JPH0250926B2 - - Google Patents

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JPH0250926B2
JPH0250926B2 JP55027147A JP2714780A JPH0250926B2 JP H0250926 B2 JPH0250926 B2 JP H0250926B2 JP 55027147 A JP55027147 A JP 55027147A JP 2714780 A JP2714780 A JP 2714780A JP H0250926 B2 JPH0250926 B2 JP H0250926B2
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JP
Japan
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monomer
copolymer
propylene
propylene copolymer
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JP55027147A
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English (en)
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JPS56122801A (en
Inventor
Tetsuji Kakizaki
Shinji Horie
Masayuki Fujii
Mitsutaka Myabayashi
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Mitsubishi Petrochemical Co Ltd
Original Assignee
Mitsubishi Petrochemical Co Ltd
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Publication date
Application filed by Mitsubishi Petrochemical Co Ltd filed Critical Mitsubishi Petrochemical Co Ltd
Priority to JP2714780A priority Critical patent/JPS56122801A/ja
Publication of JPS56122801A publication Critical patent/JPS56122801A/ja
Publication of JPH0250926B2 publication Critical patent/JPH0250926B2/ja
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  • Polymerisation Methods In General (AREA)
  • Graft Or Block Polymers (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
〔〕 発明の背景 技術分野 この発明は、成形性にすぐれ、剛性/衝撃強度
バランス、寸法精度、印刷性、接着性等の諸特性
が改良され、かつ他の熱可塑性樹脂とのブレンド
相溶性が改良されたプロピレン共重合体粒子の製
造法に関する。 更に具体的には、この発明は、プロピレン共重
合体とビニル重合体とから成る均質複合樹脂の製
造法に関する。この場合のビニル重合体は限定さ
れた範囲内でプロピレン共重合体よりも多量であ
つても、均質性は維持される。従つて、この発明
は別の観点からみれば、改質されたビニル重合体
を提供するものである。 従来より成形材料としてポリプロピレン等の剛
性、寸法精度、印刷性などの表面特性等を向上さ
せるため、ポリプロピレン等にビニル重合体、例
えばポリスチレン、をブレンドすることが行なわ
れている。しかし、ポリプロピレンのようなオレ
フイン系重合体とポリスチレンとは一般に相溶性
が不良であるため、ポリスチレンを20重量%以上
配合することは行なわれておらず、一般には0.2
〜10重量%のポリスチレンがオレフイン系重合体
にブレンドされていたにすぎない。しかしながら
このような少量のポリスチレンをブレンドした場
合でも、ブレンド物からの成形品は両樹脂の相溶
性の悪さから耐衝撃性が低下し、また外観が悪化
しがちであつた。 このような欠点を改良するため、電離性放射線
を照射してスチレンをグラフト重合させたポリプ
ロピレンが堤案されている。この方法は、ポリス
チレンをポリプロピレンに均一に分散させるのに
かなりの効果があるが、放射線グラフト重合法と
いう特殊な方法によるため経済性に問題があつて
実用化されていない。なお、この方法では導入す
るスチレン量には限界がある。 一方、他の公知な方法として、キシレン或はト
ルエン、クロルベンゼン等の溶媒を利用した溶液
グラフト重合法がある。しかし、ポリプロピレン
の溶解度の点から、多量の溶媒中に希釈された状
態で重合が行なわれるため、ビニル単量体、重合
開始剤及びポリプロピレンの相互の接触の機会が
少なくて一般的にビニル単量体の反応効率が低い
という欠点を有するうえ、溶剤回収等の後処理工
程が煩雑なため、この方法は経済的に不利であ
る。乳化グラフト重合法もあるが、この場合はポ
リプロピレン粒子の表面反応に限定されるため、
生成物の均質性が劣るという欠点を有する。 また、ポリエチレン粒子存在下にビニル単量体
を水中分散懸濁系で重合させる技術も公知であ
る。しかし、このものはビニル単量体の含浸を重
合と併進させて行なつているため重合が粒子の表
面反応に限定されがちで均質性が劣る傾向がある
