JPH0313377Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 産業上の利用分野 本考案はシート、特に車両用シートのヘツドレ
ストの支持構造に関する。

従来の技術 従来のシートにおけるヘツドレスト支持構造の
一例を、第７図〜第９図に基いて説明する。シー
ト２はシートクツシヨン４とシートバツク６から
構成されており、シートバツク６にはヘツドレス
ト８が取付けられ、ヘツドレスト８にはヘツドレ
ストステー１０が一体に結合されている。シート
バツク６にはシートバツクのフレーム１２が内蔵
されており、同フレーム１２にコ字状の断面をし
たヘツドレストブラケツト１４が固定され、同ブ
ラケツト１４にはヘツドレストガイド１６がガタ
のない状態で組込まれている。ガイド１６の内部
には、上述のヘツドレストステー１０が嵌合され
密着しており、ガイド１６がヘツドレスト８を支
えている。よつて、ヘツドレスト８は、ガイド１
６さらにブラケツト１４を介してフレーム１２に
結合されていることになる。即ち、ヘツドレスト
８はシートバツク６に対して剛結合されている。
なお、第９図に示すように、ヘツドレスト８はヘ
ツドレストステー１０を二本有しており、また、
ヘツドレストガイド１６およびヘツドレストブラ
ケツト１４は各２組フレーム１２に取付けられて
いる。

考案が解決しようとする問題点 上述のシート２が車両などのように振動するも
のに取付けられている場合、例えば、自動車の場
合、車体（フロア９）の振動がシート２に伝わ
り、シートバツク６が振動し、ヘツドレスト８も
前後方向に振動する。特に、シートバツク６の振
動数がヘツドレスト８の固有振動数と一致すると
きは、ヘツドレスト８が共振し、大きく振れる。
このため、シートに座つている人は不快な振動を
体に感じるし、人が座つてないシートは、ヘツド
レスト８およびシートバツク６が振動して前後に
振れるので他のシートに座つている人が見ると不
愉快な感じをうける不具合がある。

さらに、ヘツドレスト８は上述したように、ヘ
ツドレストステー１０を二本有しており、他方、
ヘツドレストガイド１６およびヘツドレストブラ
ケツト１４は各２組フレーム１２に取付けられて
いるが、これらは製作誤差により、寸法・精度が
若干くるうことがあり（とくに、ヘツドレストガ
イドの平行度の精度がだしにくい）、このときヘ
ツドレストステー１０をガイド１６に取付けるの
が困難なことがある。即ち、ヘツドレストの組付
性が悪い不具合がある。

問題点を解決するための手段 本考案は上記不具合を解消するために創案され
たもので、シートのシートバツクフレームに設け
られ、互いに相対向して延びる上片部と下片部と
を有する断面コ字形状に形成したヘツドレストブ
ラケツト、および上記上下両片部に穿設した上孔
と下孔とに貫通して支持され、ヘツドレストステ
ー嵌入用の挿入孔と同挿入孔下端を閉塞する底部
とを有する筒状形状のヘツドレストガイドを具備
したものにおいて、上記ヘツドレストガイドを上
記シートの前後方向に傾動可能にすべく、上記上
下両孔のうち少なくともいずれか一方の孔と上記
ヘツドレストガイドとの間に空隙部を形成し、同
空隙部を有する上記上片部または上記下片部に、
上記ヘツドレストガイドを常時後方向に傾動変位
させるべく付勢する弾性部材を設け、さらに同弾
性部材は、上記シートの幅方向に沿つて上記空隙
部に横架せしめ、かつその両端を上記上片部また
は上記下片部に係止してなることを特徴とするヘ
ツドレストの支持構造を要旨とするものである。

作 用 本考案によれば、ヘツドレストガイドはヘツド
レストブラケツトに弾性部材によりシートの前後
方向には傾動できるように弾性支持されている。
ヘツドレストガイドにはヘツドレストステーが内
部に嵌挿支持されており、ヘツドレストステーと
ヘツドレストは一体に結合されているので、ヘツ
ドレストはヘツドレストステー及びヘツドレスト
ガイドを介してヘツドレストブラケツト即ちシー
トバツク用フレームに弾性支持されていることに
なる。

実施例 以下、本考案の第１実施例を第１図〜第４図お
よび第７図に基いて説明する。なお、従来の構造
と同一あるいは均等な部分は従来の構造と同一符
号を付して説明は省略する。

