JPH0259784B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

本発明は記録画像の耐水性の優れた感熱記録紙
に関する。 通常無色ないし淡色の所謂塩基性無色染料とフ
エノール類、有機酸などの有機顕色剤との加熱発
色反応を利用した感熱記録紙は、特公昭43−4160
号、特公昭45−14039号、特開昭48−27736号等に
発表され広く実用化されている。 感熱記録紙は、乗車券、入場券等の各種券類、
商品の値札やラベル等にも使用されるようにな
り、こうした用途の拡大に伴つて、記録画像の耐
水性が問題にされるケースも生じてきた。ところ
が、一般に感熱記録紙は水分や高湿環境に対して
不安定であり、水滴の付着により発色像の濃度が
低下したり、発色像そのものが消失してしまうこ
とがある。このように、水に対する安定性に欠け
ることは、感熱記録紙の利用分野を拡大する上
で、大きな支障となつている。 感熱記録紙の分野では最も使用実績が長く、且
つ広く使用されているビスフエノールＡについて
も、上記の欠点が顕著にみられ、ステアリン酸ア
マイドの如きワツクスを併用した場合ですらも、
水に対する安定性を期待することはできない。 本発明の目的は、水中に浸漬されても発色像が
消失することのない程に極めて高度の耐水性を有
する感熱記録紙を提供することにある。 本発明者等は、有機顕色剤の分野を検討した結
果、１，３−ジ〔２−（４−ヒドロキシフエニル）
−２−プロピル〕−ベンゼンによつて得られる発
色層が、水に対して比較的安定な画像を与えると
の知見を得た。 この１，３−ジ〔２−（４−ヒドロキシフエニ
ル）−２−プロピル〕−ベンゼンは、３個のベンゼ
ン核からなるビスフエノール型の新規の顕色剤で
あり、現在使用されているビスフエノールＡやＰ
−ヒドロキシ安息香酸エステル等よりも昇華性が
少なく、顕色剤として画像の安定性が高い点に特
徴がある。１，３−ジ〔２−（４−ヒドロキシフ
エニル）−２−プロピル〕−ベンゼンの類緑物とし
ては、１，３−ジ〔２−（４−ヒドロキシ−３−
アルキルフエニル）−２−プロピル〕−ベンゼン、
１，３−ジ〔２−（２，４−ジヒドロキシフエニ
ル）−２−プロピル〕−ベンゼン、１，３−ジ〔２
−（２−ヒドロキシ−５−メチルフエニル）２−
プロピル〕−ベンゼン等を挙げることができるが、
これらの化合物は１，３−ジ〔２−（４−ヒドロ
キシフエニル）−２−プロピル〕−ベンゼンに匹滴
するような顕色能力を有していない。 本発明は、上記１，３−ジ〔２−（４−ヒドロ
キシフエニル）−２−プロピル〕−ベンゼンに対し
て、２個以上のベンゼン核を有する水不溶性の加
熱溶融物のうち少なくとも一種を併用することを
特徴とし、ここに、使用する加熱溶融物は、ジ
（Ｐ−トリル）カーボネート、ジベンジルテレフ
タレート、Ｐ−ベンジルオキシ安息香酸ベンジル
及びベンジルジフエニルから選択される。 これらの加熱溶融物の使用によつて、画像濃度
を格段に向上させ、且つ水に対する安定性を増す
ことができる。 本発明に使用する通常無色ないし淡色の塩基性
無色染料としては各種の染料が衆知であり、限定
されるものではないが、例えば下記のものが挙げ
られる。３−（Ｎ−エチル−イソアミル）アミノ
−６−メチル−７−アニリノフルオラン（黒色）、
３−ジブチルアミノ−６−メチル−７−アニリノ
フルオラン（黒色）、３−ジエチルアミノ−６−
メチル−７−アニリノフルオラン（黒色）、３−
（Ｎ−エチル−Ｐ−トルイデイノ）−６−メチル−
７−アニリノフルオラン（黒色）、３−ジエチル
アミノ−６−メチル−７−（オルト、パラ−ジメ
チルアニリノ）フルオラン（黒色）、３−ピロリ
デイノ−６−メチル−７−アニリノフルオラン
（黒色）、３−ピペリデイノ−６−メチル−７−ア
ニリノフルオラン（黒色）、３−（Ｎ−シクロヘキ
シル−Ｎ−メチルアミノ）−６−メチル−７−ア
ニリノフルオラン（黒色）、３−ジエチルアミノ
−７−（メタ−トリフルオロメチルアニリノ）フ
ルオラン（黒色）、３−ジブチルアミノ−７−（オ
ルト−クロロアニリノ）フルオラン（黒色）、３
−ジエチルアミノ−６−メチル−クロロフルオラ
ン（赤色）、３−ジエチルアミノ−６−メチル−
フルオラン（赤色）、３−シクロヘキシルアミノ
−６−クロロフルオラン（橙色）、クリスタル・
バイオレツト・ラクトン（青色）。 前述の有機顕色剤および塩基性無色染料並びに
水溶性の加熱溶融物はボールミル、アトライタ
ー、サンドグラインダーなどの磨砕機あるいは適
当な乳化装置によつて数ミクロン以下の粒子径に
なるまで微粒化し、目的に応じて各種の添加材料
を加えて塗液とする。この塗液には、通常、ポリ
ビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール、
ヒドロキシエチルセルローズ、メチルセルロー
ズ、デンプン類、スチレン−無水マレイン酸共重
合体、酢酸ビニル無水マレイン酸共重合体、スチ
レン−ブタジエン共重合体などの結合剤、並びに
カオリン、焼成カオリン、ケイソウ土、タルク、
酸化チタン、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウ
ム、水酸化アルミニウムなどの無機または有機充
填剤を添加するが、このほかに脂肪酸金属塩など
の離型剤、ワツクス類などの滑剤、ベンゾフエノ
ン系やトリアゾール系の紫外線吸収剤、グリオキ
ザールなどの耐水化剤、分散剤、消泡剤などを使
用することができる。この塗液を紙および各種フ
イルム類に塗布することによつて、目的とする感
熱記録紙が得られる。 本発明に使用する各種成分の種類及び量は要求
される性能および記録適性に従つて決定され、特
に限定されるものではないが、通常、塩基性無色
染料１部に対して、１，３−ジ〔２−（４−ヒド
ロキシフエニル）−２−プロピル〕−ベンゼン３〜
10部、ジ（Ｐ−トリル）カーボネート、テレフタ
ル酸ジベンジル等の加熱溶融物は３〜12部、充填
剤１〜20部を使用し、結合剤は全固形分中10〜25
部が適当である。 更に、発色層の上に水溶性のバインダーを塗工
すれば耐油性効果が得られるので、耐水性および
耐油性の両方の要求を満足することができる。こ
の場合の水溶性バインダーとしては、ポリビニル
アルコール、カルボキシ変性ポリビニルアルコー
ル、アクリルアミド変性ポリビニルアルコール、
ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチル
セルロース、スチレン−マレイン酸共重合体等を
使用するが、耐水化剤を併用することで、より堅
牢な感熱記録紙が得られる。 本発明に係る感熱記録紙による記録画像は高度
の耐水性を有するので、水滴がかかり易い使用環
境や高湿条件下での使用にも充分耐えることがで
きる。そればかりか、高速記録適性や地色の安定
性にも優れている。例えば、従来のビスフエノー
ルＡを顕色剤とし脂肪酸アマイド類を併用した代
表的な感熱記録紙では、高速化に対応させようと
すれば60〜80℃で発色してしまい、感熱記録紙の
貯蔵や運搬中の僅かな温度上昇にも耐えられない
が、本発明の感熱記録紙は60〜80℃の温度条件で
は地色の白色度が低下することなく、しかも高速
記録においても高濃度の発色像が得られる。 次に本発明を実施例によつて具体的に説明す
る。 実施例 Ａ液（染料分散液） ３−（Ｎ−エチル−イソアミル）アミノ−６−
メチル−７−アニリノフルオラン 1.5部 10％ポリビニルアルコール水溶液 3.4部 水 1.9部 Ｂ液（顕色剤分散液） ビスフエノールＡ ６部 10％ポリビニルアルコール水溶液 15部 水 ９部 Ｃ液（顕色剤分散液） （１，３−ジ〔２−（４−ヒドロキシフエニル）
−２−プロピル〕−ベンゼン ６部 10％ポリビニルアルコール水溶液 15部 水 ９部 Ｄ液 ステアリン酸アマイド ５部 10％ポリビニルアルコール水溶液 12.5部 水 7.5部 更に、上述したＤ液のステアリン酸アマイド
を、Ｐ−ベンジルオキシ安息香酸ベンジル、テレ
フタル酸ジベンジル、ジ（Ｐ−トリル）カーボネ
ート、ベンジルジフエニルに置き換えた分散液を
各々Ｅ、Ｆ、Ｇ、Ｈ液とする。 上記の組成物の各液をボールミルで粒子径３ミ
クロンまで磨砕した。次いで、表１の割合で分散
液を混合して塗液とした。