ばかりでなく、当然のことながら本発明のように
粒子に対するビニル単量体の量比をあげることが
できないため、本発明で目的とするような新規重
合体は得られない。 ところで、本発明者らは既に特願昭50−108739
号(特開昭52−32990号公報参照)にてプロピレ
ン重合体粒子にビニル単量体を含浸および重合さ
せてプロピレン重合体とビニル重合体の均質をブ
レンド物を得る方法を提案している。 この方法によつて得られるブレンド物はその均
質性によつて上記の公知技術のもつ問題点に一つ
の解決を与えたものである。このような改良され
たブレンド物もさらに改良されればより良くなる
ことはいうまでもなく、具体的にはビニル重合体
分の含量がより多くなつてしかも均質性が保存さ
れているブレンド物が得られればその用途は一層
拡大されるであろう。 〔〕 発明の概要 要 旨 本発明は前記の公知技術のもつ問題点に解決を
与えることを目的とし、前記の本発明者らの先行
発明の技術に従つてビニル単量体の懸濁重合とい
う単一工程だけで、そしてこの懸濁重合を特定の
プロピレン共重合体について実施することによつ
てこの目的を達成しようとするものである。 従つて、本発明による複合樹脂粒子の製造法
は、水性媒体中において、下記a乃至cの群から
選ばれたプロピレン共重合体粒子100重量部にビ
ニルないしビニリデン単量体5〜400重量部を含
浸させて遊離の該単量体の量が20重量%以下とな
るようにし、次にこの水性分散液の温度を上昇さ
せて該単量体を重合させることを特徴とするもの
である。 a プロピレン40〜98重量%とC5〜C12の直鎖α
−オレフイン2〜20重量部と0〜50重量%のエ
チレンまたはブテン−1とからなる樹脂状プロ
ピレン共重合体 b プロピレン10〜98重量%とC5〜C12の分岐α
−オレフイン2〜90重量%と0〜50重量%のエ
チレンまたはC4〜C10の直鎖α−オレフインと
からなる樹脂状プロピレン共重合体 c 上記aおよびbの混合物 効 果 本発明によれば、前記の本発明者らの先行発明
に係る方法に固有の有利性に加えて特定のプロピ
レン共重合体を選択使用することによつてビニル
ないしビニリデン単量体の含浸量をさらに多くす
ることができてプロピレン共重合体に対する改質
効果が一層向上しているうえ、プロピレン共重合
体に対する生成ビニル重合体の相溶性が極めてす
ぐれているのでその均質性は一層向上している。 すなわち、本発明は、特定のプロピレン共重合
体を用いることにより、ホモポリプロピレン、プ
ロピレン−エチレンランダム共重合体、およびプ
ロピレン−エチレンブロツク共重合体よりもビニ
ルないしビニリデン単量体の含浸性および重合性
が大巾に改良され、大量のビニル重合体を均質分
散させることを可能にしたものである。 この発明により得られる複合樹脂は、両重合体
成分の相溶性が良好であるため、これを他樹脂と
組合せたポリマーブレンド系も極めて優れた均質
性を有する。 〔〕 発明の具体的説明 1 水性媒体中でのプロピレン共重合体に対する
ビニル単量体の含浸 1) プロピレン共重合体粒子 本発明で使用されるプロピレン共重合体
は、 a プロピレン40〜98重量%とC5〜C12の直
鎖α−オレフイン2〜20重量%と0〜50重
量%のエチレンまたはブテン−1とからな
る樹脂状プロピレン共重合体、 または、 b プロピレン10〜98重量%とC5〜C12の分
岐α−オレフイン2〜90重量%と0〜50重
量%のエチレンまたはC4〜C10の直鎖α−
オレフインとからなる樹脂状プロピレン共
重合体、 である。 このような共重合体の代表的なものは、下
記の(1)および(2)である。これらは、各群内お
よび群間で併用することができる。 (1) プロピレン(モノマー(1))とC5〜C12
直鎖α−オレフイン(モノマー(2))との二
元ないし多元共重合体、またはモノマー(1)
とモノマー(2)とエチレンまたはブテン−1
(モノマー(3))との三元ないし多元共重合
体。 モノマー(2)の直鎖α−オレフインは、ペ
ンテン−1、ヘキセン−1、ヘプテン−
1、オクテン−1、ノネン−1、デセン−
1、ウンデセン−1およびドデセン−1か
ら選ばれる。これらのうち、プロピレンと
の共重合体反応性の点からペンテン−1、
ヘキセン−1、ヘプテン−1およびオクテ
ン−1が好ましい。特に、ヘキセン−1が
好ましい。 本発明の目的に沿つた効果をあげるには
モノマー(1)とモノマー(2)とをその構成要素
として含むことは必須であるが、組成物の
柔軟性をより強調する必要がある場合には
モノマー(3)を使用することができる。 この共重合体の組成範囲は、モノマー(1)
40〜98重量%、モノマー(2)2〜20重量%、
モノマー(3)0〜50重量%で表わされる。こ
れらの範囲以外のものでは著しい効果が奏
されない。 この共重合体の好ましいものは、 (イ) デカリン中、135℃における極限粘度
が0.3〜15dl/gであるもの、 (ロ) 示差走査熱量計(DSC)分析に基く
一個または二個以上の融解ピークがすべ
て130℃以上に存在するか、あるいは130
℃以上で融解する部分の融解熱量が総融
解熱量の40%以上であるもの、 (ハ) モノマー(2)の含量が3〜30重量%のも
の、 (ニ) モノマー(1)の単独重合部が0.5〜50重
量%であり、モノマー(1)とモノマー(2)と
の共重合部が99.5〜50重量%であるも
の、 (ホ) モノマー(1)とモノマー(2)との共重合部
が50〜99重量%であり、モノマー(3)の単
独重合部またはモノマー(3)とモノマー(2)
との共重合部ないしはモノマー(1)、(2)、
(3)との三元共重合部が50〜1重量%であ
るもの、 等を挙げることができ、その製造法は特願
昭54−68532号、同54−85593号、同54−
119943号、同54−119944号、同54−137171
号各明細書に開示されている。 (2) プロピレン(モノマー(1))とC5〜C12
