JP4521646B2 - 模造レンガの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、模造レンガに関し、詳細には、持ち運びが容易で施工性に優れた模造レンガ及び美観に優れた模造レンガに関する。
【0002】
【従来の技術】
レンガやブロツク(以下、レンガ等という)は、一般に建築や土木に使用されているが、近年インテリア等の装飾用にも使用される傾向がある。ところが、従来のレンガ等は、重く持ち運びや施工時に労力を要することから軽量化が要求され、軽量な模造レンガ等が各種提案されている。例えば、セメント系硬化物に発泡樹脂や中空セラミツクの粒子、気泡を含む粒子状の材料等を混入して成形されたもの(例、実開昭62−15539号公報、実開昭63−171521号公報、特開平4−238843号公報等参照)、フライアツシユや焼却灰等のセメントよりも軽量な材料を主成分として成形されたもの(例、特開平2−217355号公報、特開平5−68959号公報等参照)、セメント又は樹脂に発泡剤又は気泡剤等を混入して発泡成形されたもの(例、実開平5−49920号公報、実用新案登録第3056059号公報、特開平10−316482号公報等参照)等が提案されている。
【0003】
また、これらの模造レンガ等については、表面に気孔や混入した粒子等が現れ、美観を必要とする部位に使用し難いことから、表面の一部に予め化粧材層を形成したものが各種提案されている。例えば、釉薬を塗布し加熱処理して外装を形成したもの(特開平2−217355号公報、特開平5−68954号公報等参照)、樹脂、ペンキ、モルタル等を塗布したもの(例、特開昭62−132781号公報、実開平5−49920号公報等参照)、表面に露出した発泡樹脂の粒子を溶かして凹凸を形成したもの(実開昭63−171521号公報等参照)、発泡コンクリートを半凝固状態で切断して表面硬化層を形成したもの(例、特開平10−316482号公報等参照)、表面化粧材層を接着したもの(例、実開昭58−39913号公報、実開平5−49920号公報、登録実用新案第3056059号公報等参照)等が提案されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、前記模造レンガ等については、いずれも重量と美観においてインテリア用としては必ずしも十分なものとはいい難い状況である。例えば、インテリア用品としてレンガを積み重ねて製作された暖炉風の装飾台が知られている。この装飾台は、多数のレンガが使用されるため、模造レンガが軽量化されているとしても相当な重量物となる。そのため、居住空間の雰囲気を変えるために装飾台の配置替えをすることが難しく、また設置場所に大きな荷重がかかり床面等を損傷させる恐れがある。装飾台は、焼成レンガを使用した場合とほぼ同様の落ち着いた雰囲気があることが期待されるが、前記軽量化された模造レンガ等については、いずれも表面に気泡や混入した微粒子等が現れているため、表面に化粧材を塗布したとしても前記雰囲気を出すことは困難である。また、表面化粧材層を設けた模造レンガ等については、いずれも表面の1面又は2面に設けたものであり、全面に設けたものはない。全面に設ける場合には、各面の表面化粧材層間に継ぎ目が生じ、美観上の欠点になる恐れがある。
【0005】
そこで、模造レンガ等の軽量化について鋭意研究した結果、軽量材からなるコアを中央に位置するように水の混和により硬化するセメント系硬化物からなる外殻で被覆することにより、前記従来よりも軽量な模造レンガ等を成形し得ることが判明した。すなわち、前記従来の模造レンガ等については、強度上から発泡樹脂の粒子等の軽量材を混入する割合が制限され、十分に軽量化し難い。一方、コアを有するものについては、圧縮強さ、曲げ強さ等をセメント系硬化物からなる外殻が主として担い、引張り強さをコアが担うとともに、コアと外殻とが一体化していることからコアが外殻を補強することになる。その結果、外殻の厚さを薄くすることができ、外殻を形成するセメント系硬化物の使用量を前記従来の模造レンガ等よりもはるかに少なくし、軽量化し得る。
