要な問題を惹起している
ことが知られている。

このような維持を行う上で細心の注意を必要と
する点の一つは、抽出されるコーヒー飲料の品質
を常に一定に維持すべく製造された最適な条件を
含めて、その作動条件を常に一定に維持すること
である。

通例のコーヒー抽出器は、十分の数ミリメータ
の直径とした複数の***が形成されたフイルター
を具えるが、そのような抽出用フイルターを自動
式抽出器に用いた場合には、水に含まれる塩類、
コーヒーそれ自身に含まれる硬い又はタール状の
物質、更にはコーヒーから誘導された物質が付着
することにより目詰まりする傾向にある。

同様に、コーヒー粉末が投入された抽出室に熱
湯を導く導入穴の内径は、孔のリムに沿つて形成
されるカルシウム質のよごれと、コーヒーを構成
する物質から誘導されるタール状の物質とにより
減少する。このような付着物は、従来のどんなコ
ーヒー抽出器においても見られるものであり、抽
出器の使用により常に形成されるものである。

コーヒー抽出器を新たに据付け、又は新たに製
造した時に、最初の中は、良好なコーヒー飲料を
製造することができないばかりでなく、熱湯がコ
ーヒー粉末を極めて速い速度で通過してしまうの
で、充分にコーヒー粉末を抽出していないコーヒ
ー飲料となる。このことは、熱湯を供給すると穴
と抽出液を濾過する穴とは、でき得る限り大きな
寸法に形成されており、当初その径は未だ小さく
なつていないからである。

抽出器の使用に伴い、穴の通過寸法がいくつか
の付着物により徐々に減少し、フイルターの穴が
最適な寸法となり、熱湯とコーヒー粉末との接触
時間が適切なものとなつて初めて実質的にコーヒ
ー粉末を使用し得るので、その場合には、極めて
良好な品質のコーヒー飲料が得られる。

抽出器を使用し続けると、フイルターの穴の寸
法が漸次減少するので、抽出液が通過するその領
域の総和が減少することとなり、直接的な結果と
して、特にクリームなしでは賞味し得ない劣悪な
コーヒーとなつてしまう。

この時点においては、フイルターの交換と熱湯
の供給路の清掃が必要となるが、コーヒー抽出器
が、例えば、工場、事務所、家庭などに互いに離
れて配置される、通例、自動式のものでないとし
ても、かなりの時間の損失であり、また、種々の
機械が置かれた場所に出向き、損傷した部品を交
換することは非常に煩わしいことである。その一
方で、多くの要素により定まるフイルター交換時
期を確定することも極めて困難なことであつて、
ビルや工場などに据付けられた自動式コーヒー抽
出器では、熱湯が必要以上に流れて劣悪のコーヒ
ーが製造される初期から、これとは逆に熱湯が殆
ど流れることがない終期までの間の短い時間だ
け、適正に作動することとなる。

この発明は、上述した問題を全て解決し、熱湯
の供給表面とコーヒー抽出液の濾過表面とを、抽
出器の使用開始時期から半永久的に、製造者が意
図した最適状態に維持し得る装置であつて、コー
ヒー抽出器の使用により、常にそれら表面を自動
的に維持し、適正に作動させるための保守を不要
としたものである。この発明装置によれば、コー
ヒー粉末が投入される一定直径の円筒状をした抽
出室と、この抽出室に挿入されたコーヒー粉末を
所望の圧縮状態まで圧縮するピストンを具える。
圧縮されたコーヒー粉末への加圧された熱湯の供
給は、コーヒー粉末を圧縮するピストンの側壁及
び抽出室の側壁の間に形成される環状のポート
と、このピストンの底部に設けた穴及びこの穴内
を摺動する閉止要素の間に形成されるポートとを
経て行われる。コーヒー粉末の下に、中央穴が設
けられフイルターとして機能するフイルターデイ
スクを配設し、この中央穴内を摺動する閉止素子
との間に環状と空間を形成すると共に、フイルタ
ーデイスクの外径を抽出室の内径より小さくし、
フイルターデイスクと抽出室との間の環状の空間
及び中央穴と閉止素子との間の環状の空間を開口
させて、コーヒー抽出液の通過を許容し、それら
環状空間が、所望のコーヒー抽出液を得るに必要
な最適な領域とほぼ等価な領域を有し、フイルタ
ーデイスクを、コーヒー抽出の終期にて、抽出済
のコーヒー粉末を排出し得るよう、軸線方向に持
ち上げ可能とする。このフイルターデイスクの軸
線方向上方への運動は、フイルターデイスクに形
成した中央穴内の閉止素子の摺動運動を伴つて、
中央穴の壁と抽出室の壁との間でそれら壁面を清
掃する摺動運動を生起する一方、下降復帰して新
しいコーヒー粉末の投入を許容し、コーヒーの抽
出操作を繰り換し可能とする。