分岐α−オレフイン(モノマー(2′))と
の二元ないし多元共重合体、またはモノマ
ー(1)とモノマー(2′)とエチレンないしは
C4〜C10の直鎖α−オレフイン(モノマー
(3′))との三元ないし多元共重合体。 モノマー(2′)の分岐α−オレフイン
は、下記の一般式で表わされる。 CH2=CH(CH2nCR1R2R3
………() 式中mは0〜7の整数であり、R1はメ
チル基かエチル基であり、R2はC1〜C5
アルキル基であり、あるいはR1およびR2
は結合してシクロアルキル基を形成し、
R3は水素、メチル基またはエチル基であ
る。 前記()式に含まれる単量体には、3
−メチルブテン−1、3−メチルペンテン
−1、3−エチルペンテン−1、3−メチ
ルヘキセン−1、4−メチルペンテン−
1、4,4′−ジメチルペンテン−1、4−
メチルヘキセン−1、5−メチルヘキセン
−1、5,5′−ジメチルヘキセン−1、
3,5,5′−トリメチルヘキセン−1およ
びビニルシクロヘキサンなどがある。以上
のうちモノマー(2′)の好ましい例は、4
−メチルペンテン−1、および3−メチル
ブテン−1である。特に、4−メチルペン
テン−1が好ましい。 場合により使用するモノマー(3′)の好
ましい例には、エチレン、ブテン−1、ペ
ンテン−1およびヘキセン−1などがあ
る。モノマー(3′)を使用すると、組成物
の柔軟性をより強調することができる。 この共重合体の組成範囲は、モノマー(1)
10〜98重量%、モノマー(2′)2〜90重量
%、およびモノマー(3′)0〜50重量%で
表わされる。これらの範囲以外のものでは
著しい効果が奏されない。 この共重合体の好ましいものは、 (イ) デカリン中、135℃における極限粘度
が0.3〜15dl/g(物により0.5〜15dl/
g)であるもの、 (ロ) 示差走査熱量計(DSC)により得ら
れる融解曲線の少なくとも一つのピーク
位置が145℃以上に存在するか、あるい
はDSCにより得られる融解曲線に基い
て算出される140℃以下で融解する部分
の融解熱量と150℃以上で融解する部分
の融解熱量とがそれぞれ総融解熱量の5
%以上であるもの(但し、DSCによる
融解曲線は、10℃/分の冷却速度で結晶
化させたサンプルを10℃/分の昇温速度
で測定し得たものである)、 (ハ) モノマー(3′)の含量が0〜8重量%
であるもの、 (ニ) モノマー(1)単独重合部が0.5〜50重量
%で、モノマー(1)とモノマー(2′)との
共重合部が99.5〜50重量部であるもの、 (ホ) モノマー(1)とモノマー(2′)との共重
合部が50〜99重量%で、モノマー(3′)
の単独重合部またはモノマー(3′)と必
要によりモノマー(1)とからの共重合部が
50〜1重量%であるもの、 等を挙げることができ、その製造法は特願
昭54−43809号、同54−73807号、同54−
156876号各明細書に開示されている。 これら二種のプロピレン共重合体は通常チ
ーグラー型触媒を用いて不活性炭化水素希釈
剤中または液状プロピレン中で一段ないし多
段重合によつて製造される。この場合に、生
成共重合体がブロツク共重合体的性質を持つ
かあるいはランダム共重合体的性質を持つか
によつて、本発明組成物の物性はかなりの影
響を受けることが判明している。 そもそも、一般にチーグラー触媒によるオ
レフイン重合においては、いわゆるリビング
重合とは異なつて連鎖の寿命は重合時間に比
較して相当短かいため、重合を多段で実施し
てブロツク共重合体を得ようとしても真のブ
ロツク共重合体を高い割合で得ることは困難
であるが、少ない割合とはいつでもブロツク
共重合体は生成するので、これを介して微視
的オーダーでのブレンドが行なわれるため
に、単純なブレンドに比較して生成ポリマー
の品質は顕著に改良される(したがつてここ
では、多段重合による共重合体はブロツク的
共重合体と称することにする)。一方、ラン
ダム共重合体は、二種以上のモノマーが同時
に共存する条件下では容易に合成することが
できる。 これらの重合方法については、例えば、特
願昭54−43809号、同54−68532号、同54−
73807号、同54−85593号、同54−119943号、
同54−119944号、同54−137171号、同54−
156876号等明細書に記載されている。 これらのプロピレン共重合体は、相互に混
合使用することができる。またプロピレン共
重合体としての性質を損なわない範囲で他の
重合体を混合使用することもできる。他の重
合体としては、プロピレンホモ重合体、プロ
ピレン−エチレン共重合体、プロピレン−エ
チレン共重合ゴム、エチレン重合体、エチレ
ン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−ビニル
エステル共重合体などが挙げられる。 本発明では、このプロピレン共重合体は粒
状のものが使用される。ビニル単量体の含浸
を容易にしかつ懸濁重合時の凝集を防ぐた
め、プロピレン共重合体の粒子は粒径分布が
狭くかつ平均粒径が2〜5mm程度のペレツト
であることが好ましい。粒径が過度に大きい
と、重合時の分散が困難なばかりでなく、ビ
ニル単量体の含浸速度が遅くなつて反応時間
が長くなる傾向があるが、粒径が例えば6〜
20mmと大きいプロピレン共重合体粒子を使用
した場合は、含浸時間を長くし、また必要で
あれば生成樹脂塊を粉砕すればよいから、プ
ロピレン共重合体の粒度はこの発明において
は必ずしも臨界的ではない。 この発明によれば、使用したプロピレン共
重合体粒子の形状がほぼそのまま新規な生成
複合樹脂の粒子として保持されるから、生成
複合樹脂が直ちに成形用材料として使用する
に適した粒度ないし粒子形状であるように出
発プロピレン共重合体粒子の粒度を選定する
ことができる。 2) ビニル単量体 前記したように、ビニリデン単量体をも包