【0006】
ところで、実開昭55−71213号公報には、金属製品等の廃棄物を固めたものをコアとし、セメント系硬化物からなる外殻で被覆した護岸用等のコンクリートブロツクが開示されている。また、特開昭58−500557号公報には、外殻に形成された2個の空洞に発泡可能な樹脂を充填し、閉鎖部材で空洞を閉じた後に樹脂を発泡させ、発泡後に閉鎖部材を取り除いて形成された断熱ブロツクが開示されている。前者は、コアが重量物からなり、しかも護岸用であることから極めて重いものであることが必要とされており、軽量化することは全く意図されていない。また、外観形状については特に配慮することなく形成され、表面には型枠による継ぎ目等が付いており、美観に優れたものとはいい難い。後者は、外殻が空洞を有し、空洞内に発泡樹脂が充填されていることから軽量ではあるが、発泡樹脂を外殻で包み込むように被覆した閉鎖構造ではなく、強度を確保するために外殻を厚くするとともに補強壁を設ける必要があるため、必ずしも軽量であるとはいい難い。また、空洞の輪郭と発泡樹脂とが表面に現れており、美観に優れたものとはいい難い。
【0007】
本発明は、前記従来の状況に鑑みてなされたものであり、その課題は、軽量で持ち運びや施工性に優れた模造レンガ、及びさらに美観に優れインテリアにも適応し得る模造レンガを提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明では、天然あるいは人造の軽量材からなるコアが中央に位置するようにセメント系硬化物からなる外殻で被覆して形成されている。コアの表面が硬い外殻で被覆され、しかも外殻とコアとが一体になつていることから、コアと外殻との圧縮強さ、曲げ強さ及び引張り強さとが複合されるため、重量からくるイメージに比較して強く、模造レンガに要求される強度を確保し得る。そして、模造レンガに要求される寸法、強度をほぼ備えたコアを使用することにより、外殻の厚さを薄くすることができ、全体の重量を軽量化し得るとともに、外殻に模造レンガとして必要とされる表面性状を持たせ得る。
【0009】
すなわち、本発明の模造レンガは、中央に配置された軽量材からなるコアと、このコアを包み込んで一体に形成されたセメント系硬化物からなる外殻とからなる模造レンガで、この模造レンガの厚さより深く形成された升形の型枠本体と型枠本体の上部内に装着される押さえ型枠とからなる型枠で成形されたものであって、外殼の一部を形成する流動状のセメント糸硬化物を型枠本体に流し込み、このセメント系硬化物上に平面視で型枠本体の中心位置となるように軽量材からなるコア材を載置し、このコア材を圧下してセメント系硬化物の厚さが外殻の厚さ相当になる位置までセメント系硬化物中に押し込み、外殻の残部を形成する流動状のセメント系硬化物をコア材を覆うように型枠本体に流し込み、このセメント系硬化物を平滑にならした後、このセメント系硬化物の上面を押圧するように押さえ型枠を型枠本体の上部内に装着して閉じ、各セメント系硬化物が固化するまで圧下保持することにより成形されており、外殻が一層で全面に継ぎ目の無い構造になっている。
【0010】