ピストン内の閉止素子は、供給される水の圧力
が所定の値となつたときその圧力により開放され
る逆止弁とし、更に、ピストンと抽出室との間の
環状の空間、ピストンに形成された穴と閉止素子
との間の空間、フイルターデイスクと抽出室との
間の環状の空間、そして、フイルターデイスクの
中央穴と閉止素子との環状の空間の寸法を、使用
するコーヒー粉末の極めて細かな粉末を除く平均
粒度を有するコーヒー粉末の抽出液内への通過を
阻止し得る寸法とし、抽出室の内径および／又は
ピストンの外径および／又は穴そして対応するフ
イルターデイスクの閉止阻止の直径を変更するこ
とにより、抽出液の透過領域の総和を、所望のコ
ーヒー抽出液を得るに必要な最適な領域にほぼ等
しい値とする。作動に際し、加圧された熱湯を抽
出室に導くと、コーヒー粉末がピストンの軸線方
向の運動により圧縮されているので、熱湯はピス
トンの全表面に沿つて抽出され、圧縮されたコー
ヒー粉末の固まり内に流れ込み、その固まりを経
てデイスクと抽出室の壁面との間の環状の空間を
経てデイスクの中央部に流れ、抽出液として出口
穴から流れ出る。抽出の終期においては、コーヒ
ー粉末を圧縮したピストン、即ち、熱湯の供給部
を抜き取る一方、抽出後の残存するコーヒー粉末
の固まりを取り除くべく、フイルターデイスクを
持ち上げる。このフイルターデイスクの持ち上げ
運動により、デイスクそれ自身とコーヒー粉末の
固まりとが抽出室の壁面を清掃することになる。
中央穴に協働して中央のポートを区画する閉止素
子はピンの上昇を規制し、デイスクに関して規制
された摺動運動をもたらし、環状をした空間の壁
面を清潔に保つこととなる。また、作動位置への
デイスクの反転運動の間、抽出室の壁、デイスク
それ自身及び中央の環状をしたポートの壁、即ち
コーヒー抽出液の通路を更に清潔なものとする。
上述した特徴及びその他の特徴は、この発明を自
動式コーヒー抽出器に適用した実施例により、更
に詳細に説明する。

以下、この発明を図示例に基づいて説明する。

第１図及び第３図に示したように、コーヒー製
造ユニツトは、抽出室と呼ばれる円筒状の室２を
有する本体１を具え、その室２には、ダクト５を
経て既知の方法で送られる加圧された熱湯の供給
ユニツト４を有するピストン３が挿入される。加
圧された熱湯はピストン内部の室５ａに達し、軽
量ネツク６を通過して小室７に流入する。この小
室７は、ピストン３の側壁に開口するダクト８
と、ピストン３の底壁に開口する円形断面をした
穴９とを具える。ダクト８と穴９は、スプリング
１１により付勢された逆止弁１０により、小室７
に対して閉止される。

穴９と弁１０からなる閉止要素の下端との間に
位置するポート１２は開放空間である。シール部
材４ａによりシールされたピストン３と円筒状の
本体１との間の空間はダクト８に連通してポート
１３を構成する。これらポート１２及び１３の寸
法は、通例使用される粒度のコーヒー粉末が、ピ
ストン３内に入らない程度の大きさとする。

