JPH0314275Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 産業上の利用分野 本考案は非回転工具の位置決めホルダーに関す
るものであり、更に詳しくは、数値制御工作機
械、例えばマシニングセンタの主軸に取付けられ
たスロツテイング加工用バイトを該マシニングセ
ンタの主軸頭に対して正確に位置決めされた状態
で停止させるための位置決めホルダーに関するも
のである。

従来の技術 マシニングセンタで代表される数値制御工作機
械の主軸には、ワークに施すべき加工の種類に応
じてドリル、リーマ、タツプあるいは平フライス
やエンドミル等の回転工具のほか、スロツテイン
グ加工用のバイトのような非回転工具が取付けら
れる。これらの回転工具や非回転工具は、ワーク
の加工プログラムに従つて数値制御工作機械に付
設された工具マガジンから呼出され、公知の自動
工具交換装置（ATC）によつて主軸へ供給され
る。主軸と自動工具交換装置との間で正確な工具
交換動作を実行するため、自動工具交換装置の工
具支持アームには、流体圧シリンダ機構やステツ
プモータ等からなる駆動装置ならびに作動位置の
制御装置が設けられており、これに対応して数値
制御工作機械の本体には、工具交換時に主軸を主
軸頭に対して位置決めした状態で所定位置に停止
させるための位置制御装置が付設されている。

考案が解決しようとする問題点 前記数値制御工作機械の本体に付設されている
在来の主軸停止位置制御装置を使用することによ
つてワークの加工開始位置が工具交換時に於ける
工具とワークとの相対位置のずれによつて殆ど影
響を受けない回転工具を使用する場合には、ワー
クの寸法精度を実用上満足し得る水準に維持する
ことができるが、例えば軸状ワークの表面にキイ
溝やセレーシヨンを形成する目的でスロツテイン
グ加工用のバイトのような非回転工具を使用する
場合には、上記主軸停止位置制御装置だけでは充
分な精度が保証されず主軸の停止位置が各工作機
械によつて若干バラツキを有し、工具を各工作機
械に共用する場合に支障となつている。

本考案の主要な目的は、在来の主軸停止位置制
御装置に認められている上記の如き問題を解消し
得る非回転工具の位置決めホルダーを提供するこ
とにある。

本考案の第２の主要な目的は、工作機械の機台
差に起因する主軸の停止位置と位置決めブロツク
配設位置とのズレを回転方向の自由度によつて吸
収し得るように構成された非回転工具の位置決め
ホルダーを提供することにある。

本考案の第３の主要な目的は、全体構造が極め
て簡易で、且つ、位置決め動作の精度が経時変化
する惧れのない、作動の安定性と保守管理の容易
性とを兼ね備えた非回転工具の位置決めホルダー
を提供することにある。

問題点を解決するための手段 上記目的を達成するため、本考案は、主軸定位
置停止機能を有する工作機械の主軸に設けられた
テーパー孔内に一定の回転方向位置関係を保つて
嵌まり込むテーパースリーブと、先端に非回転工
具の取付孔を有する工具保持部材と、工具保持部
材に一体に設けられ、主軸への挿入に関連して主
軸頭の端面に形成された位置決め用の嵌入孔に嵌
入して工具保持部材の回転方向位置を位置決めす
るスライドピンを有する位置決めリングとを備え
た非回転工具の位置決めホルダーにおいて、上記
テーパースリーブと工具保持部材との軸方向対向
端面に、常時嵌合関係を保持するピンとこのピン
より僅かに大きい嵌入孔とを設け、このピンと嵌
入孔との径差分だけ、上記テーパースリーブと工
具保持部材とを、中心軸線回りで相対回転可能に
連結したものである。

作 用 主軸の定位置停止位置と主軸頭の端面の位置決
め用の嵌入孔との回転方向位置関係が各工作機械
によつて若干バラツキがあり、このようなバラツ
キに対して、工具は各工作機械に共用されるた
め、テーパースリーブと工具保持部材とを完全に
固定してしまうと、上記バラツキに対処できない
不具合があるが、これらテーパースリーブと工具
保持部材とを回転方向に若干量だけ相対回転可能
に連結しておくことによつて、上記バラツキを吸
収させることができる。また、自動工具交換アー
ムの施回停止位置と、主軸の定位置停止位置との
位置関係も、各工作機械で若干バラツキがある
が、このバラツキも吸収させることができる。

