JPH027267Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、ピストン摺動式バキユームポンプに
関する。

〔従来技術〕

一般に、ピストン摺動式バキユームポンプは、
ハウジング本体の内部に設けたシリンダ部に作動
ピストンのピストン部を軸方向へ摺動可能に嵌挿
して同ピストン部の一側に吸入用チエツクバルブ
と吐出用チエツクバルブを備えた負圧室を形成す
るとともに、前記作動ピストンのロツド部をポン
プ駆動軸に連結してなり、同ポンプ駆動軸の回転
により前記作動ピストンを摺動させて前記負圧室
に生じた負圧を負圧アクチユエータに付与するよ
うに構成している。

また、この種形式のバキユームポンプにおいて
は、負圧室の気密性を確保してポンプ性能を向上
させるために、例えば特開昭59−206685号公報に
示されているように、ハウジング本体のシリンダ
部の内周と作動ピストンのピストン部の外周間に
シール部材（シールリング、ピストンバンド等）
が介装されている。

〔考案が解決しようとする問題点〕

ところで、この種形式のバキユームポンプにお
いては、作動ピストンのピストン部の外周に外方
へ開口する環状溝が設けられていて、この環状溝
にシール部材が嵌合されているのが一般である。
このため、シール部材はバキユームポンプの使用
中に摩耗を生じてシール性能を低下させ、設定さ
れたポンプ性能を発揮し得なくなる。

〔問題点を解決するための手段〕

本考案はかかる問題に対処すべく、この種形式
のバキユームポンプにおいて、前記作動ピストン
のピストン部の外周縁部に同ピストン部の外方お
よび他側に開口する環状の切欠部を設けて同切欠
部内に内向フランジ部を備えた筒状のシール部材
を嵌合し、かつ同シール部材の内孔内には径方向
に可撓性で前記シール部材の内周に当接するリン
グ部材と、同リング部材を外方へ付勢して前記シ
ール部材の筒部を前記シリンダ部の内周に押圧す
るとともに同シール部材の内向フランジ部を前記
切欠部の他側面に当接させる第１のバネ部材を嵌
合し、同バネ部材を前記シール部材の内向フラン
ジ部に押圧する第２のバネ部材にて支持してい
る。

〔考案の作用・効果〕

これにより、本考案においては、シール部材の
筒部を第１のバネ部材によりリング部材を介して
ハウジング本体のシリンダ部内周に常に押圧する
ことができるとともに、同シール部材の内向フラ
ンジ部を第１および第２のバネ部材によりピスト
ン部の切欠部の他側面に常に押圧することができ
る。

従つて、シール部材が摩耗してもそのシール性
が低下することがなく、またシール部材がピスト
ン部の切欠部から離間することがなく、このため
負圧室の気密性が確保され設定されたポンプ性能
を長期間保持することができる。特に本考案にお
いては、シール部材の筒部と第１のバネ部材間に
リング部材を介在させているため、シール部材の
筒部はシリンダ部内周に均一荷重で押圧されその
シール性が一層向上する。

〔実施例〕

以下、本考案の実施例を図面に基づいて説明す
るに、第１図には本考案に係るバキユームポンプ
の第１実施例を示されている。当該バキユームポ
ンプにおいて、ハウジング本体１０は車両におけ
る図示しないエンジンの上部一側にてシリンダヘ
ツドとヘツドカバーに取付けられていて、その内
部に作動ピストン２０が配設されている。

作動ピストン２０は円盤状のピストン部２１と
ロツド部２２を主要構成部材とするもので、ピス
トン部２１が下部ハウジング１１のシリンダ部１
１ａに気密的かつ摺動可能に嵌挿され、かつロツ
ド部２２の下端部が下部ハウジング１１の内底部
に軸方向に摺動可能に支持されている。かかる作
動ピストン２０は下部ハウジング１１内の中間段
部１１ｂに下端を係止した圧縮スプリング３１に
より上方へ付勢されていて、ロツド部２２の中間
部外周に設けたシート部２３にてロツカーアーム
３２の一方の揺動端部であるフオーク部３２ａを
支承している。ロツカーアーム３２はその中間基
部にて下部ハウジング１１に上下方向へ揺動可能
に支持されていて、他方の揺動端部に支持したロ
ーラ３２ｂが偏心カム３３ａの外周に弾撥的に当
接している。なお、偏心カム３３ａはエンジンの
オーバーヘツドカムシヤフト３３ｂに設けられて
いて、カムシヤフト３３ｂと一体的に回転する。
かかる作動ピストン２０のピストン部２１の上面
側には、同ピストン部２１と下部ハウジング１
１、上部ハウジング１２とにより負圧室Ｒが形成
されている。この負圧室Ｒは下部ハウジング１１
に組付けた吐出用チエツクバルブ３４を介して大
気に断続可能に連通し、かつ上部ハウジング１２
の吸入室１２ａに組付けた図示しない吸入用チエ
ツクバルブを介して負圧アクチユエータたるブレ
ーキブースタに断続可能に連通している。