第１図及び第３図にあつては、コーヒー粉末を
フイルターデイスクと呼ばれるデイスク１５上に
配置し、ピストン３により、コーヒー粉末が所望
の固く締まつた状態になるまで圧縮する。

デイスク１５は中央穴１６が設けられた堅固な
ものであつて、この中央穴内をピン１８の端部に
設けられ閉止素子１７が摺動する。中央穴１６と
閉止素子１７との間には、ダクト１６ａを介して
デイスク１５の背面に連通する空間が存在する。
この発明によれば、デイスク１５の外径は抽出室
２の直径より小さく、閉止素子１７は中央穴１６
の直径より小さな外径を有し、それらの値は、流
体の通過を許容するそれぞれの開口領域が、全体
として最適にコーヒー飲料を得るのに必要とされ
る領域に対応する。

既述したそれぞれの空間は、コーヒー粉末の所
定の最小粒度より小さいものでなければならな
い。

第２図は、第１図に示した装置がコーヒー粉末
の固まり１４ａを排出する様子を示しており、同
一の構成要素には同一の符号を付して示す。デイ
スク１５は、本体１を構成するブロツク底部内側
の支持部１９内を摺動するピン１８により支持さ
れ、一方、支持部は適当なシール部材２０を具
え、また、当該デイスク１５は既知の手段、例え
ばカム２１などを介して持ち上げることができ
る。スプリング２２は、抽出済みのコーヒー粉末
の固まり１４ａを排出した後に、デイスク１５を
初期位置に復帰させる。

第２図において、コーヒー粉末を圧縮したピス
トン３は本体１から完全に引き出され、デイスク
１５はカム２１により本体１の上側出口まで引上
げられる。

抽出済のコーヒー粉末の固まり１４ａが本体の
上側出口にあれば、言及しない方法で取り除くこ
とができる。

そして、本発明装置の作用に付いて説明すれば
次のようになる。

先ず、コーヒー粉末１４を抽出用の室２に入れ
てピストン３を押し下げて、そのコーヒー粉末が
所望の状態になるまでピストン３の下端面とデイ
スク１５との間で圧縮し、ダクト５を介し加圧さ
れた熱湯を供給すると、熱湯は、スプリング１１
により押圧される逆止弁１０の作用に抗して計量
ネツク６を通過し、更に、側方に開口するダクト
８、ポート１３及び１２を通過して、下方のコー
ヒー粉末上に分散して供給される。コーヒーの抽
出液が一部得られた場合に、加圧された熱湯は、
デイスク１５と室２との間の環状の空間と、中央
穴１６と閉止素子１７との間の環状の空間とを通
過したことになるが、流入部分が大きいことから
ある程度の抵抗を示し、設計者が意図したような
通路領域の寸法配置により、適当に漸次に抽出が
行われることになる。

第２図は、コーヒー抽出液の流出に続きデイス
ク１５が、カム２１により持ち上げられた状態を
示しており、また、コーヒー粉末の固まり１４ａ
を排出し得る状態を示す。このデイスク１５の軸
線方向への運動に際し、圧縮されたコーヒー粉末
の固まり１４ａは上方に押し上げられ、抽出室２
の内壁の汚れや炭酸カルシウム付着物を除去し内
壁を清掃する。それゆえ、コーヒー粉末又は水に
よりもたらされる粘着性の汚れや付着物により損
傷を受けるおそれのある部品を、コーヒー飲料を
製造する毎に自動的に清掃し得るので、コーヒー
飲料の品質を一定に維持することができる。

以上、説明しまた図示したコーヒー製造装置、
特に抽出装置及びフイルターを必要とする装置に
関し、本発明の特許請求の範囲内で種々の変更が
可能である。特に、加圧水の供給システムと同様
にユニツト本体の配置を、本発明の範囲内で変更
することができる。例えば、ダクト５からユニツ
ト４に供給する水を加圧せず、弁を具える摺動ピ
ストンを既知の方法でユニツト内に設けて、ダク
ト５を経て供給された水を所望する圧力まで加圧
しても良い。また供給水を既知の方法でユニツト
外方で所望圧力まで加圧し、抽出を行う際に、既
知の方法でユニツトに供給しても良い。

