JPH028934Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、溶融したガラス等を紡糸口金より多
数引き出してフイラメントとし、これを集束した
ガラス繊維ストランド等の糸条をコレツト上に巻
き取つてケーキを作るワインダーに関する。

〔従来の技術〕

この種のワインダーとしては、 (イ) 第４図に示すように、ベースフレーム１に対
して糸巻き取り軸芯方向にトラバース可能な可
動枠２に、糸巻き取り軸芯方向に平行な軸芯周
りで駆動回転自在な一つのコレツト８を設け、
このコレツト８の近傍箇所に、コレツト８に供
給される糸条に対して、糸巻き取り軸芯と平行
な軸芯周りでの駆動回転に伴つて綾振巾を付与
する綾付け具を設けたもの。

(ロ) 第５図に示すように、ベースフレーム１に、
糸巻き取り軸芯と平行な軸芯周りで駆動回転可
能な回転枠４を設け、この回転枠４に、糸巻き
取り軸芯周りで各別に駆動回転自在な二個のコ
レツト８Ａ，８Ｂを付設するとともに、前記回
転枠４の回転経路上の特定位相に位置するコレ
ツト８Ａ又は８Ｂの近傍箇所には、コレツト８
Ａ又は８Ｂに供給される糸条に対して、糸巻き
取り軸芯と平行な軸芯周りでの駆動回転に伴つ
て綾振巾を付与する綾付け具１１を、それの回
転軸芯方向にトラバース可能に設けたもの。

従来の前者による場合は、綾付け具１１を一定
位置で駆動回転させるだけであるから、糸条の綾
振中心とこれよりも上手側に位置する紡糸口金と
のコレツト軸芯方向での位置関係係が変化せず、
このような位置変化に起因しての張力変動による
糸条の長手方向での直径径変動を抑制して、糸の
長手性状の安定化を図ることができる。しかも、
綾付け具１１の小型及び計量化によつて高速回転
域を拡大することができるから、ワインド比（綾
付け具１１の回転数に対するコレツト８の回転
数）の選択巾を広くすることができるとともに、
低ワインド比でのコレツト８の高速回転を可能と
することにより、生産性の向上を図ることができ
る利点を有する。

その反面、コレツト８上に所定量の糸条が巻き
取られたとき、コレツト８の駆動回転を停止し
て、つまり、紡糸作業を中断してコレツト８上に
巻き取られた糸条をケーキとして取り外さなけれ
ばならないため、この面で生産性の低下を招く。
殊に、糸が熔融紡糸である場合には、ガラス熔融
部、紡糸口金などの熱バランスが崩れ、次の巻き
始め時しばらくのあいだ糸品質が低下する問題も
ある。

後者による場合は、一方のコレツト８Ａ又は８
Ｂ上に所定量の糸条が巻き取られたとき、回転枠
４の回動によつてコレツト８Ａ，８Ｂを入れ替え
ることができるから、紡糸作業を連続して行うこ
とができる反面、綾付け具１１がコレツト８Ａ，
８Ｂの回転軸芯方向に移動するため、糸条の綾振
中心と紡糸口金とのコレツト軸芯方向での位置関
係が変化し、これに伴う張力変化によつて糸の長
手性状が不安定になり易い。しかも、綾付け具１
１を駆動回転させ、かつ、その回転軸芯方向に移
動させる関係上、綾付け具全体が重量化及び大型
化することは免れず、その結果、高速回転域が狭
くなつて生産性が低下する問題がある。

〔考案が解決しようとする問題点〕

本考案の目的は、上述のような二律背反的な従
来欠点を解消して、生産性の向上と糸の長手性状
の安定化とを図る点にある。

〔問題点を解決するための手段〕

本考案によるワインダーの特徴構成は、ベース
フレームに対して糸巻き取り軸芯方向にトラバー
ス可能な回転枠に、糸巻き取り軸芯方向に平行な
軸芯周りで駆動回転自在な回転枠を設けるととも
に、前記回転枠に、糸巻き取り軸芯と平行な軸芯
周りで各別に駆動回転自在な二個のコレツトを設
け、かつ、前記回転枠の回転経路上の特定位相に
位置するコレツトの近傍箇所において、コレツト
に供給される糸条に対して、糸巻き取り軸芯と平
行な軸芯周りでの駆動回転に伴つて綾振巾を付与
する綾付け具をベースフレームに設けた点にあ
り、その作用・効果は次の通りである。