本発明の模造レンガの製造方法は、中央に配置された軽量材からなるコアと、このコアを包み込んで一体に形成されたセメント系硬化物からなる外殻とからなり、外殻が内側外殻と外側外殻の2層である模造レンガの製造方法で、この模造レンガの厚さより深く形成された升形の型枠本体と型枠本体の上部内に装着される押さえ型枠とからなり、材質が弾性材又はFRP樹脂である型枠で成形する模造レンガの製造方法であって、外側外殻の一部を形成するペースト状のセメント系硬化物を外側が剛性補強材で保持された型枠本体の内面に模造レンガの厚さ相当の高さまで均一に塗布し、内側外殻の一部を形成する流動状のセメント系硬化物を流し込み、このセメント系硬化物上に平面視で型枠本体の中心位置となるように軽量材からなるコア材を載置し、このコア材を圧下して前記流動状のセメント系硬化物の厚さが内側外殻の厚さ相当になる位置まで前記セメント系硬化物中に押し込み、内側外殻の残部を形成する流動状のセメント系硬化物をコア材を覆うように型枠本体に流し込み、このセメント系硬化物を平滑にならした後、このセメント系硬化物の上面を押圧するように内面に外側外殻の残部を形成するペースト状のセメント系硬化物を均一に塗布した押さえ型枠を型枠本体の上部内に装着して閉じ、押さえ型枠の上面を剛性補強材で保持してセメント系硬化物が固化するまで圧下保持することにより成形することを特徴とする模造レンガの製造方法であり、製造される模造レンガは外側外殻が全面に継ぎ目の無い構造になっている。
【0011】
また、本発明の模造レンガを成形する型枠の材質は、弾性材又はFRP樹脂等で、成形時には型枠本体の外側及び押さえ型枠の上面が剛性補強材で保持されていることがこのましい。コア及びコア材は多孔質材からなっていてもよい。また、コア及びコア材と外殻との間に接着剤層が形成されていてもよい。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を図により説明する。図1は、第1実施の形態の模造レンガの説明図、図2はその製造工程図である。図1に示す模造レンガ1は、後述する製造方法により公知の焼成レンガの外観を模して成形されたもので、外形が横長の直方体で、全面に継ぎ目がなく焼成レンガ模様の表面を備えた軽量不焼成レンガである。この模造レンガ1の構造は、中心に直方体状のコア2が配置され、外殻3がコア2を取り巻くように一定厚さに形成され、コア2と外殻3との間に薄い接着材層4が形成されている。強度は、コア2と外殻3とが接着材層4で一体化されているため、コア2と外殻3との圧縮、曲げ、引張りの各強度が複合され、重量からくるイメージに比較して意外と大きい。
【0013】
コア2は、一体物の軽量材からなつている。使用される軽量材としては、セメント系硬化物に通常混入されている骨材である砕石の比重が2.6程度で砂の比重が2.5程度であるが、これらの比重よりも小さいものであればよく、例えば次のような多孔質材でもよい。天然軽石の単体、天然軽石の粒子を硬化物で固めたもの、発泡樹脂の単体、発泡樹脂の粒子を硬化物で固めたもの、セラミツク微細中空粒子を硬化物で固めたもの、発泡セメント系硬化物(発泡石膏系硬化物、珪酸カルシユウム系硬化物等も含む)、多孔質アルミニユウムの単体、おがくずやモミ殻等を硬化物で固めたもの等である。
【0014】
これらの多孔質材は、それぞれ次のような特性を備えている。天然軽石の単体は、比重が1.0以下のものもあり、軽量で圧縮、曲げ、引張りの各強度に優れている。天然軽石の粒子を硬化物で固めたものは、比重が1.2〜1.5程度で圧縮強度に優れている。発泡樹脂の単体は、比重が0.03程度で極めて軽く、圧縮、曲げ、引張りの各強度に優れ、コア2の材料として特に適している。発泡樹脂の粒子を硬化物で固めたものは、比重が0.3程度で圧縮強度に優れている。発泡樹脂としては、例えばフオームスチレン、ウレタンフオーム等があり、発泡割合により異なるが比重が0.02〜0.04程度であり、軽く強度に優れている。なお、ウレタンフオームは、気泡中にフロンガスを含み、断熱性に優れている。セラミツク微細中空粒子を硬化物で固めたものは、天然軽石の粒子を硬化物で固めたものとほぼ同様の特性である。発泡セメント系硬化物は、発泡の度合と骨材の種類、混入率等により異なるが、比重が0.7〜1.5程度で圧縮強度に優れている。多孔質アルミニユウムの単体は、比重が1.0以下のものもあり、軽量で圧縮、曲げ、引張りの各強度に優れている。おがくず、モミ殻等を硬化物で固めたものは、硬化物の種類、量等により強度が大幅に異なるが、比重が0.7〜1.2程度のものとすることによりコア2として必要な強度を確保し得る。