これにより、当該バキユームポンプにおいて
は、エンジンの駆動によりカムシヤフト３３ｂが
回転すると偏心カム３３ａの回転作用にてロツカ
ーアーム３２が上下方向へ繰返し揺動し、作動ピ
ストン２０は圧縮スプリング３１の上方への付勢
作用とロツカーアーム３２の下方への押動作用に
より上下方向へ繰返し揺動する。この間、作動ピ
ストン２０の上動時には図示しない吸入用チエツ
クバルブが閉じるとともに吐出用チエツクバルブ
３４が開き、負圧室Ｒ内の空気が同チエツクバル
ブ３４を通して排出される。また、作動ピストン
２０の下動時には負圧室Ｒに負圧が生じて吸入用
チエツクバルブが開くとともに吐出用チエツクバ
ルブ３４が閉じ、負圧室Ｒの負圧が吸入用チエツ
クバルブを通して負圧アクチユエータに付与され
る。

しかして、本実施例においては第１図および第
２図に示すように、作動ピストン２０のピストン
部２１の外周縁部にその外方および下方に開口す
る環状の切欠部２１ａが形成されていて、この切
欠部２１ａに樹脂製のシール部材３５と、第１の
バネ部材たるフインガスプリング３６と、リング
部材３７が嵌合している。

シール部材３５は筒部３５ａの上端に内向フラ
ンジ部３５ｂを備えた筒状体で、その内孔内にリ
ング部材３７を介してフインガスプリング３６が
嵌合している。フインガスプリング３６は第２図
および第３図に示すように、所定幅のリング部３
６ａとこれから下方かつ外方へ傾斜して延びる多
数のフインガ部３６ｂとからなるもので、シール
部材３５の内孔内に嵌合したリング部材３７をフ
インガ部３６ｂにて内側から付勢して、シール部
材３５の筒部３５ａをシリンダ部１１ａの内周に
押圧し、かつリング部３６ａがシール部材３５の
フランジ部３５ｂ下面に当接している。リング部
材３７は、第４図に示すようにＣ形のリングでそ
の径方向に可撓性のものであり、筒部３５ａの内
周に弾撥的に当接している。シール部材３５とフ
インガスプリング３６とはワツシヤ３８を介して
第２のバネ部材たるデイスクスプリング３９によ
り下方から支持されている。デイスクスプリング
３９はその中央部にてピストン部２１とロツド部
２２とによつて挾持されていて、その外周縁部を
ワツシヤ３８の下面に弾撥的に当接させて、フイ
ンガスプリング３６のリング部３６ａを介してシ
ール部材３５の内向フランジ部３５ｂをピストン
部２１の切欠部２１ａの頂面に押圧している。な
お、デイスクスプリング３９は作動ピストン２０
を上方へ付勢する圧縮スプリング３１のリテーナ
を兼ねている。

このように構成した当該バキユームポンプにお
いては、シール部材３５の筒部３５ａがリング部
材３７を介してフインガスプリング３６のフイン
ガ部３６ｂによりシリンダ部１１ａの内周に向け
て常に付勢されているため、同筒部３５ａが使用
中に摩耗してもシール部材３５のシリンダ部１１
ａに対するシール性が損なわれることがない。ま
た、シール部材３５の内向フランジ部３５ｂはデ
イスクスプリング３９によりピストン部２１の切
欠部２１ａ頂面に常に付勢されているため、負圧
室Ｒの内圧の変動、シリンダ部１１ａに対する摺
動抵抗等によつてもシール部材３５が切欠部２１
ａの頂面から離間することがなく、シール部材３
５のピストン部２１に対するシール性が損なわれ
ることがない。従つて、当該バキユームポンプに
よれば負圧室Ｒの気密性が十分に確保され、設定
されたポンプ性能が長期間保持される。なお、デ
イスクスプリング３９はピストン部２１とロツド
部２２とに挾持されてシール部材３５およびフイ
ンガスプリング３６を支持するようになつてお
り、かつ圧縮スプリング３１のリテーナを兼ねて
いるので、これら両者３５，３６の支持構造が複
雑になることはない。なお、シール部材３５とし
ては熱的影響の少ないフツ素系、芳香族ポリアミ
ド系の合成樹脂製のものが使用される。しかし
て、本実施例においては特にシール部材３５の筒
部３５ａとフインガスプリング３６のフインガ部
３６ｂにリング部材３７を介在させているため、
筒部３５ａはシリンダ部１１ａ内周に均一荷重で
押圧され、シール部材３５のシール性が一層向上
する。

