JPH0258467B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、内燃エンジンのフライホイールの部
分に設けられ、始動ロープおよび牽引ハンドルを
有する形式のエンジンのスタータに関するもので
ある。

この種形式のスタータにおいて、切換可能の第
１の駆動用クラツチ部材が軸上に設けられ、この
駆動用クラツチ部材と同軸線上位置で他方の第２
クラツチ部材がエンジン軸上に設けられたものが
従来既知である。このようなクラツチは、例え
ば、スエーデン特許SE−PS157325明細書に記載
されている。上述したような切換可能のクラツチ
部材が設けられたスタータは、摩耗により交換す
る必要が生じる複数の部品を通常具えている。こ
のようなスタータを正しく作動させるためには、
駆動部材の切換時に、切換部材間に相対的運動を
生ぜしめる摩耗ブレーキを設ける必要がある。こ
のブレーキによつて消費される力はエンジンによ
つて得られないから、得られる始動のための力の
一部が損失される。したがつて、従来のスタータ
の欠点をなくすこと、すなわち、摩耗を低減し、
構造を簡単にし、制動力を低下させることは重要
なことである。

本発明によれば、始動ロープを引く際に生じる
第１の駆動用クラツチ部材の軸線方向の移動を支
承軸に設けた螺旋溝内に巻きつけた螺旋スプリン
グによつて案内し、第１の駆動用クラツチ部材の
円筒形内側支承表面に対して螺旋スプリングの外
周をばね作用によつて押しつけ、螺旋スプリング
をねじと摩擦掛合させ、これにより第２の駆動用
クラツチ部材に軸線方向力を加えるよう構成した
スタータを提供する。本発明のスタータのこれら
の特徴および他の特徴については以下に詳細に記
載し、また、特許請求の範囲第１項の特徴とする
部分に本発明の特徴を記載する。

次に、本発明の実施例を図面につき説明する。

第１図に示すスタータは、電動鋸、芝刈機また
は船外機付船等における小型エンジンに用いられ
る。モータ軸１０上に送風羽根１２を有するフラ
イホイール１１と第２図に詳細構造を示す第２ク
ラツチ部材としての駆動板１３とが支持されてい
る。駆動板１３は軸１６上にジヤーナル軸受けさ
れた第１クラツチ部材としてのローププーリー１
５上の連結ピン１４と協働し得るようプレス成形
されている。ローププーリーはその溝１８に数回
巻き付けられている始動ロープ１７を引張る際に
回転される。軸１６はシールド部分１９によつて
支持されており、シールド部分に形成された孔２
０を経てロープ１７がハンドル２１に結着されて
いる。ローププーリーにはまた、時針のぜんまい
ばね形式のリターンスプリング２２が設けられて
おり、このスプリングの外端はシールド１９に固
着されており、スプリングの内端はローププーリ
ーに固着されている。

ローププーリー１５の内側円筒形軸受表面２３
にはねじ２４が形成されており、このねじ２４と
協働する螺旋スプリング２５が軸１６の螺旋溝２
６内に取付けられている。第３図に示すように、
螺旋溝２６の深さを螺旋スプリング２５の断面よ
り大きくして螺旋スプリングが螺旋溝内に入り込
み得るよう構成している。螺旋スプリングはその
断面の一部を第３図に示すように螺旋溝外にばね
力によつて位置させている。これがため、断面の
突出部分はねじ２４のねじ山間に入り込み、軸１
６が回転される際に、ローププーリーを軸１６上
に軸線方向に移動させるよう案内する。ロープ１
７を引張る際、ローププーリーはフライホイール
に向けて軸線方向に移動し、リターンスプリング
がローププーリーを反対方向に回転する際、ロー
ププーリーはフライホイールから遠去かる方向に
軸線方向に移動する。ねじ２４の断面が三角形状
であり、螺旋スプリング２５の断面が円形である
から、ローププーリーが一方の軸線方向端位置を
占める際に、ねじは螺旋スプリング上に摺動し、
（したがつて、螺旋スプリングは螺旋溝内に圧入
され）、これによつて連続的に回転することがで
きる。ローププーリーの回転方向に対するリター
ンスプリングの巻回方向もまたローププーリー上
にリターンスプリングによつて加えられる軸線方
向力にとつて重要である。図示の例では、軸の外
端における固定点からの螺旋スプリングの巻回方
向はロープが引張られる際に生じる回転方向とは
反対であり、すなわち、スプリングはその直径を
拡大してねじ２４のねじ山間から出るよう作用す
る。これによりフライホイールに向かう方向にロ
ーププーリーに作用する軸線方向力を増大し、こ
の力がロープを引張る際に直ちにピン１４を駆動
板１３に安全に押し入れるから有利である。反対
方向への（リターンスプリングによる）回転に際
し、スプリングの外径が減少するから、軸線方向
力は対応して減少する。上述した反対方向への回
転に際し、リターンスプリングによつてプーリー
が回転してロープを溝１８内に巻きつける際、ピ
ンは駆動板から引き抜かれる。

