JPH0322282B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） この発明は、製品のある一面に露出した砂利、
粗粒砂が、セメントと砂からなるモルタル分よ
り、やゝ突出しているため粗面となつたコンクリ
ート製品の製法に関する。

（従来の技術） 従来、コンクリートに粗面を作る方法として一
般に行われているのは、流込み成形型枠の底にセ
メントの凝固を遅らす遅延剤を敷き、その上に化
粧砂利入りコンクリート材、その上に通常のコン
クリート材を投入後、適宜、養生して硬化させ、
型枠を開いて脱型したら、上記遅延剤の滲透によ
り凝固しなかつた表層モルタル分（セメントと
砂）を水とブラシで洗い流す通称、洗出し法であ
る。

遅延剤を直接、型枠の底に敷く代りに、遅延剤
を塗布したシートを敷く方法も発表されている。

（発明が解決しようとする問題点） この発明は、上の洗出し法などの高低差を要し
ない粗面コンクリート製品を、従来の面到な硬化
遅延処理なしで、即時脱型方式により量産する新
しい製法を開発したものである。

（問題点を解決するための手段） この発明は、硬練のコンクリートを即時脱型式
成形装置の上下反転可能な型枠に詰め、その詰め
たコンクリートの上面に、除去したいモルタル分
の深さまで、ほゞ均一に滲透するよう、酸又は凝
固遅延剤入りの水を吹付け又は、撒布し、その上
にすぐ、コンクリート上面を覆う面パレツトを伏
せ、反転脱型により、面パレツトに載つた成形コ
ンクリートを取出し、これを養生後、該面パレツ
トを剥離して、凝固していない上記上層モルタル
分を成形コンクリート表面から除く事を特徴とす
る粗面コンクリート製品の製法である。

（作用） この発明も、コンクリート表層モルタル分の硬
化を遅らせる基本原理は従来と変りない。しか
し、その方法は大きく変つた、即ち適用対象がか
つて全く考えられなかつた反転即時脱型式成形装
置の面パレツトが当るコンクリート表面である
事、凝固遅延剤の主材を水とし、これを型枠の底
に敷くのではなく、成形ずみコンクリート表面に
吹付け又は撒布する事、その水を与えた面に直ち
に面パレツトを伏せて反転し、水を含んだ表層セ
メント、細粒砂をその面パレツトに受けて養生
後、面パレツトを剥離して表層モルタル分を脱落
させる事等、この発明はコンクリート粗面作り
に、新しい技法を導入した。

型枠に詰めた硬練コンクリートは、通常、振動
と加圧により、ほゞ均質になつており、型枠のコ
ンクリート投入口に現れたコンクリート上面はプ
レス板により平滑になつている。その上面に撤か
れた水は、深さ数mm、つまり、除去したいモルタ
ル分の厚みだけ滲透して、これに流動性を与え
る。流動性を得たモルタル分が重力で沈降する前
に、面パレツトを当て反転脱型するから、モルタ
ル分は面パレツト内面に受止められる。この状態
で養生し、適当に硬化した時、従来通り面パレツ
トを剥離すると、その内面の、凝固遅延剤により
硬化し得なかつたモルタル分が製品から離脱する
のである。

（実施例） 第１図に硬練コンクリートＣを即時脱型式成形
装置の型枠Ｍに詰めた所の断面略図を示す。砂利
又は粗粒砂１の間にセメント、細粒砂からなるモ
ルタル分２が詰つているが、流込みコンクリート
と違い。硬練コンクリートは空隙が多く残つてい
る。なおコンクリート投入時、これを二層に分
け、下部は通常の配合で、上部だけ特に空隙の多
い化粧砂利を加えた配合のコンクリートを使うと
か、投入後の振動、加圧をやゝ控える等により空
隙を人為的に多くしてもよい。

硬練コンクリートＣのモルタル分２は水分が少
いため、砂利１相互の間隙に橋をかけたようにな
つて動けないものが多い。従つて、これに水を加
えてやると流動性を得る。

この発明は、凝固遅延作用をもつ水を、型枠内
コンクリートの上面に吹付け、又は撒布するが、
その量は上層数mmの厚みのモルタル分（セメント
と細粒砂）に流動性を与えるに足る小量である。
その上にすぐ面パレツトｐを伏せた状態を第２図
に示す。その２′は与えられた水を含んだセメン
ト、細粒砂からなるモルタル分を示す。