第５図には、本考案に係るバキユームポンプの
第２実施例が示されている。この第２実施例にお
いては、フインガスプリング３６の支持手段を除
き第１実施例のバキユームポンプと同様に構成さ
れている。しかして、当該バキユームポンプにお
いては、ピストン部２１の下面に環状のリテーナ
３９Ａが締付固定されていて、リテーナ３９Ａの
環状の上端面とフインガスプリング３６のリング
部３６ａ間には第６図および第７図に示すように
ウエーブワツシヤ３８Ａが介装されている。これ
により、ウエーブワツシヤ３８Ａとリテーナ３９
Ａは第１実施例のバキユームポンプにおけるワツ
シヤ３８とデイスクスプリング３９と同様に機能
する。従つて、当該バキユームポンプにおいて
も、第１実施例にバキユームポンプと同様の効果
を奏する。

第８図〜第１０図には、上記各実施例の変形例
が示されている。これらの変形例のうち、第８図
に示す第１変形例においてはリング部材として断
面円形のリング部材３７Ａを採用し、これをシー
ル部材３５の筒部３５ａ下端に埋設したものであ
る。また、第９図および第１０図に示す第２変形
例および第３変形例においては、リテーナ３９
Ａ、デイスクスプリング３９の外周に環状の突起
部３９ａ，３９ｂが設けられている。これら突起
部３９ａ，３９ｂは、作動ピストン２０が偏心し
た場合フインガスプリング３６の変形を阻止する
ストツパとして機能する。

なお、本考案は作動ピストン２０をロツカーア
ーム３２の揺動作用にて摺動させる形式のバキユ
ームポンプに限らず、電動モータの駆動により摺
動させる形式のバキユームポンプに対しても実施
し得る。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係るバキユームポンプの第１
実施例を示す縦断面図、第２は同ポンプの要部拡
大断面図、第３図はバキユームポンプにおけるフ
インガスプリングの縦断面図、第４図はリング部
材の斜視図、第５図は第２実施例を示す縦断面
図、第６図は同ポンプの要部拡大断面図、第７図
はウエーブワツシヤの斜視図、第８図〜第１０図
は第１〜第３変形例の要部を示す第２図に対応す
る断面図である。 符号の説明、１０……ハウジング本体、２０…
…作動ピストン、２１……ピストン部、２１ａ…
…環状切欠部、２２……ロツド部、３２……ロツ
カーアーム、３５……シール部材、３６……フイ
ンガスプリング（第１のバネ部材）、３７，３７
Ａ……リング部材、３８Ａ……ウエーブワツシヤ
（第２のバネ部材）、３９……デイスクスプリング
（第２のバネ部材）。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. ハウジング本体の内部に設けたシリンダ部に作
   動ピストンのピストン部を軸方向へ摺動可能に嵌
   挿して同ピストン部の一側に吸入用チエツクバル
   ブと吐出用チエツクバルブを備えた負圧室を形成
   するとともに、前記作動ピストンのロツド部をポ
   ンプ駆動軸に連結してなり、同ポンプ駆動軸の回
   転により前記作動ピストンを摺動させ前記負圧室
   に生じた負圧を負圧アクチユエータに付与するよ
   うにしたピストン摺動式バキユームポンプにおい
   て、前記作動ピストンのピストン部の外周縁部に
   同ピストン部の外方および他側に開口する環状の
   切欠部を設けて同切欠部内に内向フランジ部を備
   えた筒状のシール部材を嵌合し、かつ同シール部
   材の内孔内には径方向に可撓性で前記シール部材
   の内周に当接するリング部材と、同リング部材を
   外方へ付勢して前記シール部材の筒部を前記シリ
   ンダ部の内周に押圧するとともに同シール部材の
   内向フランジ部を前記切欠部の他側面に当接させ
   る第１のバネ部材を嵌合し、同バネ部材を前記シ
   ール部材の内向フランジ部に押圧する第２のバネ
   部材にて支持したことを特徴とするピストン摺動
   式バキユームポンプ。