含する。 具体的には、たとえばスチレン系単量体、
たとえばスチレン、核置換スチレンたとえば
メチルスチレン、ジメチルスチレン、エチル
スチレン、イソプロピルスチレン、クロルス
チレン、α置換スチレンたとえばα−メチル
スチレン、α−エチルスチレン、アクリル酸
エステル(特に、C1〜C7アルキルエステ
ル)、メタクリル酸エステル(特に、C1〜C7
アルキルエステル)、ハロゲン化ビニルない
しビニリデン(特に、塩化ビニル、塩化ビニ
リデン)、アクリロニトリル、メタクリロニ
トリル、ビニルナフタレン、ビニルカルバゾ
ール、アクリルアミド、メタクリルアミド、
無水マレイン酸、1,3−ブタジエン、イソ
プレンのような共役ジエン、酢酸ビニルのよ
うなビニルエステルその他がある。またこの
ような単量体に架橋性ジエンないしポリエン
単量体たとえばジビニルベンゼン等を極く少
量併用する事ができる。これらは単独または
混合して用いられる。特に、親水性または固
体のビニル単量体は、油溶性単量体中に溶解
して使用するとよい。 3) ビニル単量体の使用量 ビニル単量体の量は、プロピレン共重合体
100重量部に対して5〜400重量部程度、好ま
しくは、20〜200重量部程度である。400重量
部以上を越えるとプロピレン共重合体に含浸
されないビニル単量体が多くなつてプロピレ
ン共重合体粒子と独立のビニル重合体粒子が
懸濁重合時に析出して、生成複合樹脂の均質
性が阻害されるし、5重量部未満では生成複
合樹脂の印刷性あるいは他の熱可塑性樹脂と
の相溶性等の改良効果が十分でない。 この発明によると、プロピレン共重合体に
対するビニル単量体の量比が増加すると、生
成する複合樹脂中のビニル単量体の分散粒子
径が大きくなる傾向がある。したがつて、目
的とする使用形態によりプロピレン共重合体
とビニル単量体の量比を変えて利用できる。
一例として、ビニル単量体がスチレンの場
合、プロピレン共重合体100重量部に対しス
チレン5〜100重量部の量比では生成する複
合樹脂中のポリスチレン分散粒子径が非常に
小さいことから、プロピレン共重合体の表面
特性(印刷性等)を改良した成形材料とし
て、各種熱可塑性樹脂とのブレンド材料とし
て、また相互に相溶性のない二種又は数種の
熱可塑性樹脂に対する分散剤として、有効で
ある。一方、プロピレン共重合体100重量部
に対しスチレン100〜400重量部の量比では生
成する複合樹脂中のポリスチレンの分散粒子
径がやや大きくなることから、主として、剛
性/耐衝撃性バランスにすぐれる成形材料と
して、或いはスチレン系樹脂への接着材料或
いはブレンド材料としての応用が考えられ
る。 4) 重合開始剤 この発明による方法は水性媒体中でプロピ
レン共重合体粒子中に含浸させたビニル単量
体を重合させるものであるため、重合開始剤
を使用することがふつうである。この場合の
重合は水性懸濁重合の技術に従うものによる
ため、重合開始剤は油溶性のものを使用す
る。 そして、この発明の好ましい実施態様によ
れば、重合開始剤は10時間の半減期を得るた
めの分解温度が50〜130℃であるものである。
特に55〜110℃の範囲内にあるのが好ましい。
50℃未満では含浸工程中にビニル単量体の過
早重合が生じて、生成複合樹脂の均質なもの
が得られない。130℃を越えると基材樹脂で
あるプロピレン共重合体の熱劣化が生じ、物
性上は無論のこと商品価値も好ましくない。
熱劣化は、開始剤の分解のため過度に温度を
上げる結果、プロピレン共重合体の分子切断
反応が加速化されるためと考えられる。 このような重合開始剤の具体例を挙げれ
ば、下記の通りである(カツコ内の温度はベ
ンゼン1リツトル中に重合開始剤を0.1モル
添加して該温度で10時間放置すれば重合開始
剤の分解率が50%となる温度である)。t−
ブチルパーオキシピバレーート(55℃)、3,
5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサ
イド(59.5℃)、オクタノイルパーオキサイ
ド(61℃)、ラウロイルパーオキサイド(62
℃)、ベイゾイルパーオキサイド(74℃)、p
−クロロベンゾイルパーオキサイド(75℃)、
シクロヘキサノンパーオキサイド(97℃)、
t−ブチルパーオキシベンゾエート(104
℃)、メチルエチルパーオキサイド(109℃)、
ジクミルパーオキサイド(117℃)、ジ−t−
ブチルパーオキサイド(124℃)、2,5−ジ
メチル−2,5−ジベンゾイルパーオキシヘ
キサン(100℃)、ジ−t−ブチル−ジ−パー
オキシフタレート(105℃)。 重合開始剤の使用量は、ビニル単量体100
重量部に対して0.01〜10重量部程度、好まし
くは0.05〜5重量部程度である。0.01重量%
未満ではビニル単量体の重合が完全には行な
われないし、10重量%を越えると、プロピレ
ン共重合体の分子切断反応が顕著になり、プ
ロピレン共重合体が本来有する特性を著しく
損なうと共に生成複合樹脂を成形加工する場
合に残存する重合開始剤による悪影響が起こ
る。 5) 水性懸濁液の調製 本発明は、プロピレン共重合体に対するビ
ニル単量体の含浸および重合は水性媒体中で
行なわれるので、これらを含む水性懸濁をつ
くることが必要である。本発明での水性懸濁
液の調製は、系内にプロピレン共重合体粒子
が存在するという点を除けば、ビニル単量体
の水性懸濁重合を実施する場合の水性懸濁液
調製と本質的には変らない。 従つて、プロピレン共重合体粒子と、好ま
しくは重合開始剤をあらかじめ溶存させたビ
ニル単量体とを、水性懸濁重合に使用されう
る懸濁剤たとえば水溶性重合体たとえばポリ
ビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、
メチルセルロースその他あるいは難溶性無機
物質たとえばリン酸カルシウム、酸化マグネ
シウムその他の存在下に、水性媒体中に撹拌
