JPH0318825B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ＜産業上の利用分野＞ 本発明は自動車、電車等の車輌、航空機あるい
は家具等の座席シート、特に表皮部材をクツシヨ
ン体の発泡成形と同時にクツシヨン体に被覆した
座席シートの製造方法およびその製造用真空成形
型に関する。

＜従来の技術＞ 発泡成形されたポリウレタンフオームからなる
クツシヨン体に表皮を被覆した座席シートは、従
来、クツシヨン体を予め所定形状に成形すると共
に、織編物、合成皮革等にポリウレタンフオーム
シート及び不織布等の裏布を積層して裁断し、ミ
シン縫により所定形状のクツシヨンカバーを成形
して、前記クツシヨン体にカバーリングして製造
していた。しかしながら、この方法による場合は
縫製工程及びカバーリング工程等の多くの工程が
必要であるため生産性に劣り、コスト高となる欠
点があつた。

このため、表皮を真空成形で座席形状に成形し
た後、ポリウレタンフオームを一体発泡した座席
シートが開発されている。この方法によるとカバ
ーリング等の工程を削減できるが、通気性を有す
る表皮の真空成形が不可能であり、解決手段とし
ては、織編物等の通気性表皮層に非通気性フイル
ム層を接着した表皮部材を真空成形し、次いでク
ツシヨン体と共に一体発泡する方法が提案されて
いる（特公昭54−42297号公報）。しかしながら、
かかるシートにおいても成形後の座席表皮面は依
然として通気性がなく、使用時に発汗して不快感
を与えていた。又、通気性表皮層と非通気性フイ
ルム層との間にポリウレタンフオーム等の通気性
発泡体層を挿入して表皮部材を成形する方法（特
公昭48−2068号公報）もあるが、平坦な表皮部材
を座席形状に真空成形するには伸縮性に富む材料
が必要で、材料選択に制約があると共に伸張され
た表皮部材が強度低下するという欠点があつた。
さらに、織編物表皮層と、ポリウレタンフオーム
等の発泡体層と、非通気性フイルム層とを接着し
ないで単に積層し、真空成形によつて座面部だけ
を被覆する方法（特開昭55−121034号公報）にお
いては、表皮部材の各層の接合強度が十分でない
ため、座面部に凹凸や湾曲のある座席シートには
適用できないものであつた。

＜発明が解決しようとする問題点＞ 以上のことから、本出願人は先に、通気性表皮
層、発泡体層および非通気性フイルム層を積層
し、適宜の箇所を溶着して表皮部材を形成した
後、この表皮材の非通気性フイルム層側にポリウ
レタンフオームを一体発泡してシートを形成する
方法を提案した（特願昭59−112092号）。この方
法によれば、上述した各方法の欠点を除去できる
が、真空成形型に表皮材をセツトする際に表皮材
が所定位置からずれるため、その位置合わせに多
大な時間と労力とを要するという問題点がある。

＜問題点を解決するための手段＞ 本発明は前述した特願昭59−112092号の発明の
問題点を解決し、表皮材を真空成形型の所定位置
に、しかも簡単にセツトすることができる方法お
よびその真空成形型を提供することを目的とす
る。

上記目的を達成するため、本発明は下型にガイ
ド溝を形成した真空成形用型を使用すると共に、
座面部表皮材と周縁部表皮材との間に玉縁を取り
付けて表皮材を形成し、前記ガイド溝内に玉縁を
嵌め込んで表皮材を真空成形型にセツトするよう
にしたことを特徴としている。

＜作用＞ 玉縁を下型のガイド溝内に嵌め込むことによ
り、表皮材は下型に固定されて位置ずれすること
がなくなる。

＜実施例＞ 以下、本発明を添付の図面及び製造工程順に従
つて具体的に説明する。

第１図は本発明に用いる表皮材の内、座面部表
皮材１を示す断面図である。この座面部表皮材１
は通気性表皮層２と発泡体層３と非通気性フイル
ム層４とが積層されており、各層は接着、フレー
ムラミネートあるいは高周波溶着によつて一体化
されている。前記通気性表皮層２としては織編
物、合成皮革等の通気性素材が使用され、又、発
泡体層３には通気性を有するポリウレタンフオー
ムのワデイングが使用される。さらに、前記非通
気性フイルム層４としてはポリ塩化ビニール樹
脂、ポリウレタン樹脂、ナイロン等の合成樹脂か
らなるシート状物が適宜使用される。

