JPH028955Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） この考案は、船舶に搭載されるデツキクレーン
の格納装置に関する。

（従来の技術） 従来、船舶に搭載されるデツキクレーンのジブ
及びフツクの格納は、ジブとフツク各々にワイヤ
ーロープ等を巻き付け、ターンバツクルで締め付
けることにより格納台に固縛してある。

（考案が解決しようとする問題点） しかし、従来のような格納手段であると、固縛
作業または固縛解除作業に多くの人手と時間を必
要とするほか、高所での作業であるため絶えず危
険が伴ない安全上非常に問題がある。

また航海中も船体の動揺による緩みを防ぐため
増締め等の保守点検をする必要がある。

特に近年の船舶は、高度自動化により可能な限
り省人化される傾向があり、デツキクレーンの格
納作業もより少ない人数で容易かつ短時間で確実
かつ安全に行うことが急務とされていた。

（問題点を解決するための手段） この考案は、以上の問題点に鑑み案出されたも
ので、デツキクレーンの格納作業の省人化を図る
と共に、格納作業をより容易かつ確実かつ安全に
短時間で行うことができ、構造も簡素なデツキク
レーンの格納装置を提供することを目的とする。

この出願に係る考案のデツキクレーンの格納装
置は、クレーン本体のフツク巻上げ力を利用し
て、格納台上に載置したクレーンのジブ先端をロ
ツク機構にて固定すると共に、クレーンのワイヤ
ーロープ先端のフツクを固縛ロープにて固縛する
デツキクレーンの格納装置であつて、ジブ先端に
設けてある固縛ピンを係止する固縛フツクを、格
納台近傍に枢着し、該固縛フツクを上下に回動す
る油圧シリンダを固縛フツク下方に配設し、該油
圧シリンダの下方に圧縮バネを配設すると共に、
先端がフツクに掛けられ、他端が上甲板等に固定
元付けされた固縛ロープを、前記油圧シリンダに
取付けられ、該油圧シリンダと連動して上下動す
る滑車に掛けてなることを特徴としており、かか
る構成によつて前記目的を達成するものである。

（実施例） 以下、この考案を図面に示す実施例に基いて説
明する。

デツキクレーンは、ジブ１、ワイヤーロープ２
およびフツク３からなり、格納台８上に載置され
たジブ１先端には固縛ピン９が取付けられてい
る。

格納台８近傍には前記固縛ピン９を係止する固
縛フツク５が枢着されており、該固縛フツク５の
鉛直下方には固縛フツク５を上下に回動する油圧
シリンダ６が配設されている。この油圧シリンダ
６の下方には圧縮バネ７が配置されており、油圧
シリンダ６を上方へ押上げる作用をなしている。

また、デツキクレーンのワイヤーロープ２の先
端に取付けられたフツク３を固縛する固縛ロープ
４は、先端が円環状に形成されてフツク３に掛け
られ、他端が上甲板等に固定元付けされ、中間が
複数の滑車１０，１１に掛けられている。

滑車の内の一つ１１は、前記油圧シリンダ６に
取付けられており、固縛フツク５が固縛ピン９に
係止されるまで（又は固縛ピン９から外れる際）、
クレーンのフツク３の巻上げ（又は巻下げ）によ
つて圧縮バネ７を伸縮させて油圧シリンダ６と共
に下降（又は上昇）し、また固縛フツク５が固縛
ピン９に係止された後、油圧シリンダ６の短縮作
動によつて上昇するようになつている。実用新案
登録請求の範囲の欄の記載における文言「油圧シ
リンダと連動して上下動する」は、滑車１１のか
かる２動作をまとめたものである。尚、実施例で
は油圧シリンダ６をロツドを下にして配置した
が、逆にロツドを上にして配置しても同効であ
る。

固縛ロープ４は、固縛フツク５が固縛ピン９に
係止される迄、滑車１１を介し油圧シリンダ６お
よび固縛フツク５を引張つて圧縮バネ７を圧縮す
るから、この圧縮バネ７によりテンシヨンを付加
され、また固縛フツク５が固縛ピン９に係止され
た後、油圧シリンダ６の短縮作動によつてテンシ
ヨンを更に付加される。この際、固縛ロープ４の
引張力は油圧シリンダ６を介し固縛フツク５に伝
達されるので、クレーンのフツク３およびジブ１
の締付けを同時に行うことができる。