分散させる。水性媒体は、各種水溶性物質が
溶存したものでもよい。 水性懸濁液のプロピレン共重合体粒子ない
しビニル単量体の濃度は、系の撹拌が容易に
行なわれる限り任意であるが、一般に水100
重量部に対してプロピレン共重合体およびビ
ニル単量体5〜100重量部で行なわれる。 6) ビニル単量体の含浸 この水性懸濁液を、使用重合開始剤の分解
が実質的には起らない条件下で加熱して、ビ
ニル単量体をプロピレン共重合体粒子中に含
浸させる。 含浸は、ビニル単量体の80重量%超過、好
ましくは90重量%以上がプロピレン共重合体
粒子に含浸または附着されるまですなわち遊
離のビニル単量体液滴が20重量%以下、好ま
しくは10重量%以下の量となる程度まで水性
懸濁液を好ましくは撹拌下に放置して行な
う。本発明者らの種々の実験の結果、未含浸
のビニル単量体が20重量%超過の場合は独立
のビニル重合体粒子が析出し、またプロピレ
ン共重合体粒子中のビニル重合体の分散が不
均一となつて目的とする性能が得られないこ
とが判明した。なお、含浸工程における20重
量%以下の遊離のビニル単量体は、次の重合
工程においてプロピレン共重合体に含浸され
あるいはプロピレン共重合体表面に付着して
重合するため、生成物中にはビニル重合体粒
子がプロピレン共重合体粒子と独立して存在
することは事実上認められない。 含浸の条件は含浸促進の点からは加熱温度
は高い方がよいが、重合開始剤の過早分解に
よつて含浸前のビニル単量体が単独で重合す
るので、これを防止する点からは加熱温度は
低い方がよい。前述した特定重合開始剤およ
び特定粒子形状のプロピレン共重合体粒子を
用いる本発明において好ましい条件は、温度
室温100℃、撹拌時間2〜8時間程度である。 なお、遊離のビニル単量体の量は、次の方
法によつて知ることができる。すなわち、水
性懸濁液の任意量をサンプリングし、これを
300メツシユ程度の金網を用いて手早く炉過
してプロピレン共重合体粒子と液相とに分離
して液相中のビニル単量体を測定し、この値
とビニル単量体の仕込み量とから遊離のビニ
ル単量体の割合を算出する。 2 ビニル単量体の重合 このようにして用意した水性懸濁液を、好ま
しくは撹拌下に、更に高温に加熱して、ビニル
単量体の重合を行なう。 加熱温度は、使用重合開始剤の充分な分解が
生じる温度であるべきである。しかし、150℃
を越えないことが好ましい。150℃を越えると、
プロピレン共重合体の分子切断反応が起こつ
て、プロピレン共重合体が本来有する特性を著
るしく損なう。一般に、50〜130℃の温度が適
当である。重合中の温度は、150℃以下であれ
ば必ずしも一定でなくてもよく、懸濁重合で生
成する複合樹脂の性状見合で二段あるいはそれ
以上に変更することもできる。 重合時間は、一般に2〜20時間である。重合
圧力は常圧〜10Kg/cm2程度である。 前記したように、重合終了後も使用プロピレ
ン共重合体粒子の形状がほぼそのまま保持され
ている。重合終了後は冷却し、その他通常の水
性懸濁重合のあと処理と同様に処理すれば、直
ちに成形用材料として使用できる形態の複合樹
脂を得ることができる。 3 生成複合樹脂およびその利用 1) 複合樹脂 このようにして得られる新規な複合樹脂は
出発プロピレン共重合体と同質ではなく、均
質に分散されたビニル単量体からの重合体を
内蔵するプロピレン共重合体、或はビニル単
量体がプロピレン共重合体の幹にグラフト重
合した変性プロピレン共重合体、或はプロピ
レン共重合体粒子表面にビニル単量体の重合
体がグラフト重合したもの、或はこれらの混
合物と推定され、ビニル単量体の独自の重合
体粒子がプロピレン共重合体粒子と別個に存
在するものではない。 この発明により製造される複合樹脂は、ビ
ニル単量体からの重合体が0.2〜2μ程度の微
細粒子としてプロピレン共重合体中に均一に
分散しているものである。このようなビニル
重合体の大量導入による微細な分散は、単純
ブレンドではいかなる手法を用いても達成し
えない(プロピレン共重合体中にビニル重合
体粒子は数十μの単位でしか分散されえな
い)。 本発明により製造される複合樹脂は、相溶
性の悪い樹脂単位の複合樹脂であるにもかか
わらず、良好な機械的特性を有しており、か
つ寸法安定性、印刷性に優れるとともに、深
絞り成形性、発泡成形性等の成形加工性にも
優れた特性を有しているため、成形用材料と
して利用される。 なお、この複合樹脂に顔料、熱安定剤、紫
外線吸収剤、帯電防止剤、難燃剤、無機充填
剤、繊維状強化剤、他の熱可塑性樹脂、をブ
レンドして成形用材料として利用することは
もちろん可能である。 2) 熱可塑性樹脂とのブレンド 本発明により得られる複合樹脂の特色の一
つは各種の熱可塑性樹脂に対する相溶性の良
さであり、従つてこの特性を生かした複合樹
脂の用途の一つは熱可塑性樹脂とのブレンド
として使用することである。この複合樹脂を
熱可塑性樹脂に適当量配合したものは均質な
ブレンドをなし、このブレンドは被配合熱可
塑性樹脂の属性とこの複合樹脂の属性とを併
有するすぐれた樹脂材料となる。 このようなブレンドを形成すべき熱可塑性
樹脂の代表的なものは、ポリオレフイン樹脂
および非晶性熱可塑性樹脂である。 (1) ポリオレフイン樹脂 適当なものは、脂肪族モノないしジオレ
フインのホモ重合体、およびこれらオレフ
イン相互のあるいはこれらオレフインと共
重合性単量体との共重合体(後者の共重合
体の場合は、これらオレフインの含量は50
重量%以上である)である。 「共重合体」は、ランダム、ブロツク、
およびグラフト共重合体を包含するものと
する。また、このような重合体はこれら相
互の混合物であつてもよく、またこのよう
な重合体に対してその40重量%までの相溶
性重合体との混合であつてもよい。「ポリ
オレフイン樹脂」は、このようにオレフイ
ンのホモおよび共重合体である限りここで