始動時に、ピンを駆動板に直ちに掛合させるた
めには、ねじ２４および螺旋スプリングのピツチ
を大きくすることが必要である。大きなピツチの
ねじ山間に数個のねじ山を設けることが必要であ
り、これがため、ねじ山の入口の数が多くなる。
２個の順次のねじ山間の距離は1.5mmであるから、
ねじ山のピツチを18mmとすると、ローププーリー
には、12個のねじ山の入口が必要である。駆動板
１３にピン１４が係合する時間をさらに短かくす
るために、駆動板１３に４個のピン係合窪みを設
けている（第２図参照）。

ローププーリーが始動時に駆動板１３との係合
を外ずすことがあつてはならない。ロープの角度
Ｖ（第１図参照）を適切に選定して、始動中に、
螺旋スプリングがねじ２４のねじ山から出てスリ
ツプする際に、ローププーリーが後退しないよう
にする。

螺旋スプリングは軸１６上の肩部およびロープ
プーリーの円筒形内側表面２８によつて保護され
ている。これは、スタータの相当部分、すなわ
ち、螺旋スプリングが汚損されることなく作用し
得るとともに必要な潤滑を所定部分に保持し得る
ことを意味する。

図示の上述した実施例は本発明の好適実施例を
示すものである。本発明は上述した実施例に限ら
れることなく、本発明の範囲内で種々の変更を加
えることができ、例えば、螺旋クラツチをロープ
プーリーの内側円筒形支承表面上に設け、ねじを
軸上に設けることもできる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明によるスタータの好適実施例の
縦断面図、第２図は駆動板の斜視図、第３図は第
１図に示す螺旋溝、スプリングおよびねじの部分
の拡大部分図である。 １０……モータ軸、１１……フライホイール、
１２……送風羽根、１３……駆動板、１４……連
結ピン、１５……ローププーリー、１６……軸、
１７……ロープ、１８……溝、２１……ハンド
ル、２２……リターンスプリング、２４……ね
じ、２５……螺旋スプリング、２６……螺旋溝、
２７……固定点。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 支承軸１６上に変位自在に軸受けされた第１
   クラツチ部材としてのローププーリー１５と、エ
   ンジン軸に固着された第２クラツチ部材としての
   駆動板１３とを具え、ローププーリーの周りに巻
   回された始動ロープ１７から力を伝達するよう構
   成された内燃エンジンの手動スタータにおいて、
   前記ローププーリーおよび前記支承軸のいづれか
   一方の支承表面に前記ローププーリーおよび前記
   支承軸の他方の支承表面に対向してねじが設けら
   れ、前記他方の支承表面に溝２６が設けられ、こ
   の溝内に弾力のある螺旋スプリング２５が前記ね
   じと協同するよう設けられていることを特徴とす
   るエンジンの手動スタータ。 ２ 前記ねじがロープブーリーの内側円筒形支承
   表面に設けられ、前記溝および螺旋スプリングが
   前記支承軸上に設けられていることを特徴とする
   特許請求の範囲第１項に記載のスタータ。 ３ 前記螺旋スプリング前記支承軸の直径に比べ
   て大きな外径を有し、このスプリングの一部が前
   記溝内に固定されていることを特徴とする特許請
   求の範囲第２項に記載のスタータ。 ４ 前記螺旋スプリングが前記固定点からエンジ
   ンの回転方向とは反対方向に巻回されていること
   を特徴とする特許請求の範囲第３項に記載のスタ
   ータ。 ５ 前記円筒形支承表面におけるねじのピツチお
   よび方向と同じであることを特徴とする特許請求
   の範囲第４項に記載のスタータ。 ６ 前記ピツチが休止時におけるローププーリと
   駆動板間の距離より数倍おおきいことを特徴とす
   る特許請求の範囲第５項に記載のスタータ。