【図面の簡単な説明】

第１図は、コーヒー飲料を製造する抽出ユニツ
トを、その作動状態にて示す部分断面図、第２図
は、抽出を終了したコーヒー粉末の固まりを排出
する様子を示す抽出ユニツトの説明図、そして第
３図は、ピストン端部及びフイルターデイスクを
具える第１図に示す抽出ユニツトの一部拡大断面
図である。 １……本体、２，５ａ……室、３……ピスト
ン、４……供給ユニツト、５，８，１６ａ……ダ
クト、６……計量ネツク、７……小室、９……
穴、１０……逆止弁、１１，２１……スプリン
グ、１２，１３……ポート、１４……コーヒー粉
末、１５……フイルターデイスク、１６……中央
穴、１７……閉止素子、１９……支持部、２０…
…シール部材、２１……カム。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 自動式コーヒー抽出器の水を供給してコーヒ
   ー抽出液を濾過する装置であつて、 加圧された熱湯を、コーヒー粉末を圧縮するピ
   ストン３の側面及び抽出室２の側面の間に形成さ
   れる環状のポート１３と、前記ピストンの底壁に
   設けた穴９及びこの穴内を摺動する円筒状の閉止
   要素１０の間に形成されるポート１２とを通過さ
   せて、圧縮したコーヒー粉末に供給し、コーヒー
   粉末の下に配設されフイルターとして機能するフ
   イルターデイスク１５に設けた中央穴１６と中央
   穴内を摺動する閉止素子１７との間に環状の空間
   を形成すると共に、フイルターデイスクの外径を
   抽出室の内径より小さくし、フイルターデイスク
   と抽出室との間の環状の空間及び中央穴と閉止素
   子との間の環状の空間を開口させて、コーヒー抽
   出液の通過を許容し、それら環状空間が、所望の
   コーヒー抽出液を得るに必要な最適な領域とほぼ
   等価な領域を有し、前記フイルターデイスクは、
   コーヒー抽出の終期における抽出済のコーヒー粉
   末を排出するよう軸線方向に持ち上げ可能であつ
   て、このフイルターデイスクの軸線方向上方への
   運動は、フイルターデイスクに設けた前記中央穴
   内の前記閉止素子の摺動運動を伴つて、前記中央
   穴の壁と前記抽出室の壁との間でそれら壁面を清
   掃する摺動運動を生起する一方、下降復帰して新
   しコーヒー粉末の投入を許容し、抽出操作を繰り
   返し可能としたことを特徴とするコーヒー抽出器
   の水供給及びフイルター装置。 ２ 前記ピストン内の前記閉止素子を、供給され
   る水の圧力が所定の値となつたときその圧力によ
   り開放される逆止弁とした特許請求の範囲第１項
   記載のコーヒー抽出器の水供給及びフイルター装
   置。 ３ ピストンと抽出室との間の環状の空間、ピス
   トンに形成された穴と閉止素子との間の空間、フ
   イルターデイスクと抽出室との間の環状の空間、
   そして、フイルターデイスクの中央穴と閉止素子
   との環状の空間の各最大寸法を、使用コーヒー粉
   末の極めて細かな粉末を除く平均粒度を有するコ
   ーヒー粉末の抽出液内への通過を阻止し得る寸法
   とし、抽出室の内径および／又はピストンの外径
   および／又は前記穴そして対応するフイルターデ
   イスクの閉止素子の直径を変更することにより、
   抽出液の通過領域の総和を所望のコーヒー抽出液
   を得るに必要な最適な領域とほぼ等価な領域とし
   た特許請求の範囲第１項又は第２項に記載のコー
   ヒー抽出器の水供給及びフイルター装置。