はゴム状のものをも包含するものとする。 このような重合体を単量体種によつて分
類した場合の一例は、炭素数2〜20程度の
α−オレフイン(エチレンを包含するもの
とする)のホモ重合体、これら相互の共重
合体、およびこれらと共重合可能な単量体
との共重合体(α−オレフイン含量60重量
%以上のものが好ましい)である。 具体的には、たとえば、高圧法、中圧法
または低圧法ポリエチレン、ポリプロピレ
ン、ポリブテン−1、ポリ4−メチルペン
テン−1、エチレン−プロピレンランダム
共重合体、エチレン−プロピレンブロツク
共重合体、プロピレン−ブテン−1ランダ
ム共重合体、プロピレン−エチレン−1ラ
ンダム共重合体、エチレン−酢酸ビニル共
重合体、エチレン−エチルアクリレート共
重合体、エチレン−メタクリル酸共重合
体、無水マレイン酸変性ポリプロピレン、
エチレン−プロピレン(−ジエン)共重合
体ゴム、等が代表的なものである。 (2) 非晶性熱可塑性樹脂 適当なものは、スチレン系樹脂、たとえ
ばポリスチレン、ゴム強化ポリスチレン、
アクリロニトリル−スチレン共重合体、ア
クリロニトリル−ブタジエン−スチレン共
重合体、アクリロニトリル−塩素化ポリエ
チレン−スチレン共重合体、アクリロニト
リル−エチレンプロピレンゴム−スチレン
共重合体、メタクリル酸メチル−ブタジエ
ン−スチレン共重合体、スチレン−ブタジ
エンブロツク共重合ゴム等、アクリル系樹
脂、たとえばポリアクリル酸エステルおよ
びその共重合体、ポリメタクリル酸エステ
ルおよびその共重合体等、およびポリ塩化
ビニルおよびその共重合体、ポリアクリロ
ニトリル等である。 ここで「非晶性」とは、X線によつて結
晶回折が現われないものを一般的にいう
が、非晶部分がその大部分を占め、若干の
結晶性を有する(結晶化度20%以下)熱可
塑性樹脂も含むこととする。 (3) ブレンド方法および組成 なおこれらのブレンドはこの複合樹脂と
ポリオレフイン樹脂とのおよびこの複合樹
脂と非晶性熱可塑性樹脂との各二成分ブレ
ンド系が代表的であるが、当然のことなが
ら三成分ブレンド系、すなわち互に相溶性
の悪いポリオレフイン樹脂と非晶性熱可塑
性樹脂とのブレンド系にこの複合樹脂を分
散剤として使用して相溶性を向上させたも
の、も有効である。 通常の樹脂の溶融混練法、すなわち一軸
押出機、二軸押出機、ロール、バンバリー
などを適用して各成分が均質に溶融混練さ
れたペレツトを得ることができる。さらに
ドライブレンドにより、各成分ペレツトを
単純に混ぜあわせたペレツトからの直接成
形も可能である。 ブレンドの組成は適宜選べばよいが、上
記の二種の熱可塑性樹脂の場合について適
当なものを示せば、下記の通りである。 (イ) 複合樹脂 10重量%以上 ポリオレフイン樹脂 90重量%以上 (ロ) 複合樹脂 10重量%以上 非晶性熱可塑性樹脂 90重量%以下 (4) ブレンド効果 たとえば、スチレン改質プロピレン共重
合体はホモポリプロピレンの耐衝撃性及び
伸びの改良、ホモポリプロピレンの顔料の
分散性、導電性、収縮性の改良並びに深絞
り性、発泡性などの成形加工性の改良、ス
チレン及び無水マレイン酸、或はアクリル
酸エステル、メタクリル酸エステル等によ
る改質プロピレン共重合体はポリプロピレ
ンの印刷性改良、にそれぞれ有効である。 スチレン改質プロピレン共重合体はスチ
レン−ブタジエンブロツク弾性体の延展性
付与剤として、メタクリル酸エステル改質
プロピレン共重合体はポリメチルメタクリ
レート樹脂の成形性及び衝撃性付与剤とし
て有効である。 スチレン及びアクリル酸ないし無水マレ
イン酸改質プロピレン共重合体をポリプロ
ピレンまたはポリエチレンに配合したもの
は、金属、ガラス、ナイロン等への接着力
が著るしく向上する。 またこの複合樹脂の特徴的な利用の一つ
は、前記のように、互いに相溶性の悪いポ
リオレフイン系樹脂とポリスチレン系樹脂
の接着剤として大きな効力を発揮させるこ
とである。例えば、ゴム変性ポリスチレン
とポリオレフインとの接着にあたり、スチ
レン改質プロピレン共重合体を接着剤とし
て、或は両樹脂の共押出の中間層として利
用することにより優れた層間接着強度を有
する積層体を得ることができる。 4 実験例 参考例 1 内容量150リツトルの重合反応器にn−ヘプタ
ン45リツトル、三塩化チタン(丸紅−ソルベイ化
学社製TAU触媒)3.9gおよびジエチルアルミニ
ウムクロリド19.5gを入れ、温度50℃、プロピレ
ン圧2.0Kg/cm2Gでプロピレンの単独重合を行な
つた。 次いで、温度60℃、プロピレンとヘキセン−1
をそれぞれ3.5Kg/時および9.0リツトル/時の速
度で先の8倍の時間にわたり供給して共重合し、
その後プロピレンだけを同じ速度で先の倍の時間
供給して重合させた。更に、残存未反応モノマー
だけによる共重合を継続した。なおこの間、反応
器の気相部における水素濃度を適宜調整した。 共重合終了後、残留ガスを抜き、共重合体スラ
リーを別の槽に移し、遠心分離によつて共重合体
を溶剤を含んだケーキとして取出し、これを乳化
剤を含んだ純水と共に100℃で溶剤をスチームス
トリツピングした。その後、遠心分離によつて共
重合体を取出し、真空乾燥した。得られたプロピ
レン共重合体は10.6Kgであり、ヘキセン含有量
13.8重量%、MFR5.7g/10分であつた。 参考例 2 参考例1で使用した反応器にn−ヘブタン45リ
ツトル、三塩化チタン(参考例1で使用したと同
じもの)7.6gおよびジエチルアルミニウムクロ
リド33gを入れ、温度50℃、プロピレン圧2.0
Kg/cm2Gでプロピレンの単独重合を行なつた。次
いで、温度60℃、プロピレンとヘキセン−1とを
それぞれ3.0Kg/時および6.0リツトル/時の速度
にして先の12倍の時間にわたつて共重合を行なつ
た。ここで、プロピレンを気相部の圧力が0.4
Kg/cm2Gになるまでパージし、ひきつづいてエチ
レンを1.8Kg/時の速度で先の7倍の時間にわた
