JPH026637Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は変圧器内の限定されたスペースに内蔵
することができる変圧器内蔵形避雷器に関する。

近年における高圧配電線の絶縁被覆化、および
ピン碍子、開閉器等の絶縁強化によつて変圧器の
絶縁レベルが比較的低くなつてきている。対策と
して、配電線路への避雷器の設置があるが、100
％の設置が難しく、また、保護範囲にも限度があ
るため、変圧器の雷害事故が比率的にも割合多く
なつている。これを防止するため、高圧カツトア
ウトの負荷側に閃絡角を設けることも提案した
が、異常電圧による裁断現象によつて絶縁破壊が
生じる恐れもある。

以上から、変圧器を確実に雷害から保護するた
めには、個々の変圧器に避雷器を内蔵させること
が好ましい。しかし、変圧器内のスペースが限定
されているため、高圧側接続線の絶縁が難しくな
る。

また、従来の避雷器として、例えば、負荷に接
続される一対の線間に２つの避雷器素子を配置
し、この２つの避雷器素子の共通接続点を接地す
るようにしたものがある。

しかし、この避雷器によれば、通信線路等の低
電圧線路に適用した場合には有効であるが、本考
案で対象とするような高電圧線路（例えば、
6000v）に適用すると避雷器素子の界面等に漏洩
電流が発生する恐れがある。

この漏洩電流の発生を抑えるために避雷器素子
に直列に放電ギヤツプを設けることが考えられる
が、保護すべき線路の線間に一対の放電ギヤツプ
を設けると片方の放電ギヤツプの放電が他方の放
電ギヤツプの放電を誘発する傾向になつて放電特
性の変動をもたらすことになる。

また、放電ギヤツプを有する避雷器を変圧器の
油中に浸漬するために密封したハウジング内に収
容する場合には、放電ギヤツプの放電によつて内
圧が上昇してもそれに耐える機械的強度をハラジ
ングに与えることが必要になり、その分だけハウ
ジングの厚さ等を大にするために形状が大型化す
る不都合が生じる。

本考案は上記に鑑みてなされたものであり、高
電圧路線の線間に適用したとしても放電ギヤツプ
を設けることにより漏洩電流の発生をなくし、一
対の放電ギヤツプを隣接して設けたとしても隔壁
となる接地電極によつて仕切られた収容室に別々
に収容することによつて一方の放電ギヤツプの放
電による他方の放電ギヤツプへの影響をなくし、
密封したハウジングの中に設けた放電ギヤツプが
放電したとしても内圧上昇を弾性部材の圧縮によ
つて吸収することによりハウジングの機械的強度
の増大の必要性を抑えるようにした変圧器内蔵形
避雷器を提供するものである。

本考案の変圧器内蔵形避雷器によれば、密封し
たハウジングの中に放電ギヤツプ、避雷器素子、
および弾性部材を直列に配置して収容したため、
前述したように、放電ギヤツプの放電によつて内
圧上昇が発生すると弾性部材が圧縮して避雷器素
子のスライド移動によつて放電ギヤツプ長が大に
なり、それによつて放電電圧を抑制して避雷器素
子の続流遮断を確実にする。遮断後、弾性部材の
復元によつて放電ギヤツプ長は元の設定距離に戻
る。

以下第１図および第２図によつて本考案の実施
例を詳細に説明する。

第１図は本考案による避雷器が変圧器に内蔵さ
れた実施例を示し、変圧器本体１と、変圧器本体
１内の絶縁油に浸漬された鉄芯およびコイル部２
と、鉄芯およびコイル部２上に位置するタツプ台
３と、タツプ台３の端子と接続される接続線４を
絶縁支持するブツシング５と、タツプ台３の端子
と取付金具６によつて接続されて絶縁油中に支持
される避雷器７とを有している。

第２図は避雷器７を示し、第１図に示したよう
に、タツプ台３の端子に接続できるように一対の
取付金具６を有している。避雷器７は、一対のキ
ヤツプ８と、エポキシ樹脂あるいは磁器等のモー
ルド本体９と、キヤツプ８とモールド本体９との
間の気密を維持するパツキング１０と、モールド
本体９から引き出された接地端子１１と、モール
ド本体９の中に位置するZnO等の２組の避雷器素
子１２と、避雷器素子１２を圧接し、キヤツプ８
と電気的に接続する一対のスプリング１３と、接
地端子１１と接続された接地導体１４と、接地導
体１４と２組の避雷器素子１２との間にそれぞれ
位置する一対の直列ギヤツプ１５（その間隔はス
ペーサ１５ａによつて維持されている）と、接地
端子１１とモールド本体９との間の気密を維持す
るパツキング１６とを有している。モールド本体
９とキヤツプ８との結合および接地端子１１と接
地導体１４の結合はねじ止めによつて行われても
良いが、一体モールドによつて構成することもで
きる。