【0015】
外殻3は、模造レンガ1として要求される表面硬度及び表面性状を確保するもので、水と混和して硬化するセメント系硬化物で形成されている。使用されるセメント系硬化物は、ポルトランドセメント系、水硬性石灰、セラミツク系、珪酸カルシユウム系等の水と混和して硬化する硬化主材料からなつており、目的に応じて硬化主材料に骨材、補強材、顔料等が混入されていてもよい。その際、骨材としては、軽量材、例えばパーライト粒子、発泡樹脂系の粒子、天然軽石、人工軽量材、水砕、前記コア2の材料として挙げた他の多孔質材等でもよく、外殻3を軽量化し得る。また、通常使用される砂でもよく、強度を高め得る。補強材としては、有機、無機の各種補強繊維、これらの網状体でもよい。顔料としては、ベンガラ、酸化黄、群青、松煙等公知の顔料を単独又は調合して得られたもの等であり、外殻3に要求される色彩に合わせて設定される。
【0016】
接着材層4は、コア2と外殻3とを強固に接着し得るものであればよく、例えば溶剤系接着剤、アクリル系接着剤等からなるものでもよい。接着材層4によりコア2と外殻3とを強固に一体に接合し、コア2と外殻3との強度をより確実に複合させることになる。なお、コア2の表面に凹凸部が形成されていることが好ましく、コア2と外殻3との接合がより強固になる。また、接着材層4は、必ずしも必要としないが、その際にはコア2の表面に凹凸部が形成されていることが好ましく、模造レンガ1の成形時に外殻3を形成するセメント系硬化物が凹凸部と絡みコア2と外殻3とを強固に一体に接合することになる。
【0017】
図1に示す模造レンガ1の製造方法を図2に基づいて説明する。図2において、5は型枠で、升型の型枠本体6と平板状の押さえ型枠7とからなり、成形時には型枠本体6の外側及び押さえ型枠7の上面を剛性補強枠(図示せず)で保持するようになつている。型枠5は、通常の焼成レンガの表面をシリコンゴムやウレタンゴム等の弾性材、FRP樹脂等で型取りされ、型枠本体6及び押さえ型枠7の内面が焼成レンガ模様に形成されている。成形時、図2の(a)に示すように型枠本体6を剛性補強枠で保持して水平に設置し、外殻3の一部を形成する所定量の流動状のセメント系硬化物8を図2の(b)に示すように型枠本体6に流し込む。流動状のセメント系硬化物8は、硬化主材料に骨材、補強材、顔料等を目的に応じて混入し、水を加えてモルタル状に混練されたものである。次に、軽量材からなるコア材9の全面に接着剤10を薄く均一に塗布し、このコア材9を治具(図示せず)を用いて平面視で型枠本体6の中央に位置するように前記セメント系硬化物8上に載置し、図2の(c)に示す状態まで押し下げる。すなわち、コア材9が必要な外殻3の厚さを確保し得る寸法に形成されており、型枠本体6の底部側のセメント系硬化物8の厚さが外殻3の厚さに相当するまで押し下げらる。これにより、セメント系硬化物8の一部が型枠本体6の側壁に沿つて押し上げられ、図2の(c)に示すようにコア材9と型枠本体6の側壁間の一部を充満する。
【0018】
次に、コア材9を押圧保持した状態で残りのセメント系硬化物11を流し込む。このセメント系硬化物11は、前記セメント系硬化物8と同質のもので、図2の(d)に示すようにコア材9と型枠本体6の側壁間に充満するとともに、コア材9の上面側が外殻3の厚さ相当になる量が流し込まれる。そして、図2の(e)に示すように押さえ型枠7で型枠本体6を密閉し、押さえ型枠7の上部に剛性補強枠(図示せず)を設置し、剛性補強枠を錘、スプリング装置等の押圧手段(図示せず)により押圧し、セメント系硬化物8、11が固まり脱型可能な状態になるまで保持する。
【0019】