面パレツトＰを伏せたら、従来通り直ちに型枠
Ｍを反転して、コンクリートを脱型する。第３図
は脱型されたコンクリートＣが面パレツトＰに載
つて運び出される際の内部の状態を示す。水を充
分含んだ表層モルタル分２′が沈下して、パレツ
トＰ上に溜つた状態である。そこに砂利、粗粒砂
１の一部が漬かつている。

これで養生場その他へ送り、適当に硬化した
時、面パレツトＰを製品Ｃから剥離すると、第４
図のように、凝固していないモルタル分２′はセ
メント、細粒砂のまゝパレツトＰ上に残り、それ
を失つたコンクリート製品表面側は、その分だけ
砂利、粗粒砂１が表面に突出して、求めた粗面に
なつている。

実験では、モルタル分２′は養生中に水分を失
い、面パレツト剥離時、粉末状になつていた。

上記実施例のコンクリートの組成を次に示す。

白色セメント 6.4Kg 普通セメント 0.7Kg みかげ砂（５mm） 3.6Kg みかげ砂（2.5mm） 12.0Kg みかげ砂（2.5mm以下） 9.6Kg 黒カスミ（２mm） 8.4Kg 水 1.7Kg なお、この発明によつて得られた粗面は、面パ
レツトを剥離したまゝでは粉が付いているが、簡
単にブラシで払い落すか、あるいは水を使つて、
きれいに仕上げてもよい。この段階ではコンクリ
ートの硬化が十分進んでいないので、洗出し法の
ように激しくブラシでこすると、落さなくてもよ
いモルタル分まで落される恐れがある。そのよう
な場合は、上述の凝固遅延剤入りの水を吹付け、
撒布する前に、樹脂を含んだ水をやゝ強く吹付
け、より深く滲透させる一工程を加え、その上に
樹脂とセメントの凝固を妨げる遅延剤入りの水を
撤けばよい。

その他、吹付ける水に着色剤を加え、その幾分
かは製品側に残つて着色粗面を得られるようにす
る等、実施技術者の応用範囲は広い。

（発明の効果） 硬練コンクリートのモルタル分は水分不足のた
め、砂利同士の間隙に橋をかけた形になつている
ので、この発明により、その表層数mmの厚みに水
を与え、直ちに面パレツトを伏せて反転すると、
流動性を得たモルタル分が面パレツト上に載つた
形になる。その水には酸又は凝固遅延剤が入つて
いるから、養生中もセメントが凝固せず、面パレ
ツト剥離により製品面から脱落し、その製品面は
砂利、粗粒砂が細かい突起として残つた粗面にな
る。

このようにして、この発明は、はじめて反転即
時脱型式成形法の面パレツトを伏せた製品表面を
粗面とする道を開いた。それは硬練コンクリート
を使う高生産性の上記成形法の従来工程に、僅に
水を吹付け、撒布する一工程を加えるだけである
から、従来のあらゆる粗面形成法よりも高能率
で、生産原価が低い。

【図面の簡単な説明】

各図はこの発明一実施例の説明図で、第１図は
型枠Ｍに硬練コンクリートＣを詰めた状態、第２
図はその上面に水を吹付け又は撒布し、直ちに面
パレツトＰを伏せた状態、第３図は型枠を反転し
て製品を脱型した状態、第４図は適当に養生した
後、面パレツトＰを剥離した状態を示す。 １……砂利又は粗粒砂、２……モルタル分、
２′……水を含んだモルタル分。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 硬練りコンクリートを即時脱型式成形装置の
   上下反転可能な型枠に詰め、その詰めたコンクリ
   ートの上面に、除去したいモルタル分の深さま
   で、ほゞ均一に滲透するよう、酸又は凝固遅延剤
   入りの水を吹付け又は、撒布し、その上にすぐ、
   コンクリート上面を覆う面パレツトを伏せ、反転
   脱型により、面パレツトに載つた成形コンクリー
   トを取出し、これを養生後、該面パレツトを剥離
   して、凝固していない上記上層モルタル分を成形
   コンクリート表面から除く事を特徴とする粗面コ
   ンクリート製品の製法。