JPH03190014A - 自己潤滑性絶縁電線 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明は自己潤滑性に優れ且つ耐加工劣化性が向上した
自己潤滑性絶縁電線に関する。

（従来の技術及びその問題点） 近年、電気メーカーにおいては、電気通信機器等のコイ
ル巻線加工に際して、その工程の迅速化を計る為に、高
速自動巻線機が広く使用される様になってきている。こ
の為、絶縁電線の絶縁層の表面には十分な滑り性又は耐
摩耗性が要求されている。即ち、巻線加工時、絶縁電線
はニードル、プーリ一部分にて摩擦を受けて絶縁層に機
械的損傷を受ける。従って巻線速度が向上するにつれて
不良率が増加しており、この不良率の低減が求められて
いる。

又、コイル成形する場合、絶縁電線同士及び絶縁電線と
機器間の滑り性が悪いと、コイル占積率が太き（なり、
モーターのスロットへの装入性が低下する。これらの問
題に伴い滑り性の良好な絶縁電線が要求されてきている
。

これらの要求に対応する為に、従来は絶縁電線の上にワ
ックス又は潤滑油等の潤滑剤を薄く塗布して、絶縁電線
の摩擦係数を低下させて摩擦による機械的損傷を出来る
限り小さくすることが為されてきた。しかしながら、こ
の方法では潤滑剤の塗布量を調節することと、絶縁電線
の外層に潤滑剤を均一の塗布することが極めて困難であ
るという欠点を有していた。

更にこれらの潤滑剤が塗布された絶縁電線には、空気中
の塵埃、ごみ等が付着する為、コイル成形後成形物を溶
剤洗浄する工程が必要であった。

その為、６−又は６，６−ナイロンを主体とするポリア
ミド樹脂を主体とする塗料を絶縁電線上に塗布する方法
が主に用いられている、しかしながら、ポリアミド樹脂
塗料を塗布及び焼き付けした場合には、絶縁電線の耐軟
化性が著しく低下してくる欠点を有している。

又、滑り性を出す為に、ある程度以上の皮膜厚を塗布及
び焼き付ける必要があり、コイル占積率が大きくなって
しまう問題点があった。

従って本発明の目的は、上記従来技術の問題点を解決し
、従来の絶縁電線に比較して耐熱性に優れると共に、耐
摩耗性、滑り性等の特性においても同等乃至それ以上の
特性を示し、コイル巻加工性に優れた自己潤滑性を有す
る絶縁電線を提供することである。

（問題点を解決する為の手段） 上記目的は以下の本発明によって達成される。

即ち、本発明は、一般式 ％式％） （式中ｎは１６乃至２０の数値である）で示される長鎖
脂肪族ジオールの単体又は混合物と有機チタネート化合
物の単体又は混合物とを溶剤に溶解及び／又は懸濁して
なる潤滑剤組成物を絶縁電線の絶縁層上に塗布及び焼き
付けてなることを特徴とする自己潤滑性絶縁電線である
。

（作用） 特定の組成の潤滑剤組成物を使用することによって、非
常に薄い潤滑層であっても、従来の絶縁電線に比較して
耐熱性に優れると共に、耐摩耗性、滑り性等の特性にお
いても同等乃至それ以上の特性を示し、コイル巻加工性
に優れた自己潤滑性を有する絶縁電線が提供される。

（好ましい実施態様） 次ぎに好ましい実施態様を挙げて本発明を更に具体的に
説明する。

本発明で使用する長鎖脂肪族ジオールは、炭素数１６乃
至２０の長鎖脂肪族ジオール又はこれらの混合物であり
、炭素数が上記範囲未満の脂肪族ジオールの場合には、
得られる絶縁電線の滑り性の点で不十分であり、一方、
上記範囲を越える炭素数の脂肪族ジオールの場合には、
溶料の溶液安定性の点で不満足である。

この様な長鎖脂肪族ジオールとしては、市場から容易に
入手して使用出来る１例として、炭素数１６の脂肪族ジ
オールと炭素数２０の脂肪族ジオールとの混合物である
ＳＬ　２０　Ｄｉａｌ　（商品名　間材製油製）が挙げ
られる。

本発明で使用する有機チタネート化合物としては、テト
ライソプロピルチタネート、テトラブチルチタネート、
テトラヘキシルチタネート、テトラメチルチタネート、
テトラプロピルチタネート、テトラオクチルチタネート
並びにテトラクレジルチタネート及びこれらの重合体が
挙げられる。

本発明で使用する長鎖脂肪族ジオールと有機チタネート
化合″物との配合比は、長鎖脂肪族ジオール１００重量
部に対して有機チタネート化合物ｌ乃至１１０重量部で
あることが好ましく、有機チタネート化合物が１重量部
未満であると絶縁電線の絶縁破壊電圧が低下し、又、１
１０重量部を越えると滑り性が悪くなる。