１４ａは、コ字状の断面をしたヘツドレストブ
ラケツトであり、シートバツク６のフレーム１２
に固定されており、上片部１９には貫通孔２０、
下片部２１には孔２０の内径よりは小さく後述の
ヘツドレストガイド１６ａの筒状部の外径よりは
径の大きい貫通孔２２が穿設されている。１６ａ
は、樹脂製のヘツドレストガイドであり、中央部
は筒状であり上記孔２０，２２を貫通しており、
下端部はブラケツト１４ａの下片部２１に係止さ
れ、上端部はシートバツク６（第１図の二点鎖
線）の上面に係止されている。孔２０及び孔２２
の孔の後端縁（シートクツシヨン４の反対側の端
縁）が、第３図に示すように、上片部１９および
下片部２１にほぼ直角の同一直線上にくるよう
に、孔２０と孔２２は穿設されている。また、孔
２０の内径はガイド１６ａの筒状部の外径より大
きいので、ガイド１６ａを孔２０および孔２２に
挿入した場合、孔２０の前方（シートクツシヨン
４の側）に空隙部Ａができる。ブラケツト１４ａ
の上片部１９の上面には、スプリング２４が、孔
２０の空隙部Ａを横架して、シートの幅方向に配
設係止されており、同スプリング２４はガイド１
６ａの筒状部を通性力により後方（シートクツシ
ヨン４の反対側）へ付勢して、孔２０の後端縁に
押付けている。即ち、ガイド１６ａはブラケツト
１４ａに対して弾性支持されている。なお、スプ
リング２４は第４図に示すように、両端部でブラ
ケツト１４ａの上片部１９に係止されている。ヘ
ツドレスト８のヘツドレストステー１０は、ガイ
ド１６ａに嵌挿されると共に、ガイド１６ａで支
持されている。

孔２２の内径はガイド１６ａの筒状部の外径よ
り若干大きい程度であるので、孔２２を支点とし
てガイド１６ａ、即ちヘツドレスト８を、前方
（シートクツシヨン側）へ、スプリング２４の付
勢力に抗して傾けることができる。従つて、ヘツ
ドレスト８は前後方向へ傾動可能なので、スプリ
ング２４の有するばね定数を、ヘツドレスト８、
ステー１０およびガイド１６ａの重量を考慮して
変えることにより、ヘツドレスト８の固有振動数
（共振振動数）を自由に設定することができる。

以上述べた構造が組込まれたシート２が自動車
のフロア（車体）９に取付いている場合、フロア
９の振動がシートクツシヨン４に入り、シートバ
ツク６が前後方向に振動し、ヘツドレスト８も振
動を受けるが、ヘツドレスト８の固有振動数をフ
ロアの振動数、およびシートバツクの振動数から
はずれるように設定することができる。このた
め、ヘツドレスト８は共振しない効果を奏する。
さらに、ヘツドレスト８は弾性支持されているの
で、シートバツク６の前後方向振動に対してダイ
ナミツクダンパーとして働かせることができ、シ
ートバツク６の振動も低減させる効果を有してい
る。

また、製作誤差により、ヘツドレストステー１
０の二本の脚の精度が若干狂つても、また、ヘツ
ドレストブラケツト１４ａのフレーム１２への取
付精度が若干ずれていても、ヘツドレストガイド
１６ａがブラケツト１４ａに対して弾性支持、即
ち、前後方向に傾動可能な支持のため、ステー１
０をガイド１６ａに容易に組付けることができ
る。即ち、ヘツドレスト８のシートバツク６への
取付性、組付性は容易である効果がある。

なお、ガイド１６ａの筒状部は、孔２０の後方
の縁に当接している（第４図参照）ので、ヘツド
レスト８はさらに後方へ傾くことはない。従つ
て、自動車のシートとして用いられ、人が座つて
いる場合、追突されてもヘツドレスト８はシート
バツク６と一体的に動く（変形する）ので、座つ
ている人がむち打ち症になる恐れはない。

上述の第１実施例では、ブラケツト１４ａの上
片部１９の孔２０と下片部２１の孔２２は、孔の
後端縁がそろつている場合（前述）であるが、内
径の大きい孔２０と内径の小さい孔２２を同心的
に穿設してもよい。この場合は、ガイド１６ａは
第１実施例より若干後方へ傾いた状態となる。

第５図に示す第２実施例は、第１実施例の変形
例であり、ヘツドレストブラケツト１４ｂの上片
部１９ｂにヘツドレストガイド１６ｂの筒状部の
外径より大きい径の孔２０ｂを穿設し、同２０ｂ
より径の大きい孔２２ｂを下片部２１ｂに設け、
ヘツドレストガイド１６ｂを貫通させたものであ
る。この場合、孔２２ｂのガイド１６ｂの後方部
分に空隙部Ｂができるので（又は、空隙部ができ
るように）、この空隙部Ｂにスプリング２４ｂを
横架してシートの幅方向に配設し、ガイド１６ｂ
を付勢するように下片部２１ｂに係止している。
即ち、スプリング２４ｂはガイド１６ｂの筒状部
を前方（シートクツシヨン側）へ付勢して孔２２
ｂの前端縁に押付けている。このため、ガイド１
６ｂは後方へ傾き、ガイド１６ｂの筒状部は孔２
０ｂに対しては、同２０ｂの孔の後端縁に当接す
る。従つて、ガイド１６ｂはブラケツト１４ｂに
対して弾性支持されている。よつて、第２実施例
も第１実施例と同様な効果を奏する。