以上の構成において、一対の取付金具６をタツ
プ台３の端子に接続し、接地端子１１を変圧器の
鉄芯に接続することによつて確実に変圧器を雷害
事故から守ることができる。特に、直列ギヤツプ
１５が放電すると、直列ギヤツプ１５が設けられ
ている空間（放電領域）の内圧が上昇する。その
結果、直列ギヤツプ１５の電源側電極を介して圧
力を受けた避雷器素子１２が移動してスプリング
１３を圧縮する。このスプリング１３の圧縮によ
つて直列ギヤツプ１５のギヤツプ長が大になり、
放電アークが確実に消弧する。ここで、6KVの
配電線路に接続された変圧器に内蔵された避雷器
を例にとると、直列ギヤツプ１５のギヤツプ長は
約９mmに設定される。これが放電によつて内圧上
昇すると、約１mmギヤツプ長が拡がることが確認
されている。このギヤツプ長の拡大によつて放電
アークが確実に消弧し、続流遮断が行われる。ま
た、直列ギヤツプ１５が避雷器素子１２に対して
接地側に設けられている。即ち、雷電流が電源側
より侵入して避雷器素子１２に入り、それから直
列ギヤツプ１５を放電させて接地導体１４および
接地端子１１を介してアースへ放流される。この
ため、雷電流の急峻度が低くなつて直列ギヤツプ
１５に達するので、直列ギヤツプ１５を電源側に
置いた場合に比較して放電電流が約３〜５％程度
小さくなる。この放電電流の減少割合は雷電流の
急峻度に依存する。従つて、直列ギヤツプ１５の
電極の先端の荒れが少なくなり、放電特性の維持
が容易になる。更に、接地線が非常に短くするこ
とができるので、接地線の電圧降下が小さくなつ
て保護効果が増大する。

以上説明した通り、本考案による変圧器内蔵形
避雷器によると、放電時の内圧上昇によつてギヤ
ツプ長が大になるので、続流遮断が確実になり、
直列ギヤツプを避雷器素子よりアース側に設けた
ので放電電流を小さくすることができる。また、
内圧上昇によつて大になつたギヤツプ長は続流遮
断後所定のギヤツプ長に復元するので次に来る雷
電流に対して的格に避雷作用を行うことができ
る。更に、直列ギヤツプを接地側に設けたので放
電電流が減少し、ギヤツプ電極の荒れを少なくす
ることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は変圧器に内蔵された本考案の実施例を
示す説明図、第２図は本考案の一実施例を示す説
明図。 符号の説明、１……変圧器本体、２……鉄芯お
よびコイル部、３……タツプ台、４……接続線、
５……プツシング、６……取付金具、７……避雷
器、８……キヤツプ、９……ハウジング（モール
ド本体）、１０……パツキング、１１……接地端
子、１２……避雷器素子、１３……スプリング、
１４……接地導体、１５……直列ギヤツプ、１６
……パツキング。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 エポキシ樹脂あるいは磁器等の絶縁部材によつ
   て構成された筒状のハウジングと、 該ハウジングの中央部に位置して該ハウジング
   内に気密的に隔離された２つの避雷器素子の収容
   室を形成するとともに該ハウジング外部の接地端
   子に気密的に接続された接地電極と、 前記収容室内において前記接地電極の両側に対
   称的に配置され、スペーサによつて非放電時のギ
   ヤツプ長を決められた一対の放電ギヤツプと、 前記収容室内において前記一対の放電ギヤツプ
   のそれぞれの電源側に対称的に配置された一対の
   避雷器素子と、 前記収容室内において前記一対の避雷器素子の
   それぞれの電源側に対称的に配置されて前記一対
   の避雷器素子をそれぞれ前記一対の放電ギヤツプ
   に押し付ける一対の弾性部材と、 前記ハウジングの両端に設けられ、前記放電ギ
   ヤツプ、前記避雷器素子および前記弾性部材を前
   記収容室内に気密的に収容させるとともに前記弾
   性部材の一端を係止し、変圧器端子に接続される
   一対の端子を備え、 前記一対の放電ギヤツプは、それぞれ、 前記接地電極に接触する接地側電極と、 前記避雷器素子に電気的に接続されて前記ハウ
   ジングの放電領域から前記避雷器素子を隔絶し、
   前記放電ギヤツプの放電により前記放電領域の内
   圧が上昇したとき前記避雷器素子を介して前記弾
   性部材を圧縮することにより前記スペーサから離
   れて前記端子の方向に移動し、前記内圧が低下し
   たとき前記避雷器素子を介して前記弾性部材の弾
   性力を受けて前記接地側電極の方向に移動するこ
   とにより前記スペーサに接触する電源側電極を有
   することを特徴とする変圧器内蔵形避雷器。