図1に示す模造レンガ1は以上のようにして成形されるが、各製造工程において振動を与えること等によりつき固め作業をすることが好ましく、精度が良く、気泡等のない美観に優れた表面を有するものを成形し得る。その際、外殻3を形成するセメント系硬化物8、11に骨材が混入されている場合には、つき固め作業により骨材やコア材9が比重差で分離したり浮き上がらないように、骨材の混入率やセメント系硬化物8、11の練り硬さ等に応じてつき固めのタイミングやつき固め時間が設定されている。なお、セメント系硬化物8、11の練り硬さは、硬い程つき固めによつても骨材が分離し難い傾向があるが、型枠本体6における流動性との関係において設定されている。図2の(b)から(e)までの工程は、各セメント系硬化物8、11が未だ硬化しない状態で行なわれ、硬化時点では図2の(e)に示す各セメント系硬化物8、11間の境界はなく、継ぎ目のない一体の外殻3が形成される。
【0020】
例えば、図1に示す模造レンガ1の具体例として、外形寸法が縦235mm、横115mm、厚さ50mm、外殻3の肉厚が10mmのものを製造する場合について説明する。製造条件は、次の通りである。型枠5は、表面形状の風合いの良い海外産焼成レンガをシリコンゴムで型取つたシリコンゴム製である。型枠本体6は、内法寸法が縦235mm、横115mm、深さ50mm、余長深さ10mmで、肉厚が10mmの升型形状である。押さえ型枠7は、肉厚が10mmの矩形状平板で、型枠本体6を密封する寸法になつている。型枠本体6の余長深さは、使用時に押さえ型枠7を装着するために設けられ、押さえ型枠7の厚さ寸法に相当している。コア材9は、平板状の発泡樹脂で、縦215mm、横95mm、厚さ30mmに形成されている。コア材9の寸法は、外殻3の全面の厚さが均一に10mmとなるように、各方向において型枠本体6の内法寸法より20mm短く設定されている。接着剤10は、アクリル系のものである。外殻3を形成するセメント系硬化物8、11は、硬化主材料にセメントを使用し、骨材に発泡樹脂の粒子とパーライトの粒子を使用し、これらに顔料を混合し、型枠本体6に流し込む直前に水を加えて混練りしたモルタル状のものである。
【0021】
製造時、金属製補強枠で保持して水平に設置された型枠本体6にモルタル状のセメント系硬化物8を外殻3の厚さ10mmより少し厚い13mm程度流し込み、電動バイブレータで3秒程度振動を与えてつき固める。このセメント系硬化物8上に全面にアクリル系接着剤10を薄く均一に塗布したコア材9を型枠本体6の平面視で中央位置となるように載置し、コア材9をセメント系硬化物8の厚さが10mmとなる位置まで押し下げながら電動バイブレータで振動を与えてつき固める。その際、セメント系硬化物8がコア材9と型枠本体6の側壁間をせり上がつてくるが、この状態でコア材9の底面とセメント系硬化物8とが密着するとともにコア材9が定位置に固定される。次に、残りのセメント系硬化物11を上部より流し込み、治具でコア材9の浮き上がりを防止しながら目視で全体が均一になるまで電動バイブレータでつき固める。つき固め終了後、セメント系硬化物11の上面を平滑に慣らしながら余盛りが3mmとなるように分量の過不足を調整する。セメント系硬化物11の上面を平滑にならした後、押さえ型枠7を型枠本体6に落とし込んで仮置きし、その上部から強固な金属製補強枠を配置し、金属製補強枠に組み込まれたスプリングで50Kg程度の押圧力を作用させながら金属製補強枠の上部から電動バイブレータで最終つき固めを行う。押さえ型枠7が押圧力の作用により徐々に下降し、余盛り分の3mm下降した時点、すなわち模造レンガ1の厚さ方向の定寸となる位置で停止させ、セメント系硬化物8、11が固まり脱型可能となるまで保持する。
【0022】