実施例 第１図は本考案装置の全体構造を例示する縦断
面図である。図示するように工具ホルダー７は、
数値制御工作機械、例えば横形マシニングセンタ
の主軸１に設けられたテーパー孔２内に嵌まり込
むテーパースリーブ３と、先端に非回転工具、例
えばキイ溝加工用のバイト４の固定ロツド１４の
取付孔５を有する工具保持部材６から構成されて
いる。テーパースリーブ３の内部には、常法に従
つてプルスタツド１５が加圧スプリング１６を介
して軸線方向に沿つてスライド自在に配置されて
いる。一方、工具保持部材６の内端には、前記プ
ルスタツド１５の外端に形成された雄ネジと螺合
するナツト１７の収納くぼみ１８が設けられてお
り、これに対応して前記プルスタツド１５の段状
をなす外端には、間隔Ｌの調整用カラー１９を締
付けるための円盤状のブツシユ２０が、前記ナツ
ト１７によつて締付けられた状態で固着されてい
る。工具保持部材６とブツシユ２０とは、締付け
ボルト２１によつて一体構造に結合されており、
またブツシユ２０とテーパースリーブ３との間に
は、ブツシユ２０に基端部を固着された状態で主
軸１の軸線方向に突出しているピン２２の先端
を、テーパースリーブ３の端面に穿設され前記ピ
ン２２よりも稍大きな直径を有する嵌入孔２３内
に緩やかに嵌め込むことによつて、両者の間に円
周方向に沿う相対回転を許容する相対移動機構が
形成されている。また、工具保持部材６には、締
付けボルト２４を介して位置決めリング８が固着
されており、該位置決めリングから半径方向に突
出するアーム９の先端には、前記主軸１と軸線方
向を一致せしめてスプリング１０によつて突出方
向に押圧付勢されるスライドピン１１が前進・後
退自在に装着されている。これに対応してスライ
ドピン１１の先端と対向する主軸頭１２の端面に
は、前記スライドピン１１の嵌入孔１３を穿設さ
れた位置決めブロツク２５が取付けられている。
スライドピン１１と嵌入孔１３は、該嵌入孔内に
嵌まり込んだスライドピン１１に実質上がたつき
が生じないようにその嵌合公差を設定する必要が
あり、これによつてスプリング１０の押し込み力
によつて該嵌入孔１３内に嵌め込まれたスライド
ピン１１は、主軸頭１２に対してミクロンオーダ
ーの寸法精度を維持して正確に位置決めされる。
非回転工具４の位置決め精度を向上させるため、
スライドピン１１の直径よりも嵌入孔１３の直径
を１／100mm乃至３／100mm程度大きくしたり、或
いは、スライドピン１１をテーパーピンとし、嵌
入孔１３の内壁もテーパー孔としてもよく、さら
に、嵌入孔１３は、位置決めブロツク２５を省略
して主軸頭１２の端面に直接形成してもよい。

本考案の位置決めホルダーは以上の構成からな
り、次に、主軸１への装着時の動作を説明する。

主軸１に非回転工具４のホルダー７を装着する
とき、主軸１は数値制御工作機械の主軸定位置停
止機能によつて、定位置に停止せしめられてい
る。一方、非回転工具４は、工具マガジンから自
動工具交換装置の施回アームにより取り出されて
主軸１の工具交換位置へ施回せしめられ、この位
置でテーパースリーブ３を主軸１のテーパー孔２
内に挿入する。このとき、スライドピン１１と主
軸頭１２の端面の嵌入孔１３との回転方向位置が
若干ずれている場合、スライドピン１１が嵌入孔
１３にガイドされつつ僅かに回転して嵌合する。
これは、テーパースリーブ３に対して、円盤状ブ
ツシユ２０、工具保持部材６及び位置決めリング
８が一体的に、ピン２２と嵌入孔２３との径差分
だけ回転可能としてあるからである。

上記構成は、主軸１と自動工具交換装置の施回
アームとの位置関係にずれががある場合にも、こ
れを吸収するように利用することができる。

考案の効果 本考案によれば、主軸の定位置停止位置と主軸
頭の端面の位置決め用の嵌入孔との回転方向位置
関係が各工作機械によつて若干バラツキがあつて
も、これを吸収して非回転工具の位置決めホルダ
ーを各工作機械に共用することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案装置の全体構造を例示する縦断
面図である。 １……工作機械の主軸、２……テーパー孔、３
……テーパースリーブ、４……非回転工具、５…
…工具取付孔、６……工具保持部材、７……工具
ホルダー、８……位置決めリング、９……アー
ム、１０……スプリング、１１……スライドピ
ン、１２……主軸頭、１３……スライドピンの嵌
入孔、Ｌ……テーパースリーブと工具保持部材と
の間隔。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 主軸定位置停止機能を有する工作機械の主軸に
   設けられたテーパー孔内に一定の回転方向位置関
   係を保つて嵌まり込むテーパースリーブと、先端
   に非回転工具の取付孔を有する工具保持部材と、
   工具保持部材に一体に設けられ、主軸への挿入に
   関連して主軸頭の端面に形成された位置決め用の
   嵌入孔に嵌入して工具保持部材の回転方向位置を
   位置決めするスライドピンを有する位置決めリン
   グとを備えた非回転工具の位置決めホルダーにお
   いて、上記テーパースリーブと工具保持部材との
   軸方向対向端面に、常時嵌合関係を保持するピン
   とこのピンより僅かに大きい嵌入孔とを設け、こ
   のピンと嵌入孔との径差分だけ、上記テーパース
   リーブと工具保持部材とを、中心軸線回りで相対
   回転可能に連結したことを特徴とする非回転工具
   の位置決めホルダー。