第６図に示す第３実施例は、第１実施例の変形
例であり、ヘツドレストブラケツト１４ｃの上片
部１９ｃと下片部２１ｃに、ヘツドレストガイド
１６ｃの筒状部の外径より大きく、同径の孔２０
ｃと２２ｃを穿設して、ヘツドレストガイド１６
ｃを貫通させたものである。孔２０ｃ、孔２２ｃ
の内径はガイド１６ｃの筒状部の外径より大きい
ので、孔２０ｃの方は、孔２０ｃのガイド１６ｃ
の前部へ空隙部ができるように、スプリング２４
ｃをシートの幅方向に配設し、ガイド１６ｃを付
勢して上片部１９ｃに係止している。即ち、スプ
リング２４ｃはガイド１６ｃの筒状部を後方へ付
勢して、孔２０ｃの後端縁に押付けている。孔２
２ｃの方は、孔２２ｃの後部へ空隙部ができるよ
うにスプリング２５ｃをシートの幅方向に配設
し、ガイド１６ｃを付勢して下片部２１ｃに係止
している。即ち、スプリング２５ｃはガイド１６
ｃの筒状部を前方へ付勢して、孔２２ｃの前端縁
に押付けている。このため、ガイド１６ｃは後方
へ傾き、また、ガイド１６ｃはブラケツト１４ｃ
に対して弾性支持されている。よつて、第３実施
例も第１実施例と同様な効果を奏する。

上記実施例では、ヘツドレストガイドを付勢す
るスプリングは、ヘツドレストブラケツトの上片
部あるいは下片部の上面に設けられているが、下
面でもよく、また、上面および下面の両方に複数
個設けてもさしつかえない。

さらに、上記スプリングの替りに弾力性のある
ゴム又はプラスチツクなどでもさしつかえない。

また、上記実施例では空隙部はヘツドレストガ
イドの片側にのみ形成されていたが、同ガイドの
両側に空隙部が形成されるように、同ガイドを両
側より弾性部材で支持してもよい。

さらに、上記ガイドを空隙部のない側より弾性
部材で引張り、同ガイドを通性支持してもよい。
また、空隙部のある側とない側の両側より弾性部
材で保持してもさしつかえない。

考案の効果 以上、実施例と共に具体的に説明したように、
本考案によれば、ヘツドレストガイドがヘツドレ
ストブラケツトに対して（シートの）前後方向に
傾動できるように弾性支持されているので、ヘツ
ドレストガイドに嵌挿支持されているヘツドレス
トが、シートからの振動により共振するのを防ぐ
ことができる効果を奏する。また、ヘツドレスト
がダイナミツクダンパーの働きをするので、シー
トの取付けられている構造体例えばフロアからの
振動によるシートバツクの前後方向振動を低減で
きる効果もある。さらに、製作誤差により、ヘツ
ドレストステーの寸法公差、あるいはヘツドレス
トブラケツトのフレームへの取付精度がばらつい
ていても、上述のようにヘツドレストガイドが弾
性支持されているので、ヘツドレストのシートバ
ツクへの取付性・組込性あるいはヘツドレストの
操作性は容易である効果も有している。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の第１実施例における部分断面
図、第２図は本考案の第１実施例における部分拡
大斜視図、第３図は第２図の−線に沿う部分
断面図、第４図は第１図の−線に沿う拡大さ
れた部分断面図、第５図は本考案の第２実施例に
おける第３図相当の部分断面図、第６図は本考案
の第３実施例における第３図相当の部分断面図、
第７図はシートの概略側面図、第８図は従来のヘ
ツドレスト支持構造を示す部分断面図、第９図は
従来のヘツドレスト支持構造の分解斜視図であ
る。 ２……シート、６……シートバツク、８……ヘ
ツドレスト、１０……ヘツドレストステー、１２
……シートバツクのフレーム、１４，１４ａ，１
４ｂ，１４ｃ……ヘツドレストブラケツト、１
６，１６ａ，１６ｂ，１６ｃ……ヘツドレストガ
イド、２４，２４ｂ，２４ｃ，２５ｃ……スプリ
ング（弾性部材）、Ａ，Ｂ……空隙部。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. シートのシートバツクフレームに設けられ、互
   いに相対向して延びる上片部と下片部とを有する
   断面コ字形状に形成したヘツドレストブラケツ
   ト、および上記上下両片部に穿設した上孔と下孔
   とに貫通して支持され、ヘツドレストステー嵌入
   用の挿入孔と同挿入孔下端を閉塞する底部とを有
   する筒状形状のヘツドレストガイドを具備したも
   のにおいて、上記ヘツドレストガイドを上記シー
   トの前後方向に傾動可能にすべく、上記上下両孔
   のうち少なくともいずれか一方の孔と上記ヘツド
   レストガイドとの間に空隙部を形成し、同空隙部
   を有する上記上片部または上記下片部に、上記ヘ
   ツドレストガイドを常時後方向に傾動変位させる
   べく付勢する弾性部材を設け、さらに同弾性部材
   は、上記シートの幅方向に沿つて上記空隙部に横
   架せしめ、かつその両端を上記上片部または上記
   下片部に係止してなることを特徴とするヘツドレ
   ストの支持構造。