JPH0256171B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は内燃機関のカムシヤフトとして中空の
鋼管を用い、これにバルジ加工等を利用して別体
のカム部および必要によりジヤーナル部等を固着
した組立カムシヤフトに関する。

従来の技術 一度バルジ成形した鋼管の内周にさらに鋼管を
挿入してバルジ成形する二重管の中空カムシヤフ
トとしては、特開昭58−132325号がある。

また、バルジ成形した鋼管の内周にプラスチツ
クを充填するカムシヤフトとしては、実公昭59−
9042号などがある。

さらに、中空カム軸を強化プラスチツクとし、
カム駒を金属として両者を接着剤で接合する組立
カムシヤフトとしては、特開昭58−75903号など
がある。

発明が解決しようとする問題点 鋼管を二重にバルジ成形するものは、個々の鋼
管肉厚を小さくしてバルジ成形荷重を低減できる
点において優れているが、カムシヤフト使用中の
熱収縮量の差により、内外パイプ管に隙間を形成
しがちとなる問題があり、特にカムシヤフト使用
温度における内周管の強度補強に不安が残されて
いる。

強化プラスチツクを充填するカムシヤフトに於
いては、熱収縮量の差による内外軸の隙間発生を
防止できる点において優れているが、シヤフト全
体として均一な強度補強を行うために短繊維強化
プラスチツクの利用が必然となり、強化プラスチ
ツクによる高い補強効果が得られない問題があ
り、特に強化プラスチツクを中空状に充填して油
穴確保と軽量化を図る場合は一層の強度低下を免
れない。

また、中空の強化プラスチツク軸とカム駒を結
合するのに接着手段を用いるものは、プラスチツ
ク強化繊維として織布状または糸巻状の長繊維を
利用できる点で優れているが、カムシヤフト使用
中の衝撃や熱収縮差によつて接着部に弛みが発生
しがちとなる問題がある。

問題点を解決するための手段 拡径によりカム駒を結合した中空鋼軸の内周に
長繊維強化プラスチツク製の補強管を挿入すると
共に、該補強管を前記中空鋼管に拡径接合する。

作 用 長繊維強化プラスチツク製の補強管が中空鋼軸
内周に拡管接合して長繊維を中空鋼管の略蛇腹状
内周面に近接して沿わす。

実施例 以下本発明の実施例を図面に基づいて説明す
る。第１図は組立カムシヤフト１００の一実施例
を表わすもので、１０１は鋼管等の中空鋼軸。

１２０，１２１，１２２，１２３はカム駒およ
び１０２，１０３，１０４はジヤーナル駒で、予
め鋳造、鍛造あるいは焼結成形などによつて、所
望のカムプロフイールおよび所望の円筒形に形成
されている。このカム駒およびジヤーナル駒に
は、拡径前の中空鋼軸１０１（第３図）の挿通可
能な通孔１３０，１３１，１３２および各駒側面
に自身の通孔に連接された略環状の切欠き部１４
３，１４０，１４１，１４４，１１３，１４２が
設けられている。

この個々の切欠き部１４０，（１４１，……）
は、通孔１３０，（１３１，……）から駒側面に
向けて拡径する様に截頭円錐状に形成されてい
る。なお切欠き部１４０，（１４１，……）は直
線的なテーパ形状に限らず円弧状など丸味を帯び
ていても良い。

また、カム駒１２０およびジヤーナル駒１０２
には必要により浸炭処理などの表面処理が施され
る。

この組立カムシヤフト１００の中空鋼軸１０１
とカム駒、ジヤーナル駒との結合方法としては、
各駒を中空鋼軸１０１の所定位置に嵌合し、そし
てこれを所定のカムシヤフト形状の型面を有する
バルジ金型（図示せず）内にセツトし、型閉めす
る。

それによつて互いに隣接するジヤーナル駒とカ
ム駒あるいはカム駒とカム駒の互いに対向する一
対の切欠き部１４２，１４３，（１４０，１４１）
は、両者の対向する切欠き部の投影面の中に一対
の拡径空間をもたらす。

ついで型閉め状態にて、上記中空鋼軸内に乳化
液等を注入し、かつこの乳化液を圧縮加工する。
すると上記中空鋼軸１０１は外方へ膨張し、各駒
１０２，１２０の通孔内周面や切欠き部１４２，
１４３，（１４０，１４１）およびバルジ金型の
型面に沿つて、第５図に示される如く塑性変形す
る。特に対向する一対の切欠き部１４２，１４
３，（１４０，１４１，……）には当該切欠き部
に共通のなだらかな膨出部１０５，１０９，１０
７，１１０，１０８，１１２，１１３が形成さ
れ、中空鋼軸１０１の内周面は略蛇腹状と成る。