〔作用〕

綾付け具の一定位置での駆動回転と可動枠によ
るコレツトの糸巻き取り軸芯方向へのトラバース
との協働によつて、回転枠の回転経路上の特定位
置に位置するコレツト上に糸条を綾掛けし乍ら巻
取ることができるから、糸条の綾振中心とこれよ
りも上手側に位置する紡糸口金とのコレツト軸芯
方向での位置関係が変化せず、このような位置変
化に起因しての張力変動による糸条の長手方向で
の直径変動を抑制することができる。

しかも、綾付け具を駆動回転させるだけである
から、この綾付け具の小型化及び軽量化を促進し
て高速回転域を拡大することが可能となり、ワイ
ンド比の選択巾を広くとることができるととも
に、コレツトを低ワインド比で高速回転させるこ
ともできる。

その上、回転枠の回転経路上の特定位置に位置
するコレツト上に所定量の糸条が巻取られたと
き、回転枠の回動によつてコレツトを入れ替える
ことにより、この新たなコレツトにて巻取り作業
を連続して行わせ乍らも、前のコレツトに巻取ら
れた糸をケーキとして自由に取り外すことができ
る。殊に、糸が熔融紡糸である場合には、ケーキ
取り外し時におけるガラス熔融部と紡糸口金との
熱バランスの崩れを良好に抑制することができ
る。

〔考案の効果〕

従つて、巻取作業速度の高速化とケーキ取り外
し時における作業ロスの大巾な削減とによつて生
産性の向上を達成し乍らも、糸の長手性状及び品
質の安定化を図ることができるに至つた。

〔実施例〕

以下、本考案の実施例を図面に基づいて説明す
る。

１は、糸巻き取り軸芯方向に沿う姿勢の一対の
レール１ａ，１ａを備えたベースフレームであ
り、２は、ベースフレーム１のレール１ａ，１ａ
に対して摺動自在に外嵌する４つの移動ガイド部
材２ａを備えた可動枠であつて、この可動枠２と
ベースフレーム１との間には、可動枠２を糸巻き
取り軸芯方向にトラバースさせる油圧シリンダ３
が架設されている。

前記可動枠２には、糸巻き取り軸芯と平行な軸
芯周りで回転自在なほぼ円筒状の回転枠４と、こ
の回転枠４を駆動回転させるためのモータ５及び
減速機６、ならびに、前記回転枠４を所定の位相
で可動枠２に固定するためのクランプシリンダ７
とが設けられている。

前記回転枠４には、糸巻き取り軸芯と平行な軸
芯周りで各別に回転自在な二個のコレツト８Ａ，
８Ｂと、これらコレツト８Ａ，８Ｂを各別に駆動
回転させるモータ９Ａ，９Ｂとが設けられてい
る。

１０は、前記ベースフレーム１からコレツト回
転経路の近傍を通して立設された支柱であり、こ
の支柱１０の上部には、前記回転枠４の回転経路
上の特定位置に位置するコレツト８Ａ又は８Ｂに
供給される糸条に対して、一定位置での糸巻き取
り軸芯と平行な軸芯周りの回転によつて糸巻き取
り巾よりも小なる綾振巾を付与する綾付け具１１
と、この綾付け具１１を駆動回転させるモータ１
２とが設けられている。

