JPH0313652Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は逆止め弁に関し、特にゴム状弾性体製
の傘形の弁体を有するものに関する。

（従来の技術） 従来この種の逆止め弁としては、たとえば第４
図に示すようなものがある。すなわち１００はハ
ウジングであり、内部の流路は仕切壁１０１によ
つて仕切られて第１流体室Ａ、第２流体室Ｂに区
画されている。一方１０２はゴム状弾性体製の傘
型シールで、頭部の傘形の弁体１０３、および弁
体１０３に連結される軸部１０４から成り、軸部
１０４が仕切壁１０１に設けた取付孔１０５に嵌
挿されている。仕切壁１０１の取付孔１０５周囲
には第１、第２流体室Ａ，Ｂを連通する細孔１０
６が穿設されて弁座１０７に開口しており、弁座
１０７に圧接される弁体１０３によつて閉塞され
ている。すなわち軸部１０４には抜け止め用の係
止部１０８が設けられており、上記弁座１０７に
弁体１０３を圧接させた状態で係止している。こ
のような構成の逆止め弁にあつては第１流体室Ａ
の圧力が第２流体室Ｂの圧力よりも大きくなつて
設定圧力に達すると弁体１０３が上方に撓んで弁
座１０７との間に〓間が開き、第１流体室Ａの圧
力が第２流体室Ｂ側に解放される。一方第１流体
室Ａの圧力が低下して設定圧力以下になると弁体
１０３が閉じて流体の逆流を防止している。

（考案が解決しようとする問題点） しかし斯かる従来例の場合には、弁体１０３が
通常ゴム材料で成形されているために粘着性を有
し、弁体１０３が長期間弁座１０７に圧接状態と
なつていると弁体１０３が弁座１０７に粘着して
両者間の粘着力によつて開弁圧が設定値よりも大
きくなつてしまうという問題があつた。そのため
に、所定の開弁圧で逆止め弁が作動しないことに
なり、流体圧で制御される各種制御装置の制御が
正確になされないという問題が生じる。

本考案は上記従来技術の問題点を解決するため
になされたもので、その目的とするところは、閉
弁時における弁体と弁座間の粘着力を可及的に低
減し得る逆止め弁を提供し、もつて開弁圧の変動
を防止することにある。

（問題点を解決するための手段） 上記目的を達成するために、本考案に係る逆止
め弁は、流体の流路を仕切る仕切壁に設けた取付
孔に取付けられる軸部と、該軸部に連結され、上
記取付孔周縁に設けた弁座に全面的に密接して開
口する上記仕切壁に穿設された細孔を閉塞する可
撓性の弁体とを備えた逆止め弁であつて、前記弁
座の弁体外径よりも内側の領域のうち、前記細孔
周縁を弁体が密接する着座領域とし、該着座領域
以外の領域に弁体が非接触となる凹部を形成した
ものから成つている。

（作 用） 本考案にあつては、弁座に凹部を設けたから、
弁体の着座時における弁体と弁座間の接触面積が
小さく、粘着した場合にも粘着力は小さくなる。

（実施例） 以下に本考案を図示の実施例に基づいて説明す
る。本考案の一実施例に係る逆止め弁を示す第１
図乃至第３図において、１は傘形の弁体２と軸部
３とから成る傘形シールで、ゴム状弾性体により
一体成形されている。この傘形シール１はハウジ
ング４内部の流路を第１、第２流体室A′，B′に
区分する仕切壁５に取付けられている。すなわち
仕切壁５に穿設された取付孔６に軸部３が挿通さ
れ、軸部３中途部には上記仕切壁５に係止する抜
け止め用の係止部７が設けられている。係止部７
は先端部の一部を膨出させて形成されている。

上記傘形シール１について詳述すると、軸部３
の基部から半径方向外方に全周にわたつて膨出す
る舌片によつて形成され、舌片は下向きに傾斜す
るテーパ形状となつて略傘形を呈している。弁体
２は第１流体室A′側の流体圧が第２流体室B′側
の流体圧よりも高い場合には弁体２上面に加えら
れる背圧により取付孔６周囲に設けた弁座８に圧
接される。仕切壁５の取付孔６周囲には第１流体
室A′と第２流体室B′とを連通させる細孔９が穿
設されており弁座８に開口している。

上記弁座８には第２図および第３図に示すよう
に細孔９開口部周縁以外の領域に凹部１０が設け
られている。すなわち細孔９は取付孔６の周囲に
所定間隔で４箇所に対称的に設けられており、各
細孔９の間に凹部１０が設けられ、弁座８の着座
領域ｃの形状は取付孔６周縁から各細孔９周縁部
に延びる略十字形状となつている。凹部１０の角
部は直角に形成されており弁体２が圧接された際
の密封性を高めている。上記凹部１０は少なくと
も細孔９開口部周縁を残すように設ければよく、、
凹部１０の形状は任意である。また細孔９の数お
よび配置は任意である。

上記構成の逆止め弁にあつては、第１流体室
A′の圧力が第２流体室B′の圧力よりも低い場合
には弁体２が圧力によつて撓んで弁座８に圧接さ
れて細孔９開口部が閉塞される。弁体２の弁座８
との接触面積は凹部１０を設けた分だけ小さく、
長期間圧接されている場合においても弁座８との
粘着力は小さい。また弁座８の着座領域ｃが狭い
ので弁体２と弁座８間の接触面圧が高く、良好な
シール性能が保持される。

一方第１流体室A′の圧力が第２流体室B′の圧
力よりも高くなると、弁体２が第２流体室B′側
に撓んで細孔９開口部が開き、第１流体室A′か
ら第２流体室らB′に細孔９を通じて流体が流出
して第１流体室A′の圧力が解放され、さらに第
１流体室A′の圧力が設定圧力まで降下すると再
び弁体２が着座して細孔９開口部が閉塞される。
弁体２が長期間にわたつて、弁座８に圧接されて
弁体２が弁座８に粘着しても弁体２と弁座８の接
触面積は凹部１０を設けた分だけ小さくなつてい
るので、粘着力は小さく開弁圧の増大は低減され
る （考案の効果） 本考案は以上の構成および作用から成るもの
で、弁座の細孔開口部周縁の着座領域以外の領域
に凹部を形成したので、弁体着座時における弁体
と弁座間の接触面積が小さく、長期間接触に起因
する弁体と弁座間の粘着力は可及的に低減され、
開弁圧の増大を防止することができ、逆止め弁の
信頼性が高まるという効果が得られる。また、凹
部を弁座側に設けたので、弁体には何等加工をす
る必要はなく、弁体の所定の開閉特性を維持する
ことができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例に係る逆止め弁の縦
断面図、第２図は第１図の装置の弁座部の平面
図、第３図は第２図の−線断面図、第４図は
従来の逆止め弁の縦断面図である。 符号の説明 ２…弁体、３…軸部、５…仕切壁、６…取付
孔、８…弁座、９…細孔、１０…凹部、A′…第
１流体室、B′…第２流体室、ｃ…着座領域。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 流体の流路を仕切る仕切壁に設けた取付孔に取
   付けられる軸部と、該軸部に連結され、上記取付
   孔周縁に設けた弁座に全面的に密接して弁座に開
   口する上記仕切壁に穿設された細孔を閉塞する可
   撓性の弁体とを備えた逆止め弁において、 前記弁座の弁体外径よりも内側の領域のうち、
   前記細孔周縁を弁体が密接する着座領域とし、該
   着座領域以外の領域に弁体が非接触となる凹部を
   形成したことを特徴とする逆止め弁。