つて供給して、共重合を行なつた。なお、この
間、反応器の気相部における水素濃度を適宜調整
した。 一連の共重合反応を終えた後のポリマースラリ
ーを参考例1と同様に後処理して、プロピレン共
重合体粉末11.8Kgを得た。このもののMFRは4.6
g/10分、ヘキセン−1ならびにエチレン含有量
はそれぞれ9.4重量%および17.8重量%であつた。 参考例 3 8リツトルのステンレス鋼製重合器にn−ヘプ
タン2.3リツトルを送入し、十分に窒素置換した
のちジエチルアルミニウムクロリド10.5g、三塩
化チタン(参考例1と同じもの)2.1gを入れた。
温度を70℃に設定し、一気圧(絶対圧)のプロピ
レン雰囲気中で4−メチル−1−ペンテン550g
を一括して入れた。これを同時にプロピレンを共
重合期間中を通して1.0気圧(絶対圧)となるよ
うに供給して、プロピレンと4−メチル−1−ペ
ンテンとのランダム共重合を実施した。 共重合開始時点におけるプロピレンならびに4
−メチル−1−ペンテンのヘプタンに対する濃度
はそれぞれ0.012(g/g−ヘプタン)ならびに
0.35(g/g−ヘプタン)であつた。一方、共重
合終了の時点における濃度は同様に0.012(g/g
−ヘプタン)および0.16(g/g−ヘプタン)で
あつた。したがつて、Rmax=29.2(共重合開始
時)、Rmin=13.3(共重合終了時)、Rmax/
Rmin=2.19であつた。 重合終了後、過剰のメタノールで触媒を分解す
るとともに、繰返してn−ヘプタンで洗浄した。
別後、得られたポリマーを90℃で一昼夜減圧乾
燥した。得られた共重合体のMFRは1.2g/10
分、4−メチル−1−ペンテンの含有量は29.5重
量%であつた。但し、共重合体中の4−メチル−
1−ペンテン単位の含量は、赤外線吸収スペクト
ルで波数920cm-1における吸光度から求めた。 実施例 1 内容量10リツトルのオートクレーブ内に純水4
Kg、懸濁剤としてリン酸三カルシウム80g、およ
び懸濁助剤としてドデシルベンゼンスルホン酸ソ
ーダ0.12gを加えて水性媒質とした。別に、重合
開始剤として過酸化ベンゾイル6.5gをスチレン
1.3Kgに溶解させ、これを上記水性媒質に投入し、
撹拌して懸濁させた。これに参考例1で得られた
プロピレン共重合体ペレツト700gを投入し、オ
ートクレーブ内を窒素ガスで置換したのち、系内
温度を60℃に昇温させたまま6時間保持して、重
合開始剤含有スチレンを上記ペレツト中に含浸さ
せた。未含浸モノマー量は5重量%以下であつ
た。この水性懸濁液を80℃に昇温したまま6時間
保持して重合を行なわせ、更に90℃に昇温したま
ま2時間保持して重合を完結させた。 冷却後、内容物を取り出し、酸洗いおよび水洗
して、改質ポリプロピレン粒子2Kgを得た。この
複合樹脂粒子中にはポリスチレンがほぼ定量的に
65重量%存在することが確認された。 得られた複合樹脂を用いて、プレス成形(温度
200℃、圧力150Kg/cm2)により0.5mm厚のシート
を作製した。このシートを打抜き、幅5mm、標点
間10mmの試験片を作製し、インストロン型オート
グラフにて引張速度50mm/分の条件で引張強伸度
を求めた。結果均一性と共に表−1に示す。 比較例 1 実施例1で用いた共重合体(参考例1)14gと
ポリスチレン粒子(三菱モンサント(株)「ダイヤレ
ツクスHF−77」)26g(共重合体35重量%、ポ
リスチレン65重量%)をブラベンダープラストグ
ラフを用いて200℃の温度で10分間よく混練しこ
のブレンド物からプレス成形(温度200℃、圧力
150Kg/cm2)により0.5mm厚のシートを作製した。 このシートを打抜き、実施例1と同様に引張強
伸度を測定した。結果を均一性と共に表−1に示
す。 実施例 2 実施例1と同様な方法で、モノマーとしてメタ
クリル酸メチルを用いて改質ポリプロピレン粒子
2Kgを得た。この複合樹脂粒子中には仕込みのメ
タクリル酸メチルの量50重量%に相当するポリメ
タクリル酸メチルが確認され、重合がほぼ定量的
に完結したことがわかつた。 得られた複合樹脂を用いて、プレス成形(温度
200℃、圧力150Kg/cm2)により0.5mm厚のシート
を作製した。このシートを打抜き、幅5mm、標点
間10mmの試験片を作製し、インストロン型オート
グラフにて引張速度50mm/分の条件で引張強伸度
を求めた。結果を均一性と共に表−2に示す。 比較例 2 実施例2で用いたポリプロピレン共重合体(参
考例1)20gとポリメタクリル酸メチル(和光試
薬)20g(共重合体50重量%、ポリメタクリル酸
メチル50重量%)とをブラベンダープラストグラ
フを用いて200℃の温度で10分間よく混練し、こ
のブレンド物からプレス成形(温度200℃、圧力
150Kg/cm2)により0.5mm厚のシートを作製した。 このシートを打抜き、実施例2と同様の引張強
伸度を測定した。結果を均一性と共に表−2に示
す。
【表】
【表】 * 均一性は、シート外観および引張試験の
際の層状剥離現象の有無から判定する。
○…良好(無)、×…不良(有)
実施例 3 実施例1と同様な方法で、モノマーとして酢酸
ビニルを用いて改質ポリプロピレン粒子2Kgを得
た。この複合樹脂粒子中には仕込みの酢酸ビニル
の量30重量%に相当するポリ酢酸ビニルが確認さ
れ、重合がほぼ定量的に完結したことがわつた。 この複合樹脂を用いて、プレス成形(温度180
℃、圧力150Kg/cm2)により1mm厚のシートを作
製した。このシート2枚を積層し、高周波ウエル
ダー機(高野電機社製、印加電圧5000V、出力
2.5KW、周波数40、68MHz、金型3×17(51cm2))
により同調条件1、試験温度20℃にて高周波によ
る接着を試みたところ、印加時間10秒で完全に接
着した。 さらに、この複合樹脂を参考例1で得られたポ
リプロピレン共重合体とブレンドして、前記手法