また油圧シリンダ６および圧縮バネ７は、固縛
を解除する際に固縛フツク５を上方に押上げ、ジ
ブ１先端の固縛ピン９のロツクを外す役割も担
う。

以下、この考案の格納装置の固縛操作手順につ
いて、油圧シリンダ６が伸長しており、固縛フツ
ク５が上方に開かれた状態から説明する。

(a) クレーンのジブ１を降下させ、格納台８の上
に載置し、固縛ロープ４をフツク３に掛ける。

(b) 次にクレーン本体のウインチによつてフツク
３を巻き上げる。これにより、固縛ロープ４、
油圧シリンダ６および固縛フツク５のリンク機
構が作用し、固縛フツク５が固縛ピン９をロツ
クする。

(c) これで一応ジブ１およびフツク３は固縛され
たわけであるが、さらに固縛ロープ４の緩みに
対処するため、油圧シリンダ６に油圧をかけ、
これを短縮して常に固縛ロープ４にテンシヨン
を保つ。

(d) 以上のようにクレーンのフツク３の巻上げ力
を利用する事によつて、フツク３の固縛とジブ
１の固縛が一挙動で達成され、油圧回路によつ
て遠隔操作でクレーンの締付け作業を行うこと
ができる。

次に固縛解除操作手順について説明する。

(e) クレーンのワイヤーロープ２を繰り出す。

(f) これにより圧縮バネ７が伸びて油圧シリンダ
６および固縛フツク５を押上げ、固縛ピン９の
ロツクが解除される。

(g) 油圧シリンダ６に油圧をかけて伸長させ、固
縛フツク５をさらに上方まで押上げる。

(h) 固縛ロープ４をクレーンのフツク３から外
す。

(i) 以上の操作により、クレーンのジブ１および
フツク３の固縛は解除され、クレーンのジブ１
の俯仰が可能な状態になる。

（考案が効果） クレーンのジブおよびフツクの固縛作業、固
縛解除作業を一人の操作員で遠隔操作により簡
単に行なえるので、上記作業の省力化、省人化
に大きく寄与すると共に、作業時の安全性が飛
躍的に向上する。

クレーン本体のフツク巻上げ力を利用して固
縛を行うため、格納装置の構造を簡素化でき
る。

クレーンのジブおよびフツクの固縛作業を同
時に行うことができるので、作業時間の大幅な
短縮が可能となる。

クレーンのジブおよびフツクの締付けは圧縮
バネおよび油圧シリンダにより行うので、ワイ
ヤー、ターンバツクル等に緩みが発生するおそ
れがなく、保守点検も容易となり、ジブおよび
フツクを確実に固縛できる。

【図面の簡単な説明】

図面はこの考案の一実施例を示す概略図であ
る。 １……ジブ、２……ワイヤーロープ、３……フ
ツク、４……固縛ロープ、５……固縛フツク、６
……油圧シリンダ、７……圧縮バネ、６……格納
台、９……固縛ピン、１０，１１……滑車。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 格納台上に載置したクレーンのジブ先端をロツ
   ク機構にて固定すると共に、クレーンのワイヤー
   ロープ先端のフツクを固縛ロープにて固縛するデ
   ツキクレーンの格納装置であつて、 ジブ先端に設けてある固縛ピンを係止する固縛
   フツクを、格納台近傍に枢着し、該固縛フツクを
   上下に回動する油圧シリンダを固縛フツク下方に
   配設し、該油圧シリンダの下方に圧縮バネを配設
   すると共に、先端がフツクに掛けられ、他端が上
   甲板等に固定元付けされた固縛ロープを、前記油
   圧シリンダに取付けられ、該油圧シリンダと連動
   して上下動する滑車に掛けてなることを特徴とす
   るデツキクレーンの格納装置。