これにより各カム駒およびジヤーナル駒が中空
鋼軸に堅固に固定され、その後このカムシヤフト
１００はバルジ金型から取り出される。

この第５図に示すカムシヤフト１００のカム駒
１２０、ジヤーナル駒１０２と中空鋼軸１０１と
の相対回転防止は、予め各駒の通孔１３０，１３
２および切欠き部１４０，１４２に多角形状例え
ば図示の如き六角形状を付与し、中空鋼軸１０１
をバルジ加工で膨張させることで、各駒の六角形
面に沿つて中空鋼軸が塑性変形して達成される。
なお、各駒と中空鋼軸との相対回転防止として
は、切欠き部に小さな爪（図示せず）を設けた
り、また通孔１３０，１３２に対し偏心形状（図
示せず）が付与された切欠き部を設けること等に
よつても達成できる。

また、図示されるように、カム駒両側面に切欠
き部１４０，１４３，（１４１，１４４）を設け
ることにより、カム駒の軸線方向移動を確実に防
止でき、かつカム駒両側面の切欠き部の大きさに
差を持たすことにより、中空鋼軸へのカム駒挿入
における逆向き嵌挿の防止が容易となる。

続いて、第５図に示す如く形成されたカムシヤ
フト１００の中空鋼軸１０１内周に補強軸１６０
を成形する工程について、第７図および第１図に
よつて説明する。

なお、中空鋼軸１０１の適所には、必要により
後述される補強管拡径に備え、外周に空気抜き孔
を形成しておいても良い。

まず第７図に示すように、中空鋼軸１０１内周
に長繊維強化プラスチツク製の円筒状補強管１６
０を挿入する。

この補強管１６０は予め次のように形成して用
意される。例えば、強化繊維の長繊維を型（図示
せず）の上に巻き付けながら、適当な樹脂を含浸
させて成形する、所謂フイラメント・ワインデイ
ング（Filament Winding）中空強化プラスチツ
ク軸として形成するか、または円筒状の強化繊維
織布１５０を型（図示せず）の外周に挿入して適
当な樹脂を含浸させて成形する中空強化プラスチ
ツク軸として形成される。

つぎに、斯様に補強管１６０が装填された上記
カムシヤフト１００を適当な型（図示せず）に固
定して、補強管１６０および必要により中空鋼軸
１０１を加熱すると共に気圧又は液圧などの内圧
を加えることにより、補強管１６０を拡径し中空
鋼軸１０１の略蛇腹状内周面に接合する。

このとき、補強管１６０の凸部１６１，１６
２，１６３，１６４の突出量が不足して、中空鋼
軸の膨出部１１１，（１０５，……）内周面に十
分に係合しない場合は、この問題を解消するため
に補強管１６０の加熱及び内圧付与時に該補強軸
１６０を軸線方向に短縮する荷重をさらに付加す
る。

このようにして組立てられた第１図に示す組立
カムシヤフト１００は、凸部１６１，１６２（…
…）にも長繊維が通じ、中空鋼軸１０１と補強軸
１６０が強固に接合される。

なお、織布の強化繊維としては、ガラス繊維、
カーボン繊維などの中から適当なものを選択して
使用し、充填樹脂には熱硬化性樹脂、熱可塑性樹
脂の中から適当なものを選択して使用し、かつ必
要により充填樹脂の中に短繊維を混入させ一層の
強度補強を図るようにしても良い。

この組立カムシヤフト１００はその後、型から
取り出され、カム面およびジヤーナル部を研削仕
上げし、油穴等を加工して所望のカムシヤフトに
完成される。

効 果 以上のように本発明によれば、長繊維強化プラ
スチツク製の補強管を中空鋼軸内周に拡管接合し
て長繊維を中空鋼管の略蛇腹状内周面に近接して
沿わすので、中空鋼軸に対する高い強度補強が達
成できる。

そのため所要カム軸強度を得るのに中空鋼軸肉
厚を薄くしてそれのバルジ成形を容易ならしめる
こともできる。

【図面の簡単な説明】

図面は本発明の実施例を表わすもので、第１図
は組立カムシヤフトの一部断面平面図。第２図は
第１図のＡ−Ａ断面を表わす断面図。第３図乃至
第８図は第１図に示す組立カムシヤフトの部品お
よび組立工程を表わすもので、第３図は中空鋼軸
の一部断面平面図。第４図はジヤーナル駒および
一対のカム駒を表わす部分断面立面図。第５図は
バルジ成形後の組立カムシヤフトの一部断面平面
図。第６図は第５図のＢ−Ｂ断面を表わす断面
図。第７図は補強軸を拡径する工程の部分断面平
面図。第８図は第７図のＣ−Ｃ断面を表わす断面
図である。 （記号の説明）、１００……組立カムシヤフト。
１０１……中空鋼軸。１０２……ジヤーナル駒。
１２０，１２１……カム駒。１３０，１３１……
通孔。１５０……強化繊維織布。１６０……補強
管。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 第１工程で、予め用意した環状のカム駒１２
   ０，１２１の通孔１３０，１３１に中空鋼軸１０
   １を挿入し、該中空鋼軸１０１を拡径してカム駒
   と中空鋼軸とを結合し、 第２工程で、前記中空鋼軸１０１内周に長繊維
   強化プラスチツク製の補強管１６０を挿入すると
   共に、該補強管１６０を前記中空鋼軸１０１に拡
   管接合することを特徴とする組立カムシヤフトの
   製造方法。