セメント系硬化物8、11が固まつた後、押さえ型枠7及び型枠本体6から各金属製補強枠を除去し、型枠本体6の上部を外に開きながら押さえ型枠7と成形された模造レンガ1とを押し出して脱型する。型枠本体6がシリコンゴム製で弾性変形し易いため、模造レンガ1を傷付けることなく容易に脱型できた。得られた模造レンガ1は、型枠5の型取りに使用した海外産焼成レンガの重量が2.9Kg程度であるのに対して0.35Kg程度であり、重量比で1/8程度の極めて軽量であつた。比重でみれば、海外産焼成レンガが2.1程度であるのに対して0.26程度と極めて小さく、超軽量で水に浮くという特性を備えていた。模造レンガ1の表面は、気孔や骨材がほとんど現れず、全面にわたつて型枠5に形成された海外産焼成レンガの表面形状、すなわち奇麗な焼成レンガ模様が形成されていた。これは、押さえ型枠7をスプリングで押圧することにより、セメント系硬化物8、11が圧縮されるため、稠密な構造となる。また、型枠5がシリコンゴム製で弾性を有していることから、押さえ型枠7及び型枠本体6自体が僅かに弾性変形するため、セメント系硬化物8、11が固まる際に僅かに収縮するが、この収縮に追随し硬化まで密着状態を保つ。従つて、押さえ型枠7及び型枠本体6の表面に形成された焼成レンガ模様が奇麗に写し取られることになる。
【0023】
次に、第2実施の形態の模造レンガを図3及び図4に基づいて説明する。図3及び図4において、図1及び図2におけると同一の符号は同一の機能部材を意味している。図3に示す模造レンガ1は、外殻が内側外殻12と外側外殻13とからなる二層構造である点を除けば、図1に示す模造レンガ1と同一の構造である。すなわち、図3に示す模造レンガ1は、内側外殻12がコア2を取り巻くように一定厚さに形成され、外側外殻13が内側外殻12を取り巻くように一定厚さに形成され、コア2と内側外殻12との間に薄い接着材層4が形成された軽量不焼成レンガである。内側外殻12は、外側外殻13に包まれていることから、材料となるセメント系硬化物における骨材の混入率を表面性状や強度を考慮することなく適宜設定される。例えば、骨材として軽量材の粒子を混入する場合、図1におけるよりも大きな混入率とすることができ、これによりさらに軽量化し得る。外側外殻13は、表面が焼成レンガ模様になつており、材料となるセメント系硬化物における骨材の混入率は表面性状や強度を考慮して少な目に設定される。
【0024】
図3に示す模造レンガ1の製造方法を図4により説明する。図4に示す製造方法は、図3に示すものと同一の型枠5を使用し、外側外殻13を形成する工程を除けば図3に示す工程と同一である。図4の(a)に示すように、外側外殻13の一部を形成するペースト状のセメント系硬化物14を型枠本体6の内面に模造レンガ1の厚さ相当の高さ位置まで薄く均一に塗布し、型枠本体6に内側外殻12の一部を形成するモルタル状のセメント系硬化物15を図4の(b)に示すように流し込む。このセメント系硬化物15上にコア材9を治具(図示せず)により位置決め載置し、図4の(c)に示すようにコア材9を押し下げる。コア材9を押圧した状態で内側外殻12の残りを形成するモルタル状のセメント系硬化物16を図4の(d)に示すように流し込む。押さえ型枠7の内面に外側外殻13の残りを形成するペースト状のセメント系硬化物17を型枠本体6の場合と同様に薄く均一に塗布し、図4の(e)に示すように押さえ型枠7で型枠本体6を密閉する。そして、押さえ型枠7を剛性補強枠(図示せず)を介して押圧手段(図示せず)で押圧し、各セメント系硬化物14、15、16、17が硬化するまで押圧保持する。これにより、硬化時点には図4の(e)に示す各セメント系硬化物14、15、16、17間の境界がなく、継ぎ目のない一体化した外側外殻13及び内側外殻12が形成される。なお、外側外殻13を形成するペースト状のセメント系硬化物14、17は、砂、軽量材の粒子等の骨材の混入率が内側外殻12を形成するモルタル状のセメント系硬化物15、16よりも小さく設定されていることが好ましい。これにより、軽量化と併せて美観に優れた模造レンガ1を成形し得る。
