JPH025991Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案はインキを中綿等に吸蔵させないで直接
貯溜するインキタンクを有し、又インキタンク内
の空気が温度上昇等の原因によつて膨張した場合
にインキタンクから押し出されるインキを筆先部
や空気孔からボタ落ちさせないために一時的に保
溜するインキ保溜体を付設した筆記具のキヤツプ
の改良に関する。

（従来の技術） 従来の斯る方式の筆記具の軸筒１とキヤツプ２
の嵌合構造は第２図に示す如きである。即ちキヤ
ツプ２の内部には中キヤツプ３の如き軸筒１に対
する密着部が設けられて、筆先部４と空気孔５と
を外気から遮断して密封し筆先部４の乾燥や空気
孔５からのインキの蒸発を防止している。

（考案が解決しようとする問題点） 上記の従来の構造では、筆先部４を下にしてキ
ヤツプ２を嵌合する場合、軸筒１はその外面が中
キヤツプ３内面に密接してからも多少の距離だけ
け圧入して固定されることになるので中キヤツプ
３内の空気が若干圧縮され、その分だけ空気が空
気孔５からインキ保溜体６を通つてインキタンク
内に気泡として侵入しその分だけインキが溢出し
てインキ保溜体６に保溜される。又逆に軸筒１か
らキヤツプ２を外す場合、中キヤツプ３内の空気
は上記の現象とは逆に減圧されることになり、そ
のためインキタンク内のインキは多少引き出され
やはりインキ保溜体６に保溜される。このように
キヤツプ２の着脱の度にインキ保溜体６のインキ
保溜量が増加していき最後には保溜能力を超過し
て空気孔５からインキが吹き出すという欠点があ
つた。

本考案の目的は斯る従来品の欠点を過消した筆
記具のキヤツプを提供することである。

（問題点を解決するための手段） 本考案は上記問題点を解決するものとして、イ
ンキタンクにインキ保溜体を付設したインキ直接
貯溜方式の筆記具軸筒に被着するキヤツプに於
て、軸筒に被着したときに軸筒の空気孔の前後両
側位置に対応する内面箇所に軸筒表面に密着して
空気孔を気密に隔離する内径縮小突起部を設ける
と共に、頂端面又は側面にキヤツプ内孔部と外部
とを連通する通気口を設け、更に頂端面内部箇所
には筆記具の筆先部を完全に没入遮蔽する非吸水
性の弾性体を内装して成る筆記具のキヤツプを提
示するものである。

（作用） 本考案ではキヤツプの頂端面又は側面にキヤツ
プ内孔部と外部とを連通する通気口を設けること
によつてキヤツプの着脱時に従来の構造では生じ
ていた空気の圧縮又は減圧現象を防止し、通気口
を設けることによつて逆に急激になる筆先部の乾
燥や空気孔からのインキの蒸発は筆先部を完全に
没入遮蔽する非吸水性の弾性体と空気孔の前後両
側位置の軸筒表面に密着するキヤツプ内面部の内
径縮小突起部によつて手当するものである。

（実施例） 第１図は本考案の実施例を示す縦断面図であ
る。筆記具本体の軸筒１はその後端内部をインキ
タンク７となし、その前方には外面に多数の周溝
８…を有し更にその各周溝８を連通する軸方向の
縦溝９を有するインキ保溜体６を内装している。
インキ保溜体６の前端は軸筒１の前端より突出
し、その突出部１０と軸筒１の境界部にはインキ
保溜体内部と軸筒外部とを連通する空気孔５が開
設されている。インキ保溜体６の突出部１０の前
端にはチツプ１１を保持した口プラ１３が圧入さ
れ、チツプ１１はインキ保溜体６の中心部に設け
られた軸方向の縦孔１３に挿通されたインキ誘導
棒１４と接続されている。通常の筆記状態ではイ
ンキタンク７よりインキ誘導棒１４を介してチツ
プ１１の筆先部４へインキが供給されているが、
筆記に際して消費するインキタンク７内のインキ
と空気の置換、又は温度上昇等によるインキタン
ク内空気の膨張等によつてインキが過剰流出する
とそのインキはインキ保溜体６の後端部の溢出孔
１５より連通溝９を通じて各周溝８に一時的に保
溜される。キヤツプ２には軸筒１に被着した場合
に軸筒１の空気孔５の前後両側位置に対応する内
面箇所に軸筒表面（正確には軸筒１とインキ保溜
体６の突出部１０の表面）に密着する対の内径縮
小突起部１６が設けられている。この突起部１６
により空気孔５はキヤツプ２の内部とも外部とも
気密に隔離されている。キヤツプ２の頂端面の内
部位置には内面段部１７を有する筒部１８が突設
されその内孔部の内面段部には非吸水性の筒状の
弾性体１９が装着されている。この弾性体１９の
位置は、キヤツプ２を軸筒１に被着した場合に筆
先部４がその先端面２０に到達して完全に没入で
きる位置に設定される。この筒部１８の外周部の
上下位置にはキヤツプ２の頂端面に開口してキヤ
ツプ２内部と外気とを連通する通気口２１が設け
られている。従つてキヤツプ２の軸筒への被着時
にはキヤツプ内部は外気とは連通しているが、キ
ヤツプ内部の筆先部４及び空気孔５は夫々弾性体
１９及び突起部１６により気密に密封された状態
を維持する。

（考案の効果） 本考案は上述した構成及び作用を有するもので
あつて、キヤツプ内部空間は通気口によつて外部
と連通されているのでキヤツプの着脱時にキヤツ
プ内部の空気が圧縮されたり逆に減圧されたりす
る現象がなくなつてインキ保溜体へのインキの蓄
積が防止されインキ保溜体のインキ保溜能力を超
過したインキが空気孔等より吹き出す事故が防止
される。然もキヤツプ内部が外部と連通されてい
るに拘らず筆先部は弾性体によつて、又空気孔は
突起部によつて夫々密封されているので筆先部の
乾燥及び空気孔からのインキ蒸発の防止が手当さ
れておりキヤツプの機能を少しも損ねるものでは
ない。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の実施例を示す縦断面図、第２
図は従来例を示す縦断面図である。 １…軸筒、２…キヤツプ、３…中キヤツプ、４
…筆先部、５…空気孔、６…インキ保溜体、７…
インキタンク、８…周溝、９…縦溝、１０…突出
部、１１…チツプ、１２…口プラ、１３…縦孔、
１４…インキ誘導棒、１５…溢出孔、１６…突起
部、１７…内面段部、１８…筒部、１９…弾性
体、２０…先端面、２１…通気口。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. インキタンクにインキ保溜体を付設したインキ
   直接貯溜方式の筆記具軸筒に被着するキヤツプに
   於て、軸筒に被着したときに軸筒の空気孔の前後
   両側位置に対応する内面箇所に軸筒表面に密着し
   て空気孔を気密に隔離する内径縮小突起部を設け
   ると共に、頂端面又は側面にキヤツプ内孔部と外
   部とを連通する通気口を設け、更に頂端面内部箇
   所には筆記具の筆先部を完全に没入遮蔽する非吸
   水性の弾性体を内装して成る筆記具のキヤツプ。