前記綾付け具１１は、モータ１２に連結された
シヤフト１１ａとこのシヤフト１１ａに固着され
たスパイラル１１ｂとから構成されている。

１３は、前記綾付け具１１及びモータ１２を備
えたケース１４を、コレツト８Ａ又は８Ｂ上に巻
取られる糸条の外周面と綾付け具１１との間隔が
一定となるように、巻取られる糸条の厚みに合わ
せてコレツト８Ａ又は８Ｂから遠ざかる方向に微
速でシフトさせる機構であり、これは、支柱１０
側に、モータ１３ａと、このモータ１３ａに一対
のギヤ１３ｂ，１３ｃを介して連動されたネジ軸
１３ｂとが設けられているとともに、ケース１４
側には、前記ネジ軸１３ｄに螺合する雌ネジ部材
１３ｅが設けられ、もつて、モータ１３ａの駆動
に伴うネジ軸１３ｄと雌ネジ部材１３ｅとの相対
回転により、ケース１４全体を支柱１０に対して
シフトさせるべく構成されている。

そして、前記綾付け具１１の一定位置での駆動
回転と可動枠２によるコレツト８Ａ，８Ｂの糸巻
き取り軸芯方向へのトラバースとの協働によつ
て、回転枠４の回転経路の特定位置に位置するコ
レツト８Ａ又は８Ｂ上に糸糸を綾掛けしながら巻
き取ることができるのである。また、このコレツ
ト８Ａ又は８Ｂ上に所定量の糸条が巻き取られた
ときには、二本のコレツト８Ａ，８Ｂの位置を交
互に入れ替えるべく、前記回転枠４を矢印方向に
駆動回転させると、糸条を巻き取つているコレツ
ト８Ａ又は８Ｂと紡糸口金との間に新たなコレツ
ト８Ｂ又は８Ａが巻き取り速度で回転しつつ入り
込み、走行糸条に接してその走行経路を押し曲げ
る。すると、糸条は引きちぎられて近接位置する
新たなコレツト８Ｂ又は８Ａに巻き付いて巻始め
られる。他方、糸条巻取り済みのコレツト８Ａ又
は８Ｂは停止され、これに巻取られた糸条はーキ
として取り外される。つまり、一方の新たなコレ
ツト８Ｂ又は８Ａにて糸条の巻取り作業を連続し
て行わせながらも、他方のコレツト８Ａ又は８Ｂ
上に巻き取られたケーキは自由に取り外すことが
できるのである。

尚、コレツト８Ａ，８Ｂの入れ替え時に、綾付
け具１１のスパイラル１１ｂから糸条を外し、新
たなコレツト８Ｂ又は８Ａによる巻取り開始時に
糸条を再びスパイラル１１ｂに係入させる機構を
設けて実施してもよい。

また、前記綾付け具１１を糸巻取り軸芯方向に
複数個設けて、一つのコレツト８Ａ，８Ｂ上に複
数のケーキを得ることができるように構成しても
よい。

【図面の簡単な説明】

第１図乃至第３図は本考案に係るワインダーの
実施例を示し、第１図は全体斜視図、第２図は正
面図、第３図は側面図である。第４図、第５図は
夫々従来のワインダーを示す斜視図である。 １……ベースフレーム、２……可動枠、４……
回転枠、８Ａ，８Ｂ……コレツト、１１……綾付
け具、１１ａ……シヤフト、１１ｂ……スパイラ
ル。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 ベースフレーム１に対して糸巻き取り軸芯方
   向にトラバース可能な可動枠２に、糸巻き取り
   軸芯方向に平行な軸芯周りで駆動回転自在な回
   転枠４を設けるとともに、前記回転枠４に、糸
   巻き取り軸芯と平行な軸芯周りで各別に駆動回
   転自在な二個のコレツト８Ａ，８Ｂを設け、か
   つ、前記回転枠４の回転経路上の特定位相に位
   置するコレツト８Ａ又は８Ｂの近傍箇所におい
   て、コレツト８Ａ又は８Ｂに供給される糸条に
   対して、糸巻き取り軸芯と平行な軸芯周りでの
   駆動回転に伴つて綾振巾を付与する綾付け具１
   １をベースフレーム１に設けてあるワインダ
   ー。 前記綾付け具１１がシヤフト１１ａにスパイ
   ラル１１ｂを固着して構成されたものである実
   用新案登録請求の範囲第項に記載のワインダ
   ー。