JPH0321369Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、白蟻の木材食性による被害から建物
を保護する防蟻床の構造に関する。

白蟻の木材食性、所謂湿潤した木材が白蟻によ
る被害を受け、木造建築物の耐久性を劣化させ最
終的には建物そのものを崩壊させるという被害が
多く生じている。この白蟻の木材食性による被害
は、床下や羽目板内等の暗部箇所から始まるので
初期段階では殆ど外部に露見せず、食性による被
害が建物全域に進行した状態において気付かれる
ことが多く、その為建物を改造したり改修するこ
とも容易ではない。

従来からこの蟻害を防止する防蟻工法として
は、構造法や木材の薬液処理法更には土壌処理法
等がある。

構造法は、直接建物内への白蟻の侵入を阻止す
るものであり、土台下面と基礎面との接触面積を
小さくしたり、又蟻返し等金属板を設けて地面か
らの侵入を防止したり、更には犬走りを含めて地
下地盤をコンクリートタタキとする等の手段を主
なものとする。

一方、木材防蟻処理法とは、木材に防蟻剤を注
入、浸漬、塗布吹付等で処理をして、木材自体を
白蟻の食性の対象とならないようにするものであ
る。

又土壌処理法とは、建物に接触している部分の
土壌に液剤や粉剤を注入、混入若しくは散布する
薬物処理を施し、土壌からの建物への侵入を阻止
する方法である。

これら上記の方法によれば、何れも現場におけ
る特別な施工が中心となつている為、施工に大き
なバラツキが生じたり、又工期がかかり、施工コ
ストの面からも問題が生じていた。しかも薬液を
使用する場合には、残留公害や土中拡散により周
辺地域に及ぼす薬害が大きな問題として指摘され
ていた。

そこで本考案は、上記問題点に鑑み為されたも
ので、床を構成する床パネルの下面に予め防蟻材
を張設して、この床パネルを敷設して床構造を構
成すれば、床下面全域に防蟻層が形成されるとい
う極めて簡易かつ安全で、しかも有効な防蟻床の
構造を提供するものである。

以下、図面に基づき本考案に係る防蟻床の構造
を詳細に説明する。

第１図は、建物床を構成する床パネル１の斜視
図である。

床パネル１は、枠材１１，１１…を略矩形状に
組み、その内部に補強桟を格子状に設け、上面に
床下地材としての合板１２を張設したものであ
る。一方下面には防蟻材２が接着剤や釘等により
張設されている。

この防蟻材２は床パネル１の下面側に位置する
ものであり、よつて床下内からの湿気をも遮断す
ることができるシート材であることが好ましい。

具体例としては防蟻薬液を含浸させたポリエチ
レン等の防湿性シート材を、下面に張設した合板
表面に貼設するものである。

しかも、防蟻材２を床パネル１の下面に設ける
には床パネル１を製造する工場にてあらかじめ取
付けておけばよいが、現場にて床パネル１を敷設
する直前に設けるものであつてもよい。

尚、防蟻材２に含浸される薬液としては通常ク
ロルデン，クロルピリオス，パーメスリン等が用
いられる。

以上の様に構成された床パネル１を用いて建物
の基礎上に床を構成する場合について第２図の一
部省略断面図を用いて説明する。

基礎３，３…はフーチン３１と基礎部３２から
なるコンクリート製のもので、独立基礎若しくは
布基礎である。

この基礎３，３…の上面に台輪等の敷設を介し
て床パネル１，１…を突き合せた状態に敷設す
る。そして床パネル１，１…上の所要箇所に壁パ
ネル４，４…を立設する。

本考案の建物の床構造においては、床パネル
１，１…が基礎３，３…間に敷設されると下面全
域に亘つて防蟻材２，２…が一つの防蟻層を構成
することになる。

よつてこの床下内の土壌Ｇ中に生存している白
蟻が基礎部３２，３２…を伝わつて床パネル１の
下面に到達しても床パネル１，１…の下面全域に
防蟻層２１が形成されているので、白蟻はこの防
蟻層２１より床パネル１内へ侵入することはでき
ない。

斯かる防蟻層２１には上述したように白蟻を殺
虫し若しくは駆除する薬液が含浸されているの
で、基礎部３２，３２…を伝わつて上昇してきた
白蟻はこの防蟻層２１の薬液によつて駆除される
ことになる。

よつて、本考案の床構造としては床下内の土壌
Ｇに白蟻が存在したり、侵入してきても床の下面
から白蟻による食害が及ばない。特に白蟻自体は
床下等の風通しの悪い暗部に住付く事が多いの
で、床下面に防蟻層２１を設けておくことは、極
めて有効な防蟻手段となる。

尚、この防蟻層２１を床下面全域に一体的に形
成する為には、床パネル１の枠材１１，１１…の
外側面下半分に同様な薬液や薬剤を塗布、含浸さ
せておけば、床パネル１，１相互の突き合わせ面
にも白蟻が侵入することもなく完全な防蟻効果が
得られる。

又、台輪等の敷板にも防蟻処理しておくことに
より、これら敷板自体にも白蟻の食害が及ばず、
床構造全体として完壁な防蟻床の構造となる。

以上説明した様に本考案の防蟻床の構造は、床
パネルの下面に防蟻材を予め張設しておくので、
この床パネルを敷設して床を構成すれば同時に床
下面全域には防蟻層が形成されることになり、防
蟻効果も大きくかつ施工も簡易なものとなる。し
かもこれら防蟻層を、工場等によつて予め床パネ
ル１の下面に防蟻材を張設しておけば、品質がよ
り以上に安定し、量産にも最適な構造となる。又
防蟻施工のコストも従来にみられない低廉なもの
となり、薬害などがない極めて安全なものであ
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本考案の防蟻床の構造に用いられる
床パネルの斜視図、第２図は、本考案の防蟻床の
構造を説明する一部省略断面図である。 １，１……床パネル、１１，１１……枠材、１
２……合板、２，２……防蟻材、２１……防蟻
層、３，３……基礎、Ｇ……土壌。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 基礎上に複数枚の床パネルを敷設した床構造に
   おいて、 前記床パネルは枠材を略矩形状に組み、その上
   面及び下面に合板が張設され、該下面の合板表面
   には防蟻薬液を含浸させた防蟻性兼防湿性シート
   材が貼設されたものであつて、前記各床パネルを
   基礎上で突き合せ状に敷設することで、床下面全
   域に亘つて防蟻層が形成されたことを特徴とする
   防蟻床の構造。