上記成分を溶解又は懸濁する為に使用する溶剤の例とし
ては、フェノール性水酸基を有する溶剤、例えば、フェ
ノール、０−クレゾール、ｍ−クレゾール、ｐ−クレゾ
ール、２，３−キシレノール、２，４−キシレノール、
２．５−キシレノール、２．６−キシレノール、３，４
−キシレノール、３，５−キシレノール、ｏ−ｎ−プロ
ピルフェノール、２，４．６−ドリメチルフエノール、
２．３．５−）−リメチルフェノール、２゜４．５−）
リメチルフェノール、４−エチル−２−メチルフェノー
ル、５−エチル−２−メチルフェノール及びこれらの混
合物であるクレゾール酸を用いるのが好ましい。又、希
釈剤として、例えば、脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素
、エーテル類、アセタール類、ケトン類、エステル類等
を用いることが出来る。

脂肪族炭化水素及び芳香族炭化水素としては、例えば、
ｎ−へブタン、ｎ−オクタン、シクロヘキサン、デカリ
ン、ジペンテン、ピネン、ｐ−メンタン、デカン、ドデ
カン、テトラデカン、ベンゼン、トルエン、キシレン、
エチルベンゼン、ジエチルベンゼン、イソプロピルベン
ゼン、アミルベンゼン、ｐ−シメン、テトラリン或はこ
れらの混合物、石油ナフサ、コールタールナフサ、ソル
ベントナフサ等が挙げられる。

本発明で使用する潤滑剤組成物は、上記の長鎖脂肪族ジ
オール、有機チタネート化合物を上記溶剤に単に溶解及
び／又は懸濁させて製造することが出来る。得られる潤
滑剤組成物の固形分濃度及び粘度は任意であるが、固形
分としては約１０乃至２５重量％で、粘度としては約１
０乃至４０ｃＰの範囲が好ましい。

本発明の自己潤滑性絶縁電線は、従来公知の絶縁電線の
絶縁層の上に上記潤滑剤組成物を塗布及び焼き付けるこ
とによって得られる。

使用される絶縁電線の種類は特に限定されず、例えば、
ポリウレタン被覆、ポリエステル被覆、ポリエステルイ
ミド被覆、ポリイミド被覆、ポリアミドイミド被覆等の
いずれの絶縁電線でもよい。

上記絶縁電線上に塗布する潤滑剤組成物の塗布量は、焼
付後の厚みでＯ，１１１ｍ以下でよく、具体的には絶縁
電線の種類及び太さ等によってその都度決定する。好ま
しい範囲は０．００５乃至０．１μｍの範囲である。上
記範囲未満の厚みでは潤滑性が不十分で、一方、上記範
囲を越えるとコイル巻加工性等が不十分になる。

塗布及び焼き付は方法自体は従来公知の方法でよく、例
えば、ダイス絞りやフェルト絞り等の方式で連続的に塗
布し、約３００乃至５００℃の温度で焼き付けることに
よって所望の性能を有する自己潤滑性絶縁電線が得られ
る。

（効　果） 以上の如き本発明によれば、特定の組成の潤滑剤組成物
を使用することによって、非常に薄い潤滑層であっても
、従来の絶縁電線に比較して耐熱性に優れると共に、耐
摩耗性、滑り性等の特性においても同等乃至それ以上の
特性を示し、コイル巻加工性に優れた自己潤滑性を有す
る絶縁電線が提供される。

（実施例） 次ぎに実施例及び比較例を挙げて本発明を更に具体的に
説明する。尚、文中部又は％とあるのは特に断りのない
限り重量基準である。

実施例１ 長鎖脂肪族ジオール（ＳＬ　２０　Ｄｉａｌ）　１００
部を室温にてクレゾール５２３部に溶解懸濁させた後、
テトラブチルチタネートモノマー２部を添加して不揮発
分１６．０％、粘度２０ｃＰの本発明で使用する潤滑剤
組成物を得た。尚、不揮発分及び粘度の測定はＪＩＳ　
　Ｃ２３５１−１９８８の最新版による。

市販ポリエステル絶縁皮膜を有する導体径が０．３２ｍ
ｍの１種ポリエステル絶縁電線（仕上外径０．３６０ｍ
ｍ）上に、上記潤滑剤組成物を焼き付は温度５００℃、
引き取り速度２０ｍ／分の条件下、フェルト絞りにて１
回塗布及び焼き付けて仕上径０．３６０ｍｍの本発明の
自己潤滑性絶縁電線を得た。この自己潤滑性絶縁電線の
仕上り外径は０．００１ｍｍの単位では上記ポリエステ
ル絶縁電線の仕上外径と同一である。