【0025】
例えば、図3に示す模造レンガ1の具体例として、外形寸法が縦235mm、横115mm、厚さ50mmで、内側外殻の肉厚が9mm、外側外殻の肉厚が1mmのものを製造する場合について説明する。製造条件は、型枠5、コア材9、接着剤10について図1に示す模造レンガ1の具体例の場合と同様である。内側外殻12の材料は、硬化主材料としてセメントを使用し、骨材としての発泡樹脂の粒子とパーライトの粒子を図1に示す模造レンガの具体例の場合よりも多目で強度上支障のない程度混入し、型枠本体6に流し込む直前に水を加えて混練りしたモルタル状のものである。外側外殻13の材料は、硬化主材料にセメントを使用し、骨材に砂を使用し、これらに顔料を混合し、型枠本体6に流し込む直前に水を加えて混練りしたペースト状のものである。その際、骨材としての砂の混入率は、硬度、型枠表面とのなじみ、塗布性等を確保し得る程度に少な目に設定されている。
【0026】
製造時、型枠本体6の内面にペースト状のセメント系硬化物14を模造レンガ1の高さ相当の位置まで外側外殻13の厚さ1mm程度に薄く塗布し、流動状のセメント系硬化物15を内側外殻12の厚さ9mmより少し厚い12mm程度流し込み、電動バイブレータでつき固める。つき固め終了後、セメント系硬化物15上にコア材9を載置し、残りのセメント系硬化物16をコア材9を覆うように流し込み、セメント系硬化物16の上面を平滑に慣らしながら余盛りが2mmとなるように分量の過不足を調整する。セメント系硬化物16の上面を平滑にならした後、表面にペースト状のセメント系硬化物17を前記同様に1mm程度に薄く塗布した押さえ型枠7を型枠本体6に落とし込んで仮置きする。以後の作業は、図1に示す具体例の場合と同様であり、各セメント系硬化物14、15、16、17が固化した後に脱型する。
【0027】
得られた模造レンガ1は、図1に示す模造レンガ1の具体例のものより幾分軽く、比重が小さく水に浮くという特性を備えていた。模造レンガ1の表面は、継ぎ目、気孔がなく、骨材がほとんど現れず、図1に示す模造レンガ1の具体例のものよりも奇麗な焼成レンガ模様で、全面にわたつて型枠5に形成された海外産焼成レンガの表面形状が写し取られていた。
【0028】
なお、各実施の形態において、コア材9は一体物の軽量材のみではなく、軽量材の粒子と接着剤、例えばセメント、アクリル系接着剤、溶剤系接着剤等とを流動しない程度の固さに混練したものであつてもよい。製造時、外殻3又は内側外殻12の材料であるセメント系硬化物を外殻3又は内側外殻12の厚さとなるように型枠本体6に流し込み、前記コア材9を治具等を使用して型枠本体6の中央となるように載置し、残りのセメント系硬化物を流し込み、押さえ型枠7で押圧して成形する。各セメント系硬化物の凝固とともにコア材9も凝固し、模造レンガ1の成形時には一体のコア2となり、一体物のコア材9の場合と同様に軽量で所定の強度を有した構造となる。
【0029】
【発明の効果】
本発明の模造レンガによれば、軽量材からなるコアが中央に位置するようにセメント系硬化物からなる外殻で一体に包み込まれた構造であることから、必要な強度を確保しながら軽量化することができた。これにより、例えばインテリア用品を製作する場合には、施工時に持ち運び易く、大きな負担がかからないため、施工を楽に行い得る。また、製作されたインテリア用品は、軽量であるため、設置場所への荷重負担が軽減され、倒壊時における安全性が向上した。
【0030】
升形の型枠本体と型枠本体の上部に装着される押さえ型枠とからなる型枠で成形された模造レンガによれば、全面に継ぎ目が形成されず、稠密な構造で、しかも全面に型枠の表面性状が写し取られるため、美観に優れ、インテリア用としても使用し得るものが得られた。また、焼成レンガで型取りした型枠で成形された模造レンガによれば、全面に焼成レンガ模様が奇麗に写し取られ、風合いに優れた高品質のものが得られた。特に、外殻が内側外殻と外側外殻との二層構造となつたものは、外側外殻により表面品質と硬度とが確保されることから、内側外殻の材料に軽量材の粒子を強度を損ねない程度まで混入したセメント系硬化物を使用し得るため、さらに軽量なものが得られた。
