JPH026735B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 【産業上の利用分野】

本発明は新規成分を用いた浴剤に係り、特に入
浴効果を高めることのできる浴剤に関する。

【従来技術およびその問題点】

お風呂等の入浴に際し浴湯に混入・添加される
浴剤として、古くから柑橘類の外皮や、菖蒲の葉
を直接浴湯に入れることは知られている。また、
芒硝、硼砂、食塩、炭酸アルカリ類などの無機塩
類混合物に香料、色素等を添加した混合物、或い
は硫黄乳剤を主体とする混合物等を浴湯に混入・
溶解して用いることも広く知られている。 これら浴剤は入浴者の皮膚面へ適度の刺激を与
えて血行を盛んにし疲労の恢復、新陳代謝の促進
を図るものであるが、 入浴者の身体を十分暖める 肌をなめらかにする 入浴時に爽快感を与える 等の点で未だ十分な入浴効果を奏するものがなか
つた。

【発明の目的および構成】

本発明者は上記事情に鑑みよりよい入浴効果を
奏する浴剤を開発すべく鋭意研究を行い、ブラジ
ル地方の風習として、ジヤンブーというキク科の
植物を浴湯に入れることを知り、これが入浴効果
を高めると共にリウマチ、痛風等にも効果がある
ことを発見した。 これは、シヤンプーの主成分を構成しているス
ピラントールが麻酔性の強い辛味を有すると共に
人間の皮膚に対して鎮静性、収れん性などの特異
作用を有することから浴剤として浴湯中に混入す
ることにより入浴効果を高め、肌をなめらかにし
且つ爽快感を与えると共に更に各種の筋肉痛を和
らげることができるものと考えられる。 しかしながらジヤンブーという植物自体を浴剤
として使用することは、浴湯の着色、独特の匂い
の付着、植物付着物による浴湯の汚染などの弊害
がある。 そこでジヤンブーの主成分であるスピラントー
ルを抽出・精製し、浴剤の成分とするという技術
手段を講じることにより、前記弊害を解消して本
発明を完成するに至つた。

【実施例】

以下、本発明の好適な実施例について詳細に説
明する。 本発明において用いられるスピラントールはキ
バナオランダセンニチまたはオランダセンニチ
（ブラジルにてはジヤンブーと称せられている）
中の１成分で、この植物はキク科の一年生草木で
南米が原産地である。 この植物は、古くより南米はじめ、ヨーロツパ
において食欲増進のための調味用香辛料として使
用されているもので、スピラントールはこの植物
の全草、殊に花頭中に多く含まれている化合物で
あり、麻酔性の強い辛味を有すると共に、人間の
皮膚に対しては鎮静性、収れん性などの特異作用
を有するものである。 本実施例においてスピラントールを製造するに
は、まずキバナオランダセンニチまたはオランダ
センニチの全草乾燥品または、花部の乾燥品をそ
のまま、あるいは粉砕し、アルコール、アセト
ン、ヘキサンなどの有機溶媒で抽出する。 次にこの抽出液から溶剤を除去することによ
り、スピラントール含量が約５〜約10％の濃縮物
が得られる。 このスピラントール含有の濃縮物は、そのまま
本発明の溶剤の原料として配合使用することがで
きるが、本発明の目的とする、より効果の高い浴
剤を得るためには、上記スピラントール含有の濃
縮物を分子蒸溜法により精製処理して有効成分の
純度を高めたものを本発明の浴剤の原料として用
いることが望ましい。 この精製品（以下、スピラントール含有濃縮精
製品とする）は淡黄色の油状物であつて、スピラ
ントール含量は約20〜約40％である。 本発明の浴剤は、浴剤原料として上記のスピラ
ントール含有濃縮精製品を配合する以外は常法に
従つて製造することができる。 即ち、その他の浴剤原料としては例えば無機塩
類、有機酸類及びその塩類、アルコール類、エス
テル類、各種界面活性剤、油脂類、生薬類などが
挙げられ、これらの中から浴剤製造の処方に従つ
て適当な原料が選択される。 更に必要に応じて香料、殺菌剤、防腐剤、色素
などを添加することができる。 浴剤に加えるスピラントール含有濃縮精製品の
適量は普通0.1〜１％の量が用いられ、あまり多
量の使用は皮膚を強く刺激し、不快感を与えるの
で注意しなければならない。 本発明の浴剤は、粉末状、液状、乳液状などい
ずれの形態で用いられるものであつてもよいが、
これを浴湯に添加すると、速やかに浴湯に溶解す
るものが好ましい。 この浴剤が溶解した浴湯に入浴するときは、ス
ピラントールがその他の浴剤諸成分と総合的に働
き、人体に穏和に作用し、適度の皮膚刺激は血行
を促し、皮膚面への適当な潤いを与えて爽快な入
浴効果が得られる。 尚上記構成ではスピラントールの製造方法とし
てキバナオランダセンニチまたはオランダセンニ
チ（別称「ジヤンブー」）から抽出した例を示し
たが、これらに限定されないことは勿論であり、
他のスピラントール含有物からの抽出或いは合成
によつて生成してもよい。 次に実施例及び参考例により本発明を更に具体
的に説明する。 尚、この浴剤の使用量は家庭用浴槽（約150）
の浴湯に10〜20ｇを添加するのが適当である。 実施例 １ 下記の処方に従つて、粉末状浴剤を製造した。

【表】 る。
実施例 ２ 下記の処方に従つて、液体状浴剤を製造した。

【表】

【表】 加温下に十分攪拌混合して液体状浴
剤を得る。
実施例 ３ 下記の如くして乳液状浴剤を製造した。

【表】 参考例 実施例１の粉末状浴剤において、スピラントー
ル濃縮精製品の代わりに無水硫酸ナトリウムをも
つて置きかえたものを試作し、これを対照品とし
て官能テストを行つた。 評価は下記の示す３点数値法により評価し、パ
ネラーは健康人及び身体に異状（痛み）のある者
各８名をもつて行つた。 浴剤の使用方法は、家庭用浴槽（湯量約150）
に実施例１で製した粉末状浴剤（以下、本発明品
とする）を10ｇ溶解させた浴用湯と前記対照品を
10ｇ溶解させた浴用湯にそれぞれ別々に入浴して
比較する。この比較を、５日間連続して試験入浴
し、前記評価法に従つて、対照品との比較におい
ての発明品の評価値を示した。 パネルテストに用いた評価法（３点数値法） 本発明品が比較品に対しどの程度の差異がある
かを３段階で評価した。

【表】

【表】

【表】 これらのテスト結果からも、本発明品は特に
「身体の暖まり」において優れ、かなりの鎮痛効
果もある好適な浴剤であることがわかる。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ スピラントールを含有することを特徴とする
   浴剤。