【表】 各塗液を50ｇ／m²の基紙の片面に塗布量6.0
ｇ／m²になるように塗布乾燥し、このシートをス
ーパーカレンダーで平滑度が200〜300秒になるよ
うに処理した。得られた感熱記録紙について品質
性能試験を行つた結果を表２に示す。

【表】 表２から明らかなように、１，３−ジ〔２−
（４−ヒドロキシフエニル）−２−プロピル〕−ベ
ンゼンにジ（Ｐ−トリル）カーボネート、ベンジ
ルジフエニル、Ｐ−ベンジルオキシ安息香酸ベン
ジル又はテレフタル酸ジベンジルを混合して使用
すると、水に浸漬しても画像濃度が殆んど低下し
ない程に耐水性の良好な感熱記録紙が得られる。
比較例との対比から、この耐水性が本発明の組合
せに特徴的なものであることが分る。更に、本発
明の感熱記録紙は高速記録による発色濃度が高く
且つ地色の安定性に優れている。殊に、ジ（Ｐ−
トリル）カーボネートとの併用効果は顕著であ
る。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 塩基性無色染料と有機顕色剤とを含有する発
   色層を設けた感熱記録紙において、１，３−ジ
   〔２−（４−ヒドロキシフエニル）−２−プロピル〕
   −ベンゼンを有機顕色剤とする上記発色層中に、
   ジ（Ｐ−トリル）カーボネート、ジベンジルテレ
   フタレート、Ｐ−ベンジルオキシ安息香酸ベンジ
   ルエステル及びベンジルジフエニルから選択され
   る少なくとも一種を含有することを特徴とする感
   熱記録紙。