【0031】
本発明の模造レンガによれば、外殻とコアとが焼成レンガよりも硬度が低く、釘打ち可能であるとともに鋸引きし易いため、種々の加工ができ使用目的において自由度が高まつた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施の形態の説明図で、一部を断面で示す斜視図である。
【図2】本発明の第1実施の形態の模造レンガを製造する方法の説明図で、製造工程を断面図で示す。(a)は準備段階、(b)は外殻の一部を形成するセメント系硬化物を流し込む段階、(c)はコアを平面視で型枠の中央に載置し、所定量押し下げた段階、(d)は外殻の残部を形成するセメント系硬化物をコアを覆うように流し込んだ段階、(e)は押さえ型枠で圧下保持した段階を示す。
【図3】本発明の第2実施の形態の説明図で、一部を断面で示す斜視図である。
【図4】本発明の第2実施の形態の模造レンガを製造する方法の説明図で、製造工程を断面図で示す。(a)は外側外殻の一部を形成するセメント系硬化物を型枠本体内面に塗布した段階、(b)は内側外殻の一部を形成するセメント系硬化物を流し込んだ段階、(c)はコアを平面視で型枠の中央に載置し、所定量押し下げた段階、(d)は内側外殻の残部を形成するセメント系硬化物をコアを覆うように流し込んだ段階、(e)は外側外殻の残部を形成するセメント系硬化物を内面に塗布した押さえ型枠で圧下保持した段階を示す。
【符号の説明】
1 模造レンガ 2 コア
3 外殻 4 接着材
5 型枠 6 型枠本体
7 押さえ型枠
8、11 外殻の材料であるセメント系硬化物
9 コア材 10 接着剤
12 内側外殻 13 外側外殻
14、17 外側外殻の材料であるセメント系硬化物
15、16 内側外殻の材料であるセメント系硬化物
Claims (1)
- 中央に配置された軽量材からなるコア(2)と、このコア(2)を包み込んで一体に形成されたセメント系硬化物からなる外殻(3)とからなり、外殻(3)が内側外殻(12)と外側外殻(13)の2層である模造レンガの製造方法で、この模造レンガの厚さより深く形成された升形の型枠本体(6)と型枠本体(6)の上部内に装着される押さえ型枠(7)とからなり、材質が弾性材又はFRP樹脂である型枠(5)で成形する模造レンガの製造方法であって、外側外殻(13)の一部を形成するペースト状のセメント系硬化物(14)を外側が剛性補強材で保持された型枠本体(6)の内面に模造レンガ(1)の厚さ相当の高さまで均一に塗布し、内側外殻(12)の一部を形成する流動状のセメント系硬化物(15)を流し込み、このセメント系硬化物(15)上に平面視で型枠本体(6)の中心位置となるように軽量材からなるコア材(9)を載置し、このコア材(9)を圧下して前記流動状のセメント系硬化物(15)の厚さが内側外殻(12)の厚さ相当になる位置まで前記セメント系硬化物(15)中に押し込み、内側外殻(12)の残部を形成する流動状のセメント系硬化物(16)をコア材(9)を覆うように型枠本体(6)に流し込み、このセメント系硬化物(16)を平滑にならした後、このセメント系硬化物(16)の上面を押圧するように内面に外側外殻(13)の残部を形成するペースト状のセメント系硬化物(17)を均一に塗布した押さえ型枠(7)を型枠本体(6)の上部内に装着して閉じ、押さえ型枠の上面を剛性補強材で保持してセメント系硬化物(14,15,16,17)が固化するまで圧下保持することにより成形することを特徴とする模造レンガの製造方法。
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