この座面部表皮材１はシートの座部形状に裁断
され、第２図のように裁断された座面部表皮材１
の周縁部に玉縁５を介して織物地、編物地あるい
は合成皮革等からなる周縁部表皮材６を取り付
け、袋状の表皮材７を形成する。座面部表皮材１
と玉縁５および周縁部表皮材６の連結は第３図の
ように、縫糸８で縫い付けてもよいが、高周波溶
着によつて行つてもよい。このように形成された
表皮材７は玉縁５が座面部表皮材１の周縁部から
内方に突出しており、次いで、表皮材７にポリウ
レタンフオームからなるクツシヨン材を発泡成形
する。この発泡成形に際しては第４図のように、
表皮材７を裏返し、座面部表皮材１の非通気性フ
イルム層４を最上面に露出させて真空成形型１０
にセツトする。

第５図は発泡成形に使用される真空成形型１０
の下型１１の断面図を、第６図は下型１１の要部
の斜視図を示している。この下型１１は真空室１
２と、この真空室１２に連通する複数の吸引孔１
３，１３…と、開口部１４とが形成されると共
に、その上縁部には上部開口のガイド溝１５が形
成されている。前記表皮材７はこの下型１１上に
セツトされるが、座面表皮材の通気性表皮層２が
下型１１上面に当接するように行われる。そし
て、このセツトの際には、第７図のように座面部
表皮材１の周縁部に沿つた前記玉縁５をガイド溝
１５内に嵌め込むものである。従つて、表皮材７
は玉縁５とガイド溝１５との係合で固定され、位
置ずれすることがなくなる。なお、周縁部表皮材
６は第５図のように下型の外周面に被着させるの
が表皮材の位置決めを良好にする点で好ましい。

このセツトの後、開口部１４から真空室１２内
の空気を吸引すると、真空室１２内が減圧状態と
なり、座面部表皮材１が下型１１の上面に密着し
て、下型１１と同一形状に湾曲する。かかる湾曲
により座面部表皮材１はある程度、伸縮するが材
質に変動を与えるまでの伸張ではなく、このた
め、座面部表皮材１の材料選択に支障をきたすこ
とがない。

次いで、下型１１上から中空状の中型１６を当
接して、その下縁部と下型の上縁部とで表皮材を
押圧し、下型１１上方のノズル１７からポリウレ
タン樹脂の発泡原液１８を表皮材上に注入する。
そして、真空室１２を吸引して下型１１を減圧状
態に維持したままで、中型１６上に上型１９を被
せ、中型１６と上型１９とにより形成される発泡
室２０内で原液を発泡させてポリウレタンフオー
ムからなるクツシヨン体９を形成する。

第１０図は以上のようにして成形され、真空成
形型から取り出された座席シートの斜視図であ
り、表皮材７の下面にクツシヨン体９が一体的に
形成されている。従つて、周縁部表皮材６を下ろ
してクツシヨン体９を被覆することで、座席シー
トが得られる。

＜発明の効果＞ 以上説明した本発明によると、表皮材とクツシ
ヨン体とが一体発泡で形成されるから、縫製やカ
バーリング等の工程が削減でき、生産性が向上す
る。又、表皮材には発泡体層が積層されているた
め通気性が良好であり、表皮材が必要以上に伸張
しないから伸張による強度低下も少ない座席シー
トを得ることができる。

さらには、クツシヨン体の発泡成形の際に玉縁
と下型のガイド溝とが係合して位置決めされるか
ら、表皮材が位置ずれすることなく、発泡が良好
に行われ、不良率を低減させることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は座面部表皮材の断面図、第２図は表皮
材の斜視図、第３図はその拡大断面図、第４図は
裏返した状態の表皮材の斜視図、第５図は下型の
断面図、第６図はその要部の斜視図、第７図は第
５図のＡ矢視拡大断面図、第８図、ないし第１１
図は製造工程を示す断面図および斜視図である。 １……座面部表皮材、２……通気性表皮層、３
……発泡体層、４……非通気性フイルム層、５…
…玉縁、６……周縁部表皮材、７……表皮材、９
……クツシヨン体、１０……真空成形型、１１…
…下型、１５……ガイド溝。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 通気性表皮層、発泡体層および非通気性フイ
   ルム層を積層して座面部表皮材を形成する工程
   と、この座面部表皮材の周縁部に玉縁を介して周
   縁部表皮材を取り付けて袋状の表皮材を形成する
   工程と、この袋状の表皮材を裏返したのち前記玉
   縁を真空成形用下型のガイド溝内に嵌め込みなが
   ら座面部表皮材の通気性表皮層を下型に当接させ
   るようにセツトする工程と、前記真空成形用下型
   を減圧して座面部表皮材を下型に密着させたのち
   該表皮材上方から発泡原液を注入して発泡成形す
   る工程とからなることを特徴とする座席シートの
   製造方法。 ２ 座面部表皮材とこの表皮材の周縁部に連結さ
   れた周縁部表皮材との間に取り付けられる玉縁が
   嵌め込まれるガイド溝が、下型の上縁部に形成さ
   れていることを特徴とする座席シートの製造用真
   空成形型。