この自己潤滑性絶縁電線について、一方向式摩擦性、絶
縁破壊電圧、耐軟化性、静摩擦係数等を測定した結果を
下記第１表に示した。

尚、一方向式摩擦性、絶縁破壊電圧、耐軟化性の特性試
験は、ＪＩＳ　　Ｃ３００３−１９８４のエナメル銅線
及びエナメルアルミニウム線試験方法による。又、静摩
擦係数の測定は、東洋精機■製の静摩擦係数測定装置に
よる。

実施例２ ＳＬ　２０　Ｄｉａｌ　１００部、クレゾール４７５部
及びテトラブチルチタネートモノマー５０部を用いる他
は実施例１と同じ操作を繰り返し、不揮発分１５．８％
、粘度１９ｃＰの本発明で使用する潤滑剤組成物を得た
。

次いで実施例１と同じ操作により特性試験を行って下記
第１表の結果を得た。

実施例３ ＳＬ　２０　Ｄｉａｌ　１００部、クレゾール４２５部
及びテトラブチルチタネートモノマー１００部を用いる
他は実施例１と同じ操作を繰り返し、不揮発分１６．１
％、粘度２２ｃＰの本発明で使用する潤滑剤組成物を得
た。

次いで実施例１と同じ操作により特性試験を行って下記
第１表の結果を得た。

実施例４ 実施例１の潤滑剤組成物を用いて、市販ポリウレタン絶
縁皮膜を有する導体径が０．３２ｍｍの１種ポリウレタ
ン絶縁電線（仕上外径０．３５０ｍｍ）上に上記組成物
を焼き付は温度３６０℃、引き取り速度２０ｍ／分の条
件下、フェルト絞りにて１回塗布及び焼き付けて仕上径
０．３５０ｍｍの本発明の自己潤滑性絶縁電線を得た。

この自己潤滑性絶縁電線の仕上外径は０．００１ｍｍの
単位では上記ポリウレタン絶縁電線の仕上外径と同一で
ある。

次いで実施例１と同じ操作により特性試験を行って下記
第１表の結果を得た。

比較例１ 上記ポリエステル絶縁電線について、実施例１と同じ操
作により特性試験を行って下記第１表の結果を得た。

比較例２ 上記ポリウレタン絶縁電線について、実施例１と同じ操
作により特性試験を行って下記第１表の結果を得た。

比較例３ ６．６−ナイロン樹脂を混合溶剤（クレゾール／ナフサ
＝７５７２５）に溶解して不揮発分１６．０％、粘度２
，７００ＣＰの比較例の潤滑剤組成物を得た。

市販ポリエステル絶縁皮膜を有する導体径が０．３２ｍ
ｍの１種ポリエステル絶縁電線（仕上外径０．３６０ｍ
ｍ）上に上記組成物を焼き付は温度５００℃、引き取り
速度２０ｍ／分の条件下、ダイス絞りにて１回塗布及び
焼き付けて比較例の自己潤滑性絶縁電線を得た。

次いで実施例１と同じ操作により特性試験を行って下記
第１表の結果を得た。

比較例４ ＳＬ　２０　Ｄｉａｌ　１００部及びクレゾール５２５
部を用い、不揮発分１５．６％、粘度１８ｃＰの比較例
の潤滑剤組成物を得た。この組成物をポリエステル絶縁
電線に塗布及び焼き付けて潤滑層を形成し、特性試験を
実施例１と同様にして行い、下記第１表の結果を得た。

比較例５ １．１２−ドデカンジオール１００部、クレゾール４７
５部及びテトラブチルチタネートモノマー５０部を用い
て、不揮発分１６．０％、粘度１７ｃＰの比較例の潤滑
剤組成物を得た。この組成物をポリエステル絶縁電線に
塗布及び焼き付けて潤滑層を形成し、特性試験を実施例
１と同様にして行い下記第１表の結果を得た。

第１表から明らかな様に、本発明の自己潤滑性絶縁電線
は静摩擦係数が低く耐軟化性に優れていることが分かる
。

（以下余白）

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. （１）一般式 ＨＯ−（ＣＨ＿２）＿ｎ−ＯＨ （式中ｎは１６乃至２０の数値である） で示される長鎖脂肪族ジオールの単体又は混合物と有機
   チタネート化合物の単体又は混合物とを溶剤に溶解及び
   ／又は懸濁してなる潤滑剤組成物を絶縁電線の絶縁層上
   に塗布及び焼き付けてなることを特徴とする自己潤滑性
   絶縁電線。
2. （２）絶縁層上に形成される潤滑層の平均の厚みが０．
   １μｍ以下である請求項１に記載の自己潤滑性絶縁電線
   。