と同様に高周波による接着を試みた。結果を表−
3に示す。 比較例 3 実施例3で用いたポリプロピレン共重合体(参
考例1)をプレス成形(温度200℃、圧力150Kg/
cm2)により1mm厚シートとし、このシート2枚を
積層して、実施例3と同様な高周波による接着を
試みた。結果を表−3に示す。
【表】 * 完全に接着するまでの時間。
応用例 1 実施例1で得られた複合樹脂を用いて、プレス
成形(温度200℃、圧力150Kg/cm2)により1mm厚
のシートを作製した。また、ゴム変性ポリスチレ
ン(三菱モンサント社製「ダイヤレツクスHT−
190」)から同様にプレス成形(温度230℃、圧力
150Kg/cm)により1mm厚のシートを作製した。
更に両者のシートを積層し、プレス成形機にて温
度210℃、圧力20Kg/cm2の条件下で圧着した。こ
の積層シートを10mm巾にカツトして、180゜剥離テ
ストを実施した。結果を表−4に示す。 更に、この複合樹脂と参考例1で得られたプロ
ピレン共重合体とを所定量ブレンドしたものを用
いて同様のテストを実施した。結果を表−4に示
す。 応用比較例 1 応用例1と同様のテストを、参考例1で得られ
たポリプロピレン共重合体樹脂を用いて実施し
た。結果を表−4に示す。
【表】 応用例 2 実施例1で得られた複合樹脂を用いて、ポリス
チレン樹脂とのブレンド特性をみるべく、この複
合樹脂10重量部とゴム変性ポリスチレン(三菱モ
ンサント社製「ダイヤレツクスHT−190」)90重
量部とを40mm径押出機にて180℃の温度で溶融混
練して、均質混合ペレツトを得た。このペレツト
から、Tダイ成形機を用いて厚さ0.5mmのシート
を作成した。このシートを打ち抜き、機械的強度
を測定した。結果を表−5に示す。 応用比較例 2 参考例1で得られた共重合体と、ゴム変性ポリ
スチレン(三菱モンサイト「ダイヤレツクスHT
−190」)とを種々の割合で、40mm径押出機にて
180℃の温度で溶融混練して、混合ペレツトを得
た。このペレツトから、応用例2と同様にTダイ
成形機を用いて厚さ0.5mmのシートを作製した。
このシートを打き抜き、機械的強度を測定した。
結果を表−5に示す。
【表】 * 実施例1と同一条件で測定。
** ASTM D 1822〓1974に準拠して測定。
実施例 4 実施例1と同様な条件にて、参考例2で得られ
た共重合体(ヘキセン含有量9.4重量%、エチレ
ン含有量17.8重量%、MFR4.6g/10分)ペレツ
トを使用して、改質ポリプロピレン粒子2Kgを得
た。この改質粒子中にはポリスチレンがほぼ定量
的に導入され、65重量%存在することが確認され
た。 実施例 5 実施例1と同様な条件にて、参考例3で得られ
た共重合体(4−メチル−1−ペンテン含有量
29.5重量%、MFR1.2g/10分)ペレツトを使用
して、改質ポリプロピレン粒子2Kgを得た。この
改質粒子中にはポリスチレンがほぼ定量的に導入
され、65重量%存在することが確認された。 比較例 4 実施例1で用いた共重合体ペレツトのかわりに
ホモポリプロピレンペレツト(メルトインデツク
ス(MI)10)を用いる以外は同様の方法で重合
を行つたところ、含浸されなかつたスチレンに基
く多量のホモポリスチレンの析出がみられ、得ら
れた重合体粒子は不均一なものでしかなかつた。 また、結晶性エチレン−プロピレンブロツク共
重合体(エチレン含量12重量%、MI1.2)、結晶
性エチレン−プロピレンランダム共重合体(エチ
レン含量3重量%、MI7)を用いた場合もホモポ
リプロピレンと同様であつた。 比較例 5 実施例1で用いた共重合体ペレツトのかわりに
ホモポリプロピレンペレツト(MI10)1400g、
スチレン600gを用いて同様の方法にて重合を行
ない、改質ホモポリプロピレン粒子2Kgを得た。
この粒子には、仕込みのスチレン量30重量%に相
当するポリスチレンが確認された。 比較例 6 実施例1で用いた共重合体ペレツトのかわりに
結晶性エチレン−プロピレンブロツク共重合体
(エチレン含量12重量%、MI1.2)1040g、スチ
レン960gを用いて同様の方法で改質エチレン−
プロピレンブロツク共重合体2Kgを得た。この粒
子中のポリスチレン含量は48重量%であつた。 比較例 7 実施例1で用いた共重合体ペレツトのかわりに
結晶性エチレン−プロピレンランダム共重合体
(エチレン含量3重量%、MI7)ペレツト1040g、
スチレン960gを用いて同様の方法で改質エチレ
ン−プロピレンランダム共重合体2Kgを得た。こ
の粒子中のポリスチレン含量は48重量%であつ
た。 応用比較例 3 応用例1と同様のテストを、比較例5〜7のそ
れぞれで得られた改質重合体粒子を用いて実施し
た。結果を表−6に示す。
【表】

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1 水性媒体中において、下記a乃至cの群から
    選ばれたプロピレン共重合体粒子100重量部にビ
    ニルないしビニリデン単量体5〜400重量部を含
    浸させて遊離の該単量体の量が20重量%以下とな
    るようにし、次にこの水性分散液の温度を上昇さ
    せて該単量体を重合させることを特徴とする、複
    合樹脂粒子の製造法。 a プロピレン40〜98重量%とC5〜C12の直鎖α
    −オレフイン2〜20重量%と0〜50重量%のエ
    チレンまたはブテン−1とからなる樹脂状プロ
    ピレン共重合体 b プロピレン10〜98重量%とC5〜C12の分岐α
    −オレフイン2〜90重量%と0〜50重量%のエ
    チレンまたはC4〜C10の直鎖α−オレフインと
    からなる樹脂状プロピレン共重合体 c 上記aおよびbの混合物。
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